SCAT/くちずさむねこ(2007)

 

スリーピー・ホロウ(1999年【米】)

DVD発売の頃、バートン大好きの友人に借りて観た。
なかなか巧みなミステリーながら、初見の感想は「あの風車小屋のアクションは何の意味があったんだ…」。今回観直して、単に33年版『フランケン・シュタイン』にオマージュを捧げたかっただけなのね、と脱力。そりゃ意味もねーわ。

バートン作品は、オイラにとっては好き/嫌いに二分される作品を撮る人で、本作だけ珍しく中間に位置しています。何がいいのか理解不能な『ナイトメア~』の美術コンセプトを引き継ぎながらも、大好きな『マーズ~』のヤンチャぶりを忘れず、そこはかとなく『猿の~』を思わせる筋肉質な展開。まあ『マーズ~』大コケ後に任された大作なんで、冒険せずに安全圏内で遊んでみました、って感じかな。
音楽が、このすぐ後の『猿の~』へつながる管弦楽法になっていて、興味深いです。意味を語らないメロディ、要所でのパーカッション多用(しすぎ)、そしてあまりテーマを発展させず(深入りせず?)に繰り返して行く事で生まれる、魔術的で伊福部昭みたいな力強い土俗性。
音楽が語ろうとする『スリーピー・ホロウ』(まあ真剣に聞いてないんでスペクタクルシーンに限りますが)は、『ゴジラ』『大魔神』を意識した怪獣モノです。今回の鑑賞はソレが即座にわかり、無駄にアタマを悩ませないで楽しめました。あの規模の村なら、首なし騎士ひとりでも十分ゴジラ級なんですよね。いきなり『フランケンシュタイン』ネタを持ち込む思考の流れもスムーズに受け入れられるかな。
点が低いのは…昨日の日記にも書いたけど、やっぱり脚本が目指してるものと違うと思うから。この脚本、確かにディズニー的だけど、凄く男臭くてカッコイイ話だと思うんですよ。それが多分、バートンの趣味じゃないんだろうな。オイラはやっぱり、監督=ロン・ハワード/主演=ブルース・ウィリスあたりでやった熱いバージョンも観てみたいっす。
ま、そういう想いで作られてるような気もするクリストフ・ガンズ監督『ジェヴォーダンの獣』があるからいいんですが。
評価:6点
鑑賞環境:DVD(吹替)
2008-02-20 00:26:00 | 実写作品 | コメント(0) | トラックバック(0)