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タイトル名 |
ヘンリー/ある連続殺人鬼の記録 |
レビュワー |
mikiさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2012-09-03 12:31:46 |
変更日時 |
2012-09-03 12:31:46 |
レビュー内容 |
ヘンリー・リー・ルーカス。実在したアメリカの連続殺人犯。「普通の人」ならまずヘンリーの思考は理解出来ないだろう。OPからヘンリーが手にかけたと思われる死体(遺体)が映し出される。ぞっ、としたのはカフェで多分朝食を取った後のシークエンス。ウエイトレスに「笑顔が素敵だ。」とにこやかに世間話をし、店を立ち去るヘンリー。車に乗った後のシーンでそのカフェで起こった凄惨な画が映し出される。にこやかに話しかけたさっきまで笑顔でいたあのウエイトレス、そして店主と思われる男性までもが殺されていた。普通の会話の後に、「普通」に人を殺しているヘンリー。そして何も無かった様に立ち去る。この演出はこの映画において素晴らしく的確。犯行を直接見せず、その間に殺人があった事実を観客に知らせ、想像させる余地を与える残酷な演出。普通の人なら計画的・衝動的な動機などが無いとまず人を殺害などしない。つまりヘンリーには普通の、ちょっとしたついでの様に殺人が描かれている。マイケル・ルーカーはルックスからしていかにもなんですが、「狂気」というのはそんなに感じさせていない。声を張り上げた時に少し怖い、という印象くらい。なぜならヘンリーは「普通」だから。殺人を楽しむ変態ではないから。彼にとって「殺人」は息をするのと同じ。車の故障を装い、オーティスに銃で人を撃たせた後の、「どうだ?すっきりしたか。」と言う台詞のごく自然な言い回し。まるで子供にトイレで用を足させた後の言い方。マイケル・ルーカーはその辺りを理解し、心得て演技をしていたと思います。ラスト、ヘンリーは車のトランクを開け、しばし中を眺めてから大きなスーツケースを取り出します。逃避行の際、ベッキーに「愛しているわ。」と言われ、ヘンリーは「多分、愛している。」と返事を返す。スーツケースを取り出すまでのあの時間に、ヘンリーの心境が垣間見えた気がする。 |
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