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tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2012
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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161.  オール・ザット・ジャズ 《ネタバレ》 
凡人には計り知れない、”才能あるアーティスト”の頭の中をロイ・シャイダーの名演を通して覗かせてもらった。 いや、なんというか壮絶ですなあ。妻を怒らせ、愛人に泣かれ、それでも性的道徳規範になんか構っちゃいられない溢れる創作意欲。精神薬を手放せず、充血した目に目薬を何万回と注しながら「バラを創ることができる」神の領域に近づこうと必死にもがく芸術家。スタッフが称賛しようと、彼一人納得できない。果てしなく。 これって地獄ですよなあ。けれど、地獄でのたうつジョーのその人となりが茶目っ気のある憎めないタッチで描かれるので、圧倒されつつも それほどしんどさを感じずに観ることができる。 女グセが最悪でも娘には愛され、母娘で見事なダンスショーを自宅で披露してくれる。この場面の幸福なことといったら、ジョーの不倫も不誠実もすべて許してやっか、という気分になる。 あの世からお迎えに来た死の使いまでが美女と来たもんだ。F・マーキュリーばりにステージで輝いて、そして逝った。見事な人生でありました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-10-17 14:51:16)
162.  チョコレートドーナツ 《ネタバレ》 
人の心に棲む、偏見という悪意の手強さ。「なんなんだ」と観ている間、この思いがずっと離れなかった。いや、裁判所の判事がゲイのカップルに子供を預ける事例に慎重になるのは分かるよ。子供は男の子で、ダウン症で、もしや性的虐待を受けてしまうかもしれないと。だからこそ、彼らを知る人間に証言をしてもらうのでしょ。学校の先生も、事情を精査した調査員も二人が保護者として適格であると証言したのに。にも関わらず保護を認めない。なんなんだ。説明しろ。 極めつけはかつての部下に嫌がらせをしにわざわざご登場の元上司だ。なんなんだ、あんた。法を乱用してまで彼らの主張を折りたいのか。底冷えするような意地の悪さだ。偏見という醜悪さがもろに出ている顔。鏡を見ろ。 とまあ ひとしきり憤慨し、血圧が下がったらつくづくマルコが哀れで涙が出た。こんな問題は今でも山積みだ。でも救いが無いわけではない。二人の愛の形は本物で限りなく優しかった。愛が確実に存在した、その偉大さに心が和らぐ映画でもある。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-10-05 00:04:50)(良:2票)
163.  ブルージャスミン 《ネタバレ》 
そうと自覚の無い愚かな人は、他者を苛々させるものだ。ジャスミンの自意識はとてつもなく高いプライドと見栄でできていて、「完璧な人生を生きるべき自分」に一片の疑いも持たない愚かな人だ。都合の悪いことには見て見ぬふりで先送り。確かに彼女は犯罪者ではないし、悪人ではない。だけど他人の人生を上から目線で否定する傲慢さ、良い人間でもないだろう。 上手いなあ、と思ったアレン演出はオープニングと、妹のキャラクター設定。 旧知の叔母らしき老婦人とファーストクラスで旅行中のジャスミン。ずっと語りっぱなしだけど、これは観客への状況説明なのかと思いきや なんと老婦人は辟易した顔で迎えに来た家族の元へさっさと向かうのだ。えーっ、他人だったんかーい、と客は驚き、初対面の相手にだらだらと自慢話をするジャスミンという女の人間性を一発で理解するのだ。 ジャスミンと対比の妹、これがまた絶妙に彼女と逆ベクトルの描かれ方なんですな。垢抜けない髪型、服装、バツ一、子供あり、スーパーのパート、と設定に抜かりない。ジャスミンが馬鹿にして止まない生活レベルなのだけど、彼女は姉のように自己承認欲求に心が縛られていないので、のびのびとして自由だ。感心なことに、ラストのけんか別れまで一度も姉のことを悪く言わなかった。 金は無くとも、人生をそこそこ楽しみ受け入れる妹、かたや酒と安定剤に頼りながらセレブ生活にしがみつく姉。 私はジャスミンが好きではない。やることなすことイタくて不愉快だ。だけど見栄をはってつい誇張するくらいのことは、誰でもやるだろう。「愚か」というだけでこんなに悲惨な結末を迎えるとは、震え上がってしまった。アレン怖いなあ。 ジャスミンを100%理解して演じたC・ブランシェットが凄い。充血した上目使いで自分の妄言に取り憑かれている彼女から目が話せない100分でありました。
[DVD(字幕)] 8点(2015-08-16 01:00:57)(良:1票)
164.  狩人の夜 《ネタバレ》 
古いながら、独特の感性を持つサスペンスです。このセンスは当時としては先鋭的すぎたのでしょうか、評価が今ひとつだったというのは意外です。 幼気な子供が邪悪な大人と対決しなければならなくなる。しかも周囲の大人たちは頼りにならないというプリミティブな恐怖はサスペンスの王道と言いましょうか、作中でも名の出る「青ひげ」この名作を読んだ時の芯から震えが来るような、純然たる”怖い”という感情を思い起こさせました。 モノクロがその効果をいかんなく発揮している映像美もまた特異で、目の奥に強い印象を残します。水草のように揺れる母シュリーの髪、遠くに認める殺人鬼の黒いシルエットは絵画のよう。庭に忽然と、ぽつりとそこにいる殺人者。その存在の異様さ。 まるで暗号のように聖書の教えが作中あちこちに流れます。キリスト教の観点からの道徳を説いているのかと解釈しながら観ていたのですが、ラストでは村人たちが掌を返したようなリンチ寸前の暴動で、その寛容の無さを丸出しにしています。リリアン・ギッシュも辟易して避けて通るほどの。いやなんというか、ひとクセもふたクセもある、どこまで奥行きがあるのかわからないお話でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-07-20 00:19:55)
165.  パンチドランク・ラブ 《ネタバレ》 
ああなんてシュール。序盤から道に転がり出るピアノ。しかもこの楽器、最後まで引き取り手も現われず何かの事件のきっかけにもならんという不思議な存在。何を言わんとしているのか分かる方、教えてください。 7人ものモンスターシスターズに自律神経をやられちゃってるA・サンドラーのやや瞳孔開き気味の面構えと、何故その色を?と誰もが思う真っ青のスーツとか、この妙な感性がツボにはまるかがミソ。 私はとても面白かった。こういう作品は脇もシブイ。ルイス・ガスマンとP・S・ホフマンですもん、すばらしい。ガスマンがあの顔で画面中央に陣取るあの場面、なんでまた彼女がアダムを食事に誘っているとこにあの配置。思い出すだけで笑える。執念全開のアダムが散髪中のホフマンと対峙するシーンなど、馬鹿馬鹿しくも勇ましい。こんなけち臭い役を(おそらく友情で)引き受けるホフマン、人間がでかい。 さえない人生を送っている男に、母性あふれる彼女が降ってわく。なんか男性にとってはおとぎ話みたいな展開だ。破壊衝動と、マイレージがたまるプリンの山が背景のおとぎ話。シュールでキュートなこんな傑作を、この監督以外、誰に撮れようか?
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-07-06 00:05:40)
166.  エイリアン2
エイリアンの一作目は私にとって別格だ。何度観たか分からない。そして二作目も好きだ。エイリアンの全体像が良く見えるから、という理由ではない。前作を上回るべく、物量作戦でいこう、という潔さが成功しているからだ。ヤツらの数もねばねばの粘着度も性質のひつこさも増している。一作目は ああどうしよう、と手に汗握りながらきょろきょろしつつ逃げる。二作目は半泣き絶叫で猛ダッシュだ。素晴らしく良くできた続編だ。 庭でせっせと雑草を取る。狭い範囲の視野からふと頭を上げて周りを見回すと、それはもうおびただしいスギナやらハコベやらに取り囲まれていることに気付く。こんな時いつも脳内でシンクロするのは、2のクライマックスにて巨大巣に入り込んだことに気がつくリプリー、あの場面。しゅんしゅんしゅんと効果音が静かーに響き、ワタシもゆっくりと首を回しておもむろに火炎放射器をぶっ放す、というわけにもいかず、またこつこつと作業を再開するわけだが。つまんないこと言ってすいません。
[DVD(字幕)] 8点(2015-06-25 00:04:00)(笑:1票)
167.  猿の惑星
この名作を評することほどワタシにとって困難なことはない。何しろ、あの衝撃のラストの情報が先に入ってしまっていたという不遇をかこったし、初見の頃にはすでに技術が進んでいて、あのおサルさんたちの特殊メイクが目に痛かったということもある。「わあ、ヘンなの」と感じた子供時代を過ぎて最近ではドンキの宴会用コーナーのかぶり物にすら見える。つらい。 その抜きん出た発想と、信念の通った熱い脚本。色褪せることを知らない音楽。不気味なカカシのシーンは異星の得体の知れなさを心底感じさせたし、なんといってもラストの真実を明かす際のカメラ。画面に入ってくるギザギザ。 ああー、封切当時にこの驚きを味わえていたなら。サルが嫌いでなかったら。映画雑誌なんか読まなかったら。・・ともう、ハンカチでも噛みしめたくなるほどの悔しさに見舞われてしまうのだ。 68年に観ていたら10点以外考えられないだろう。今、観ての正直な採点で。
[地上波(吹替)] 8点(2015-04-21 00:27:55)(良:1票)
168.  25年目の弦楽四重奏 《ネタバレ》 
クラシック演奏家と聞くと、そのアカデミックな威光にハハー、と畏れ入ってしまうクラシックオンチなワタシである。しかし芸術畑もまた人間社会なのだなあと感じ入る一本でありました。 カルテットの一人が引退を表明したことから連鎖のように噴出する人間関係のわだかまり。それは凡庸な生活を送るワタシらとなんら変わることがないわけで、まるで同級生の熟年トラブルを聞いているようだ。 人間関係というのは微妙なバランスで保たれているもので、たとえ25年という月日を抱えてきたものでも、ちょっとしたきっかけでガラガラといってしまうのね。第二奏者の、第一奏者への屈折した思い、父と慕うチェリストの病にショックを受けるジュリエットには夫の不倫という追い討ち。その娘の秋波にまんまとやられてストイックの仮面が剥がれるダニエル。 私が思うに、若いアレックスが最も良くない。ダニエルに取り入ったのは母への当て付け気分が七割ほどと感じる。ころりといったダニエルが気の毒だ。ピーターにも「恥を知れ」ともっともな説教をされちゃったじゃないか。おじさんなのに。 メンバー間が不穏な中、一人弦を置く孤高の音楽家C・ウォーケンの静かで覚悟の伝わる演技が見事。個人的に好きなホフマンはついてない役どころで(たいていそうね)可哀相だなあ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-04-12 01:03:11)(良:1票)
169.  ミッドナイト・イン・パリ 《ネタバレ》 
街そのものがファンタジーとなり得る、それは世界中探してもパリほどふさわしい場所は無いと思っちゃう。なんとしっとりと美しい芸術賛歌な街であることか。都市のかたちと建造物の圧倒的な美。悔しいなあ。 そこに繰り広がる人間ドラマの配役も実に絶妙。パリの盲目的信者の作家に典型的なアメリカン娘である婚約者。その父はバリバリの共和党支持者で 知識人を鼻にかけるうっとうしい知人も登場。ヨーロピアン的な情緒とアメリカンなざっくり文化との対比がくっきり現われて面白い。 過去の偉人たちに薫陶を受けて、そのうえで現実へと戻ることを選択する結末は人生の円熟期に入ったアレンの出した結論のように思えて興味深い。 非現実のファンタジーに心を酔わせるプロットは「カイロの紫のバラ」にも似るけど、なんだか苦味ばかりが残る30年前の作に比べると 今作はずっと優しく前向きで、監督自身が円みを増したかのようで私はこちらの方が大好きだ。
[DVD(字幕)] 8点(2015-03-23 00:12:03)(良:1票)
170.  アパートの鍵貸します 《ネタバレ》 
ワイルダーの鮮やかな脚本が織り成す、キュートで洗練された至高の一品。こういう映画があるから、ハリウッドは世界一の映画の都なんだなあとまで思います。 各場面が次への伏線となって小気味良く展開するリズム感。J・レモンの好ましさ。けっこうみっともない役柄であるのに、この人が演じると品下れない。S・マクレーンが心ここにあらず、の横でせっせとカードの点数をつけ、彼女が早まったことをしないよう外したカミソリの刃を忘れて髭をそる。オジサンに使うには形容詞が違うかもだけど、愛らしいとも感じられる彼の魅力を最大限引き出したのも脚本の力でありましょう。 意地悪に配役された連中も、皆どことなく心底悪人ではなくて、こういうキャラ設定にもワイルダーの人間愛を感じてしまいます。心和むラストです。
[ビデオ(字幕)] 8点(2014-12-30 01:18:44)
171.  インターステラー 《ネタバレ》 
うわあ、映画にはこうも圧倒的な想像力が活きる場がまだあったのだね。その壮大さ、イマジネーションの途方も無さ。所々思考がついてゆけない、という点も含めてかの“2001年宇宙の旅”に印象が似ている。とても私ごときの知能指数では考えつかないような世界観に「なんかすげえもん観た」、というのが率直なところ。 人類が新たな地点にたどり着くラストはSFにこうであってほしい、と思う幸福なものだし、TARSがチャーミングではありませんか。もはやロボットは人間型である必要が無いのだね。ユーモアを備えたプチトランスフォーマーのようなこの子が復活したのも嬉しかった。
[映画館(字幕)] 8点(2014-12-25 00:00:25)
172.  アンノウン(2011) 《ネタバレ》 
とても面白かった。?がいっぱいでわくわくしましたね。類似作品を観ていなかった我が幸運を思います。 この雰囲気、この映像。サスペンスの舞台に雪降るベルリンはもう最適。青みがかった病室、モノクロの写真展、そこに一点映えるJ・ジョーンズの金髪。苦虫顔のL・ニーソンに憂い顔美人のD・クルーガー、そして重鎮B・ガンツまでが揃ったら軽薄になりようがないのだけども。  新旧の老スパイ同士の対峙する場面は、ストーリー上は横線ながらこの映画の見所の一つと言っていいほどの緊迫感があります。少しずつ表情を変えてゆく二人の男のせめぎあい、静かながら龍虎相搏つといった趣。ここシビれましたねえ。 マーティンの、記憶が戻ったあとの豹変ぶりはちょっと強引だけど(元仲間にしてみればとんだ裏切りですよね)それでもたくさん楽しめたので、私的にはそこはスルーしようと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-11-05 23:59:57)
173.  ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い
いやー、笑った。私は女なのでバチェラーパーティに参加できる要件を満たしていないけれど、そういうのにつきものの下品さをひっくるめても面白かった。 次から次へとよくもまあこんなに考えついたもんだ、と感心する非日常な出来事がノンストップ。ほとんどスペクタクルと言っていいような怒涛の展開だけど、その内容が実にしょーもない、というアンビバレンツな面白さ。とっ散らかった案件を、全て見事につなげてエンドロールと共に流れる救いの無いデジカメショットの数々。いやあ、粋なセンスしてるじゃありませんか、この脚本。 他人の失敗談というのは面白いと相場が決まってますが、こうも大ばかで身につまされないハッピーエンドな話は、爽快感すら漂います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-10-13 23:59:46)(良:1票)
174.  メタルヘッド 《ネタバレ》 
ヘッシャー、もうコイツの素行ときたら器物損壊、押し込み居候、身体には中学生レベルの落書きイレズミ、と100%どチンピラな奴。ニヤついた目つきで考えが読めない、というJ・G・レヴィットの名演もあって、コイツをどう評価すべきか中盤まではとても困る。 だけど、傍目にはもの凄く見えづらいけれど、ヘッシャーには極めてまっとうな部分があって、それは一家族を再生させるに足る力があるのだった。 「年寄りの言うこと」と、親父と孫はばあちゃんの言うことを完全にスルーする。彼女の話をマトモに聞いてたのはヘッシャーだけだった。下品で笑えない若者ジョークをなぞなぞにしたって、具合の悪いばあちゃんにウケるわけないだろうが。でもこれがコイツにできる精一杯の励まし。あの日約束どおり早起きして、シリアルを二人分乱暴に作って散歩の迎えに行ったのもヘッシャーだった。 棺おけを押して街中をゆく三人の姿を泣かずに観られようか。 TJと父親の心が再び立ち上がるのが分かる名場面だ。 J・G・レヴィットはもちろん、美貌が邪魔にならないように地味に脇を固めたN・ポートマンも、往年の名優P・ローリーも素晴らしい。そしてエンドロールはとてもひどい。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-10-12 00:10:41)
175.  ゼロ・グラビティ 《ネタバレ》 
“映画を観る”という行為において、これまでに必要としてきた見る・聴く・考える、といった感覚のほかに、運動神経まで使わなくてはいけないという全く新しい体験をした。G・クルーニーとS・ブロックと共に宇宙に、無重力空間に投げ出されたワタシ。映画感で観てたら宇宙酔いしただろう。もの凄い映像技術だ。 圧倒されるのは、眼前に繰り広がる光景だけでなく、“常に絶体絶命”のシチュエーションによりもたらされる著しい緊迫感。ああー苦しい、息苦しい~~で90分が過ぎ、登場人物がわずか二人だけだった、ということにエンドロールでやっと気付く。はあはあ。 恐ろしくて、生き延びるのに必死で、正直サンドラの幼くして亡くなった娘さんのエピソードとか、咀嚼するような余裕はありませんでした、はい。
[DVD(字幕)] 8点(2014-09-20 23:09:46)(良:1票)
176.  ザ・フライ 《ネタバレ》 
グロくて気色悪くて、そして哀しい。あまりといえばあまりに酷い、愛が引き裂かれるお話。 余計な枝葉を落として、時間の経過とともに科学者の異変が加速する描写に絞り、ダイナミズム溢れるストーリー展開とG・デイビスの泣き顔。色白の肌に目も鼻も唇も赤くして衝撃と混乱に耐える表情。とても美しいと思った。いくら好きでも見た目が生理的に耐え難く変容したら、自分の心にすら手の施しようが無いだろう。なにしろハエに移行するその姿のおぞましさといったら当時の映像技術に賛辞すら送りたくなるほどだ。耳がぼろん、と取れる場面は失神もの。 しまいにはポッドと融合した化け物を撃ち、崩れ落ちるジーナ。肉片と血しぶきを悲恋にまぶすとは、もうさすがクローネンバーグ。
[ビデオ(字幕)] 8点(2014-08-26 00:25:50)(良:1票)
177.  ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 《ネタバレ》 
終盤に「え?」と思わされ、その意味を一晩かけて考えさせられた久々の深遠なる作品だった。そうか虎はパイが生きるため、神と折り合うために創造した殺人と肉食の象徴だったのか。「リチャード・パーカーがいなかったら、生きられなかった」とトラの存在を全肯定しつつ、他方で神の出現に怯えるトラはつまり彼本来の菜食主義に反する現在の食事情や、人を殺めたことへの罰を怖れているということ。苛酷な試練に引き裂かれそうな心のあわいで、パイは叫ぶ。「神よ、なぜトラを怯えさせるのですか」サバイバルと信仰のはざまで、ぎりぎりのところにいた嵐の時のパイ。そこに現われたのが夜間食肉の浮島、神がパイに与えた恩寵。この島が“本当の話”では何に当たるのか、私の想像は及ばなくて残念だ。 予告を見たときは、自分も周囲も「トラと漂流?そんなばかな」程度のリアクションだった。浅瀬と思って踏み入れたら思いがけず深くてとても驚いた。 幻想的で優美な映像は息を呑むほどで、映画感のスクリーンで観なかったことがとても悔やまれる。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-08-07 00:06:21)(良:1票)
178.  チャップリンの黄金狂時代
ちょび髭に山高帽とステッキの、“喜劇王”チャップリンの真骨頂ですね。のちの数多のコントの原型がずらりと並ぶ。今観ても笑う。自らのみすぼらしさを自虐的に扱ったり、女の子にすっぽかされたりといったビター・テイストもすでに存在している。 この映画の誕生からすでに一世紀近く経とうとしているんですね。100年前の人たちも、現在と同じ感覚で笑っていたんだなあと思うとなぜだかしみじみします。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-06-30 16:58:06)
179.  いとこのビニー 《ネタバレ》 
キャラクターの描き出し方がとても巧い映画だなあと思った。会話、服装の演出にセンスを感じる。マリサ・トメイの個性出しすぎのファッション!当時であっても肩パット大きすぎでしょ、という位の押しの強さ。ジョー・ペシは革ジャン一辺倒、ゆえに判事に怒られ、若者二人はいかにも貧乏学生風のアメカジ。人は服装から。ううむ巧い。 人物の会話もひとつひとつが印象的。学生とペシの初面会の時の誤解に基づくコント風一幕や、服装にしつこく言及する判事、特に蛇口の閉め方をめぐってのペシとマリサの口論には脱帽してしまった。あまりの斜め上の展開に呆気にとられつつ笑ってしまう場面だけれど、「会話」によっそれぞれがどういう人間か説明し尽くしていて、ここではペシもマリサもかなり弁が立つのね、と印象づけることに成功している。劇として高度な脚本だと思う。 だらだらと無能ぶりをさらしていたペシが後半怒涛の追い上げを見せるくだりは爽快。勢いでオスカーを取ったであろうマリサもお見事。 
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-06-30 16:45:28)(良:2票)
180.  明日に向って撃て! 《ネタバレ》 
この二人、考え浅くてまじめに働くことが嫌だっていう馬鹿野郎ですからね。P・ニューマンの人懐っこい笑顔と、レッドフォードの端整さが無ければこうまで人を魅了しないだろうなあ。刹那的な生き方とも言えるのに、筆致はあくまで軽やか。明るい旋律のrain dropsと、心が開放されるような大平原のショット。馬で駆け抜ける二人の、拘泥するものの無い生き方に憧れすら抱きます。アメリカンニューシネマの人物たる故、破天荒な人生の落とし前は即ち蜂の巣。悲劇的な幕切れではあるけど、画をとめて音のみ残したことと、直前の二人の会話のこの上なく気軽な感じが女々しい感傷を嫌っているようで、最後まで一本気なセンスの良さを感じる演出でありました。
[ビデオ(字幕)] 8点(2014-06-20 19:44:53)(良:1票)
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