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死霊伝説 セーラムズ・ロット(TVM)(2004年【米】)何よりもまずコレ、ルトガー・ハウアーの使いどころを心得てるねえ!
ストライカー役のドナルド・サザーランドも、流石の怪演。 これでもし神父役にロバート・デュバルあたりを使っておけば…惜しい~。 まあ本作はリメイクってよりも、言ってみれば「『呪われた町』コンプリート版の総集編」といったところか。完璧なんだけどカッティングが忙しすぎて各シーン共に余韻が残せない。5時間欲しかったなあぁぁ(苦笑)。 原作ファンとしてはトビー・フーパー監督の旧版の方がキングの空気があって好きだね。本作は70年代から現代へと舞台を置き換えたおかげで、(多大な努力の跡はあるものの)時代の変化について行けてない面がある。原作は携帯電話とメールの普及した今では成り立たないシチュエーションが多いのだ。そこんとこに目をつむったシナリオには、何となく納得の行かないモノがあった。 んがしかし。原作を越えて完璧に仕上がったシナリオには脱帽せざるを得ない。 なぜバーロウがセイラムズ・ロットを選んだのか? なぜ幽霊屋敷とマスター・オブ・バンパイアがコラボしなければならないのか? …という、原作でも旧作でも未消化だったり説明不足だったりするところを、ほぼ完璧に補完し、描き切って見せた。原作の生命が抜けた部分を、別のビタミンで補給し、新たな味わいの『セーラムズ・ロット』を描き上げた、といったところかな。 思うに『呪われた町』って、既に著名なアメリカ文学になっちゃったわけで、知名度が非常に高い。本作のリメイクって言うのは日本で言えば『時をかける少女』や『戦国自衛隊』のリメイクに近い感覚。だから各所の名シーンも、大体の観客は自分なりのイメージを持ってたりフーパー版を思い浮かべながら観るわけですよ。 そういうツボの部分をキッチリおさえて、必要な部分は補完し、ちゃんとサプライズまで用意してあるあたり、なかなか抜かりがありません。冒頭とか、ストライカーの消え方、《階段落ち》のシーンなんかは「やられた!」って感じでした。 キングといえばキング映画なんだけど、やっぱりオイラは旧作の方がいいなあ…超人類・超生命としてのバーロウの描き方については、議論の余地なくルトガー・ハウアーに軍配ですが(旧作はマヌケすぎ (^^;)。 |
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