|
タイトル名 |
ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス |
レビュワー |
simさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2022-05-27 16:05:29 |
変更日時 |
2022-05-27 16:05:29 |
レビュー内容 |
あの、マーベル系ではレアものの「シュマ=ゴラス」が出るってことで観てきました(そこかよ)(カプコンの格ゲーでしか観測したことがなかった)。シュマ=ゴラスがドクター・ストレンジの敵役の一体とは知らなかったですが、序盤のアクションでグリグリ動きまわってなかなか楽しく観られました。作品全体がとにかく「魔法」で何でもかんでも捻じ曲げてグリグリ動かせるアトラクション的作品なので、なぜかホラー表現も多数あり、面白かったです。
あと、前提条件としてあれこれ見てないと難しい、という件については、いちおう「マルチバース」の設定を生かして、マルチバース表現では、回想シーンが「たまたま紛れ込んでしまった時系列の違った平行世界になるんだ!」というのが演出として面白く、うまく各キャラクターの背景説明として機能しており、またそれぞれの動機付けもごく単純化されてたので、本作だけを観る上では問題なくそれなりに感情移入しつつ観られました。
ただ、ドクター・ストレンジって、そもそも都合のいい強力な呪物さえ手に入れればなんでも魔法で可能になってしまうキャラクターである上に、「マルチバース」設定で時系列や空間を好き勝手超越できるし、平行世界の自分を使って足りない細かい部分まで補えてしまうので、物語的カタルシスが得にくいというか、障害が障害として機能しなくなってしまってて、何か難しいことがあってもなんで難しいのか視聴者にはよくわからなくて、登場人物がなんか苦しそうな表情をしてるから大変なのかなあと思うしかなく、そこが苦しい所でしたかね。その辺は、比較的共感しやすいわかりやすいオチにすることでごまかしてるみたいな。 特に、メインの話のオチは、昔ながらの王道的なオチで私は好きな展開だったんですけど(私がパッと思ったのは「オペラ座の怪人」で「愛」の設定が変わっただけかなあという)、ただ、このオチって、マルチ・バース的世界観を最初に提示してきたのは「スパイダー・バース」と思うんですが、あれって「平行世界を自由自在に行き来できることでほとんど何でもありになっちゃうけど、それでもどうしても変えられない運命がある。運命は変えられないが、平行世界の自分同士共感して慰め合うことは可能」という結論がスパイダーマンのヒーロー性の根拠になって説得力が出てたと思うのですが、本作のオチは、その前作の前提をすべてちゃぶ台返ししちゃうオチになってるので、
おいおい
と思ってしまった感じでしょうか。良い話だと思うけど、前提条件変えちゃったら、もう全然別世界の話になっちゃうじゃんみたいな、前に苦労してたのは何だったのかみたいな。スターウォーズで言うとエピソード8の衝撃みたいなそんな感じでしょうか(私はSW-EP8好きですけど)。
というわけで、映像表現として非常に面白くそれなりにいい話で楽しく観られましたが、もうこのマルチバース設定は何でもありになりすぎてカタルシスは得難いなあ、と思ってしまった作品でありました。
そんなところです。 |
|
sim さんの 最近のクチコミ・感想
ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスのレビュー一覧を見る
|