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こっぴどい猫(2012年【日】)一応モト冬樹が主軸ですが、インディペンデントな雰囲気プンプンの恋愛コメディ。もう観てから半月以上経つんだけど、なかなか書く気にならなくて放置してました。
でも、今でもフィルムが全国巡回中のようです。大画面で観るなら今(っても、足運ばせるほどの文章力ねえよオイラには…)。 ヒロイン・小宮一葉(思いっきり無名新人です)目当てで行った映画だったんですが、主演・モト冬樹の気合の入った演技ほか、面白い脇役たちに完全持ってかれました。 市井の人間のダメダメな恋愛模様が、固定長回しのカメラで面白おかしく描かれる…というと聞こえはいいですが、音楽も派手な演出も省きまくってるので「笑えるハネケ」といった画面になってて、こんな「トホホな脱力感」と同時に「ピリピリした緊張感」が持続する映画っていうのは今まで見たことありません。ある意味これ神業です。 ネタバレにならないように書いていくけど、すげえドンデン返しが待ってるのだけは宣言しときます。 群像恋愛ドラマって「誰が誰を好きで、だから結局どうなってしまうの?」的な、1対2対2対3みたいな複雑な方程式の様相を呈してきます。んでラストに各人の納得の行く答えを与えて見事に方程式を解いてやる(まあ一部泣きをみるキャラが出たりするわけですが)。一種の数学やパズルの側面があるわけですよ。 本作で提示されるパズルはもう、コメディだからあり得るようなトンデモナイ構成で、一見解けないようなグチャグチャさ加減。こんなのどう解決すんだ…と思ったら、何とまったく想定外の解答が! …ってことで、恋愛ドラマでもあるんですがこれバカミスなんですよ、バカミステリー(注:「そんなアホな~」ってトリックを使う推理小説のジャンル)。もうね、『アイデンティティー』は全編想定済みで全く驚かなかったオイラが、「まさかこんな解を見逃してただなんて~!」って悔しくってのけぞりましたからね映画館で。 絶対に読めないオチ。でもハネケ風にしっかり撮ってるので、映像中に全て手がかりが散りばめられている。久々に気持よくヤラレました。 しかし小宮一葉、可愛いよなあ…一般受けしないだろうけど。別の作品で舞台挨拶も見たんだけど、まんまあの感じでした。 新世紀の緑魔子、って雰囲気を十分に醸してて、このままインディペンデント映画の女王になって欲しいと願います。 |
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