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たそがれ清兵衛 - アラジン2014さんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 たそがれ清兵衛
レビュワー アラジン2014さん
点数 10点
投稿日時 2014-04-30 17:23:15
変更日時 2024-11-10 15:41:11
レビュー内容
テレビ初放送時、何気なく見て翌日ディスクを買いに走った映画です。ディスクを入手して何度も何度も見返すと更に奥深い作品でした。清兵衛(真田広之)と朋江(宮沢りえ)の演技が素晴らしいのは言うに及ばず、もちろん中田豊太郎(大杉漣)、余吾善右衛門(田中泯)らも非常に奥深い演技を見せてくれます。また脇を固める幼い娘たちや小林稔侍、丹波哲郎、中村梅雀(「余吾を討ち取れ」と命令する人)らもイチイチ的確な配役で本当に恐れ入ります。

原作本と異なるという意見も見られますが、原作の美味しい部分を上手く取り込んであり、原作の雰囲気を損なわない程度に盛りだくさんに仕上げてあると思います。斬り合い、貧乏、子育て、恋心、仕事、上司など、色んな要素を上手く盛り付けつつもスッキリとまとまっていて、刀で斬り合う激動の時代の中で清兵衛と朋江の淡い恋心がとてもピュアに表現されています。泣けるよあんたら・・。
また、エピローグが蛇足だとおっしゃる方もいますが、私はあの音楽とナレーションがあって初めて彼(清兵衛)と家族の心情が観客にストレートに伝わると感じます。父は無駄死にしたけど間違いなく幸せであったと以登の口から発信することが重要で、特典(NHK特番)でも監督がおっしゃるように、戊辰戦争で結果的に賊軍扱いとなった顛末も含め「清兵衛の人生」がいかに不遇であったか、本来であれば坂本龍馬の思想のほうが清兵衛の性格的には合っていたと思いますがそれを主張することができない人生、しかしそれでもなお本人は幸せであったという考え方をエピローグできちんと語り切りますので、やはり非常に重要なパートだったと思います。(藤沢周平らしさは薄れてしまいましたが)

刀での斬り合いという意味での完成度も高く、今まで時代劇や戦国ドラマを見ても刃物で斬り合いをしているという事実にピンと来なかったものですが、この映画を見て初めて「斬り合う恐怖」を実感しました。自分があの時代に生きていたら誰に罵られようが絶対に百姓か商人がイイ。武士の人生は地獄だろうなと改めて恐怖を感じました。時代物(邦画)としては異例の完成度で、間違いなく世界に通用するレベルの映画に仕上がっています。「あんた表面的にしか判ってないなあ」と言われるかもしれませんが、たった150年ほど前の古き良き日本人の振る舞いが感じられただけでも本当に素晴らしい作品でした。

PS. DVDから買い直したブルーレイの画質が悪すぎるのには違う意味で泣けますた。(かなり悪いものの、DVDと比較すると明らかにBDのほうが綺麗なのが余計に泣けます、頼むよ松竹さん)
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