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タイトル名 |
名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN |
レビュワー |
漣大五郎さん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2025-03-08 16:53:07 |
変更日時 |
2025-03-08 16:53:07 |
レビュー内容 |
これは伝記ではない。ティモシー・シャラメの音楽映画だ。荒っぽく言えば、描いているのがボブ・ディランでなくても構わない。ディランのことを知りたければ本を読めばいい。曲を聞きたければCDを買えばいい。これはシャラメがギターを弾き、歌い、ブルースハープを吹き、曲を書き、人を愛し、人に怒る映画だ。
シャラメは、スクリーンの中央にいる時はもちろん、はしっこでも、あるいは映っていない時でも、物語のすべてを支配していた。申し訳ないが、ほかの登場人物はシャラメを引き立てるためだけに存在する。彼らの彼を見る眼。男の、女の、子どもや観衆の瞳や視線が、シャラメの魅力をさらに輝かせている。 好演の二人、恋人役エル・ファニングが誇らしげに、あるいは悲しみいっぱいに舞台を見る表情も、ウディ・ガスリーのスクート・マクネイリーが思いを託すようにを見つめる姿も、シャラメの才能を我々に伝えるために使われている。
当然ながらボブ・ディランの偉大な楽曲がなければ、そもそもこの映画は存在しえない。シャラメの演奏もすべてのエピソードも、その上に成り立っている。それでもこの2時間余の時間の中で、シャラメはディランを超えている。
ラストのフェスのシーンで、IMAXの力を初めて存分に知った気がする。 長尾謙杜が吉田拓郎を演じる日は来るのだろうか。 ディラン大好きな方々、怒らないでください。 |
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