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タイトル名 |
この世界の片隅に(2016) |
レビュワー |
プランクトンさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2016-12-05 15:42:34 |
変更日時 |
2017-03-13 17:53:33 |
レビュー内容 |
なんだか不思議な作品でした。
「わー! おもしろかった!」という感じではなく,「ああ,いい映画だったなあ」と思いました。 戦争も,日常の中にとけ込んでいて,特別なものが突然襲ってきたわけではない……という感じでした。(その描き方がまた恐ろしくもありましたが)
勝ち気な自分としては,おっとりしたすずさんよりも,徑子さんの方が親近感を覚えましたが,2人ともそれぞれに凸凹しながら一生懸命生きてるんだろうなと思えて,よかったです。
敗戦で終わるのではなく,歩き出すところで終わるので,観終わった後も明るくなれました。 いつか,すずさんが左手で絵を描き出すといいなあ。
以下は,自分語り含みます。 私も絵を描くことがとても好きですが,右手を失って,そこで絶望し,悲嘆にくれるだけの主人公には,「私なら左手で描くなあ」と冷めた気持ちで思ってしまいます。ただ,すずさんの場合は,本人を取り巻く状況的に,まだ左手で描き始める時期ではなかったのかなとは思いました。 ただ,この解釈を他の人に言ったら,「すずにとって絵を描くことはとても大切なことで,それを失われた悲劇性を描いているのに,お前は何もわかっていない」と強烈に説教をされてしまって,大変辟易しました(その人はとくに絵を描くことが好きでも嫌いでもない)。 絵描きにもいろいろいるとは思いますが,幼い頃から絵を描くことを大切なたのしみにしていた人だからこそ,「左手で描く」ということも,とても自然ではないかと,私には思えます。むしろ,そこで絵をやめてしまったり,右手を失ったこと,代わりに左手で描くことを,わかりやすい「悲劇」と捉えてしまう方が,幼い頃から丁寧に描いた「すず」という人物像が,揺らいでしまうと思えてなりません。この物語に描かれていない未来はわかりませんが,そこだけがモヤモヤとしてはいます。 |
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