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タイトル名 |
スティング |
レビュワー |
戸沢一平さん |
点数 |
10点 |
投稿日時 |
2023-12-02 21:39:02 |
変更日時 |
2023-12-03 19:16:49 |
レビュー内容 |
この作品の面白さは、非情な大物ギャングの悪役ロネガンを、仲間の仇を討つため立ち上がった詐欺師達が一致団結して騙すことと、それを固唾を呑んで見る観客をも騙してしまうことの両方を見事にやる、という点に尽きる。そのための巧みな仕掛けが随所に張り巡らされ、ロネガンも我々もこの罠にはまります。嫌味のない心地よい騙され方です。それだけに演出が見事ですね。列車でのポーカーのシーンや、謎めいた大物殺し屋のエピソード。あるいは、フッカーが上手く行きかけた頃に、絶妙なタイミングで邪魔に入るスナイダー刑事など。巧妙に計算された騙しのテクニックといった描き方。この作品の世界に一気に引きずり込まれてしまいます。細かい描写も秀悦で、例えば、フッカーが仲間を心配して電話するシーンで、電話しているおばさんを無理やり追い出して電話するが、終わって走り去るフッカーにおばさんが「金を返せ」と絡む。フッカーが人恋しさでロレッタを訪ねる時にお向かいさんのお婆さんが顔を出すシーン。大物詐欺師ゴンドーフがベッドと壁の隙間に酔い潰れて寝転がっている、期待を裏切る意外な登場シーン。詐欺師達が血を流すことなく騙すことだけで物語を完結させる(若干例外もあるが)、観る者を裏切らない小気味良さ。映画の魅力満載の作品です。 |
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