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バース(1984年【日】)えええええっ? この評価の低さはあぁぁ?
オイラはめっちゃ評価してますよこの作品。 日本で初めてのOVA作品がコレでした。 中身なし。物語らしい物語もなけりゃキャラクターも薄い。最後はとってつけたような破滅オチがついてチョン。 …でもね、そこがいいんです。この浮遊性が。真っ白な布地へ自由自在に落書きして行く自由さが。これは最初から金を取って見せる気のないアニメ=自主製作アニメの市場投下に他ならない。商業のくびきから脱して、製作者と観客を直接結ぶ存在であるべきOVA。その先発の重責を担って送り出されたのが本作だったというのは、その数年後のアニメ界のグダグダ化を思えば奇跡のような好運です。 玩具メーカーに牛耳られたテレビアニメと、古来の伝統を脱し切れなかった映画アニメ。商業アニメの世界はビジネスとしてほとんど思考停止していて、若いクリエイターだけが金にもならない、くだらないチャレンジを続けていた。鹿野だってまだゼネプロのスタジオに入りびたって、事務所のカップラーメンで食い繋いでた(押井は既に大家然としてたけどな)。 クリエイターと観客だけが、本作のような、視聴率にも動員数にも縛られない、無辺の、何ら意味を持たない、ただ駆け回るだけの自由な世界を欲していた。 いまや常にどこかでアニメの自主上映界が開かれ、数時間を越える上映作品が全国から封筒入りDVDで集まってくる時代。中学生の作品ですら、そうやってスクリーンにかかるとナカナカ感じよく観れるんだこれが。本作が、80年代の限定的な状況下の、歴史的な価値しか持たないのは確実に実感する。 …でも、本作を初めてビデオで観た時、金田の走りが本当にどこまでもどこまでも続くので、嬉しくて涙が出た。確かに嬉しかったんだ。 それは自分の鑑賞史の誇りとして、改めてしっかり胸に刻んでおくコトにします。 |
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