|
虹男(1949年【日】)(訂正:1949年作品でした)
なんか廉価版DVDがワゴンに出てたので、無我夢中でデフォ買い。 もちろん、オイラも「アレ」を期待してたんです。たぶん動くこともなく、一瞬しか出ないんだろうと覚悟を決めて、それでも「アレ」が出てくるのを観たかった一心で買いました。 ●巷で「虹男」と言えばコレ。 まあ結論としてはそんなモン一切出てこなかったんですけどね。ストーリー的にも「虹男」じゃなくて「虹」が見えるってだけの設定だし。明かされるトリック的にもそうなるしかないでしょうね。 んでまあ、観終わった後の感想なんですが…。 いぁーS&Sさん、これ戦後直後の1949年作品なんだから後代の特撮作品と比べてけなすのはむごいですよ。あとこの時期の円谷英二はGHQから追放食らってたんで困窮の極みだったようですから、クレジットされてない特撮(つうか撮影)仕事も多いらしいです。 …とはいえ突っ込みどころは満載なんですよねえ。 序盤の、電話ボックスで殺される婆さんなんか、犯人が虹を見せるのは不可能なはずなんだよな。 あと、もう観客もお気づきでしょう的なタイミングとはいえ、犯人が「虹がアァ!」と叫んでるときにフルカラー虹映像を見せない律儀さが、ちと辛い。演出的にも嘘だとわかるようバレバレでやってるんだと思うんだけど、もう少しひねろうよ(カメラが追えないように、壁の向こう側で叫んでるとかさあ)。 やたらめったら怪しい目つき&挙動だった麻耶家の女中。名前も科白も出てこないクセに、異常なまでの存在感を醸してました。まあ観客的には引っ掛けだってわかるようにはなってるんですが、ビシッと決まった演技のキレが、主演格を食ってしまってたのが残念。 こういう突っ込みどころを勘案してみると、可もなく不可もなく中央点というあたりに落ち着きました。 本作は、戦前の怪奇探偵小説から戦後の特撮映画への橋渡しとして、確実にB級映画史の一翼を担うポジションにあると思います。 この作品がヒットしたおかげで同年の大映の『透明人間現る』が生まれるコトができたわけですし。 その流れが7年後の『ゴジラ』に結実するわけですし。 別の流れとして、同じく大映で『白髪鬼』が撮られ、大映妖怪系となっていく筋もあります。 敗戦&GHQの東宝解体を横目に見ながらの、金でも技術でも演出でも冒険できなかった戦後4年目の、精一杯の頑張りが画面に広がっていました。 「ああここからやり直したんだな、日本の特撮って」とか思って観てました(「特殊」撮影はないけどね)。 |
|