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タイトル名 |
シェーン |
レビュワー |
枕流さん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2011-11-15 23:42:08 |
変更日時 |
2011-11-15 23:43:23 |
レビュー内容 |
リバイバルで久しぶりに鑑賞。子供の頃にはよく分からなかったシェーンの魅力を堪能できた。この映画は、ただの撃ち合いでもつ西部劇のレベルを軽々と超えている。 まず、僕が子供の頃抱いた印象と違ったのは、シェーンは決してかっこいいばかりじゃないということだ。そもそもなぜ彼がここに流れ着いたか分かったものじゃない。その理由は決して褒められたものではなかったのだろう。彼の拳銃の腕も、彼がどちらかというと暴力的な生活を送ってきたことを明確に示している。ジョーの家に来てからは、「暴力も使いようだ」と殊勝なことを言うが、今まで彼がどのようにそれを使ってきたかを考えれば、内心忸怩たるものがあったのではないか。彼は、おそらく何かのきっかけで改心した悪党に過ぎないのである。 そして、彼と中年を迎えようとしているマリアンの気持ちの交錯も美しいだけじゃない。それはマリアンにおいては、ど田舎に閉じ込められた人妻の単にありふれた貞淑のよろめきであり、シェーンにとっても自慢できるアヴァンチュールでもなんでもない。厳しいことを言えば、盛りを過ぎた彼らの交情は、世間から見ればみっともない部類にすら区分できる。 そして、僕がこの映画を優れていると思うのは、まさにこういうしょうもない男と女の話がものの見事に傑作に仕立て上げられているからである。昼ドラにでも出てきそうなストーリーを、役者陣の丁寧な演技と余情漂う慎み深いシーンの積み重ねでとても上手に一つの美談に変えてしまった監督の手腕は恐ろしいほどだ。子役の活用方法も独創的だ。子役を中心に据えて、ストレートに涙を取りに来る映画が多い中で、この作品は子役を脇役として効果的に使っている。シェーンとマリアンとジョーの三者を料理の原材料とすれば、ジョーイはそれを調理する火に当たる。ジョーイの存在が、彼らの気持ちの触れ合いやすれ違いを分かりやすく炙り出しているのだ。 終盤は名シーンの嵐で、ウィルソンやライカー兄弟との撃ち合いのシーンはもちろん素晴らしいが、その前段のシェーンとジョーの殴り合いでシェーンが最後に拳銃の台尻でジョーを殴り倒すシーンに感動した。スターレット一家に対するシェーンなりの仁義の切り方にただ涙するのみだった。そして、あまりにも有名なラストシーン。涙が止まらなかった。 |
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