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タイトル名 |
バトル・ロワイアル |
レビュワー |
乱泥さん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2021-07-24 17:36:14 |
変更日時 |
2021-08-23 08:03:43 |
レビュー内容 |
公開当時、まさに15歳だった。当時もいろいろ思うことがあったが、20年も経った今だからこそ冷静なジャッジが可能な気がする。
そもそも2000年当時の私たちの間には、漠然とした無力感が漂っていた。バブルを逃げ切った大人たちの残飯処理をさせられているという自覚。なんとなく渦巻く「貧乏クジを引かされている感じ」「未来に希望を持てない感じ」……
そんな私たちが本能的に求めたのは、「クラスごと破滅するカタストロフィー」だった。「一握りの人間だけが幸せになれる可能性」よりも、「確実に全員が不幸になること」のほうが魅力的だったのだ。そういった世相を、深作監督は的確に見抜いた。だからこそ、この原作に興味を示したのだろう。
しかし監督は、リアルな若者像をそのまま写し取ることをしていない。登場する生徒はみんな鬱陶しいくらいに生き生きしていて、どこかアツい部分を持っている。みんな「生き残りたい」と願い、アホみたいにクサいセリフを吐いて、血まみれになって死んでいく。恋人との心中を選ぶ者もいるが、それだって「どう死ぬか」を積極的に選択するエネルギッシュな行為だ。あくまでも深作節。そこが、この作品の魅力になっていると思う。
それはラスト近く、担任キタノの〈楽しかったろう、好きなやつと2人で生き残って〉という皮肉なセリフに凝縮されている気がする。「お前らダルそうなふりしてても、本当は生き残りたいんだろう?」という、老監督からの若い観客へのメッセージだ。少なくともこれは、近年の若手監督が乱発するデスゲーム映画からは得られない何かだと思う。
それでもこの映画が「見せかけだけ」と言われてしまう最大の弱点は、「BR法」そのものの意味不明さだろう。これは、原作小説の設定(太平洋戦争で勝利してバリバリの軍国主義が続いているパラレルワールドの日本)をカットしたためなのだが、それならば、きちんと説得力のある設定を練ってほしかった。シーンと完全にマッチした天野正道のサントラも素晴らしいだけに、この一点がどうしても気になってしまう。 |
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