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大日本人(2007年【日】)『日本以外全部沈没』以来、久々に沁み入るバカ映画に出会ったよ。
吉本興業はラウル・セルヴェのアニメを売り出すとか、妙にハイセンスな面を持っている。この作品はソッチ方向を狙って制作された素晴らしい作品。カンヌで酷評されたのが残念でならない…ってもおフランスの好きな系列の作品じゃないけどね。ベルリン映画祭に出品すべきだったと思うなあ。 割とちまちました妖怪伝説が多い日本も、飛鳥以前の被征服地の民話(風土記とか)では巨獣が多数出てくる。ダイダラボッチなんかが代表例だ。この系列の古代日本を長きに渡って受け継いできた…という架空伝統をデッチ上げたというのは高く評価できる。 そのフォーマットの上で乱舞する近代~現代日本の様々な側面、さらにそれをうっちゃって展開するアクションシーン。想像の5倍以上の懲り方。 当然ながら、末路は容易に予想できる。だからラストはこうあるべきなんだが、ちょっと赤裸々過ぎた。赤裸々に隠しすぎた。ある意味、突っ走り感が気持ちよかったけどな。 ロケーションは素晴らしく、監督が狙っているモノがビシッと伝わってきた。 他にも音響なんかが作品意図を伺わせる、ピントの決まったカッコヨサを感じさせる。 本来かけるべきパワーの3倍くらいの労力をかけて完成させた、その意気込みが素晴らしい。 TV観ないんで松本一志は全く知らないんだけど、1作目にして代表作となるものを仕上げた、その情熱を評価します。 ただ、10点で行こうか…と思ったが、『アウルクリーク』オチで1点減点としました。ヒーロー映画で、最後に全否定を入れちゃダメっしょ。前半で、対置されるべき何かが描かれているならいいんだけど…。 |
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