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そして、デブノーの森へ - ramoさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 そして、デブノーの森へ
レビュワー ramoさん
点数 9点
投稿日時 2017-06-07 14:06:48
変更日時 2020-11-22 23:27:10
レビュー内容
すごくいいですね! テレビの解説には「出会った女の罠にハマって、すべてを失う男の話」のようなことを書いていたし、いきなりきれいな女優さんの裸・・・という流れだったので、安っぽい映画かと思い、まったく期待していませんでしたが・・・ 実は、自殺した親友との友情を描いた骨太のヒューマンドラマでした。

途中、エヴァが主犯でミラが利用された・・・みたいな煙幕が張られるものの、どうみてもエヴァは脇役で、ミラがある目的を持ってダニエルに近づいたとしか思えない展開です。ミラは、ダニエルが、父・ポールの作品を盗作して名声を得たと思って、本の印税を脅し取り、結果的に破滅させるのですが、真実を知ったミラ、ラストシーン、そしてこのタイトルの意味がわかった時は、あまりの哀しさと美しさに声も出ないほどでした。

最初は、「鑑定士と顔のない依頼人」のような話っぽいので、どうしてもミラの正体にピントを合わせて観ちゃいますね。でも真実がわかって、ダニエルの視線でこの映画を見直すと・・・ 女好きのアホなおっさんと思っていたダニエル、実は骨のある、不器用だけど男気にあふれた、いいヤツじゃないですか!(ただ、奥さんはかわいそうでしたが・・・)
最後、すべてを知ったミラが、自殺したダニエルのことを「偉大な作家」と呼び、警察官に見せられた写真を見ながら「ポールは?」と聞かれ、「さあ・・・」と答える時のミラ、そして墓地に舞う原稿・・・最高に美しかったです!

話の根底には、ユダヤ人問題が重深く関わっています。自分にはその辺りの知識がほとんどないので、しっかり調べてもう一度見直せば、さらにこの映画の素晴らしさがわかると思います。何気なく聞き流していたダニエルの父の「火星人のジョーク」も、実は伏線というか、前フリだったんですね。
他にもいろいろとその後の展開を示唆するセリフやシーンがていねいに練り込まれた、良い映画だと思います。
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