Mikan thinks so…

 

カルメン(1948)(1948年【米】)

王族になった女優…といえば、モナコ大公妃のグレース・ケリーがあまりにも有名ですが、ハリウッド女優が王族に招かれた一番乗りはリタ・ヘイワースでした。1949年、インドのアリ・カーン王子と彼女自身3度目の結婚。その結婚自体は4年ともたなかったため、取り沙汰されることはあまりありません。

カーン王子と結婚する直前に作られた、彼女の映画が、この『カルメン』です。自身が興した会社で作り、本人も製作に携わっています。実はリタ・ヘイワースの本名は、マルガリータ・カルメン・キャンシノ。ミドルネームに“カルメン”の名が入るスペイン系の女性です。同じような名前が多い欧米人が名前に関してどれほどの思い入れがあるかはわかりませんが、“カルメン”には何か惹きつけられるものがあったのかもしれません。

映画の中でのタロット占いで、占い師のばあさんが彼女に「ひとつの愛に包まれる」と告げ、「そんなバカな」と彼女が言い放つシーンがあるのですが、この映画で「ひとつの愛」があったのかは、かなり謎。途中でプロットが変わったのかと思ってしまいます。

彼女自身の語録に、
"Every man I have ever known has fallen in love with Gilda and awakened with me."
「男はみんな『ギルダ』に恋し、私に会って目が覚めてしまうの」(意訳)
"What surprises me in life are not the marriages that fail, but the marriages that succeed."
「私にとって結婚は失敗するのが前提。幸せな結婚ができるなんて驚きだわ」(意訳)
があります。また、
"I never really thought of myself as a sex goddess; I felt I was more a comedian who could dance"
「私は今、セックスシンボルとして見られていますが、本当はミュージカルのコメディエンヌ役がピッタリなんです」(意訳)
とも言っています。

そんな彼女が『カルメン』を自身で演出をしたのは、映画の興行を成功させなきゃと思ったからでしょうか? 『カルメン』でカスタネットを持って踊る彼女は生き生きとしていて、観ていて楽しい。
一方、グレン・フォードといる彼女は、あまりしっくりきていません。グレン・フォードのドン・ホセが、あまりにも辛気臭くて魅力が感じられなかったからかもしれませんが(汗)。

私的にこの映画、踊るリタ・ヘイワース以外はあまり観るべきところがなかったような…。結婚する前の映画にしては、ちょっと暗すぎやしませんか? 男を虜にして破滅させていく映画というのも微妙な感じ。

グレース・ケリーが結婚引退する前の映画『上流社会』が“True Love”に気づく映画だったのに対して、少し切ないような気がします。

評価:5点
鑑賞環境:DVD(字幕)
2007-08-29 20:57:20 |  | コメント(0) | トラックバック(0)