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タイトル名 |
くちびるに歌を |
レビュワー |
すかあふえいすさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2016-12-15 04:22:36 |
変更日時 |
2016-12-15 04:22:36 |
レビュー内容 |
川を流れる一隻の船、何かを告げる汽笛の音、デッキの上の椅子から起き上がる女性。
電話で談笑し、扉を開け自転車で坂を下っていく疾走とモノローグ、自転車に乗る少女の髪を靡かせるように吹き付ける風、青空に拡がる雲、鮮やかな夕陽と日差しの美しさ。
学校で捧げる祈り、教会のような空間で見つけ出会う女性たち。
和気あいあいで歌う合掌部は少女たちの聖域、向けられる視線を軽蔑し、男を嫌悪する“理由”、遠くから見守る視線、ボロ車でも運転し続ける意地っ張り。 逆に男たちは風でめくり上げるスカートを抑える女子たちを下から見上げ、秘密を共有することで友情を結ぶ。
そんな異性たちが共に制服から体操服に着替え走り、歌い合い無くなっていく男女の垣根・心の壁。
ネットに流れる過去、兄の送り迎え、ピアノを弾けなくなった理由、声の主が不意に現れる戸惑い。 あれだけ憎んでいた存在が縁側でスイカを食べ、過去の思い出を語り頭を撫でるなら…そんな優しさに弱く、甘えたかった。今度こそ…。 裏切られ、涙を流したくてもそれを笑顔で偽り、代わりにホースの水をぶちまける。
手紙に溢れる想い、考え、夢。
自分のため、誰かに勇気をあげるため、電話の向こうで戦っている人のために歌い、振り返り、歌うことを繰り返す。 悩み、不安になり、泣いている人に笑顔になって欲しいから弾いて、弾いて、弾いて。例え届けたい人に届かなかったとしても、何処かで聞いてくれている人のために。
行ってしまう前に、命をかけて戦っている人のためにありったけの想いを歌と共に伝えたい…良い映画だ。 |
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