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タイトル名 |
東京物語 |
レビュワー |
Jar_harmonyさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2015-05-11 01:02:19 |
変更日時 |
2015-05-11 03:51:43 |
レビュー内容 |
あのラストは、京子と紀子の会話から含めて印象的なのです。京子は、とみの死後に見せたしげたちの言動に嫌気をさします。実母が亡くなった直後というのに、あれやこれやと無遠慮に形見を欲しがったり、さっさと帰路についたりして、なんと薄情なのだと、なんと無頓着なのだと嘆くのです。しかし、紀子は、そのしげたちの言動に対しフォローを入れます。「大人って、だんだん親から離れていくものじゃないかしら」。大切なはずの人を亡くしてもすぐに割り切るしげたちの言動を、紀子は肯定して、京子をなだめるのです。この、紀子が年下の京子をなだめる姿は、一見、大人の強かさが現れているようにも映ります。しかし、親の死の無頓着を否定しなかった紀子自身も、未だ亡き夫の死を引きずって生きているわけです。夫の死に無頓着になりつつある自分に、罪悪感を抱いていました。京子にはあんなことを言ったのに、自分の場合は「大人って、だんだん夫の死から離れていくものじゃないかしら」と割り切れないずるい自分。親の死の無頓着を肯定しても、夫の死の無頓着は否定したい紀子。そんな彼女に、亡き夫の「親」である周吉が、その無頓着を肯定するのです。新しい男(ひと)を見つけてもええよ、と。そして、亡き妻の形見を、血縁でもない紀子に無頓着に授けます。そうして、夫の死の呪縛から開放された紀子の涙。これが、感謝と安堵に満ち溢れていて、感動的なのです。 |
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