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タイトル名 |
Kids Return キッズ・リターン |
レビュワー |
Nujabestさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2009-12-30 06:33:18 |
変更日時 |
2009-12-31 07:05:16 |
レビュー内容 |
北野武映画に出てくる登場人物の発する澱みが自分とは妙に相性が良い。そして彼は、男の孤独というものを描くのがうまい。しかも孤独の色を、黒じゃなくてブルーに染める。それが心地よい。この映画の主人公二人の少年は、多くの時間を供に行動し、心から打ち解けているようにも見えるが、どこかしら緊張がみなぎりお互いに踏み越えない一線がある。それは陳腐な言葉でいえば「男は黙して語らず」というものなんだけど、決して心を許さない訳ではなく、ただ寡黙なだけだ。青春映画でありがちな、家庭環境や生い立ちは全く描かれないし、昨今のTVドラマで語られる「俺達仲間じゃねーのかよ。仲間だろ」的な、過度のベタツキも全くない。全編にかけてこんなにも胸がヒリヒリするのは、青春時代に誰もが経験する成長と堕落、そして慢心と羞恥心を、これでもかというくらいに丹念に見せ付けられるからだ。しかしそれだけじゃなく、孤独を癒す手段を、悩みを打ち明けたり語ったりしないからだと思う。それどころか、いつも強がって誤魔化してみせる。それがたまらなく切ない。この映画は、少年の中にも潜む、男は心のすみっこでいつも孤独であるということを突きつけてくる。そういう意味で、まさに男の映画なんだと思う。というよりも、北野武自身の映画なのかもしれない。ところで、印象に残ったシーンは、冒頭に出てくる校庭での自転車の二人乗り。二人は互いに向き合っていて、ふらふらとハンドルが揺れる。青春を謳歌する二人の少年に相応しく、危うく、そして心許ない円の軌道を描く。一転してラストシーンでは、校庭に帰ってきて、しっかりと前を見据え自転車に跨っている。しっかりとした円を描く。青春映画のシャレードとして素晴らしい表現だと思う。 |
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