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タイトル名 |
フランケンシュタイン(1931) |
レビュワー |
アラジン2014さん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2025-04-15 16:29:09 |
変更日時 |
2025-04-23 18:24:41 |
レビュー内容 |
「ミツバチのささやき」と併せて再鑑賞しました。やはり本作には普遍的なテーマがあり、これは90年経った現代でも揺るいでいません。怪物を生み出すまでの流れも素晴らしいですが、やはり怪物が世に出てしまってからのほうがメインです。そういった意味ではやはり続編である「フランケンシュタインの花嫁」とセットで、初めてこの物語は完結します。 じっくり落ち着いて鑑賞してみるとフランケンシュタイン博士(コリン・クライヴ)の薄っぺらさが際立っています。「alive! alive! alive!」と無邪気にはしゃぐ博士が、怪物を生み出した途端に急に怖くなったのか弱気になって彼女の元でメソメソ。これでは生み出されてしまった怪物のほうはたまったものではありません。。対する怪物(ボリス・カーロフ)のほうは、外見から心の動きまでパーフェクトな完成度です。意図せず生み出されてしまった怪物の内面の怒りと悲しみがとてもよく表現されていますし、この怪物の佇まいを見ているだけで彼の哀愁がにじみ出ています。
キリスト圏以外の人にはいまいちピンとこない部分もありますが、それでもやはり人をつなぎ合わせて電気をスターターとして始動させる、一連の様は心底恐ろしいです。2025年に見ても凄まじい狂気を感じますが、ただ、前述の通りフランケンシュタイン博士があまりにも薄っぺらく、怪物に息を吹き込んだ途端に物語がトーンダウンしてしまうのは少々勿体ないと感じてしまいました。後半のペーシングシーンはやはり水辺で少女マリアと戯れるシーンでしょう。映画史屈指の名シーンというだけでなく、とても奥深さもあるシーンです。力加減が判らず間違って少女を放り投げてしまった怪物があたふたするシーンまできちんと描かれていて、やはりこのシーンは相当深い心の動きまで正しく表現されている素晴らしいシーンだと再確認しました。
その後は畳みかけるように物語が動き出します。「志村うしろ―!」の花嫁コントを経て、昔のアメリカ特有の過剰な集団心理で怪物狩りが過激になっていくシーンは別の意味で怖いです。ラスト、業火の中で怪物があたふたするシーンはかなり泣けるシーンの一つです。やはりこのシーンを見てしまうと怪物に感情移入してしまうと思います。ここは本当に悲しい。本作は名作小説としてもあまりにも有名ですが、他のウェルズやヴェルヌなどの古典よりもかなり上手く映画化できていると思います。本当に素晴らしい! |
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