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プロフィール
コメント数 2252
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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181.  闇金ウシジマくん Part2 《ネタバレ》 
ヤンキー愛沢に起因したトラブルと、ホストに貢いだ女の転落劇。原作未読(御免なさい立ち読みくらい)のため詳細は承知しませんが、単独では映画用エピソードとしては弱いので2つ纏めてボリュームを持たせた印象です。実は双方のお話は繋がっていました的な“上手い”仕掛けは無いものの、同時進行する性質の異なる2つのエピソードをバランス良く配した巧みな脚本術と感じました。今回、お見事だったのはメインゲストのキャラクター造形。門脇麦は純粋無垢で孤独な少女を好演しましたが、秀逸だったのは中尾明慶でしょう。馬鹿なオマケに極悪非道のクズ人間・愛沢は、本来嫌悪の対象でしかありません。彼がどんなに悲惨な目に会おうと知ったこっちゃないのです。ところが中尾演じる愛沢には、不思議な愛嬌がありました。中尾明慶個人が有する善人オーラとでも申しましょうか、これが極悪クズ設定のキャラと化学反応を起こしました。愛沢ならぬ“哀”沢とでも呼びたいようなトホホ感。彼のオトシマエに対して、多少なりとも同情を誘えた事で悲惨な結末に人情の味わいが加味されたと考えます。困窮者の弱みに付け込み法外な金利を貪る闇金と、違法と知りながら闇金を利用し堂々と「被害者」を名乗る債務者は、いわば持ちつ持たれつの共犯関係。貸す方が悪いのか借りる方が悪いのかって話です。双方とも犯罪者で間違いありませんが、社会のルールを破るのなら、その恩恵も放棄して欲しいとは思います。義務は果たさないのに、いざとなれば公権力やセーフティネットを頼る気満々の“善良な市民”ってのが、一番タチが悪い気がしますが。さて、闇金を利用するつもりが無い大多数の観客にとって『ウシジマくん』は、未知なるアナザーワールド。『スタートレック』感覚で、日常の隣にあるエグい世界を疑似体験してみるのも一興かと。悪趣味ですが、原作に比べれば相当にマイルドな劇場版第2作目でした。
[ブルーレイ(邦画)] 7点(2015-02-03 20:57:58)(良:2票)
182.  セントラル・ステーション 《ネタバレ》 
駅で代書屋を営むドーラ。ある事情から、母親を亡くした少年ジョズエを遥か遠方に住む父親のもとへ連れて行くことになります。ブラジルの社会や生活を感じられる心温まるロードムービーです。(以下ネタバレです)投函を依頼された手紙を破り捨てるドーラは善人とは言えません。しかし、手紙を棚へしまい込むところに良心の呵責が見て取れます。成り行きとはいえ、ジョズエと旅したことも同様です。代書屋として他人の人生を垣間見るうちに、また父との関係、孤独な生活の中で擦れてしまったであろうドーラの心。ジョズエとの旅で徐々に癒されていきます。旅の途中、今までなら捨てていた手紙を投函する場面や、ずっと自分の為の(言い訳としての)嘘ばかりついていたドーラが、ジョズエを思いやってつく嘘に心の変化が現れています。ラストで明らかになる事実、二つ並んだ手紙に、人生の機微を感じずにはいられません。ラストで記念写真を覗く2人の姿に自然と涙が溢れてきます。たまたま交差しただけのドーラとジョズエの人生。しかしそれは数多くの人生が行き交う「セントラルステーション」が生んだ小さな奇跡だったのではないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2006-05-11 17:54:18)(良:2票)
183.  脳男 《ネタバレ》 
生田斗真の相手役に、松雪泰子をキャスティングしたのがお見事でした。カウンセリングで対峙する2人。特徴的に鼻の高い両俳優の横顔は、実に画になります。まるで合わせ鏡のよう。感情が無い男と、感情を理性で封じ込めえる女。2人は外見だけでなく、内面にも共通点がありました。そんな2人が出会った事の効用。女医の涙はロボットの中に眠っていた感情の欠片を掘り起こしましたし、鈴木は女医の過ちを正しました。「善悪の基準を勝手につくって審判を下す権利なんか誰にも無いわ」女医の台詞は、彼女の理性が言わせている模範解答。でも感情は、また別モノです。それが女医自身を苦しめている事に、彼女自身気づいていません。理性と感情、果たしてどちらに従うのが正しいのでしょう。いやこの2つを切り離す事に無理があるのだと感じます。どちらも等しく大切なもの。女医最後のつぶやき「(あなたは)何処へ行くの」は鈴木だけでなく、彼女自身にも向けられていると感じました。一次救護に当る訳でもないのに、ただ「救急車を早く呼んで」と泣き叫ぶ医療関係者や、「死んでも償い切れない」と涙を浮かべる加害者は“うそ臭くって信用できない”が私の持論。案の定、化けの皮が剥がれ落ちる結末は腑に落ちましたが、後味はかなり悪いです。でも因果応報の原則は守られているので不快感は低め。暑いけど湿度は低い、寒いけど乾燥していない、そんな余韻を味わえました。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-12-30 18:55:00)(良:2票)
184.  いいかげん馬鹿 《ネタバレ》 
前作『馬鹿まるだし』と比べると、相当こなれた印象。岩下志麻の語りをベースに、丁寧に物語が進行します。ただ、人情喜劇としては正直面白味に欠けました。最大の要因は、ハナ肇の馬鹿っぷりの弱さ。シリーズ他作品と比べると明らかにパワー不足です。常識人といっていいくらい。やっぱりハナには無茶苦茶やって欲しかった。また、物語としてソツなくまとまっているのも逆効果。前作のある意味不細工さが、作品の魅力であった気がします。なお、ラジオドラマきっかけで、島が観光地化するエピソードについて。かつて自分の住む島でも全く同じ現象がありました。観光バブルで、浮き足立って設備投資。地に足が着かない事業の末路は、何処でも同じです。リアルに想像できて結構切なかったです。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2007-01-30 18:06:08)(良:2票)
185.  サボテン・ブラザース 《ネタバレ》 
特に感銘を受けたのは書き割りのシーンです。どんな作品でも、“作品の法則”(自然と観客が理解する決まり事)というのがあると思います。本作の場合、野外シーンは野外ロケ、室内シーンはきっちり作りこんだセットというのが法則だと思いました。ところが突如、野外シーンのはずなのに、一目でスタジオの書き割りと分かるセットが登場します。明らかに変なんです。書き割りで歌うアミーゴ。このバカさ加減にひと笑いします。と同時に“このセットは作り物なんですよ”という強いアピールを感じました。これが最後になって効いてきます。無法者を倒し、アミーゴが“作り物の正義の味方”から“本物の正義の味方”に変わる爽快なラストシーン。初めの作り物感が、より一層本物のヒーローになったときの感動につながります。3人のにやけた顔を観ているとこっちまでにやけてしまいます。あの踊り、あのキメポーズ最高です。本当にバカバカしい展開なのですが、素晴らしい。気持ちのよい映画をありがとう。
[DVD(字幕)] 8点(2006-06-20 18:20:44)(良:2票)
186.  CUBE 一度入ったら、最後 《ネタバレ》 
本作は、大流行したソリッドシチュエーションスリラーのパイオニア『CUBE』の日本版リメイク。『12人の怒れる男』に対する『12人の優しい日本人』と同じ日本人的価値観を持ち込んだ『和訳リメイク』と言えましょう。説明不足を補い、物語にテーマを与え、商業映画としての大衆性を担保しました。オリジナルが危険度MAXの投げっぱなしジャーマンならば、本作はきちんとクラッチが効いたジャーマンスープレックスホールド。映画として美しいのは本作の方だと思います。ただし、サスペンスの正義は『緊張感』にあり。粗削りで刺激強めのオリジナルと比較して物足りなさを感じるのも道理ですし、オリジナルという正解例がある以上、どんなリメイクも不正解に思えるのも当たり前です。しかし本作単独で評価するなら決して捨てたものではなく、きちんとオリジナルとは違うアプローチを試みたリメイクの姿勢は評価されるものと考えます。超激辛ラーメンは人目を引きますが、実際美味いのはちょい辛ラーメンの方だったりします。
[ブルーレイ(邦画)] 7点(2022-04-08 00:48:23)(良:2票)
187.  世界最速のインディアン 《ネタバレ》 
「レクター博士がバイクに乗って平原を疾走する」。本作について自分が持っていた知識はこの程度。でも鑑賞する動機には十分でした。風を切る爺さんの画が途方も無く魅力的に思えたから。ひとつのシチュエーション、一枚の画によってイマジネーションが広がりました。そういう空気を持っている映画は好きです。自分の夢を叶えるために、長旅を決める主人公。その決断までに劇中で要した時間は僅かです。しかし長い歳月、ずっと心に思い続けてきた夢。だから即断出来た。残された時間は長くない。今行動しなくては、夢は夢のまま終わってしまう。主人公の強い意志が伝わってきます。その決断には納得できました。彼と同じ境遇なら、誰もが同じような気持ちになると思います。でもほとんどの人は、現実の行動には至らないとも思います。失うものは目に見えるのに、得るものは定かではないから。勝ち目の薄い戦いに挑むのは、若者の専売特許だから。酸いも甘いも噛分けた老人が、自らの夢をまだ追える。それだけで元気が貰えます。羨ましいと思う。もっとも、残された時間の重みを知る老人だからこそ、決断できたのかもしれません。一歩間違えば死が待っている危険なレースに命を懸けられる理由も同じ。納得できる時間を使いたい。なるべく後悔が無いように。そういう時間を多く持てた人の人生は、きっと素晴らしい。良い結果が得られた人はベリーハッピー。そうでない人もハッピー。ですから、記録を塗り替えたこと以上に、あの場所までたどり着けたことに感動します。レースに参加できたことを喜びたい。沢山の良い出会い無くして、彼はあの場所に辿り着けなかった。インディアンに乗ることは叶わなかった。彼は人に恵まれました。半分は運です。でも、もう半分は彼の人徳ゆえ。主人公の人柄が幸運を呼び込んだのだと思います。人は一人で生きているのではない。多くの人の支えで生かされている。活かされている。旅は人生を端的に表しています。だから自分はロードムービーが好きなのだと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2007-09-25 18:41:10)(良:2票)
188.  決算!忠臣蔵 《ネタバレ》 
舞台が赤穂(兵庫県)ということで関西芸人が多数キャスティングされています(バリバリ関東芸人イメージの上島竜兵さんが兵庫出身とは知りませんでしたが)。彼らに期待されているのは、ネームバリューとネイティブな関西弁を操ること。コメディリリーフとしての役目は課されていません。芸人が大挙出演しているのに彼らが全然笑わせようとしないため、妙な違和感を覚えました。そうでなくとも、大笑いするタイプのコメディではなく、現代社会と対比させた風刺がメイン。言うならば苦笑い系喜劇です。純然な笑える喜劇を期待してみると肩透かしを食うかもしれません。勿論これはコメディとして不出来なのではなく、仕様の問題。カカオ80%チョコが大して甘くないのと同じです。討ち入りシーンも無ければ、吉良上野介に至ってはキャスティングもされていない異色の忠臣蔵でした。かつて『わんわん忠臣蔵』なんて映画もありましたが、手を変え品を変え、様々なアレンジが施されるのは、原作が長年日本人に愛されてきた証であります。もはや擦られ過ぎて原形が分からない気もしますが、これも『歴史に名を刻む』事の副作用のひとつでしょう。中村義洋監督のお金時代劇は『殿、利息でござる!』に次いで本作で2作目。これはもう3部作行きますね。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2020-11-20 20:27:37)(良:2票)
189.  プロメテウス
和食を食べたくて入った割烹が実は鰻屋だった、みたいな映画でした。確かに鰻も和食だし、そもそも鰻は大好物だし、ていうかこの蒲焼めっちゃ美味いし。流石老舗の味です。でも、何となく釈然としないんですね。何なんでしょう、この感じ。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-01-31 18:55:03)(笑:1票) (良:1票)
190.  悪の教典 《ネタバレ》 
壮絶極まる大虐殺の最中、山田孝之が女子高生のパンツの匂いを嗅いで「これは○○のか」なんてフザけた台詞を吐く映画の是非について、真剣に語るだけ馬鹿らしいというもの。悔しいけれど、それが三池監督の流儀。大した危機回避能力です。褒める気はありませんが、素直に凄いと思います。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-09-12 18:27:32)(笑:1票) (良:1票)
191.  主人公は僕だった 《ネタバレ》 
男の運命を小説家がなぞっているだけなのか、あるいは小説家が男の運命を握っているのか。そこが最重要ポイントと考えます。似ているようで大違い。真相は定かではありませんが、当事者2人の認識は後者で一致している“ように”見えます。それが本作の弱点だと思う。本当はそうじゃないはず。むしろ前者の感覚が強かった気がする。“抗えぬ運命”の存在を感じ取っていたからこそ、2人は悩んだ。でなきゃ狂信的な信者でもない限り、主人公がこの筋書きを甘んじて受け入れる道理がありません。子供を助けて自分も無傷の結末を望むのが当たり前です。小説家にしても、自己の創作欲を満足させるためだけで人一人殺せるはずがない。人でなしの小説家に、悲劇に酔った主人公という図式に見えてしまったのはマズイと思う。ギリギリの線で悲劇の運命を回避した感動も薄くなっています。小説家と主人公の関係性を観客へ的確に伝えなければ、本作は成立しないと思いました。(余談)ちなみに自分が主人公なら、宝くじで億万長者になる筋書きを小説家に要求してみます。当選金は折半で。でもこんな腹黒い事を考える時点で、きっと自分は助かりませんね(苦笑)
[DVD(字幕)] 6点(2008-03-25 18:26:54)(良:2票)
192.  マッドマックス 怒りのデス・ロード 《ネタバレ》 
観終えたのが夜中の2時過ぎ。あまりの濃さに、そして毒気に中てられ、鑑賞直後は満足度よりも疲労感が勝りました。体感は4時間超の大長編クラス。面白い映画でしたが、2度観ることは無いなと感じました。ところが、です。翌日も同時刻にブルーレイをセットしている自分がいました。フラッシュバックされるハイスパート・カーアクション。狂乱の世界観。それに伴う高揚感。視覚情報の洪水に脳はビックリ、聴覚情報の臨場感で心臓ガッチリ。異なる感覚機能を同時に刺激され続ける苦痛が、いつの間にか快楽に変わる恐怖。もはやドラッグの領域です。面白過ぎて映画館で続けて鑑賞した経験はありましたが(『キック・アス』)、同じ興奮を時間差で感じさせるとは、いやはや恐れ入りました。砂漠と水とガソリンと。暴力と狂気とスピードと。絶望と希望と虚しさと。物語を構築する要素は単純です。しかし純度と密度が生半可ではありません。実に見事な、やり過ぎアナーキーな、ウルトラ馬鹿映画でありました。リニューアル『マッド・マックス』は、“新世紀の『ベン・ハー』”でした。手回しオルゴール一つで蘇る記憶。瞬時に前作(正確には前々作)と繋がれるのは、映画ならではの素晴らしき流儀であり、シリーズ映画の強み。私は本作を猛烈断然支持します。注文を付けるとすれば、生理的に受け付け難い描写が1か所あった事、マックスの顔面拘束具を序盤で取ってしまった事。あの屈辱的かつ無様なビジュアルがあまりに“魅力的過ぎた”ゆえ、ずっと観ていたかったなあと。決着が付いた後で拘束具を外し「俺の名はマックスだ」なんて痺れる展開だったら、3夜連続鑑賞間違いなしでした。レイトショーがよく似合う映画だと思います。
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2016-05-20 19:59:47)(良:2票)
193.  カラフル(2010) 《ネタバレ》 
『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』等の演出、監督で高い評価を得てきた原恵一監督。完成されたパッケージを離れて挑んだオリジナル作品『河童のクゥと夏休み』は、“原恵一とは何者か”が垣間見える映画ではありましたが、一作品としての完成度は十分なものではなかったと考えます。そこで本作。原作本はあるそうですが、冒頭に上げたシリーズ作品と比べれば制約は無いに等しい。“原恵一色”がどれほど出せるものか、興味を持って拝見しました。まず気付いたのは、作画部分が改善されたこと。アクの薄いキャラクターデザインという点では変わらないものの、洗練された印象を受けました。また、『クゥ』ではある種の苦味として認知されたリアルな描写(例:血飛沫など)が、本作では物語と遊離することなく表現出来ていたように思います。感心したのは真がひろかをラブホから連れ去る場面。2人が息つくまで、実に20回近くカットを割ります。それは長い。しつこい程に。でも、この長さは主人公が現実から逃げた距離。ちゃんと意味があります。そしてこれが原映画のリズム。“原恵一アニメのかたち”を本作でしっかりと打ち出せたことは、素晴らしいと思います。メインキャストに非声優を起用しながらも、違和感なく仕上げたキャスティングセンスも評価させてください。みんなオカシクて当たり前。いろんな自分が居ていいんだ。自身を肯定することが、生きる力になる。良い映画でした。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-10-10 21:22:09)(良:2票)
194.  トゥルーマン・ショー 《ネタバレ》 
朝起きて、食事中に、移動中にも、お風呂の中でも、テレビは私達と共にあります。昨今話題の番組内容捏造を引き合いに出すまでもなく、私達のテレビメディアに対する依存体質は明らかです。それに刺激に対する欲求も強い。くだらない話題でも、テレビ各局右へならえ。そこに良識が存在するのか疑わしい。ゆえに荒唐無稽の設定ながら、本作は驚くほどのリアリティをもって自分の心を捉えました。人権を踏みにじる姿勢に嫌悪しつつも、テレビの前に釘付けになる自分を想像して震えました。自分を主人公に置き換えてみると、更に怖い。彼が絶望したであろうことは想像に難くありません。プライバシーが無かったのも大きい。でも本質的な問題は、“作られた人生を歩んでいたこと”にあると思います。しかしどうでしょう。主人公がトゥルーマンを演じさせられていたように、サラリーマンは“勤勉な”会社員を、母親は“優しい”お母さんを演じているとは言えないか。それに他者に影響されまくって人格を形成するのが人間。そこに他者の恣意的な要素は無かったか。考えれば考えるほど、トゥルーマンも自分も変わらないと思えてくるのです。だからこそ彼に同情し、絶望する。お前は自分の人生を歩いているのか、と問われているようで。トゥルーマンは視聴者に別れを告げ、スタジオを去ります。その一歩は、紛れも無く彼の一歩。ハッキリしているのは、自分の人生に責任を持つのは、自分しかいないということ。彼の後姿が眩しい。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2007-02-02 18:24:16)(良:2票)
195.  CUTIE HONEY キューティーハニー
ノリを楽しめるかどうか、センスが合うかどうか。本作のポイントはそこに尽きると思います。ハマる人はハマるであろう要素は感じられるものの、残念ながら自分はNOでした。基本的にダメだったのが、狙っているマンガっぽさ。話題の「ハニーメーション」も、その他のアクションシーンも、単に安っぽく見えてしまいました。コスチュームデザインもダサイと思います。でもそういう(自分が思う)不具合がむしろ本作のウリ。てっきり縫製が悪くて服のボタンが取れているのだと思ったら、「そういうデザインですから」と言われた時のような。仮にそれが言い訳だとしても、言い切られてしまうと黙るしかありません。同じようなことが、主演のサトエリと主題歌を歌う倖田さんにも言えそうです。(おっと、この話題を広げても得は無さそうなので、もう止めておきます。)でもでも本当はサトエリ大好きなんですよ。プロポーションは抜群。髪は長いし、声はカワイイし。完璧なフォローが終了したところで、仕事を選ばぬプロ根性を見せてくれた片桐はいりと、市川実日子のメガネ&スーツ姿に+1点でお願いします。
[DVD(邦画)] 5点(2007-07-26 18:27:40)(良:2票)
196.  おくりびと 《ネタバレ》 
たくし上げられたロングスリーブ。露になった腹部には、成熟した女の脂がごく薄く乗っている。ジーンズのフロントジッパーからは上品な色香漂う下着がのぞく。淡い水色に紫色の花刺繍だ。乳房を揉み拉かれ悦楽の笑みを湛える。乱れる髪。弾む息遣い。透き通るような白い肌が朱色に染まっていく。人妻は悩ましげに囁いた「こんなところで恥ずかしいよぉ…」こんな広末涼子。10点以外の点数が付けられようか(いや付けられるはずがない)反語
[DVD(邦画)] 6点(2009-05-21 18:54:38)(笑:2票)
197.  ジーン・ワルツ 《ネタバレ》 
シリアスなテーマゆえ、濱田マリや大杉漣を使ってコミカルな要素を付加したのは間違いではなかったと思います。ただ生命賛歌の主張が一面的で深みが無いため、やや軽薄な印象も受けました。体外受精も代理母も人工中絶も、やっている事に大差はない。それを曖昧にして堕胎を望む若い妊婦を説得したところで心に響きません。生命誕生において恣意的に科学技術が介入することの是非と多面性を、きちんと観客に意識させる必要があったと思います。本作最大の難点は、主軸となる代理母のエピソードが良くないことです。風吹のお腹の子が主人公の子と知りガッカリしました。もし彼女が産科制度改革を主張するつもりなら、代理母を利用した事実は公表しなければ筋が通らないし、隠蔽するなら、弱者たる“第三者のため”という最低限の大義名分は欲しい(赤ちゃんのためというのは詭弁です)。現行制度の中で必死に不妊治療をしている人たちが報われません。精子の取得方法も姑息でした。真実に気づきながら不問にする田辺の気も知れない。何のことはない。彼女は私利私欲でルールを破ったのです。そんな彼女の言葉だから、妊産婦受け入れ体制の持論についても値打ちを感じません。せっかく正しい事を言っているのに。マンパワー不足の現実を身を持って知った彼女が、前言を撤回する日は近いでしょう。やや厳しい論調になりましたが、飽くことなく最後まで観られたので出来が悪いとは思いません。ただシリアスとコミカルさは、もう少し高い次元で融合できると考えます。ところで菅野美穂。あれだけのルックスと演技力を兼揃えながら、いまいちブレイク出来ないのは何故なのか。本作を観て確信しました。以前から気にはなってはいたものの、あの鼻声はネック。ハナなのに。とくに講義のシーンはムズムズしました。治らないのかな。治らないなら、いや治ろうが治るまいが、俺が抱きしめてやる!…シリアスでありながらコミカルな文章を狙ったのですが失敗しました。エラそうなことを言ってすみませんでした。
[映画館(邦画)] 5点(2011-02-15 21:04:00)(笑:1票) (良:1票)
198.  アフタースクール 《ネタバレ》 
「なんか理科室の匂いがするな」。大泉が佐々木の車に乗り込んだときの台詞です。この言葉が本作の構造を言い表しています。アフタースクール=放課後。学校をとうに卒業したはずなのに、今なおどっぷり“学校漬け”の大人たち。そんな図式が見えてきます。理科室の匂いとは、みなさんご存知のとおり酢酸臭です。佐々木が根城にするアダルトショップにもご存知…じゃないかもしれませんが、独特のニオイがある。何となく似ている。どちらも実験資材が揃っていますしね(笑)。大人の視聴覚室に、大人のクラブ活動。それに生徒会長選挙ですか。よくよく日本人は学校が好きなよう。というより、学校も一般社会も変わらないということなのかもしれません。世間の荒波に揉まれて人は変わる。広い世界を知る。でも井の中の蛙が公園の池を見て、全てを分かった気になっているだけかもしれない。大人になるとは、どういうこと?私達は一体何を知っている?内田けんじ監督のシニカルな視線がイタ気持ち良いです。でも決して嫌らしくないのは、監督が人間を根本的に信用しているからじゃないかと思いました。本作も今までの作品同様、監督の人柄が窺える映画でした。決してトリッキーな脚本だけがウリの作品ではありません。でも、やっぱり上手い。緻密な脚本には相変わらず唸らされますが、キャスティングセンスがまた抜群です。特に田畑智子。あの顔じゃなきゃ、この役は務まらなかった。子供の頃から変わってないと思うもの。反芻すればするほど、味わいが増す作品だと思います。あえて欠点を探すなら、上手すぎてインパクトに欠けることでしょうか。「器用貧乏」と呼ばれないための魅力的な画作りを要望します。 贅沢ですみません。
[映画館(邦画)] 8点(2008-05-26 21:26:19)(良:2票)
199.  スマホを落としただけなのに 《ネタバレ》 
『セフレ』のホルダーを作れる男に憧れます。嘘。  後日談でも何でもありませんが、タイムリーにも先週末スマホを落としました。しかも旅先で。気付いた時には洋上で2時間半身動き取れず。そりゃあもう焦りました。それでも船に備え付けの100円公衆電話で利用停止依頼をしたり、位置情報を検索したり、心当たりの施設に連絡したりと、出来る範囲の対応が出来ました。公衆電話って有難い!皆様もスマホの紛失にはくれぐれもご注意ください。ちなみにスマホは無事戻ってまいりました。警察に届けてくれた方、本当に有難うございました!!
[DVD(邦画)] 5点(2019-05-20 21:25:17)(良:2票)
200.  グエムル/漢江の怪物 《ネタバレ》 
モンスター系パニック映画の常道を覆し、のっけからその姿を露にするグエムル。この登場シーンが秀逸です。橋桁にぶら下がる謎の物体。姿を見せることと正体を現すことは別。「何だアレ?」という疑問と同時に、生き物としての勘が自分に訴えかけます。何かヤバイものだ!序盤からのハイスパートでつかみはOK。娘の遺影を前にして泣き叫ぶ家族。涙を誘うシーンなのに笑えてしまう。シリアスにならざるを得ないお話なのに、あくまでも“娯楽作品”。クライマックスの決闘はもちろん、グエムルの巣から脱出を図るヒョンソなど、力が入る見せ場は多いです。それに多少強引な展開でも納得させられます。何故なら娯楽作品だから。でもラストには驚きました。本作の流れを考えれば、ヒョンソは助かって然るべき。だのに、こんなに悲しい結末にするなんて…。彼女の死は無駄ではなかった。それがせめてもの救いなのでしょう。でもやっぱり子供が死ぬのは切な過ぎる。こんなときに奇跡が起きなくてどうするの!それがフィクションの特権なのに!いや、後日談でナムジュが食卓にいないのは、長期入院しているヒョンソの付き添いをしているから、と考えることにしよう。物語の解釈は観客それぞれに委ねられている。それは観客に与えられた特権です。
[DVD(字幕)] 8点(2007-04-01 07:21:46)(良:2票)

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