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デジャヴ(2006)(2006年【米】)気に入らなかったとはいえ、やはりこの作品を公開直後にあからさまにネタバレするのはよろしくないと反省。
ネタが一般に認知されてから改めて書くか…書いたぞ。 …と言っても最初に書いたレビューをコピペして復活させただけですが。過去のレビューをブログ連携させて更新したらどうなるのか、実験なのです。 それにしても「みんなのシネマログ」ができたので、こういうネタバレがやっと気楽に書けるよ。 何と言えばいいんだろう…『バブルへGO!』もそうだったが、政権イイワケ系「いや我々は決して悪くない」的タイムトラベル映画が確立しつつある? 時間旅行を「河の流れをせき止める」行為に対比するのは今に始まった事じゃなくて、古くはヴォネガットの『スローターハウス5』なんかが意識的にやってるし、80年代にはイアン・ワトソンの『黒き流れ』3部作が大河そのものをキャラクター化して、壮絶な展開をやってくれた。ハリウッドで最近大流行の時間旅行ネタをこのモチーフで描くなら、当然ニューオリンズを舞台にして《カトリーナ後》の都市の傷をテーマにするのは正しい。ブラッカイマー映画としても、よく燃える燃料が十分供給されるはずだ。 ところがこの映画、河の都を舞台にしながら、河そのものを描かない。シナリオは丹念な展開で「河の流れ=神の意志」「濁流=真実の見えない社会」という対比を言い切っている。ちっぽけな存在である人間が悠久の大河に振り回された、その測り知れない無念さがなかなか見えず、その結果、時間旅行そのものについてもどちらかと言えばこざかしく、小ネタを積み重ねたストーリーに終始する事になる。まるで「人間は河の流れを制御する事はできない」のだから「なるべく見ないように」しよう、といわんばかりだ。ここにはシナリオが想定している画と、監督が作り上げた画に決定的な乖離が存在する。 監督が言いたい事はわかるよ。確かに大事なのは観念的なコトよりも、身近な人たちだよ。でもあんな、神まで持ち出すような大仕掛けの物語で、それを言うのはこざかしすぎるよ。SF的なトリックを使うなら、もっともっと『グエムル』や『日本以外全部沈没』(決して『日本沈没』ではない(^^;)みたいに捉え切れないくらい大きなモノを画面に写そうよ。いろいろイイワケしながらも動かなかった、全てを俯瞰している大きな存在(=この物語世界ではミシシッピーでもある)を。な、寄らば大樹のブラッカイマー君。 内容的には同じ時間テーマの『バタフライ・エフェクト』『マイノリティ・リポート』程度、超低予算の『プライマー』の足元にも及んでいないと思う。でも音楽は腰が抜けるほど素晴らしかったので、ちょっと点数UP。ブラッカイマー製作の作品って、ホント音楽は絶品だよなあ。 |
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