みんなのシネマレビュー
セーラー服と機関銃 - BOWWOWさんのレビュー
◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

タイトル名 セーラー服と機関銃
レビュワー BOWWOWさん
点数 9点
投稿日時 2010-04-02 16:32:27
変更日時 2010-04-02 16:32:27
レビュー内容
相米映画は荒唐無稽な反面、いつもその「重心」をしっかりと大地におく。主人公たちは絵空事の住人でありながら、まるで万有引力に則るようにその足を地に着ける。相米慎二は本作の薬師丸ひろ子をはじめ起用した数々のアイドル女優たちにシゴキの一環としてたびたび四股踏みをさせたというが、四股はまさに大地を両の足で力強く踏みしめる行為だ。彼女らは突飛な世界を生きながらも現実世界の私たち同様、ふわふわと空を翔る自由ではなく、重力に従い地上につながれる不自由=体重を持つのだ。たとえば『台風クラブ』の工藤夕貴は教室の窓枠に頭を挟み、自らの体の重みを感じる。『雪の断章ー情熱ー』の斉藤由貴も、バイクの後部座席でのけぞりアスファルトすれすれに重心を傾ける。重力を体感するように幾度となくプールや川の水に落ちる『ションベンライダー』の河合美智子もそうだ。幽霊として存在する『東京上空いらっしゃいませ』の牧瀬里穂ですら、つかのまの生命と引きかえに確かな重みをもって地上へと落っこちてきた。相米映画において「生きる」ということはつまり、大地を踏みしめる自らの体のその「重み」なのだ。重力に負け、落下するピンポン球よろしく「重み」を汚泥に突き刺す『台風クラブ』の三上祐一はその逆説だろう。本作『セーラー服と機関銃』の薬師丸ひろ子も例外ではない。まるで両手で地球を支えるような「えび反りブリッジ」という異様な体勢で登場し、地べたに座り込み、さらには堂に入った四股踏みまで見せる彼女は、ヤクザの居並ぶ校門へとおっかなびっくり、けれど一歩一歩踏みしめ進む。彼女はその意味でまさに相米映画の申し子と言える。だからこそ彼女に迫る危機は、クレーンやら十字架やらに吊るされること=その足を地上から切り離されることとして表現される。遠景の長回しで延々捉えられる雑居ビル屋上での終盤、表情すら識別できぬ豆粒のような薬師丸がそれでもやるせないかなしみを強烈に発散させるのも、豆粒ながらけなげに動き回る彼女の一歩の重みがちゃんとそこにあるからだ。王道アイドル映画的ラストも同様だ。地下鉄の通風孔の上、翻るスカートから覗く薬師丸の脚。履きなれない赤いハイヒールでそれでもゆるぎなくしっかりと、彼女はそこに立つ。はちゃめちゃでくだらないこの物語を駆け抜けた薬師丸ひろ子の、そして星泉の、小さな、けれど確乎たるその生命の輝きと重みが、間違いなくここにはある。
BOWWOW さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2019-02-25バーニング 劇場版107.00点
2018-08-12リバーズ・エッジ85.33点
2013-05-25青春神話108.33点
2013-05-02エドワード・ヤンの恋愛時代1010.00点
2013-04-28恋恋風塵97.00点
2013-03-09楽日106.00点
2012-01-24海角七号/君想う、国境の南75.23点
2011-04-02エターナル・サンシャイン96.60点
2011-01-18ソーシャル・ネットワーク76.54点
2011-01-02ファイト・クラブ97.38点
セーラー服と機関銃のレビュー一覧を見る


Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS