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タイトル名 |
オリエント急行殺人事件(1974) |
レビュワー |
53羽の孔雀さん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2024-08-24 22:12:59 |
変更日時 |
2024-08-24 22:12:59 |
レビュー内容 |
※原作ネタバレあり、2017年版のネタバレあり注意
原作既読。2017年版視聴後。
2017年版と比較すると、こちらの方が原作に忠実であり、原作を映像化した作品として、純粋に面白いと感じる。 冒頭のデブナムと大佐の会話をポアロが偶然聞いた場所とか、伯爵夫人に「H」について尋ねる場面は客室の中とか、本当に細かいところは原作と異なるが、これは映画の尺の都合でそうした、という理由で十分納得でき、重要な点について重要な改変は行われていないため、問題ないと感じる。 大筋、重要点、及び大部分の細部において原作どおりなこちらの作品の方が原作を読んだ者としては好感が持てる。
第一の推理(外部犯説)と第二の推理(全員が犯人説)についてどちらを採るかについては、原作では列車の重役と医師の2人の判断に任せられる。 ポアロは警察でもなければ検事でもないため、真実を探求したにすぎず、自らその後どうすべきかの結論を下すことはせず、2人に任せる。 この点、2017年版ではポアロ自身が「第一の推理を採る」的なことを言ってしまっているのはマイナス点。 一方で本作では原作にほぼ近いが、私個人としては、それまで合理的かつ理性的で、躍起になって乗客犯人説を推していた医師が、事情を知って最後に「まあ私の検死結果もたまには間違えることもあるかもね」的なことを言って第一の推理を採る、という最後の描写が非常に好みであるため、その描写が無かった点だけはちょっとだけ残念。
「実際に殺人が犯されており、犯人も特定できてはいるが、その犯人が裁かれない」という見え方もする、というのは事実であるが、原作者アガサ・クリスティーはコナン・ドイルのホームズシリーズが大好きだったらしく、ホームズ作品でもそのような結論で幕を閉じるエピソードが少なからずあるため、本作もそういうところが取り入れられているのかな、と思ったり。
また、本エピソードは実際に起こった事件を元にしているらしく、現実世界では誰の目から見ても残酷で犯人を許せない事件という世間的感情になっている中、事件に関係する12人が陪審員12人に成り代わり裁きを下す、というifの世界を描いた物語である、という点も、(これは個人の好みになるであろうが)私にとっては好みである、と感じられる作品である。 |
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