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ベン・ハー(1925) - せんべいさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 ベン・ハー(1925)
レビュワー せんべいさん
点数 10点
投稿日時 2015-02-21 16:23:27
変更日時 2015-02-21 16:26:58
レビュー内容
この作品は、以前にビデオで見ました。スペクタクルシーンだけをあげれば、他のレビュアーさん達のおっしゃる通り、1959年版をはるかにしのいでいると思います。戦車競走シーンは言うに及ばず、海戦シーンにしても、1959年版では、一部、ミニチュアを使っていたのに対し、全て実物大を使っていました。また、磔にされるイエス・キリストを大群衆で救おうとするシーンも1959年版には無い大がかりな場面だと思います。
 しかし、以下の二つのことで、引っかかったことがあります。
 一つ目は、ドラマ性、特にベン・ハーとメッサラの関係についてです。1959年版では、冒頭の再会シーンで、二人が子供の頃、どれほど熱い友情で結ばれていたのかが表現されています。しかしこの1925年版では、ベン・ハーが最初に声をかけたとき、メッサラは迷惑そうな表情を浮かべます。あくまで「昔の知り合い」という程度です。戦車競走で敗れた後も「財産を没収された」と字幕で説明が出るに留まっていました。自分にとって、1959年版は二人の関係が核になっていたと思っていただけに違和感を覚えました。
 二つ目は、宗教色についてです。このことによって、ただでさえ1959年版がレビュアーさんたちの間で意見が分かれているのに、この1925年版はより一層、強いと感じました。サイレント映画だから仕方がないのかもしれませんが、聖書からのエピソードを再現した場面では、どの箇所からの映像化なのか、本のページのような体裁でタイトルが出てきます。これでは一層、見た人の間で意見が分かれるように思いました。
 おそらく、1959年版を製作するにあたり、ウィリアム・ワイラー監督をはじめとする当時のスタッフの皆さんは「1925年版はドラマ性が弱かったので力を入れよう/宗教色が強い場面は控えめにしよう」というように考えながら脚色したのではないか…と私は推察しています。
 さて、採点ですが、上記の引っかかった面はあるとはいえ、映画の創生期にこれだけの大作を完成できたのは、まさに「奇跡」のように思えて仕方ありません。この作品があればこその1959年版だと思われます。1959年版と共に敬意を表して10点を献上します。
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