Mikan thinks so…

 

渚にて(1959年【米】)

アステアが出演していなければ、観るのがだいぶ遅れたであろう映画です。そういう意味で、アステア出演というのは、かなりズルイ!

最初に書いておきますが、ここのアステアは踊りません。『タワーリング・インフェルノ』ですら、ちょろっと踊っているのですが、まったく、ちらっとも踊らない徹底振りには逆にビックリです。

ここでのアステアは、第三次世界大戦後の核汚染されてしまった時代における科学者の役。数々のミュージカルで美女をとろけさせてきたアステアが、すでに昔、エヴァ・ガードナーに振られてしまった役になってしまっています。アステアは歌って踊らないとダメなのでしょうか。

<以下ネタバレあり>

甘い歌で美女をとろけさせる、そんな優雅な雰囲気はなく、影を持ったグレゴリー・ペック(グレゴリー・ペキ夫さん)と、ただただ実直な好青年トニパキが中心です。我々が核汚染されるまで、じわりじわりとどのように生きるか!という話なので、楽しくなりようはありませんが…、ちょっとこじつけじみたアステアのラストチャレンジ、その後のマス渓流釣りあたりは、少しだけ希望のようなものがみられます。

はじめのシーンでは、残っている石油をチビチビ使わなくてはいけないため、人の移動手段は基本的に自転車や馬車が多いのですが、最後にはアステアがフェラーリーのレーシングカーでレースをしちゃいます。核汚染がすぐ近くに迫ってきているので、逆に石油を倹約しなくてもいい!と開き直ったのでしょうか。そういえばお酒を消費しきれない!と、しつこく嘆く紳士諸氏も出てきていましたね。

準主役レベルはお気に入り指数が高いのですが、いかんせん主演のグレゴリー・ペキ夫さんとエヴァ・ガードナーが辛気臭い。なんでまたこの二人は、幸薄そうなナリをしているのでしょう。この二人が出てきただけで、ハッピーエンドはない!と断言されたようなもの。はじめに気づくべきでした…。

“メロドラマで反戦”メッセージは、やっぱり性に合いません。
評価:4点
鑑賞環境:DVD(字幕)
2007-08-24 10:58:46 |  | コメント(2) | トラックバック(0)
『渚にて』は異色の戦争映画だと思ってますし、なにぶんSF者ですから「許可」なんですが…一般の大作映画を期待していると外すでしょうねえ。
ちなみに原作では、謎の信号を送って来るのは日本から。

同じクレイマー監督では『おかしなおかしなおかしな世界』が大好きです。あと、未見ですけど『聖書への反逆』が凄いらしいので、いつか観てみたい…。
受信日時:2007-08-25 23:12:02( エスねこ さん) 
前知識、まったくなく観た(戦争ドラマであることすら知らなかった)ので、たぶん、肩透かしされちゃったんでしょうねぇ。

そうそう「おかしな~世界」面白かったです!クライマックスの消防車のところが最高!腹をかかえて笑えました。この間(1~2年くらい前かな?)「招かれざる客」を見たけれど、こういう問題提起が得意?な監督さんなんでしょうかね?「聖書への反逆」もじっくり観れそうですねぇ。
受信日時:2007-08-26 11:16:09( 元みかん さん)