181. テラビシアにかける橋
《ネタバレ》 あの2人何歳の設定なんでしょう。秘密基地ごっこをする年でもないかと思うんですが。 それはともかく、テラビシアが架空の世界にしては力が入りすぎのような気も(笑)。もっとちゃっちくて現実世界と明らかに区別がつく方が、それらしかったと思います。あくまで現実世界がメインなわけですから。 レスリーのことを忘れないために彼女が作り出したテラビシアが存在し続けるというのはわかりますが、どうも最後は納得しかねます。2人を結びつけていたものは、テラビシアしかなかったのか。そうだとすると、やはり悲しいことではないかと思います。あの8年生のいじめっ子女子が関係してくるのかもしれませんが、そこまで描かれていないですし。普通の大人からすると、ジェス君にはお父さんの言うとおり、もっと現実を生きてもらいたいですね。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2013-08-10 20:33:47) |
182. 刑事コロンボ/パイルD-3の壁<TVM>
基本的にトリック一発勝負なのですが、手がかりの与え方がなかなかいい。奥さん2人の個性も際だっています。 [DVD(字幕)] 7点(2013-08-03 22:14:09) |
183. モダン・タイムス
《ネタバレ》 やはり、序盤での大量生産工場の非人間性を風刺した部分が圧倒的に面白い。肝心の娘が登場してからは少々失速気味。というか、せっかく夜警の仕事を手に入れたのに、デパートでのんきに過ごすってどうよ。今から見ると、あまりにもお気楽すぎて現実味に欠け、共感できません。しょせんは夢物語。もうちょっとそれらしい展開なら、喜んで見られたと思いますが。「ティティナ」のシーンは文句なくすばらしいです(あれはイタリア語に聞こえましたが……?)。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-08-01 21:54:30) |
184. 街の灯(1931)
《ネタバレ》 盲目の娘との「感動物語」よりも、金持ちのいいかげんで酷薄なところへの風刺や、拳闘試合でのおかしみが印象深いです。正直、少女との話は定番的すぎて面白味は少ないのです。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-07-31 22:10:28) |
185. チャップリンの黄金狂時代
《ネタバレ》 音楽と語り入り版で鑑賞。前半のパントマイム芸がすばらしいです。やはりこういうバカバカしさ(ナンセンス)が笑いの基本であると再確認しました。とはいえ、素直にあははと笑えないところもあり、見ていて居心地がよろしくない。後半のロマンスはほとんどオマケのようで(まかり間違っても「主題」などとは呼べない)、最後にハッピーエンドになるのも安直すぎ。ジョージアの心変わりがよくわかりません。当時のフォーマットにのっとったものなのでしょうが、唐突すぎます。そこから逃れられなかったというのが、チャップリンの限界を物語っているように思えます。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-07-30 21:26:45) |
186. キッド(1921)
《ネタバレ》 ちょっと引っかかったのは、いきなり「女の罪は、子供をもうけたことだった」と出ること。子供を置き去りにしたあとでは「十字架を背負うキリスト」の絵が挿入されます。そうなると、終盤の天使のシークエンスも、単なる夢ということですませられないような気がします。チャップリンの商売も、子供にガラスを割らせてそれを修理するという、罰当たりなもの。その罪作りなところが最後にどう収まるのかと思ったのですが、その点は期待はずれでした。宗教的な意味をのぞいてもいい映画でしょうが、その背景に何があるのか、そのところが気になります。 ちなみに、音楽と一部効果音(ガラスの割れる音)が入っていました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-07-28 10:22:57) |
187. 刑事コロンボ/死の方程式<TVM>
吹き替えで聞くと、野沢那智の怪演でロジャーはイッちゃった人みたいですが、原語だとそんなこともありません。むしろ化学博士で弁護士の資格も持っている、頭脳犯というイメージが湧いてきます。とはいえボンボン育ちのためか、冷静になりきれないところが欠点。その辺のバランスが意外と面白かったです。馬脚を現すのが、あっさりすぎるかとも思いますが。ゲストがけっこう豪華な点も評価できますが、アン・フランシスはちょっとトウが立っているかも。まあ、ジェームズ・グレゴリーの相手なら、適切かもしれませんが。ちなみに、本作の山田康雄吹き替え版は、話に聞いたことがありません。実際にあれば新発見でしょうね。 [DVD(字幕)] 6点(2013-07-27 20:50:13) |
188. 25年目の弦楽四重奏
《ネタバレ》 なんか、おじさんおばさんが不毛なけなし合いをしているという印象でした。人物の心理を深く追わず、唐突な行動に出るということも多かったような(特に後半)。それに、あれだけあれこれ言い合ったのに、何もなかったかのようなあの終わり方はどうなんでしょう。あそこまでいったら解散するのかと思ったら、普通に演奏してるし。 結局、現在と将来をキッチリ見つめて確固たる行動をとったクリストファー・ウォーケンだけがまともに見えました。ほとんどこの人のための映画で、あとの人物は引き立て役にしか見えません。4人のアンサンブルが重要である実際の弦楽四重奏団とは、えらい違いでしょう。 [映画館(字幕)] 5点(2013-07-16 17:38:43) |
189. サーカスの世界
《ネタバレ》 サーカスの実演や船の転覆・火事といったスペクタクルな場面はまあいいのですが、肝心のお話の方がスカスカ。親子ものとしても見られるところは少ないです。誰がトニの部屋に新聞記事を残したのかもうやむやだし、火事もそれと関係して実は放火かと思っていたらフォローがない。めでたしめでたしで終わっていいの? [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-07-15 16:05:21) |
190. 刑事コロンボ/もう一つの鍵<TVM>
《ネタバレ》 『刑事コロンボ』では犯人が女性の場合ドラマ中心になるという特徴があります。本作もそのパターンですが、どうもドラマの要素が弱い。これは時間が短いということもあるのでしょうが、豹変したあと経営者としても女性としてもダメということで、魅力がありません。倒叙ものでは犯人の占める部分が大きいですし、そのドラマを描くとなるとなおさら。しかし肝心のご当人に魅力が感じられないのでは、どうしようもありません。 ミステリーとしては、新聞と鞄とか靴底の芝生とか、コロンボの目の付けどころは面白いのですが、いかんせん最後の決め手が簡単すぎ。これもドラマ中心のしわ寄せかもしれませんが、結局ミステリーとしても魅力に欠ける話になってしまいました。ベスが最後コロンボに銃を向けるというのも意味がなく蛇足。ここまで徹底してダメ犯人というのは、かえって潔いかもしれませんが。 [DVD(字幕)] 4点(2013-07-13 22:53:47) |
191. ナバロンの要塞
《ネタバレ》 船が座礁するあたりはちょっと退屈でしたが、上陸してからは面白かった。フランクリンの怪我が利いていますが、そのプロセスはちょっとあざとかったかも。ミラーとフランクリンの関係など、もう少し細かく描いていたら、後半でのミラーの言動は更に説得力が出たと思います。しかし、フランクリンの扱いや、裏切り者をめぐるやりとりは印象的で、ドラマとしての厚みを与えています。とはいえ、あくまでエピソードとしてとどめていて、主眼の大砲爆破をきちんと描いていたのはよかったです。アクション冒険ものの上にドラマを配した、なかなかよくできた映画でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-07-08 21:03:50) |
192. ゆりかごを揺らす手
《ネタバレ》 悪くないんですが、序盤で引っかかりました。まず、訴え出た女性の名前を堂々と報道するのは疑問。しかも当の医者が自殺したあとですからね。製作されたのが20年近く前だということを考慮しても、どうかと思います。それと、「公園で話を聞いてきた」というだけの女性をあっさり信用しすぎ。作品を見る限りでは、ペイトンがすぐに信頼を得られるほど魅力的には見えない。事前にクレアが「ベビーシッターを雇いたいが信用できない」と言っているからなおさら。あのセリフがなければまだしもですが。そんなわけで、本題に入ってからも妙に白けた気分で見ていました。あと、ペイントンに同情的な人がいるようですが、信じられない。同情できる犯罪者もいますが、やっていることにはおよそそんな要素は見あたりません。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-07-08 20:57:54) |
193. ネットワーク
《ネタバレ》 基本的に悪くないんですが、ビールの出ている番組は、ほとんどその出演シーンしか出てきません。そのためにリアリティが削がれてしまっています。ルメット監督によると、本作は「テレビ業界の内実を暴露したルポルタージュ」だそうですが、これでは大幅なマイナスでしょう。マックスとダイアナが引かれあったのも不明で、最後でマックスにダイアナを通してテレビ批判させるためだとしか思えません。非人間的な女性を用いた批判はストレートすぎて、かえって引いてしまいます。テロリストと手を結んだのも、業界のダーティーな面を捕らえたのかもしれませんが、最後の決着をつけるためではないかと思えてしかたがありません。テロリストがいちいち契約書をチェックするのは面白いですが。 あとは、会長が「国家よりも会社が重要」と説くあたり、予見的で興味深いです。しかもそれで洗脳されたビールが演説をぶち始めると、視聴率が下がり始めるというのが面白い。これは現代でも通じるところかもしれません。 本作最大の不満は、問題をテレビ制作側だけに絞ったところでしょう。しかしテレビの視聴率というものは、当然視聴者が必要です。つまりテレビに踊らされる視聴者にも問題があると思うのですが、そのあたりは深く追求されていません。窓を開けて次々と叫び出す人々はそれを象徴しているわけですし、かなりインパクトのある場面ですが、結局テレビの影響力の大きさを描くに留まっています。それに比べて最後のテレビ(ダイアナ)批判は容赦なく、テレビが諸悪の根源だと言わんばかり。視聴者=映画の観客に気を使ったかのような構図は生ぬるく、一面的にすぎないと感じました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-07-08 20:51:25) |
194. ミシシッピー・バーニング
《ネタバレ》 ジーン・ハックマンの捜査官が、世間話をして相手に近づき、情報を得ようとするあたりは「刑事コロンボ」みたいで面白かった。しかし終盤になるとポパイみたいになりますね。ああいう方法をとるというのはいかにもアメリカらしいです。結局最後は暴力に頼ると。 本作で扱われている「差別への抵抗」という問題は、今の日本でも生きていますね。学校でのいじめとか。昨今では、自分の気にくわないものは存在を認めず、相手が人間なら簡単に「死ね」と連呼するような風潮がありますが、そういったことに対しても一石を投じそうな映画です。そういう点からして、今でも(今後も?)存在意義のある作品だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-07-05 10:56:36) |
195. 動く標的
《ネタバレ》 ハードボイルドらしいところといえば、最初のクレジットのところとか、終盤でハーパーが「1年のうち5~6週間だけが楽しい」とか言うところでしょうか。個人的には特にハードボイルドが好きというわけではないので、あまりピンと来ませんが。ただしハードボイルドを離れても、ハーパーというのはなかなか興味深い人物ではあります。 ミステリーとしてはまあ普通ですが、情報が次から次へと簡単に手にはいるのはどうかと思います。そのあたりがフィクションの限界でしょうか。謎解き云々よりも、新興宗教を隠れみのにして不法移民を受け入れるというあたりに、風俗的な面白さを感じました。ただ、夫が死んだと伝えられたサンプソン夫人が妙に嬉しそうだったり、その前後のミランダを意味ありげに映していたり、事件の実行犯が都合よく全員死んだりと、まだ裏があるのではないかと思わせるところがあります。もっともそれも、ハーパーに関係がないといえば関係ない。そういうところは妙にリアルでした。 まあこの映画の最大の謎は、原作のアーチャーがハーパーに変えられて、しかも映画のタイトルにまでなっているということでしょうけど。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-07-03 22:22:25) |
196. エニグマ
《ネタバレ》 なかなかよくできたサスペンス映画でした。面白いのは、戦時下で主要人物は軍に所属しているのに、あらかた私情で動いているということ。戦争の正義とか大義名分とは対局のところにありますが、それもむしろサスペンス向けでしょう。主人公のトムはもちろん、彼が探していたクレアも、情報を漏らしていたパックも、軍よりは個人の感情を優先させています。とはいえ、そこが詳細に描かれているのはトムだけで、あとの2人はミステリーの「犯人」という存在ですから、あまり掘り下げられていなかったのは残念です。特にパックはポーランド人ですから、肉親を殺されたとはいえナチスに情報を流すというのは、ちょっと首をかしげます。クレアにしても、パックのどこに惹かれて愛したのかというのが不明ですし、そういう点では説得力に欠けますが、ミステリーとしては致し方ないでしょう。現実の「カティンの森事件」を扱っているのでもう少しドラマ重視にもできますが、あくまで背景にとどめているのは潔いです。 こうした点を除けば、イギリスらしい堅実で上質なミステリーでした。あくまでサスペンスなので、暗号解読の方法自体は理解できなくても大丈夫ですし。また中盤、Uボートからの暗号を傍受するためアメリカの輸送船団を危険にさらすという作戦が立てられるのですが、これが私情で動く主人公たちと対照的で、なかなか効果的だったと思います。 出演者では、サフロン・バローズがファム・ファタールらしく神秘的な美女でけっこう。対するケイト・ウィンスレットは、まんまる眼鏡で体型もちょっと丸く、コロコロしてかわいらしかった。この2人の対照も面白いですね。 ここでの点数は低いですが、どうも映画のポイントを外して鑑賞した方が多いようで……。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-06-29 17:17:15) |
197. アイリス(米英合作映画)
題材としてはよくありますし、今後もこうした映画やドラマは作られるでしょう。本作はイギリス映画らしく、淡々としていて感情的にならない。こうした作品が陥りがちなお涙ちょうだいや大げさな悲劇的展開にならないところがいいです。2人の過去と現在を平行して描くのは、目先が変わって飽きてきませんが、やや散漫に思えるところもあります。しかし、過去の関係があってこそ現在の関係が生きてくるので、この構成自体はうまいと思いました。ただ、アイリスがなぜジョンを選んだのかはよくわかりません。原作が夫の書いたものですから、そこはあたりまえなのか……。しかしそこがこちらにもわかれば、終盤の展開ももっと説得力のあるものになったと思います。 ところで、ジム・ブロードベントは助演男優賞なのですが。主演でもよかったような気がしますが。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-06-28 20:31:21) |
198. 勇気ある追跡
親の敵討ちにしては、嬢ちゃんに悲壮感や悲哀がなく、妙に陽性。それ以外にもユーモラスなところがあるし、なんだかのんびりとしているし、どうなってんの? という感じ。映画としてはまあまあでしたが、字幕のせいか人物の行動原理がわかりづらいところもあって、もう少しすっきりまとめてほしかったところ。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-06-22 10:33:27) |
199. 天使にラブ・ソングを2
《ネタバレ》 やはり、前作に比べると落ちますね。いつのまにか聖歌隊の結成に生徒が反対しなくなったり、本番前の生徒の心情がコロコロ変わったり、あげくにはあっさり優勝したりと、ご都合主義が目にあまります。リタと母親のエピソードも、もう少し掘り下げてもらいたかったところ。それと学校を舞台にしたため、デロリスと合唱団員の関係が完全に指導者と生徒という立場になったのもマイナスでしょう。前作では、あくまで同じシスターということで、仲間意識が芽生えたことがポイントでしたから。 あと学校を舞台にしたのなら、映画よりもドラマの方が生徒たちの個性も描けてよいのではないかと思います。実際、「glee」というドラマが制作され、人気を博しています。そのプロトタイプになったという意味では、必ずしも失敗とばかりは言い切れません。あと、ノリノリのエンド・クレジットは無類に楽しい。 ちなみに、修道院長と校長の会話に“オマリー司教”が出てきますが、これはやはりビング・クロスビーが演じたあの映画を意識してのことなんでしょうね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-06-20 18:08:02) |
200. 天使にラブ・ソングを・・・
エンタテインメントとして楽しい映画でした。よかったのは、修道女の皆さまの平均年齢が高そうなこと。仮に日本で同じような映画を作るとしたら、もっと若い子を増やすと思うのですが、本当におばさんやおばあさんばっかり。それがかえってリアルだし、そういう方たちがノリノリで聖歌を歌うというのは意外性もあって楽しめました。人物の描き方はやや薄味なのですが、歌が入って時間が短めになることを考えると、しかたがないでしょうか。もうちょっと修道女たちのドラマも見てみたい気がします。ビンスとその手下はちょっと抜けていて、いい助演ぶりでした。犯罪がらみですが、老若男女に勧められる作でしょう。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-06-18 21:56:55)(良:1票) |