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眼には眼を - 飛鳥さんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 眼には眼を
レビュワー 飛鳥さん
点数 8点
投稿日時 2014-11-01 21:50:52
変更日時 2018-03-24 10:44:41
レビュー内容
復讐劇の異色作。得体の知れない緊張感で最後まで釘付けにされる。
言葉の通じない中東の村での孤立感と焦燥感。ボルタクの思惑をはかりきれないので不気味さが募っていく。ストレートに憤怒をぶつけるのではなく、時折見せる親切な言動に、妻を失った恨みの深さを覗かせる。道連れ覚悟の激しい憎悪が、簡単には殺さない凄みを感じさせる。自爆覚悟の執念深さで狙われたら、もうどうすることもできない。真綿で首を絞められるようにジワジワと迫ってくる恐怖。

猜疑心に苛まれ、生殺し状態の主人公に、いつしか感情移入していく。岩と砂ばかりの山の中で、喉の渇きと足の疲労がビンビン伝わってくる。いっそのこと殺してくれと懇願するほどの苦しみ。
希望を与えては絶望させる究極の復讐。絶望を見事に描き出すラストの俯瞰が圧巻。
あの山を越えれば町が見える――最後の気力を振り絞って希望にすがりつきながら、絶望のどん底に叩き込まれて行き倒れ、ハゲタカの餌食になっていく姿がはっきりと見えるようだ。

医師が最初に男の妻を診ていてやればと悔やまれるが、それも結果論で、勤務外にどんな患者でも対応するとなると医師の負担が大きすぎる。
ボルタクの方も、逆恨みではあるけれど、恨みをぶつけたくなる気持ちはわかる。でも、共倒れになったら、残される幼い娘はどうなるか考えられなかったのか。憎悪は人を狂わせる。

自爆覚悟で捨て身になった人間に狙われたら逃れようがないんだなという怖さ。
死んだ妻の美しい妹の態度の変化がとてもリアルだった。
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