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タイトル名 |
クレイマー、クレイマー |
レビュワー |
K&Kさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2024-03-11 16:59:17 |
変更日時 |
2024-03-11 17:02:59 |
レビュー内容 |
“Kramer vs. Kramer”『原告クレイマー氏と被告クレイマー氏の裁判』。むかーし観た時は、夫婦の離婚ばかりに目が行っていたけど、その根底に女性の社会進出があったのね。夫サイドで話が進むから、いきなり離婚を切り出されたテッドが、今までやったことのなかったフレンチトースト作るのに悪戦苦闘する様子が、なんともコミカルに観えたっけ。自宅に連れ込んだ会社の同僚が素っ裸でビリーに挨拶するとこなんて、笑えるような、困ってしまうような…軽快なテーマソングも相まって、重いテーマだけどスルスル観られます。 今風に言うと、仕事と育児の両立がどれだけ大変かをシュミレートして観せる映画なんだけど、当時は“女の仕事(家事)を男がするのがどれだけ大変か”に重きを置いているように思えます。『女性が社会進出するっていうことは、男性が女性の仕事をすることですよ。』と。新規事業を任されるくらい、会社に期待されていたテッドが、育児が原因で結果を出せず、あっさりクビになるところも怖い。
映画を見る限り、ジョアンナが耐えられなかった部分、夫婦生活におけるテッドの落ち度が描かれません。突然、ビリーを置き去りに出ていって、ずっと音沙汰もなかったのに、今度は一方的にビリーの親権を取り戻そうと裁判を起こす。何とも身勝手に観えますが、テッド視点だからというのと、これほどの行動を起こさないと、女性からの離婚は難しい時代だったのかもしれません。 別居から離婚中の1年半ほどの間に、ジョアンナがどういう生活をしているかの描写はありませんが、彼氏が出来て、かなりの高収入で働いています。裁判の結果も『そうなるよな…』って思えます。 最後のフレンチトーストの手際の良さが印象的でした。私は本作を30年くらい前に観てたんですが、結末を思い違いしていました。判決通りジョアンナがビリーを引き取ったものとばかり… なので今回、ビリーの気持ちも理解できて『母親を失って、今度は父親と家を失うのか』と可哀想に思っていたところ、ジョアンナの選択。勝負に勝って試合に負ける。結末こうなってたんだと納得すると共に、自分の記憶のあやふやさに苦笑い。
この映画の主題は、離婚のゴタゴタより、当時の女性の社会進出が進んだ結果のシミュレートを、女性に観せるのが目的の映画なんじゃないか?と思いました。男の方が出て行き、残された女が子供を抱えて苦労する話は、いつの時代もあったと思います。今回は逆で、女が出て行きます。 結果的にジョアンナ・クレイマーは、自由を手にする代わり、クレイマー姓で積み重ねた数年間の全てを失います。突然育児を押し付けられたテッドは、最初は悪戦苦闘するものの、最後は手際よくフレンチトーストを焼きます。つまり『大変だけど男にも育児は出来るんだよ』と。乱暴な言い方をすると『離婚したら女は全部を失うよ?それでも良いの?』と。当時のフェミニストは、この映画をどう観たんでしょうか? |
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