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モンスター・ハウス(2006年【米】)『Mr.インクレディブル』の2年も後で、全編この画で進むのはきっついなあ…お金もかけてるし、頑張ってるのはわかるんだけどね。
友人のアニメーターが言ってるんだけど、画を中抜きせず、マジメにアニメートするだけじゃ面白いアニメにはできないんだそうだ。アニメーターが描いてて面白くない部分は、観客だって面白くない。そういう部分は思い切って画を抜く。そういう以心伝心みたいなモノが、海外に発注して仕上がって来る動画には欠けてるそうで。ちなみに高畑勲は若い頃、『やぶにらみの暴君』(『王と鳥』)でヒモを引く王様の画をストップウォッチで計測し、何度も模写したそうだ(ディズニーやフライシャーとは違って、グリモー作品は当時から動画の中抜きを使用していた…日本はグリモーを通してこの技を知ったと言えるエピソードでないかい)。 まあ、3Dだって似たようなもんだろう。本作は、ここまで手をかけた割には、というか手をかければかけるほど面白くない映像になってしまう。『Mr.インクレディブル』の場合はけっこう手抜きしている部分があって、その緩急がいいリズムになってるんだ。それがない。 展開的にも、スピルバーグ+ゼメキスのブランドから逸脱する部分は全くない。おそらくゼメキスがお蔵に寝かせてあった80〜90年代のシナリオをそのまんま使ってるんでしょうな。携帯電話も登場しなきゃパソコンも出て来ない世界。登場するゲームも古臭いし、素直に20年前の時代設定にしてラストで話を現代に飛ばす(当然、主人公たちは親と同じ世代になっている)という荒技を使ってもよかったんじゃないか…と、見ながらずっと考え続けていました。いや本当に、そうでもないと見れないよ、今の子供たち。 監督はギル・キーナンという無名の新人。IMDb には本作以外のデータが全くなかった(顔は無駄にイケメンのようだが)。 こんな画と顔ぶれで、天下のアカデミーにノミネートされちまうんだから腹がいてェよ。これがノミネートなら『こまねこ』なんかパルムドール取っちゃうよ! …と、盛大に毒を吐きましたが、バカ映画としてはそこそこ楽しめました。 ゴシック・ロマンスのお約束は一通り守り、古典的な幽霊屋敷モノとしてしっかり骨太く成立しているんだけど、屋敷そのものがモンスターというダイレクトさが本当、バカ! なんかすっごく豪快に頭悪い! しかもゲーム男スカルや子守のジーや警官たちや、登場するアメリカ田舎人たちのダメダメさ加減に(突き抜けてないけど)味がある。ゼメキスじゃ無理だが、ちょっと『サウスパーク』みたいな辛味を付けて進めれば面白くなったんじゃないかな、それなりに。 オイラが思うに、多分ゼメキスはこの企画を寝かせるべきじゃなかったんじゃないだろうか。90年代前半までに実写特撮のスタイルで映画化してれば、小粒ながら楽しめる佳品として記憶されてたんじゃないかと思うんだけどねえ。 この遅すぎた登場が、全然悔やまれる事もなく毒にも薬にもならないユルユルさ加減、ちょっと悲しいような、やっぱりどうでもいいような…。 ●追記: 純アニメじゃなくて、モーションキャプチャー作品だったのかこれ…どうりで動きがキモかったわけだ。 去年(つうかもう一昨年?)の本作がこのレベルで、いま(つうか去年?)公開の『ベオウルフ』がちゃんとしてるわきゃないな〜。不評の理由が見えるな〜。 2008-01-01 00:08:00 | | コメント(0) | トラックバック(0) |
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