|
タイトル名 |
エターナル・サンシャイン |
レビュワー |
Nujabestさん |
点数 |
10点 |
投稿日時 |
2009-02-08 18:50:26 |
変更日時 |
2009-02-09 15:00:42 |
レビュー内容 |
この映画は恋愛に対して、受動的である方が感情移入しやすいのかもしれない。自分はジョエルの受動的な態度に多少なりとも感情移入できる所があり、似たような別れ方を経験したことがあるので、激しく心を揺さぶられた。好きな映画であり語り尽くせないので、その辺りを中心に。クレムは最初は変人としか思えなかったが、段々と魅力的な女性に変わっていった。出会うまでを逆算する脚本の構成が巧い。ジョエルは性格の優しさゆえに、自分の感情を抑えて、相手の嫌な部分を咎めない。それは愛しているが故だけど、自分が傷つきたくないからでもある。それが抑圧されて不満が蓄積し、妄想が暴走して、いつしか別れに繋がる言葉を言ってしまう。この映画では最初に喧嘩を見せ、二人の思い出のシーンを交えつつ、ジョエルの子供の頃の記憶の根源的な所まで遡っていく。その過程でクレムは輝きを増していく。そして、虐められている幼少のジョエルを少女が救うシーンにまで辿り着く。少女はいつしかクレムに変わる。結局恋愛の根源とは、こういう所にあるのだろう。どんなに記憶をいじっても無駄なのはそのせいだ。幼少時の辛い体験が人間の性格を形作り、無意識の裡に恋愛相手にその満たされない物を求める。ジョエルが内向的なのは過去のせいであり、ずっと誰かに救われるのを待っていたのだと思う。だが、それだけではいけないことに記憶の消去を終える直前で気づく。彼女は完璧じゃないし女神じゃない。性格により愛情表現は違えど、彼女も恋人に救って欲しいのは一緒なのだから…。それを言葉で表現して乗り越えていかないと関係が深まることは永遠にないし、内面を見ないと関係は破綻に向かう。この映画は、人間が恋人と付き合う際に体験する心の内の葛藤を、斬新なアイデアで切り取って、SF的に表現して見せた。本当に、よくここまで映像化に成功したなと感心するくらいだ。離婚大国のアメリカだからこそ産み出されたものなのかもしれない。傑作だと思う。好きなシーンは、記憶が消去される寸前のSTAR GUITARのPVを彷彿とさせるシーンと、チャールズ川のシーン。いつか、誰かとモントークに行きたい。 |
|
Nujabest さんの 最近のクチコミ・感想
エターナル・サンシャインのレビュー一覧を見る
|