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タイトル名 |
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ |
レビュワー |
ramoさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2011-07-11 00:11:48 |
変更日時 |
2018-07-11 17:09:55 |
レビュー内容 |
完成されない映画に引き込まれるという基本設定、そして場末のカスカベ座の不思議な雰囲気、西部劇の舞台、荒野・・・。全体に漂う乾いた雰囲気や世界観が、かなり気に入ってます! 向こうの世界にだんだん慣れて住人になっていく様子、実はかなり大人向けな内容なのでは? スター願望のあるみさえ、「いい子」でいることに疲れてそうな風間くん、好きなネネちゃんと暮らすマサオくん、独自の価値観で俗世間に染まらないボオちゃんなど、日常の世界で抑圧されていた憧れや願望が現実化し、閉ざされた世界でありながらも、ある意味、自分らしく生きる様子に、共感めいたものを感じた人も多いと思います。話の中では「帰りたくない!」を「それは本音じゃない」と扱われていますが、強がりではなく、心からの叫びのように思えます。(本音にしちゃうと、後半のカスカベ防衛隊の活躍につなげるのに面倒なことになるから?)
ヒーローに変身してからはいつものしんちゃん映画でしたが、もとの世界に戻ってきてからも、なぜ映画の中に入ってしまったのか、その意味は謎のまま。それは、ラストのひろしの行動にも表れていましたね。最後、みんなで帰ろうとした時、ひろしが「あっ、そういや何でこんなことに・・・?」と言いたげな表情で誰もいなくなった館内を振り返りますが、「まぁ、いいか・・・」とドアを閉めて、暗転終幕・・・。序盤の強制労働させられているシーンで、ひろしとマイクが「“映画”が、我々を呼んだのでは?」という会話があり、「でも何のために?」の答えは結局見つからず、それがラストシーンのひろしの表情につながっているのだと思います。
最後、ひろしがもう笑っていないのは「戻ってきたこの世界には、さっきよりももっとキビシイ“逃げ場のない現実”が待っている。」という大人向けのブラックなメッセージ、謎を解決しないことで「この話にはまだ続きがある」的なニュアンスを匂わせるなど、「謎も解けてスッキリ」という子供映画とは違う、大人向けの後味を残したかったのかも。(子ども向けのアニメ映画なら、しんちゃんがシロと再会して「めでたしめでたし」で終わっているんでしょう)
ただ、芸人たちが出てくるシーンは、大人の事情が見え隠れして興ざめ。エンディングのひどい歌には怒りすら覚えました。 |
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