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タイトル名 |
柘榴坂の仇討 |
レビュワー |
Dream kerokeroさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2015-04-19 10:58:50 |
変更日時 |
2015-04-19 11:11:20 |
レビュー内容 |
何とも言えぬ、情緒あふるる映画だろうか。私たち日本人の奥底に、失いかけていたものを呼び覚ましてくれる。実に味わい深い映画だ。多くの日本人が、自分の中の「日本人」と真摯に向き合わなければいけなかった混迷の時代。尊厳や威厳、誇りを持って真っ直ぐ生きる美徳。そういった精神が、西洋文化で近代化していく中で、徐々に過去の遺物と化していく様は、非常に心苦しく切なくなります。そんな時代背景の中で、まさにその象徴であるかのような中井貴一と阿部寛が繰り広げる物語に、私はすっかり魅了されてしまいました。特に、自分の意志ではなく、あくまでも主君の言葉、命によって仇討をやめたところが、最後まで武士を貫き通していて満足のいく終わり方でした。西洋のまじないによって東洋の伝統や風習が打ち切られる演出は、もどかしくもあり清々しい、とても奇妙な心情になりました。「姿形は変わろうとも、捨ててはならぬものがある。それも文明ではござらぬか」心に一番響いたセリフです。 |
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