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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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181.  ワルキューレ
これは暗殺計画というよりもクーデター計画であって、殺すことが目的ではなく殺した後に政府を掌握することが目的なのだ。つまり単純な「殺し」ではなく「殺し」も含めた複雑な「謀(はかりごと)」なのだ。映画は断然単純なものを描く方が面白い。それでもブライアン・シンガーはこの「謀」を面白く見せようと奮闘する。反ヒトラー派といってもその思想や思惑は人それぞれであって、当然そこには確執やら葛藤やらというドラマがあって、政治的なあれこれも絡んでくるはずなのだが、そこんところはあんまり描かない。極力、シンプルに。極力、事象だけを見せようとする。結果、面白かった。でも物足りなさもある。ドキドキはいっぱいあった。計画はうまくいくのだろうか。などと思ってドキドキするわけではない。計画がうまくいかなかったことで何が起こるのかでドキドキするのだ。じゃあ何が物足りないのか。おそらく「謀」を面白く見せることとドキドキさせることに関して完璧に過ぎるのだ。怒りとか恐怖とか執念とか、そういった人間的な感情が希薄、、いや違う、そんなもんいらんか、もっと、この映画に不似合いないかがわしいものでこの完璧さにひびを入れて欲しい。って思うのは変か?
[映画館(字幕)] 6点(2009-12-17 16:40:14)
182.  ラスト、コーション
誰も信用できないという特異な環境、特異な立場にある男が、唯一人間らしくいられるのがある女との肉欲にまみれたひと時。演劇からスパイ活動へ派生し、常に偽りの自分でいなければならない女が最も正体を知られてはいけない男との肉欲の世界の中で本当の自分を見出してゆく。嘘が蔓延する世界の中でお互いを求め合うという唯一の真実。だからセックスはこの映画の中で最重要。当然そのシーンは「最重要」であることを訴えるようにセンセーショナルさを伴うことになる。それはわかる。でもセンセーショナルさそのものを得るためのセックスシーンになってはいまいか。規制の厳しい中国の監督が前作ではゲイの世界を描いて見せた。今回もタブーに挑戦するのだということが目的の一部になってはいまいか。見せ方がそう感じさせる。もうひとつ。男と女のあれこれはうまく描かれているのだろうけど、その時代その場所の恐怖と緊張が乏しすぎる。この設定ならばもっとドキドキしたものにならないと。それにしてもタン・ウェイはたいしたもんだ。処女の顔も娼婦の顔もできちゃうんだもんな。それとも女は化粧と衣装でなんにでもなれるのか。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2009-12-15 15:53:07)(良:1票)
183.  トロピック・サンダー/史上最低の作戦 《ネタバレ》 
人気ラッパーの名前がアルパ・チーノってのが元ネタの人の昨今の大袈裟な台詞回しを揶揄しているのかどうかは知らないが、きわどいなと。映画はまずこのラッパー出演の清涼飲料水のCM、そしてユニバーサル配給のいかにもハリウッドアクション大作のシリーズ新作のCM、それからこちらはニューラインシネマで、特殊メイクを駆使して一人で何役もこなすというどこかで見たことあるようなコメディ映画のこれもシリーズ新作のCM、最後はフォックスで問題作であることをウリにした真面目を装った映画のCMが流れる。要するにこの4本のCMに登場する個性豊かな4人が一つの作品を作り上げてゆくということになるのだが、この4人という数に問題がある。多すぎる。実際映画はほぼ2人に絞って見せてゆくのだが冒頭の対等さからすれば編集の段階で切られたんじゃなかろうか。ここまで切るんなら、あるいはそもそもそこまでの役ならば少なくともジャック・ブラックはいらんでしょ。一方ちょい役ながらトム・クルーズの存在感は際立っていた。むちゃくちゃ楽しそうに見えるし。エンディングなんて独壇場にしちゃってるし。てかエンディングを独壇場としてあけわたしたベン・スティラーもいいセンスしてる。
[DVD(字幕)] 6点(2009-12-11 15:30:14)
184.  ブギーナイツ
長回しから始まるアルトマン風オープニングがなかなかにきまっててカッコイイ。なにげに豪華なキャストが豪華ぶらずにいるのもアルトマンの映画を彷彿させる。主人公がごくごく普通の人間でありながら特別な何かを持っているというのがポール・トーマス・アンダーソン的だと思えるのは『マグノリア』を先に見ているせいか。その特別な才能ゆえに成功し成功したがゆえに挫折するあのクイズ王にこの作品の主人公と通じるものを感じた。一人の青年を主人公にしたドラマはその挫折感と共に重々しくなっていき、映画の勢いまでもが削がれてゆく。ちょいと退屈。そこでドラマは外に飛び出した青年の代わりに豪華キャストのその他大勢を映し出すのだが、このあたりの怒涛の展開は見応えあり。この見応えも前半にちょこっと映されるだけのときにしっかりと皆が個性を見せていたから。脚本がそうなっているのだろう。次に撮ったのが『マグノリア』であるのも頷ける。お見事。
[DVD(字幕)] 6点(2009-12-10 16:50:33)
185.  ライフ・イズ・コメディ ! ピーター・セラーズの愛し方 《ネタバレ》 
よく子供がそのまま大きくなった人などと形容される人がいるが、ここで描かれるピーター・セラーズがまさにそんな人。道化を演じればみんなが笑ってくれる。いざとなったら道化を演じればいい。この安全弁でもあり最強の武器を手にしたセラーズは高嶺の花にも臆することなく大胆にアプローチしてゆくことができるのだ。その一方でこの安全弁と最強の武器があるから大人の分別も持ち得ない。おそろしく幼稚な大人が出来上がる。そういえば『ロリータ』の中のセラーズもとんでもなく子供な大人だった。この作品はセラーズを演じるジェフリー・ラッシュがセラーズのまわりの人間に突如変身して登場するという幻想的なシーンをところどころに配している。カメレオン俳優のカメレオンぶりを描く映画としてなかなかシャレの利いた構成だと思うし、あまりに辛辣な人物造詣を虚構の中のものとして見る事を多少なりとも助長しているように思う。だがピーター・セラーズという実名と彼が出演した数々の実在した映画のワンシーンがこの映画を虚構のものとして見る事を拒絶する。つまり純粋に映画を楽しめなかった。『博士の異常な愛情』のセラーズは苦悩していたのか!全く気付かなかったよ!とか『カジノ・ロワイヤル』のセラーズは憤慨していたのか!知らなくてごめんよ!とか、なんともいたたまれない気持ちになっちゃったよ。 『チャンス』での彼が称えられてるけど、あれだって子供のまま大人になったような役じゃん。なんか複雑~。
[DVD(字幕)] 4点(2009-12-07 18:33:04)
186.  ナオミ・ワッツ プレイズ エリー・パーカー
『マルホランド・ドライブ』で共演したスコット・コフィと共同で製作した低予算映画でスコットが監督も兼ねている。「マルホ」のオーデションシーンで類稀なる演技力と魅力を見せつけたナオミ・ワッツが「現状はもっとセカセカしてるのよ!」とでも言うようにオーデションに駆けずり回る女優の卵を生々しく演じている。「マルホ」でブレイクしたナオミではあるが、この作品制作時はブレイク前である。同僚俳優がデジタルビデオで撮影しているから、という以上にこの「ナオミのブレイク前」であることが女優の卵の生々しさを助長しているように思う。バスタブでのセックスシーンがまた生々しい。これもブレイク前だからこその映像かもしれない。作品自体は退屈なものだが、現実の世界で見事にハリウッドでの成功を成し得たナオミ・ワッツがこの作品制作時におそらくは現在のポジションを想像だにしていなかっただろうことを想像しながら見るとまた違った味わいがあって面白い。
[DVD(字幕)] 5点(2009-12-03 14:22:41)
187.  ドラムライン
ベタなのはいいんだけど限度がある。ライバルチームの監督のキャラがいかにもで萎えた。一応相手チームだって同じ泣いたり笑ったりする人間で同じ青春を謳歌する大学生なわけで、「敵」としてしか登場しないことに潔さを感じることができずひたすら呆れた。たしかにドラムプレイはかっこよく、特に最後のドラム同士の対戦で背景を真っ暗にしてライトアップして見せるあたりはなるほどミュージッククリップっぽくて、よりドラムプレイのかっこよさが出ているように思った。生の迫力には到底勝てんだろうけど、スティックさばきをアップで見る機会もそうはないだろうし、映画の中で繰り広げられた演奏とパフォーマンスはそれなりに楽しめた。かな?
[DVD(字幕)] 3点(2009-11-25 14:14:33)(良:1票)
188.  コーチ・カーター 《ネタバレ》 
弱小不良チームが新コーチの鬼の特訓で強くなってゆく映画。ではなかった。バスケで勝ったからといってもそのときだけ。刑務所に行きたくなければ大学に行けるように勉強しろ。という映画だった。かいつまみすぎだけど。映画の中の学生の親や常勝ムードで盛り上がる地域住民がこの急転に意表をつかれたように、見ているこちらも突如現れる社会派色に意表をつかれる。しかしあまりに簡単に強くなってゆく展開の後だけに心地の良い急転として迎え入れることができる。一気に脇に追いやられるバスケではあるが、映画を盛り上げるうえでも重要な試合のシーンがそれなりの盛り上がりをちゃんと作ってはいる。ただ迫力だけを見せるのではなくゲームの流れを見せているこの試合シーンはなかなかの高評を得ているらしい。でも実は個人的に不満。バスケは点が始終入ってゆくので全体の流れももちろん映さなきゃならないけど、漠然とでもルールがわかりやすくもあるので全体の流れだけに拘る必要もなく、むしろバスケの醍醐味として体力の消耗してゆく様や息の合ったチームプレイや個人テクニックこそをアップやスローモーションを使いながら見せて欲しいとか思っちゃうのだが、そう思ってしまうのは私がバスケをしていたからというよりは漫画「SLAM DUNK 」の影響かもしれない。細かいカットの連続で迫力だけ出しましたみたいなのは論外だけど、ゲームの流れを見せているあいだずっとかかりっぱなしの音楽で高揚を得ているというのもどうかと。
[DVD(字幕)] 5点(2009-11-19 15:20:27)(良:1票)
189.  タイタンズを忘れない
あまりにお話が美しく且つ道徳的に過ぎるような気もするが、偏見が徐々に取り払われてゆく様はやっぱり気持ちがよく、白人と黒人の握手や抱擁はやっぱり感動的であって、こういう美談を恥ずかしがらずに堂々とやってのけちゃうところの潔さというか単純さはある意味凄い。人種問題を抱えているからタイタンズは強いのだという逆説的なコーチの言葉はそのままアメリカ合衆国の強さの表明でもある。努力は報われる。正しい行いは認められる。悲しみは乗り越えられる。正義は勝つ。そして勝利は美しい。この単純明快さがアメリカであり、他の国が真似しようとすればえらく深刻なものになっちゃうところをそうさせないのがハリウッドなのだろう。それでも、何もかもが丸く収まるのはいいとしてやっぱりそこに至る困難が実際にはもっとあっただろうことは誰にでも想像できることで、問題の難しさと清清しいハッピーエンドの間にはもうちょっとヘビーな展開があっても良かったような気がする。アメリカンフットボウルの試合シーンは大方タックルのカットで占められており、ゲームの流れがほとんど映されておらず、なんとなく迫力があるようにだけ見せているのはかなりがっかり。 (ちなみに飛行機内<新婚旅行のとき>で観たのですがあれは映画館とはいえないですよね)
[DVD(字幕)] 5点(2009-11-18 14:50:58)(良:1票)
190.  エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?
巨大企業はいかにして崩壊したのか?とサブタイトルにあるようにすでに崩壊された、つまり過去のことを延々と綴っているだけ。たしかにエンロンがいかにして成長しいかにして崩壊していったのかを分りやすく見せてくれてはいる。メッセージ的なものといえばエンロンとブッシュ、あるいはエンロンとシュワルツネッガーの黒い関係を臭わすあたりに極めて政治的な思惑が見え隠れするのと、「人生を振り返り”失敗した”と認めるのは難しい」という至極真っ当な秘書(だったっけ?)の言葉が終盤にあったが、言い換えれば関わった人間の大半は反省することすらない結末だったわけで、この事件で何かを学ぶことなく又同じようなことが繰り返されるのだろうという投げやりな幕の閉じ方それ自体には社会を憂うメッセージが内包されているととってもいいかもしれない。しかしエンロンの崩壊そのものに対する独自の見解があるでもなく、ゲーム感覚で金儲けに便乗するトレーダーたちをピックアップするでもなく、カリスマ、ケン・レイその人に迫ったものとも言いがたく、けっきょく、あらすじはわかったけど、面白いところがなかった。面白い題材がゴロゴロしてるのに。最も魅力的題材はなんといっても途中でまんまとばっくれたストリップ大好きな天才中国人だ。ここ、追いかけてほしかったなあ。
[DVD(字幕)] 4点(2009-11-13 17:02:53)(笑:1票)
191.  シビル・アクション 《ネタバレ》 
ポルシェだったか。ブイーンとすっ飛ばしすぎの画の後にスピード違反のキップきられてる画。さっさと金にならない仕事を断って次の仕事に移りたい。そんな心境を皮肉とユーモアを交えて見せる。さっさと断っての帰り道にブイーンとすっ飛ばして捕まるという全く同じ展開が映し出される。繰り返しの妙によるさらなる笑いを提供する。と同時にこのシーンをストーリーが動き出す転機にまでしてみせる。なかなか巧いではないか。金になると判断した金満弁護士は端から原告のことなど考えておらず、和解金をせしめるという目論みは最初から原告の「謝罪と環境改善」という訴えを無視している。しかしある証言を切欠に原告の思いを代弁する真の弁護士となってゆき、この第二の転機から大きく物語が動き出すのである。ところが丁寧に作られたストーリーの中で唯一この第二の転機となる描写が弱い。たしかに子供が親の願いも叶わず目の前で息を引き取るという世にも悲しい出来事は人を変えるにじゅうぶんな出来事かもしれない。しかしチームの誰もが変わらない中でこの金満弁護士だけが唐突に変わる理由としてはあまりに説得力に欠ける。このあたりを丁寧に掘り下げて描いてくれればその後の無謀な独り相撲により悲壮感を出せただろうし、ラストの笑顔により感動できたような気がする。娯楽映画としての詰めがちょい甘かった。
[ビデオ(字幕)] 6点(2009-11-12 13:40:57)
192.  裏切り者(2000)
素晴らしい!とにかく見てください!と思ったがここまでの平均点4.42点て・・・。寡作の人、ジェームズ・グレイの作品の中では傑作の声の多い新作『アンダーカヴァー』よりもヴェネチア銀獅子賞受賞のデビュー作『リトル・オデッサ』よりも好きなんだけど・・・。グレイが一貫して描く「家族の絆」「犯罪」「ニューヨーク」が他の二作品以上の濃さで絡み合い、重厚な雰囲気を持ちながら切なさも加味して紡がれてゆく。主人公、マーク・ウォールバーグは刑務所帰りの真面目な青年、、というと矛盾しているのだが、環境が犯罪者を作るということが、そしてこの舞台となる街がそういう環境なのだということをこの設定だけで語ってみせているわけだ。不評のシャーリーズ・セロンの化粧だってその環境をリアルにするためのものだ。犯罪にどっぷりとはまり込んでいる悪友、ホアキン・フェニックスが時折見せる優しい表情もまたそのことを強調するとともにこの作品が青春映画の一面も持ち得ることに貢献している。だからこそ切ないのだ。キャスティングがまた絶妙で、母親が出所したての息子の仕事の世話を頼む「ゴッドファーザー」的役割の男に『ゴッドファーザー』で長兄を演じたジェームズ・カーンを配するあたりが実にニクイ。どう見たって面白いんだけどなあ。
[DVD(字幕)] 8点(2009-11-11 14:39:45)(良:1票)
193.  ザ・バンク -堕ちた巨像-
冒頭の雨のベルリンがいい。何かによって成された何がしかが実にシリアス且つ分りやすく描かれる。何かが巨悪であることもこの冒頭シーンだけでじゅうぶん伝わる。全てを監視していたはずの主人公には見えていなかったという所がスリリングでまたその後の展開に活きてくる。もうけして何も見落とさぬとでも言いたげなクライヴ・オーウェンのぎらついた瞳はターゲットをひたすら凝視する。ニューヨークでの尾行シーンに特に顕著なのだが最後のイスタンブールの尾行もまたいい。中身は大真面目に社会派なのだが映し出されるのはアクション。ここは好みの分かれるところだろうけど、個人的にはアクションの部分がきっちりと撮られていたことに大満足。美術館シーンはサービスアクションとでもいいましょうか。お祭りっす。でも単に派手なだけでなく、やっぱりきっちり撮っている。この銃撃戦の目玉である建物構造をきちんとおさえながらアップショットとの繋ぎをアクションを停滞させずに見せきっている。良かったです。面白かったです。
[映画館(字幕)] 7点(2009-11-10 16:11:29)
194.  フィクサー(2007) 《ネタバレ》 
冒頭の数十分は何が起きているのかよく分からず、分からないままに明るくなりつつある夜明けの空をバックに美しい馬が登場し男前の主人公が車から降りて馬に近づくと車が爆発という実に謎めいたシーンが映し出され、ここで唐突に過去シーンへと変わる。この冒頭シーンが再登場するのは映画が終わりに近づこうとしている頃であって、結果から言っちゃうとここから主人公はようやく戦うことを決心するというか、せざるを得なくなるわけで、かと言ってここから映画が始まるわけではもちろんなく、この後あっという間に終わってしまうわけである。要するに映画の大半で主人公はどっちつかずの曖昧な立場にいる。曖昧な立場でいる様々な理由がこの映画のほとんどを飾る。金とモラル、組織の中の一人であることと一人の人間であること、そして父親であることの間で揺れる主人公。たしかにそれらの葛藤はじゅうぶんにドラマとなる。だけど退屈なのだ。冒頭の爆発シーンのせいでいらぬ期待を抱いてしまっているせいだ。あれが無ければこの主人公の決断にいたる過程を楽しめたのではないだろうか。殺し屋登場の乾いた恐怖感はもっと増していただろうし、何よりも謎を共有する主人公にもっと共感できたであろう。脚本家ギルロイ、脚本に溺れる。そんな感想を持った。ティルダ・スウィントンが光っていた。
[映画館(字幕)] 6点(2009-11-09 17:08:16)(良:1票)
195.  荒野の七人
スマートで淡白で薄っぺらくて予定調和。つまらん。つまらんなりに楽しめてしまうのは音楽の力か。この頃の映画音楽は音楽単体で勝負せず、しっかりと映画と繋がっていることが必須。だから音楽を聴くとちゃんと映像が蘇る。あと、薄っぺらいなりに7人が7人共に魅力的なのは役者の実力か、はたまたジョン・スタージェスの演出の力か。役者それぞれのその後の活躍からすれば役者自身が魅力的だったというのもあるだろうが、個性派をまとめあげた監督の手腕も捨てがたい。なにしろこの監督はこの後『大脱走』でも見事に個性派連中を魅力的に描くことに成功しているのだから。
[DVD(字幕)] 5点(2009-11-05 16:09:32)
196.  60セカンズ
オリジナルの『バニシングIN60”』のレビューでも触れてるんだけど、今の映画はどうでも「ストーリー」にしなきゃ収まらんようだ。どうでも車を盗まなきゃならない理由が必要で、そのために出来の悪い弟が必要で、息子思いの母親が必要で、血も涙もない依頼人が必要となる。こういう堅苦しい辻褄併せに翻弄しなきゃならない映画環境を嘆く。『60セカンズ』は精一杯につまらないセッティングをしながらもなんとか楽しませようと頑張ってる。凄腕の車泥棒だった過去のシーンを映さないだけまだ良心的だとも言えよう。実際、車を盗むシーンも派手なカーアクションもそれなりに洗練されていて楽しい。ただしオリジナルとコレを見比べるまでもなく、見た目の派手さと観てるこちらの感情の起伏は比例しない。相変わらずクールでセクシーなちょいワルがすこぶる似合うアンジェリーナ・ジョリーが映画に華を添えているのは悪くない。
[DVD(字幕)] 5点(2009-10-30 15:04:32)
197.  リミッツ・オブ・コントロール 《ネタバレ》 
久々の極楽。何もかもがいい。まず印象的なのが主人公の背景を彩るロケーションのセンスの良さ。どこからこんなかっこいいロケーションを探してくるのか。主人公が一たび外を出歩けば、どのシーンもかっこいいのだ。かっこいいと言えば音楽。日本のバンド「Boris」が奏でるノイズにならないノイズミュージックにイチコロ。ヘリの音やエスプレッソといった「繰り返し」の心地よさと暗号を渡しに来る男女のキャスティングの絶妙さ。「ヌード」のそのヌードの美しさにもイチコロ。かっこいい映像に挟まれる列車の映像はさすがの一言。厳重な警備に囲まれたターゲットのアジトが映されいよいよ佳境に入る。と思ったらどうやって入るのかを大胆に省略。ターゲットの男がたずねる。どうやって入ったのかを。その答えにニヤリ。想像力。ちきしょー。いちいちツボだ。ビシッとスーツできめてた主人公がラフな格好に着替えて終わる。もしかしてトイレで瞑想にふけっているオープニングと着替え終わったラストシーン以外は妄想の世界だったのか?ちきしょー。それもありじゃないか。で、最後にカメラがガクンて。ちきしょー。
[映画館(字幕)] 8点(2009-10-29 14:21:52)(良:3票)
198.  ソラリス
緩やかな水の流れに対する窓ガラスの雨の雫。感情を押し殺したかのような静寂。地球からソラリスへの移動の省略。ソダーバーグは明らかにタルコフスキー『惑星ソラリス』を意識している。意識したうえで、タルコフスキーがソラリスが起こす現象を映し出したのに対し、ソダーバーグはその現象が主人公に及ぼす影響と心の葛藤に焦点を合わせる。亡き妻への固執の原因を事細かに見せる。何度も行ったり来たりする過去のシーンと現在のステーション内のシーンを『トラフィック』でも有効に使われたコントラストの違う画面によって時空を自在に飛び超えてゆく。「ソラリス」を利用した男女の悲しいドラマを実にうまく見せていると思う。タルコフスキー版とは違ったオチもなかなかにショッキングだし、何よりもこの男女のドラマに相応しいオチだと思う。総じて満足できました。しかしタルコフスキー版はこの長々と語られる男と女のドラマを映すことなく男と女のドラマを想像させたし、男の心の風穴がちゃんと描かれていたのだということを忘れてはいけない。
[DVD(字幕)] 6点(2009-10-29 14:05:44)
199.  アサシン(1993)
元々『ニキータ』自体がハリウッド映画を模したような作品なのでこれをハリウッドでリメイクするとなると相当派手なものが出来上がるんじゃないかと思ったが、派手なようで意外に地味で堅実な演出をするジョン・バダムのおかげで無難な佳作に仕上がった。ブリジット・フォンダが個人的に好きなのでけっこうポイント高いです。ニキータはめそめそしているのが良かったのだが、アメリカ女は強さを前面に出す。終盤の対決がいかにもハリウッド的展開なんだけどけして悪くない。舞台がアメリカ(しかも旅先の殺しのシーンもオリジナルのベニスに対しニューオーリンズ)というだけでどこかサバサバとした爽快感が漂う。『ニキータ』のほうが印象的なシーンが多いが、全体のバランスでは『アサシン』に軍配をあげたい。
[DVD(字幕)] 6点(2009-10-28 15:26:35)(良:2票)
200.  サブウェイ123 激突 《ネタバレ》 
デンゼル・ワシントンが犯人でジョン・トラボルタが地下鉄職員なのかと勝手に思ってて勝手に期待に胸膨らませていたのだが、蓋を開けてみるとまるっきり逆であったことにガッカリしてしまったのだが、犯人がどうやらウォール街でビシバシいわせてた金融マンだったという設定ならば致し方ない。地下鉄職員というよりも名探偵のような落ち着きぶりを見せたオリジナルのウォルター・マッソーに比べると脛に傷持つしがないサラリーマンのデンゼル・ワシントンのほうがはるかにリアルで、だからこそ犯人とのやり取りも必然的に緊張が高まってゆく。しかしオリジナルは単調になりがちな展開ゆえにカーアクションが冴えたのに対し、リメイク版のド派手なカーアクションはあまりにもアホっぽい。劇中で市長が何故ヘリを使わないのかと呆れるぐらいだからこのアホっぽさは狙っているのだと思いたいのだが、ただでさえガチャガチャしたトニー・スコットの映像が余計に慌しくなってしまっているような気がする。早々にある男が殺されてしまったことでラストシーンが当然全く違ったものになるのは分かっていたが、これだけは超えることはないだろうオリジナルのストップモーションを軽々と超えたエンディングにはやられた。しかもストップモーション。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-27 15:01:02)
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