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独裁者、古賀。 - かっぱ堰さんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 独裁者、古賀。
レビュワー かっぱ堰さん
点数 5点
投稿日時 2016-10-01 13:44:27
変更日時 2016-10-01 13:44:27
レビュー内容
気弱な男子高校生が壁を壊して前に進もうとする話である。基本的には良作と思われるが、しかし自分としては登場人物が不快なために見るのが苦痛だったというのが正直なところである。
まず主人公は単なる馬鹿に見える。本当に臆病ならもう少し用心深いのではと思うが、攻撃される危険のある場所にわざわざ大事なものを持って来て、案の定奪われるのは普通一般の知能を備えた人間とは思われない。こういう度を越して愚かな人間は共感どころか憐憫の対象にもならないのであって、こんな奴の人生は初めから終わっているから今さら何しても仕方ないだろうという感覚が最後まで尾を引いた。これはもしかするとイジメを“する”側の立場に観客を置こうとする試みなのか。
また担任教員が優柔不断なのか大勢順応的なのかわからないが良心というものが見えない男で、そのため女子生徒の自己判断とされていたものも、実は担任教員が裏で圧力をかけたのではないかと疑われた。終わってみればそうでなかったことはわかるが、この男の人格自体を認めたくない心境になってしまってからではもう挽回できない。主人公(馬鹿)を含めて、過度の反感を持つことのない人物造形にしてもらいたかったものだと思う。
ちなみに主要人物以外では、小柄な女子生徒がどういう役回りなのかわからなかった。眼鏡っ子が差別されていたのも意味不明である。

ところで進学校という設定は何の役に立っていたのかわからない。もしかすると迫害側の女子生徒が妙な観念論を述べたり文語調の表現をしたりするところに生きていたのかも知れないが、自分としてはそういう小理屈のようなものは聞きたくない。この進学校という設定のため、それにふさわしくない様相を呈する登場人物や校内の状況がストーリーの都合で不自然に作られたものに見え、個人的にはこの映画への共感を一層妨げる結果になっていた。
ただ実は進学校というのは口先だけで、体面ばかり気にして内実が伴わない自称進学校だったのかとも思われる。そう考えれば、迫害側の女子生徒が本来自分のいるべき場所でないところに置かれていることで苛立ちを募らせ、それが馬鹿の虐待につながったとも取れるので、これは案外そういう理解でいいのかも知れない。
なお「独裁者」という言葉の最終的な意味付けはよかったと思われる(自分の理解が正しければ)。またヒロイン役の村上穂乃佳という人は、「人狼ゲーム クレイジーフォックス」(2015)で見たときは悪役風で好きになれなかったが、この映画では内向的な普通の少女役が好印象だった。
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