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タイトル名 |
ヒトラー 最期の12日間 |
レビュワー |
風小僧さん |
点数 |
5点 |
投稿日時 |
2016-09-04 14:58:38 |
変更日時 |
2016-09-04 19:41:53 |
レビュー内容 |
臨場感たっぷりで、TVドキュメンタリーの上質な再現ドラマという感じ。 ヒトラーの人間性描写は結構だが、古今東西、多くの犯罪者や独裁者が親族・知人など一定の人々に好人物であることはよくある話。その点は想定内で、新味はない。 現代におけるタテ社会の、服務規律とともに悲哀を痛感する内容でもあるが、良くも悪くも上司の指示に従うのが宮仕えの辛いところ。それゆえ上層部の責任は大きい。 本作で不自然な点は“人間ヒトラー”をこまごま描きながら、最後の“死”を明確に描かなかったこと。頭を撃ち抜かれる兵士、SSによる市民銃殺、さらに病院での拳銃自殺など、冷徹に幾多の死を描写しているが、ヒトラー夫妻やゲッベルス夫妻の“人間としての死”に関してはなぜか直接表現していない。「史実に基づいて正確を期すため曖昧にした」という変なロジックを感じる。これではまるで「晒し者になるのはいやだ。遺体を焼却しろ」と命じたヒトラーの意を酌んだかのようだ。“劇映画”ならば一瞬のワンカットなりフラッシュバックを挿入してもいいだろう。決して露悪趣味で述べるのではない。 ナチズム賛美の映画でないことは重々承知しているからこそ、「優しい・家族思いの彼ら」から「彼らの死」に至る演出の、調和がとれていないことを指摘しておきたい。 |
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