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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 2517
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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1.  ゼロ・グラビティ 《ネタバレ》 
 子宮とか胎児とか(へその緒付き)生命の誕生とか、せっかくそういう事を得意気に書いてやろうと思ったのに、既に町山さんがパンフで書かれていてガッカリだ(笑)  なので違うアプローチ。   シリアスな物語であり、かつ短い上映時間の中に芸術性がきっちり折り込まれている映画なのですが(再生の物語をサンドラ姐さんが好演しております)、同時にアトラクション映画としても非常にポイントが高い作品になっています。   『宇宙戦争』でトライポッドの攻撃から車で逃げるシーンや『スター・ウォーズEP3』冒頭のコルサント上空の戦闘シーン、あるいは『クローバー・フィールド』の手持ちカメラが捉えた日常と非日常が完全に繋がったシーン、それらを更に超える映像的な高揚感がこの映画には溢れています。要は「それ一体どうなってるの?」ってすっごい長回しがあったりするわけで。   キュアロン監督の『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』でカメラが鏡の中の空間を出入りしたように、今作でもカメラは自在に動き回り、更に3Dと立体音響によってスクリーンと客席との隔たりを限りなく減らし観客を作品空間へと誘います。   91分間、座席にしがみついて目は画面に釘付け、それはもはや映画というカテゴリを超えてアトラクション感覚。実はお正月映画らしい見世物映画。   なので、なるべく大きなスクリーン、いい音響の劇場で見る事をお薦めします。いや、音響はいい悪いはともかく大ゲサなくらいウーファーぶいぶい言わせてるようなハコが好ましいです。そういう作りの映画なので。  「IMAXのいちばん前の席で見て正解!」(木場ですが。川崎のいちばん前はスクリーン近過ぎてお薦めできませぬ)みたいな、私のようなバカも大満足の逸品でございました。
[映画館(字幕)] 10点(2013-12-13 22:00:22)(良:2票)
2.  スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団 《ネタバレ》 
くだらねー! マトモなシーンがまるっきりない、最初から最後までロクでもないモンが連なってるだけの映画。ユニバーサルのロゴが荒いドット絵、ファミコンのPSG音源みたいな音楽で幕が開ける時点から、この映画ヤバいでしょって。でも、こっちの予想を上回ってメチャクチャ。頭の悪そうなバカロック青春映画が突如として対戦格闘映画へ転じる上にマサラ、カンフー、超能力乱れ飛び。どう見てもダメな主人公が何故か女にモテまくっててバンドやっててしかもとても強いっていう、リアリティの欠片もない、ダメなヤツの妄想が暴走してるだけの状態。テレビゲームがメインとなる大量のネタはひたすら同族に対するウケ狙いばかり(「今のSEはメジャー過ぎて逆になんだったか思い出せない・・・『マリオ』のコインじゃなくて、えーと、あ、『ソニック』のリングだ」みたいな事を考えてるうちにどんどん先に進んじゃう)。自分でもよくやる、人生をゲームに例えて(え?フツーやらない?ほら、経験値積んでそろそろレベル上がったかな?とか)、そこから何らかのメッセージを発信するかと思いきや、なんやの?1upしたのでやり直し可とか。最初から最後まで映画として物語やシーンやカットがちゃんと流れてはいません。『エンジェル・ウォーズ』もそうなのですが、行くところまで行っちゃった、抑えなんてまるで効いてないリビドー暴走映画。本当にダメな映画。で、そのダメさがぴったりフィットな人間にとっては限りなく甘美な世界である訳でね。『ソウルキャリバー』や『モータルコンバット』等のゲームだけでなく、昔のテレビ版『バットマン』から韓国映画やら中島哲也監督作品やら『(500)日のサマー』やら『マクロスF』あたりまでいっぱいのアレコレを思い出しちゃニヤニヤする、傍から見たらキモチ悪いだけな集団自慰映画。悪いっちゃ悪い。でも仕方ない。
[映画館(字幕)] 10点(2011-05-02 17:40:30)(良:2票)
3.  まぼろしの市街戦 《ネタバレ》 
この映画のレビューを書くの、5年以上迷い続け。だってLDを買って見た時の印象がどうしても子供の頃テレビで見て大好きになった、放映されるたびにワクワクしながら見た『まぼろしの市街戦』とは大きく違っていて、だけどLDの方が正式なカタチだし、テレビで見た映画はレビューしない方針だし、って。テレビ放映版だと間違いなく10点なのですが、LDで見た印象は8点、みたいな、それくらい吹き替えが与えたインパクトが大きかった映画でした。「戦争の狂気の下では精神病院に入っている人々の方がよっぽどマトモ」ってシニカルなコメディなのですが、結構重いんですよね、字幕&ノーカット状態で見ると。何故かアーティスティックな面が強調されるようでもあって。テレビ放映版の方がファンタジー的なコメディとしての色合いが強く感じられて、夢のような、その世界の住人になりたいと思うくらいに愛すべき楽しい人々の物語であったりして。街の人々の可笑しさもジェヌビエーブ・ブジョルド(ってのは『大地震』の頃の表記でしたっけかね?)の可憐さも、自分の中では吹き替えの上に成立してました、っていうのを、果たしてどう評価したらいいのやら。やはりここは例外的にテレビ放映吹き替え版を前提とした点数を付けるべきですか。日本の声優文化の素晴らしさもまた映画の愉しみの一つであるのは事実なのですから。
[地上波(吹替)] 10点(2009-03-28 20:29:52)
4.  僕らのミライへ逆回転 《ネタバレ》 
小学校のお楽しみ教室で演じたダンボールの怪獣ワールド。まだまだ小さなブルース・リー達。コタツの上に築かれた都市に巻き起こる大災害。なんで映画を見てるの? なんで映画が好きなの? その、忘れかけてた本当に基本中の基本の部分を思い出させてくれる映画でした。劇中のインチキでデタラメな映画達は、だけど映画が大好きで映画に対する愛を抱いていたら、爆笑と共に涙なくしては見られない世界。そこに容易に自分を見つけ出す事ができます。物語は時代に呑まれて消えてゆくものに対するノスタルジーが基本になってはいますが(『ゴーストバスターズ』のヒロインが、『エイリアン』の英雄が、悪役にならなければならない、その非情さをシニカルに描いたりして)、ジャック・ブラックのクドさも下品さをも内包して結果的に到達したのは今、この時代の『ニューシネマパラダイス』。私達は私達の『ニューシネマパラダイス』を獲得できた事を喜ぶべきなのでしょう。必見です。あ、いや、「必見です!!」くらい必見です!!
[映画館(字幕)] 10点(2008-10-29 20:27:01)(良:1票)
5.  ティム・バートンのコープスブライド 《ネタバレ》 
文句ありません。素晴らしい映像表現にウットリ。死者の花嫁が垣間見せるダークな美しさ、そして彼女が負った悲劇を存分に堪能させて頂きました。「チャーリーとチョコレート工場」で、いまひとつピンと来なかったモノがここにはありました。それは映像の完璧なコントロール。「チャリチョコ」の作り込まれた世界に垣間見えた現実に引き戻されるようなスキマ風、ここにはそれが入り込む余地などありません。アニメーションは1から10まで世界の総てを作ってゆかなければならないのですから。命ある者の世界と死者の世界のトーンが本来のイメージとは逆転している描き方、束縛と開放によって対比されてゆく物語の構造など、見るべきところは沢山あるのですが、何よりティム・バートンのダークな色調が純化されて表現されている映像こそがすべてのキモなのでした。もしかするとティム・バートン本人以上にこのアニメーション監督と美術監督はティム・バートンの色を理解しているのかもしれません。
[映画館(字幕)] 10点(2005-10-26 22:32:33)(良:1票)
6.  小さな恋のメロディ 《ネタバレ》 
中学生時代、土曜の雨の午後、ニュー東宝シネマのリバイバル上映、女子高生で溢れかえった中で埋もれて見た事を今でも思い出します。白黒の、メロディがダニエルの頬にキスをしているポスターを買って、家に帰ってそれを廊下で母に広げて見せた事も、母が「いいじゃない」って言った事も思い出します。そんな、映画本編だけでなくって、映画にまつわる思い出も何もかも全部、大切にしまっておきたい、そんな映画。子供の可能性を抑圧してしまうとか、大人の身勝手な良識の押し付けとか、とりあえずそんなのどうでもよくて。現実で考えたらあの後一体・・・とかもどうでもよくて。ときめきがあって、世界が広がって、そして未来が開けてる、それだけで十分なのです。
[映画館(字幕)] 10点(2003-11-22 15:03:48)(良:1票)
7.  いつか晴れた日に 《ネタバレ》 
本当に大好きな映画。すぐ感情移入モードに入ってしまう私はラストのエマ・トンプソンに、「良かったねぇ、本当に良かった」と、映画だって事も創作だって事も演技だって事も忘れて感動してました。アラン・リックマンの多彩さを知ったのも、この映画でした(『ダイ・ハード』のハンスとは全くの別人に見えました)。
[映画館(字幕)] 10点(2003-11-21 13:49:48)(良:1票)
8.  美女と野獣(2017) 《ネタバレ》 
 見始めてしばしは「アニメーション版の単なるベタ移植なら、実写映画にする必要は無いんじゃないかなぁ」と思ってました。ストーリー的に変わったところも無いし、曲も一緒だし、って。  それにエマ・ワトソンはベルのイメージとは違う気がしましたし(エマは永遠の少女みたいな印象で、それなりに成熟した感のあるベルに比べると幼いんじゃないかと)、野獣の顔がハンパに優しさを醸してる、野獣としてのシャープな凶暴さが足らないんじゃないかとも。   でも、映画が進むうちにどんどん惹き込まれていって。キャラクターやエピソードがそれぞれアニメーション版に忠実でありつつ、もっと踏み込んでいる、もっと深いところを探っている印象なんですよね。展開もアニメーション版に忠実であるがゆえの唐突さ、あっけなさがあったりはするのですが(ベル、あっさり野獣に心を開き過ぎ)、1つ1つの事柄にひと手間かけて奥行を与えている、丁寧な仕事してます、という感じで、それが更なる深い感動を生んで。  特に野獣とお城に住まう存在に対して更なる愛情を注いでいるように思え、それぞれのキャラクターが描くドラマが面白く、クライマックスの城に侵攻してきた村人達への反撃シーンの盛り上がりも更にエキサイティングで。  野獣はアニメーション版では正直なところ、ラストで人間に戻った時に「誰だよお前」って思ってしまったのですが、今回は目が一緒なので、ああ、野獣が人間に戻ったんだな、って流れを感じられました。そういうところは実写の強みですねぇ。  エマは、どうしてもハーマイオニーのイメージは拭う事ができませんが、色々な表情を見せて彼女ならではの魅力的なベルを創造していました。  そしてガストンは更にクズっぷりが増して。   美術は2014年のフランス版の退廃美も印象的で魅力的でしたが、こちらは王道の美しさといった風情。画面に溢れる色彩の情報量に目が眩みます。全体的に映像が暗めなのが少々残念。   観終わってみれば、オリジナルのアニメーション版の総てをバージョンアップしてみせました、という印象。これぞ『美女と野獣』なナンバーの晩餐会のシーンやダンスシーンはアニメーション版を超えたとは言い切れないものの、新しいナンバーの追加も含めて全体的に手を加えて厚みと奥行きが生まれています。クラシックとなりつつあるアニメーション版とは別に、今のテクノロジーで更新された実写版を心の底から楽しみました。これが今のディズニーの力なのだなぁ、って実感できる映画でした。
[映画館(字幕)] 9点(2017-04-21 20:55:03)(良:3票)
9.  キャロル(2015) 《ネタバレ》 
 車の窓越しのルーニー・マーラの表情から始まるこの映画、全編象徴的に世界を隔てるものが登場します。窓、車、家、部屋、扉、そしてカメラのファインダー。その内側の繊細で壊れ易い女達の世界と、外側から無神経に境界を踏み荒らし侵害する男という性と。   我がケイト・ブランシェット姐さま、瞳の演技だけで堂々の存在感。だけど視線の演技はルーニー・マーラも負けておりません。二人の揺らぐ視線がその儚げな愛を切なく綴ってゆきます。   ラスト、窓の奥の世界から飛び出したルーニーは男達に囲まれた世界で何も通さず真っ直ぐケイトを見つめます。真っ直ぐ見つめ返すケイト。そこにあるのは全てのフィルターを取り払った真実の愛なのかもしれません。
[映画館(字幕)] 9点(2016-04-08 20:05:56)
10.  ジャッジ・ドレッド(2012) 《ネタバレ》 
 「画面から低予算っぷりが滲んでいるけれど、閉鎖空間を舞台に全編をワンアイディアで通した意外と拾い物なSFアクション」という感じだと思うんですよね、普通に見ると。   でもコレ、3Dで見ると映画の価値がかなり大きく変わってくると思います。  これまで映画館で106本の3D映画を見てきましたが、3Dの視覚効果を直接アート表現に反映させた映画は『マダガスカル3』とこの映画だけ。アート作品な『夜のとばりの物語』ですら、3D技術自体はアートではなかったですからねぇ。   麻薬によってスローモーション化する世界、そこに割り込んでくるバイオレンス。その暴力のスローモーション空間が3Dによって立体的に構築され、飛び散る血と肉が、破壊が、ゆっくりと空間を満たしてゆきます。   更に鉛色の、血の匂いが立ち込める世界の中で異彩を放つように存在するルーキー。少年のようにも見えるヒロインの、その美しさが退廃した世界の中での希望のように金色に輝いていて。   退廃的な世界の中の暴力と美のアート、これを立体として空間的に見せた3D版は2Dで見るのとは別物と言っていいと思います。2D版はB級SFアクション映画としての印象が強くなるような感じ。   残念ながら日本では3D版ブルーレイが発売されず、3Dは輸入盤で見るしかないという事態に陥っており(その輸入盤もなんかあまり画質がよくない気がして)、映画館で3Dで見られた事は貴重な体験でした。   映画は、できれば旬を逃さないのがいちばん。
[映画館(字幕)] 9点(2014-02-28 22:28:06)(良:2票)
11.  ヒューゴの不思議な発明
物語やエピソードは必ずしもちゃんとした流れが作られておらず、例えば公安官から逃げて窓の外にぶら下がるシーンではハロルド・ロイドへのオマージュ以外の、物語的に次に繋がる有機的な展開を与えるような事がなかったりして、話としての弱さを感じたりもするのですが、この映画全体こそが仕掛けられた装置なのでは、と思います。これは「ハードウェアとしての映画」についての映画。人の手によって動かされ、与えられた役割を果たすオモチャや人形のゼンマイ、時計の歯車、汽車の車輪、そしてカメラと映写機のクランク。回転する装置よって紡ぎ出されてゆく世界。あの人形に象徴されるように、物体が人の想いを得る事で心を持つ。映画がただ作品=ソフトウェアとしてのみで完結している視点からは決して生まれ得ない、ちょっとフェティッシュな作品であると思います。この映画がプロの人々が選ぶアカデミー賞で作品賞にノミネートされた理由が判る気がします。観客は与えられたソフトウェアとしての作品に触れているのですが、撮影現場ではハードウェアに生命を吹き込んで初めて映画が動き出すのですから。アタマだけ、感覚や理屈や理論だけで映画が撮れる訳じゃないですもんね。物理的作用の賜物。特殊音響装置であるセンサラウンドがきっかけで映画を好きになった私なので、3DやCGというメリエスの精神の延長線上に存在しているギミックを駆使し、見世物装置としての視点から映画を捉えたこの作品には、とても心躍り、動かされるものがありました。
[映画館(字幕)] 9点(2012-04-08 14:20:13)(良:1票)
12.  宇宙人ポール 《ネタバレ》 
『スーパー8』よりも更にスピルバーグの血が濃い映画で、だけどアチラは昔の子供時代のノスタルジー、こちらは昔をひきずったまま大人になってる現在のイタい人のハナシ。冒頭のほんの数カットで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』から『ポルターガイスト』そして『未知との遭遇』!ってハマれる人間には間違いなくツボを押さえて来まくる映画です。この映画の情報を一切シャットアウトしていても、映画を見ていてポールがどこを目指しているのか(ワイオミングって言われたらねぇ)、黒幕の正体が誰なのか(この人しかいないでしょ?)はすぐに判ってしまって、その通りになる事に無上の喜びを得られるっていうのがとても幸せな事で。大量のレイア姫(しかもEP6のジャバに捉えられてる時の衣装!)や聖櫃が眠っている倉庫、クリンゴン語にオタク歓喜。だけど、それだけでいいんか?っていうのがこの映画でもあって。価値観が固まって停滞したところから先に進む事を示してみせるワケです。『けいおん!』に今更どハマリして、スタンプラリーで池袋から新宿そして渋谷に流れた末の映画館でこの映画を見てる自分の状態が、なんとも内容によくマッチしていて。まあ、だけどこの映画のメッセージは、それでいいから突き進め、って事だと理解するコトにしました。はい。
[映画館(字幕)] 9点(2011-12-18 21:31:28)
13.  英国王のスピーチ 《ネタバレ》 
キレイにバランスのとれた映画でした。風格を漂わせる映像と音楽を基本としつつ、随所に笑いが入って重くなり過ぎず、過不足のないドラマを散りばめて軽くなり過ぎず。身分の違う二人、定められた自分の運命を呪うよりも、呪縛から解放され、そこから自分の人生を歩み出す事が出来るのだと導いてゆく友情物語は、定番ながら流暢な語り口でサラリサラリと心地良く流れてゆきます。ちょっと庶民感覚に寄り過ぎな感じがあるにしても、吃音に象徴された王の孤独が解き放されてゆく過程はやはり感動的。二人の距離感を示すカメラワークなども教科書的(並んで歩いていた二人が離れてピントがボケて霧の中に霞んで、って)ではありますが効果的で。優等生的な役者の演技の魅力も含めて、全てが「やり過ぎず、過不足なく、きちっと作ってます」って映画でした。イギリス映画って事でダンブルドア校長とベラトリクスとワームテールが出ていて、『ハリー・ポッター』との違いっぷりを楽しんだりもして。ベラトリクスとワームテールは他映画でも共演してる事が多いですねぇ。
[映画館(字幕)] 9点(2011-02-28 08:06:32)
14.  ターミネーター4 《ネタバレ》 
『T2』はなかったことにしてちょうだい派としては、これが正解と言うか、これこそが1作目の続編、あるいは『T2』の後半部分であるべきだったと思うのです。審判の日を経て、廃墟と化した世界で繰り広げられる人間とマシンとの戦い、ジョンとカイルの出会い。絶望の中の仄かな希望を描いたペシミスティックな物語として成立していた1作目の先にあるのは、当然こういう世界でしょう、と。でも、ここに辿り着くまでが長かったですねぇ。語られるだけの世界ではなく、実際にデジタル技術を駆使して視覚化された、圧倒的スケールの生身の人間とメカとの戦闘、やっと本当に見たい『ターミネーター』の続きが見られたという感じがしました。だけど、そもそも元々円環の次元を描いていた世界なのに、『T2』の、いきなり別レール敷いてみました、って状態から生じた幾つもの矛盾、疑問、それを修復するのに『T3』という存在を噛まさなければならなかったという混迷した展開は、今更ながら、1作目だけで良かったんじゃない?という気持ちも一方で捨てきれなくもないですが。更にこれから先、まだ描くべき事があるの?という感じもありますしねぇ。まだカイルを送り出して以降の完全な未知の未来、戦いの結末がありますか。
[映画館(字幕)] 9点(2009-06-06 20:19:29)(良:1票)
15.  DOA/デッド・オア・アライブ(2006)
こんな『チャーリーズ・エンジェル』と『マッスルヒート』と『ストリートファイター』と木曜洋画劇場の『セクシーブロンド軍団』モノが怒涛の如くヘナヘナ~と腰砕けしながら押し寄せるような映画に望む事なんて「いかにバカか、いかにゆる~い娯楽を提供して貰えるか」って事だけなワケでございまして、そういった意味では本当に素晴らしい映画です。もう映画館の座席に座って心の中で「ぎゃ~!最高!」って感じでウケまくっておりました。ゲーム『DOA』シリーズの映画化として見てしまうと、いくらなんでもそりゃないでしょう、トホホ・・・ってなる事請け合いですが(ご丁寧に『DOAX』ネタまで入ってますけど)。一応ゲームを知ってる人向けに書いておくと、ヒトミとこころは出てきません。レイファンやジャン・リーあたりはめっちゃ脇役です。似てるのはザックとバースで、他のキャラは、どこをどう目を凝らしても元キャラには見えません。あやねやエレナ様、ハヤテに至っては悪夢のようです。その上、物語はハンパに元ネタに忠実だったりするのがタチ悪いです。でも、どう見ても霞のレイヤーにしか見えないデヴォン姉さんも、これはこれでステキですし(一応白、ピンク、青のコスがちゃんと出てきます)、アクションもCGも映像も意外なくらいに頑張ってます。適度にゆる~くて適度に楽しいアクションシーンが連続するのもまったり心地良し。一応日本人なハズの人達が「かすぅみぃ」「はやーて」って発音してるのはどうかと思いましたけど。アメリカじゃビデオスルーになってしまったくらいの映画ですから、良識派の方にはボロクソに貶して頂いた方がいっそ清々しいって感じですが、キワモノB級映画好きにはフルコースのご馳走映画。ただ、木曜洋画劇場で放映する際には(他の枠では考えられません・・・)『セクシーコスプレ美女軍団 燃えよ!怒りのダイナマイトボディアタック!!』みたいなタイトルにした方がよろしいかと。
[映画館(字幕)] 9点(2007-02-10 18:01:19)
16.  プライドと偏見
油ばっかりギトギトのファーストフードみたいな最近の電気紙芝居映画に食傷気味な私は「アタマも心もカラッカラだぜぇ」って状態でしたが、この作品は久々に映画を心から楽しむ嬉しさを感じ、いつまでも映画館の椅子に座り続けていたいと思いました。コスチュームものというと、それだけでゲンナリしちゃう私だけど、ジェーン・オースティン原作となると話は別。「他愛もないふた昔前の少女漫画の如き乙女の恋物語」ではありますが、何故か毎回身も心も委ねちゃう。しかも今回はテクニックが饒舌で、言葉と言葉、視線と視線の演技がするりするりと流れるカメラワークの中にきっちり織り込まれ、シネスコの額縁を駆使した風景が、さりげない仕草が、その背景にある人の心を溢んばかりに描出してゆき「これが『感情表現』ってヤツだよ、判る? ○○。」ってカンジ(色々問題あるので伏字)。「男は王子様たれ!」という乙女ちっくワールドの確固たる主張もまた、一つの正論であると思うのでした。それにしてもキーラ・ナイトレイのちょっと濃い目な美しさがまた、このベタベタな世界に綺麗にハマっているのですわぁ。「首が魅力的な女優さん」というのも珍しいです。
[映画館(字幕)] 9点(2006-01-16 22:46:04)(良:1票)
17.  スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー 《ネタバレ》 
あー、なんかもー絶対に判る人にしか判らない、でも判る人にとってはこの監督、バカでしょ、すっげーバカでしょっ、ってツッコまれちゃう(と言っても褒め言葉ですけど)映画ではありました。なんでまたジュード・ロウにしろグウィネスにしろ(まあ、アンジェリーナ・ジョリーはともかく)、こんなおバカ映画に出ちゃってますかぁ、とツッコミたいところですが、懐かしのレトロフューチャーでコテコテに彩られた世界にぴったりとハマっております。ソフトフォーカスの中で輝くグウィネスなんか、この人、こんなにキレイだったっけ?ってくらい。古き時代のアメリカ漫画映画をそのまま再現する、ブリキと手描きイラストで作られたような世界にうっとり。安易なアクションやスペクタクルの代用ではなくて、明確な美術を表現するために使われているCGは、デジタルの正しい使い方を示しているような気がします。一方で、ジュディー・ガーランドを背景にしちゃったり、『キング・コング』だったり『007』だったり、はたまた番地が1138だったりと節操のない映画バカっぷりを見せちゃってたりするあたりに、ミョーな親近感を覚えたり。古き良き時代の漫画映画を実写で再現した、ただそれだけの映画なので、最近のハリウッドの最先端娯楽映画を期待してしまうと激甘に感じてしまうかもしれませんが、私としては無条件に「最高のバカですね!」と褒めてあげたい映画でした。さて、あちこちで宮崎アニメの影響が取り沙汰されてしまっているこの映画、実はフライシャーのアニメが原点で、宮崎駿も同じフライシャーの影響を受けまくっているのよ、という事を知っておいて下さいませ。最近、日本のアニメのパクリ!というのが色々と問題視されておりますが、これも同一視されちゃうと、フライシャー兄弟が可哀想。
[映画館(字幕)] 9点(2004-11-27 20:49:26)(良:3票)
18.  ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 《ネタバレ》 
【激しくネタバレなのでご注意!】見る前はテンション低い状態だったんですけれど、見ているうちに、自分が『ハリー・ポッター』が大好きだった事、どんどん思い出してうるうるしてました。前2作は、『ハリー』の世界を映像化したら、この程度のモノなんだなぁ、って感覚しかなかったのですが、今回、やっと1本の映画としての魅力、映画としての『ハリー・ポッター』のアイディンティティを確立したんじゃないかな? 原作のエピソードが削られまくってますが、多くを盛り込んでダラけてたこれまでと違って、一つの大きな流れを形成していましたし、脇役をあえて切り捨てる事で、ドラマが明確になりました。実のところ、世間では評価の高いこの3作目の原作、私は、ハッピーエンドとは言えず、まとまりもイマイチなのであまり好きではなかったのですが、この映画は原作では感じられなかった魅力を得られました。特にクライマックスからエンディングにかけては、原作のモヤモヤした展開をハッキリ具体的な画として描く事で、説明不足を補っていたように思います。これまでのハリウッド的オモチャっぽさのない画風と、ジョン・ウィリアムズの、繰り返しを避け、独自性を出した音楽により、原作の地味目な舞台に新たに格調の高さを付加させた感じ。でも、監督が変わるだけで、こうも印象が変わってしまうと、一体クリス・コロンバスは何をやってたのさ、って感じがしてしまって・・・。それにしても、みんな大きくなってきてびっくり。特にネビル! もー別人みたいに成長しちゃって、「まあ! おじさんびっくりだわよ」ってカンジ。そうそう(もーコロコロ変更しててごめんなさい)、ハリーのアレ、どう見ても『タイタニック』のパロディにしか思えないんですが、唐突にどーしちゃったのさ、ハリーってば。
[映画館(字幕)] 9点(2004-06-19 18:59:02)(笑:1票) (良:1票)
19.  ストレイト・ストーリー
画面を流れるセンターライン、自動車事故!燃える家!リンチワールドっ!! でもダークな事は、なんにも起きません。のどかです。ゆったり、静かに流れてゆきます。人生の終盤にさしかかったおじいちゃんが旅に出て、その道程で人に親切にしたりされたり。おじいちゃんが辿った道は、おじいちゃんが生きてきた道。ドラマティックに駆け抜ける人生もあるけれど、ゆっくりのんびり進む人生もある、そんなおじいちゃんの姿が、じんわりと胸に染みてきます。心穏やかな、ほんわりとする映画でした。
[試写会(字幕)] 9点(2003-12-08 14:52:54)(良:1票)
20.  イングリッシュ・ペイシェント 《ネタバレ》 
長い時を刻んでゆく大自然の中の、ほんのひと時の瞬きのような物語。愛が生んだ悲劇もやがてはかすかな記憶の中へ流れてゆき、新しい人が新しい愛の物語を紡いでゆく。私は、この映画、長いとかなんとか、そういう感覚すらなくなってました。ずっと映画の中に入り込んで、映画の中に流れる時だけを感じていたみたいに。芸術品のような映画です。
[映画館(字幕)] 9点(2003-11-26 20:15:51)(良:2票)
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