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タイトル名 |
切腹 |
レビュワー |
Cinecdockeさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2018-07-24 21:06:09 |
変更日時 |
2018-07-24 21:12:54 |
レビュー内容 |
不気味で緊迫感のある白黒映像と音楽に引き込まれ、全編にわたり武士たちの冷徹な眼差しが死線と向き合わせる。金をせびりにきた老いた浪人が切腹されることになり、そこから二転三転して、社会派ドラマにもギリシャ悲劇にも通じる普遍性のあるストーリーが展開される様は見事。貧困で飢えと病に苦しみ死んでいった娘とプライドを捨てた挙句武光で切腹された婿のために、武士道の虚飾を引き剥がす復讐劇に強烈なカタルシスを感じた。誇りある武士道なんて所詮嘘っぱちと言わんばかりに、あまりに残酷で壮絶で、そこまでしても変えられない無常感が最後まで貫く。何もかもぶち壊した果てに、何事もなく取り繕うだけで終わる理不尽さ。空洞になった社会における人情と倫理を問いかける重厚なまでの後味の悪さが残る。痛切な傑作。 |
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