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タイトル名 |
忘れじの面影(1948) |
レビュワー |
keijiさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2010-01-23 13:40:44 |
変更日時 |
2010-01-23 13:40:44 |
レビュー内容 |
ミュージシャンのちょう落の原因のひとつに、慢心によるファンの軽視という事項をあげることができると想像出来る。この古い作品もそのように、例えば現代のポップやロック系のアーティストと、そのすぐに忘れ去られるファンの女性との関係を描いたものと捉えれば、ぐっと身近な物語と思えてしまったりするだろう。 この作品は、そういうミュージシャンとファンの関係を、男性ミュージシャンからの視点ではなく、ファンである女性からの手紙による回想としたことで、単にミュージシャンの不実をなじるのではなく、美しかった一夜の思い出を究極までに美化することになる。つまり、より美しい思い出は、悲劇の悲しみをいっそう増大させる。 ここでは、すべてを記憶してすべてを承知であるかに見える執事が、男に手紙を渡す。そのタイミングにこそ、女の名前も憶えていない男への告発を、死せる女性の代理で行っているという意識を感じさせられる。
単純な恋愛ドラマではないこの奥深さ、ビターさが、この「忘れじの面影」を、忘れじの作品たらしめているに違いない。 (しかしながら、今ではロックスターの死後に「実はこの子はあの人の子なの」と訴え出てくる女性は数多く、あんまり非難されるような事柄でもなくなって来ちゃってますけれどもね) |
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