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タイトル名 |
きみの色 |
レビュワー |
simさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2024-09-05 11:07:34 |
変更日時 |
2024-09-05 12:28:58 |
レビュー内容 |
ネットでIMAX視聴が良いよ? という情報があったのでIMAX視聴しました。 映画の宣伝は劇場でよくされてて青春音楽もので良さげな雰囲気で観たいと思ってました。
端的な感想としてはとても良かったです。
青春ものとして私的に欲しいものはみんな詰まってた感じ。 あと事前情報として全く知らなかったですがテルミンが最高でした。
音楽で色が見えるというと「共感覚」というものが有名で音から色を想起するのかと思っていたら、人の印象が色に集約して感じ取れるみたいな話でちょっと違ってました。主人公から見て"きみ"は青に見えて、"ルイ"は緑に見える……というのは、あとあと振り返ると色の感覚が戦隊シリーズものの感覚かなあとか思った(笑)。
人と人の交流とか、音楽ものなので相手が作ってきた曲に自分の楽器で合わせてみる音楽的交流を、色と色が交錯し合う(混じり合うのではない)みたいな描き方をするのは、実にサイエンスSARUっぽい言葉を介さない映像による表現でアニメとして非常に良かったと思います。
と、同時に「音楽もの」なので言葉を介さない音による交流は「音」で勝負して描くべきではないかというジレンマもあって、好みの問題ですが、本作は映像寄りにしたのかなあと思いました。
あと音楽的リアルみたいなのは、主人公は元バレエをやってたのでその流れでピアノのレッスンも受けていた(しかしいまはやってない)というのは非常に良くある状況なので、ありかなあと思い、ライブでも1本指で済むごく簡単な演奏しかしてないのでまあ納得。ギターの彼女は、出てくる場面出てくる場面ひたすらギター練習してるし高頻度で集まって練習してた描写もあるのであれくらい弾けてもありえるかなあと思い(歌はそこまで技巧を使っておらず)、テルミンの彼は、テルミンなんてマイナーな楽器をわざわざ取り寄せてまでやろうっていう人間が気合が入ってないことなどありえないだろう、テルミンて最近は雑誌の付録で販売入手できるようにもなってるしテルミンが今風でなく古式ゆかしい伝統的な形状の本格的テルミンになってるのはまあ医者の家で金持ちなのだろう、で納得、……というわけでライブの演奏があまりに素晴らしいんですけど、彼らは本当にがんばってたので、これくらい弾けるのもアリだよな、と思いました。
最近の音楽を主題にした作品ではほぼなくなったと思うんですけど、ろくに練習もしてないのにライブシーンだけ演奏がすごい(作品の都合とは言え)とかあると、ちょっといかがなものかと思ってしまうので、本作ではそんなことはなくて良かったかなあと。
私は知らなかったのですが監督が「けいおん!」の監督さんだそうで、そういえば曲の感じが「けいおん!」ぽいなあとは思いました。
あと、映像作品って、どんなに身につまされる身近な表現をされても、あくまでスクリーンとかディスプレイの向こう側の話で現実の我々を侵食しては来ない印象がありますが、音楽とかSEって劇場で聞いてるリアルな我々の世界に入り込んできて、例えば本作が金曜ロードショー上映されると、あの美麗なテルミンの演奏が全国的お茶の間に入り込んでくるわけですよー! というのがあり、あれがメタクソかっちょ良くて素晴らしかったので、実にありがとうございますという感じでした。元々好きでしたが、テルミン良いよ、テルミン。
ストーリーとかキャラクターについては、華々しいわかりやすいドラマがあるわけではないのですが、それぞれがちょっとした鬱屈を抱えていて、明確に解決するとは限らないんだけど音楽の交流(色の交流)でそれが表現され受け止められることでちょっとだけ救われたりし、主人公たちにとって「いま自分たちに取ってやるべきこと、やりたいこと」が世間の枠組みとズレてて、まったく悪意ではないんだけど、切実にそうしなければならないからやると社会的に悪いことをしたことになってしまって、だけど、その青春期にはそういうことってあるよねえと受け止めてくれる世界のとても優しい描き方が観てて気持ち良かったです。
そんなところです。
あと、テルミンが最高にカッチョ良かったです(3回目)。 |
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