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21.  ローズマリーの赤ちゃん 《ネタバレ》 
若い時に初鑑賞した時は、ラストにローズマリーが赤ん坊を殺すんじゃないか、と思ってビクビクしてた; 果物ナイフで刺したり、抱いたまま窓から飛び降りるとか…でも、そんな事はなくてほっとしたような拍子抜けしたような気分になった; ある程度大人になって、監督の生立ち等知って、他の怖さに気がついた。これは普通の善良な女性が「悪魔崇拝者」になる話じゃないだろうか? ユダヤ系の監督にとって某独裁者は悪魔に等しく、彼の支持者は「悪魔崇拝者」に見えただろう。 この映画の隣人達(悪魔崇拝者)は人間的にとても醜い。彼らに日常を破壊され心の平和も乱されるローズマリー。 しかし「悪魔崇拝者」達に最後まで罰は下されない。自分の妻を「どうぞ陵辱して下さい」と差し出した最低の夫にも。 唾をかけられるだけで俳優としての成功は揺るがない。100人中99人が「雪は黒い」と言う中で「雪は白い」と真実を言い通す事はとても大変だ。 周りから異端児とみなされ、叩かれる。 「●●●万歳!ユダヤ人を収容所に!」と周りが叫ぶ中、「迫害など許されない」と正しい事が言える勇気がある人はどれ程いるだろう? 前の彼女は、悪魔に穢されない為には命を絶たねばならなかった。最後にローズマリーは悪魔(子供)を受け入れる。 これは彼女が「悪魔崇拝者」になった瞬間であり、受け入れるという事は、彼女の心に悪魔が宿った事を意味しているのではないか? もう、不安に怯える事も苦しむ事もない。「苦しめる側」になったのだから…な、なんて怖い映画なんだ… 監督は私達に問いかけているのではないだろうか?あなたも心に悪魔を受け入れる日がくるかもしれない、と…
[DVD(字幕)] 7点(2009-12-12 00:34:17)(良:1票)
22.  天使と悪魔 《ネタバレ》 
原作を読書後に観賞。これって原作を知らない人にとって「説得力のない映画」じゃないでしょうか?多少の変更はやむを得ないとしても、大切な箇所を変えているのはちょっと…;原作ではカルメレンゴの背景がもっと重かった(最後も悲鳴一つあげなかったのに)彼の目的は「人々に奇跡を見せ信仰心を蘇らせる」でしたが、映画ではまるで「教皇になる為」みたいではないですか。爆発を命がけで回避させたとしても、枢機卿達が教皇に選ぶとは限らないのに…崇められたかったって事?その程度の事にこれだけの事件を仕込むか~?みたいな;あの演説も枢機卿達ではなく、世界に向けてだったからこそ意味がありました。ヴィットリアもただの研究員になっているから、ラングドンと行動させるのは無理がある。あの流れでは爆弾探しの方に協力が自然では?(原作では父が殺されたので、殺し屋を探すのは自然だった)彼女がいなくなると、男ばかりになって画面がむさ苦しくなるからかな~;にしても華のないヒロインでござった;他にいなかったんかい?タイトルの「天使と悪魔」は「誰の中にでも天使と悪魔がいる」と私は解釈しましたが、映画ではそれさえも希薄になっていたように感じました(まるで教皇が天使でカルメレンゴが悪魔みたいで…)教会側からクレームきたのかな~?見とれる程美しい大風呂敷ですが、包まれている中身が薄いんでダボついてますな~って感じでした;残念。
[DVD(字幕)] 6点(2010-05-24 13:13:17)(良:1票)
23.  ブーリン家の姉妹 《ネタバレ》 
「高級食材を使った高級料理なのにスパイスがイマイチ効いてない」って感じの映画でした。「タイタニック」みたく『史実を舞台設定にした愛憎ドラマ』なのですがドラマ部分が弱いのが残念。撮影、衣裳、役者は水準以上だからチープにはならないと思うので、もっとドロドロさせて欲しかった(ベッドシーンはいらんから;)映画の中ではアンが哀れでした。王を誘惑する時は自信満々だったのに、王妃になってからは常に脅えてかつての堂々とした彼女は見る影もない。結局、王妃キャサリンと同じ運命になるという残酷さ。後ろだてのない彼女は「離婚」ではなく「処刑」される。王妃だった期間は約1000日。男子を産んでも王が飽きれば同じ運命だったように感じる(あらゆる罪状においてアンは無実だった、という説も有るらしい)王は結婚を繰り返して梅毒の悪化で亡くなるんだから、さもありなん;アンの次に王妃になったジェーン・シーモアは世継ぎのエドワードを産んで亡くなる。エドワードは病弱で15才(多分;)で亡くなってしまう。初めに一瞬出てきた王妃キャサリンの娘メアリーが王位に就くが、父王の宗教改革を否定し、国教派300人あまりを処刑して「ブラッディーメアリー」と呼ばれる。その憎しみがこんな中で育っていったのかな~と考えると感慨深いものがある。もしかしたら、歴史性に頼り過ぎた映画なのかもしれません。史実をつきつめないなら、迷わず創作部分を思いきったものにしないと駄目じゃん。皆様おっしゃるように中途半端な印象。丁寧なのにパンチの足りない映画になってしまって惜しい感じ。
[DVD(字幕)] 6点(2010-04-02 10:19:55)(良:1票)
24.  エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事 《ネタバレ》 
サブタイトルのとおり、不倫の二人は最後まで関係を持ちません。そこが古典的というか現代では失われてしまった「奥深さ」でしょうか。 でも、やっぱり上流階級に生まれた人は最後までその階級から出られないというか出ようとしないんですよね。 上流階級の「決して本音を言わない優しい冷酷さ」は怖すぎ…; 最初からその上流階級の人望を「得られなかった」男性は離婚と再婚を果たした。 一方、その階級の人々から愛されていたニューランドは最後まで自分の心のままの人生を生きられなかった。 その対比がさりげなく描かれていましたが、結構、監督が言いたかったところってそこかもな~と思いました(ちょっと前に流行った本「嫌われる勇気」ってやつ?) さすがスコセッシ監督と思わせる美しい背景やセット、映像の色使いのセンスは素晴らしかった。 俳優さんで素晴らしかったのはなんといってもウィノラ・ライダー。 皆さんご指摘の通り、ミシェルは好きな女優さんですが、この役にはイマイチでしたか?; 「異端」の雰囲気はあったけど、それにふさわしい行動がなかったような気がします。 ケイト・ブランシェットみたいな女優さんがよかったのでは? 最後に「会わない」選択をしたのもニューランドならでは。やっぱり「枠」から出れないんですよね。 ほっとしたような淋しいような気がしましたが、この映画の結末にはふさわしい、と納得はしました。 良質な映画だけど、もう、ひとひねり欲しかったかな~と言ったところ。
[地上波(字幕)] 6点(2016-06-04 14:56:02)(良:1票)
25.  借りぐらしのアリエッティ 《ネタバレ》 
「私たちは未来の人たちから今の地球を借りている」そういう考えがありますが、それに似たテーマーなのかな~と思った。翔くんの「君たちは絶滅する~」の台詞はムカッとしましたが、病気の話で「ああ、自分のことか…」と分かる。67億人も人間はいるのに自分は数日後には死ぬ…その恐怖からでた言葉なんですね。ちゃんと謝るのはえらい。小人の気持ちも確かめずにキッチン取り替えは「おい…」と突っ込みたくなったが死ぬ前に何か残したかったのかもしれない。でも結局彼のした行為で小人は出ていく事になった。人間は好奇心の生き物だ。が、別の立場からみれば大迷惑なのだ。親切の押し売り、探究心はほどほどに。「触れない」思いやりや他人の尊厳をもっと大事にしようよ。そうすれば、もっと謙虚になれる気がする。それにしても、ジブリ作品っていつからか説教くさくなったな…
[地上波(邦画)] 5点(2011-12-17 14:13:12)(良:1票)
26.  セント・オブ・ウーマン/夢の香り 《ネタバレ》 
いやいや大人はこうあるべき!最後に歓喜の声をあげる生徒達が清々しい。彼等は誰が一番勇気ある行動を取っているか分っている。それが認められる世だと示してやらねば。でなければ「勇気より要領」と考えるようになってしまう。この話は「庇い合い」ではなく「魂の高潔」の話だと思う。問題の根本は校長の態度。学校は「教育」の場であって「裁判所」じゃないのよ。校長は判事じゃないのよ。教育者なら実行犯に「罪に問わないから名乗れ」など促すべき。生徒を脅すなんて卑劣な行為はやるべからず。三人組は本当にバカタレ。高潔さと勇気があれば、級友を救う為に「俺がやった」と名乗っただろう。イキってるだけの幼稚なガキ。チャーリーは「見てない」ではなく「言えない」と言った。どんな時も彼は嘘をついていない。フランクの言葉は「こんな子を学ばせてやってくれ。それが教育の筈だ」という懇願である。文句言うだけの大人と少し違う。正しいから皆が納得した。エロ話をよくしてたのは「死の覚悟」をしつつも生(性)にしがみついてた現れでしょうか。根っから「嫌な奴」じゃないのは姪の態度から分ります。パチーノの演技はさすが。過去が詳しく語られなくとも(全部長男主観)一番苦しんでいるのがガンガン伝わってきた。でも、彼に対等なクリスの演技が良かった。チャーリーは頭良いけど少し気が弱い。金持ち級友は好きじゃないけど羨ましかったり。迷っても純粋で聡明な17歳を自然に演じてた。出ている女性はみんな美人。香りも含めて誰がタイプか考えるのも面白いかな(笑)(シーモアが若くてびっくり!ランディはDr.コトーに見えちゃった;)
[DVD(吹替)] 7点(2009-12-16 15:07:42)(良:1票)
27.  娼婦ベロニカ 《ネタバレ》 
昔、そういう仕事をしている女性が「最中にいろいろ要求してくる客より、終わった後に金を払うのをしぶる客が一番嫌」と言っているのを聞いて「すごい、プロだな」と思いました。要するにベロニカはプロフェッショナルなのです。身体の関係を含めて男性に夢を与えるプロ。一流ハリウッド女優みたいなもの?最後に立った男性達は「ベロニカのファン」と言えるかも。この時代の女性は関係をもつ男性を選べない、という点では妻も娼婦も同じ。生活の為に複数の男性とベッドインするのが娼婦で、夫の専属娼婦が妻である。自由と安全の割合が少し違うだけ。妻達はそれが分からず娼婦を軽蔑したり羨望したりする。視野が狭い証拠であるが、妻はそんな女性が望まれる社会風潮なのだ。夫という盾がない娼婦は妻より「社会的弱者」である。社会の怒りや不満はいつも社会的弱者がはけ口にされてしまう。そういう部分を、もう少し掘り下げて欲しかったかな~最後の結末は「死罪になる」「誇りを捨て罪を認めて苦悩しながら生きる」なんて安易な結末より良かったです。あっけないかもしれないけど、敵があのヤサ男なので「あんたじゃ無理だったね~」と思えたりして;マルコの妻がナオミ・キャンベルですよね?若いな~幼妻だ。キャサリン・マコーマックの横顔が時々ジュディ・フォスターとダブリました。似てるような気が(?)
[DVD(字幕)] 6点(2010-05-24 13:10:25)(良:1票)
28.  モールス 《ネタバレ》 
実は全くの予備知識なしで鑑賞。リメイク版であることも知らずオリジナルも未見(それが吉だったようで) 当初はサスペンスものか悪魔系かと思いましたので意外性がありました。 アパートに引っ越してきた時、少女が男性の前を歩いているとこで、少女に支配権があると気づくべきでした。 全体的にもの悲しさが漂っていて、それが雪に閉ざされた世界とマッチしていました。 少女も少年も「誰にも必要とされていない」孤独を抱えている。 二人は共にあることで孤独から解放されるが、その未来は絶望的。 今、二人を結びつけているものは「恋と友情」かもしれないが、根っこは依存関係なので、いつか破綻する。 少女は少年が歳をとる事に、少年は少女が歳をとらない事に孤独を感じるようになっていくだろう。 しかし、他に行き場のない二人。絶望的な閉鎖感。 希望があるとすれば、少年がある程度大人になった時に、少女と同じになる可能性がある事でしょうか。かといって二人の孤独が癒されるのかは分かりませんが… ふと思ったのですが、少年の両親が画面に出ないのは、その両親の少年に対する「関心度」を表しているのかも。
[映画館(字幕)] 7点(2011-08-27 14:21:29)(良:1票)
29.  フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ 《ネタバレ》 
話題になっている小説、というので小説を読んでから観賞したのが良かったのか、私的には好印象。性癖の話が出てきますが、「性」に悩んだことがある人なら、結構、ぐっとくる映画なんではないでしょうか? ここまで極端でなくとも、普通の恋人同士でも「好きなんだけど性の相性が…」と悩む人もいるでしょう。「性」は「性格」と同じくらい大切だし。 「性」の不一致を普通の女の子がどう乗り越えるのか?その問題を普通に正面きって描いてみせたのは画期的だったかもしれません。 まあ、イケメン男のハーレークインっぷりは笑えましたが、内容がハードなのでソフトにする要素と考えれば許容範囲か?; 一方アナちゃんは可愛くていいですね~ちょっとあかぬけてないところが無防備っぽくていい。 処女だった彼女ですが、性に真剣に目覚めていく様は「少女→女」になっていく過程を見ているようで、応援したくなりました(契約交渉のシーンとか「フレーフレーアナちゃん」)でも、まだ「男を手玉に取る大人の女」にはほど遠い、といった感じが初々しくて良かったざんす(私しゃオヤジか;)
[DVD(字幕)] 7点(2016-12-19 22:45:09)(笑:1票)
30.  王になった男 《ネタバレ》 
王と瓜ふたつの人物の入れ替わり、というありふれた題材だろうとあなどっていたので予想以上の映画でびっくり。逆によくあるテーマをしっかりとした「観せる」映画にしてくれたと思う。役者の安定感も素晴らしく、簡単に王妃を恋に落ちたりする安っぽさもなく、ちゃんと品のある王宮映画になっている。他の方のレビューでもあったが「説明しすぎない」のが良い。ここはしっかりと観客を信用しているという映画陣の度量を感じる。最近の映画は説明しすぎ・言葉にしすぎだ。素晴らしい音楽を聴いて感動するシーンにおいて「みんな感動していた」なんて説明のセリフがあっては「観客を信用していない」ので野暮なんである(役者の演技も信用していない事になる)
[地上波(字幕)] 8点(2022-01-03 15:26:37)(良:1票)
31.  エクリプス/トワイライト・サーガ
バトルものっぽくなるかな~と心配でしたが、まったく杞憂。激甘ラブロマンスストーリー。トワイライト世界爆発で安心しました(笑) 単純な三角関係ではなく、ジェイコブ側には「人間としての生活のすべて」がかかっているから、ベラが揺れるのも当然かもしれない。 海外では大人気の小説だそうで、中だるみしそうな内容も小説通り撮ってます。これは正しい。 映画製作者は小説のファンが映画のファンである事をよく分かっている。 ふと思ったのですが、海外の吸血鬼ものとしては「吸血鬼を認めている点」で異色作じゃないでしょうか。 大抵、吸血鬼は「呪われた存在」で、愛する者は最後まで人間であり続ける。 これはキリスト教の影響もあると思う。 某ロックシンガーが「キリスト教が悪いと言っているのではない。が、キリスト教が常に正しいとされる(同性愛や中絶(レイプでも)を悪とする)世界に疑問をもつのだ」 と言っていました。 「キリスト教の否定=大人の作った社会への疑問」という意味ではロック的な作品かもしれない。だから若者に人気があるのかも?(そんな大仰なもんでもないか;) 確かにストーリーは少女マンガちっくだが、日本の少女マンガにありがちな幼稚さがないのが私は好きさv
[DVD(字幕)] 6点(2011-07-30 02:03:52)(良:1票)
32.  ミラーズ(2008) 《ネタバレ》 
鏡を題材にした他のホラー映画を観ていたので、これにも興味が沸いて観賞しました。「24」シリーズは知らないのでイメージ固定はなし。予備知識もなし。初めは火事で亡くなった方の亡霊の仕業かと思ってドキドキしてました。「あの名前の人が放火の真犯人?」なんて予測していたら精神病院の患者の少女。わ、悪い予感がするぞ…;すると「やっぱり」な展開に;あの鏡に映った黒焦げの亡霊はなんだったの?炎の幻覚が見えたのは?主人公が精神不安定なのは「信じてもらえず孤立無援で闘う」って伏線であるべきなのに、妻が信じた時点でそれにも意味無くなってるし;「家族を守る為」「すべて悪魔の仕業」とよくある辻褄合わせ(言い訳)の内容になってくる;修道院に訪れ、同行を拒否された時に「おお、一人で闘うのね!どうするんだろ?」ちょっと期待。が、銃を突き付けて無理矢理連行。思わず「あんたね~;」と突っ込む;結局「ご家族を守る為です」って椅子に座るなら、最初から自らの意志で修道院出た事にしてもよかったのでは?ラストのオチは結構怖かったけど「人を犠牲にしたむくいを受けた」という含みなのかな~?面白くはあるので、ハリウッド的ホラー映画を初観賞するにはいいかもしれません。それにしても、ハリウッドホラーには「美女はバスルームで殺され(襲われ)なければならない」って決まりでもあるのかな?エロ要素の為?;B級では無く、高いクオリティ目指して作るなら、まずはそのへんのマニュアル捨てるとこから始めた方がいい気がします;
[DVD(吹替)] 5点(2010-02-02 09:18:26)(良:1票)
33.  Mr.ブルックス 完璧なる殺人鬼 《ネタバレ》 
映画のレベルは高いと思います。脇も存在感のある役者で固め、カメラも演出も洗練されてて重厚な仕上がり。いろんな事が同時進行で進み、人物がからみあってきますが、破綻せずに進むのは脚本が良いのでしょう。観客の受けを狙った派手なシーンや無理矢理な進行で「そんなばかな…」と絶句させられる事もないので、現実的な恐さがありました。スミス君は小物感たっぷりでらしい最後でした。百戦錬磨の殺人鬼に適う訳ないのよ;見せる部分と見せない部分のサジ加減も良かった。娘が自分を殺すんではないか?と不安がるので、ブルックスは自分の父親を殺してるかもな…と思いました。12歳からマーシャルがいるし。「羊」は全然気づかなかったです;確かにラストは彷佛とさせますね。このシーン、私は違和感を覚えました。挑発するなんてブルックスらしくない気がして。でも、マーシャルが止めるにも関わらず娘の為に殺人を犯したり、スミス君を自ら殺したり。あの目を開ける瞬間はマーシャルではない「殺人鬼ブルックス」が生まれた時だとしたら、電話をかける行為も納得出来ます(ケヴン・コスナーは好きな役者ではないけど、やっぱり上手いわ~と思いました)思えばこの映画の最初の殺人から予兆はあったのかも。カーテンの確認してないし、デミも死体の配置がらしくないって言ってるし。「完璧」なマーシャルではないブルックスの殺人はいつか捕まりそうです。新しさはないけど「一流シェフが作った卵だけのプレーンオムレツ」って感じで美味しく味わえた映画でした。が、やっぱり量が少ないのがもの足りない;「他の料理も注文してね(続編見てね)」って事でしょうか?;一発入魂して欲しかったかな~;
[DVD(字幕)] 7点(2009-10-07 11:41:46)(良:1票)
34.  シルク(2007) 《ネタバレ》 
この作品のストーリーは簡単に言ってしまえば「青い鳥」。秘めた情熱に身を焦がし、求めるものを命がけで求めるが、実は家にあったのです。でもストーリーはさほど重要ではないと思う。行動の理由もいらない(忘れる)あれば下世話になったかもしれない。あの手紙の言葉通り「感じ」ればいい。誰一人として、醜い欲望に生きている人がいないのが、また美しい。「沈黙」が雄弁である、と気づいたのはちょっと大人になってからです。「沈黙の音楽」や「無い香りを聞く(ユリの庭)」これはそんな映画であると思う。いつも夫の帰りを待ち、話さない事に何も言わないエレーヌの気持ちがなかなか分からなかったけど、ラストの手紙で氷解しました。彼女も静かな情熱の炎を燃やしていたのだと。表に出さないからといって、冷静なのでも感情が乏しいのでもない。内に秘めた分だけ激しい時もある。手紙というのがまた良い。文字を書く、という行為はその人の体温を感じさせ、肉筆は間接的に「触れる」事になるから。メールなどの文字って結局「記号」だもんな~;艶がないのです;この映画はとにかく「間接的」に情熱を描いている。原の妻である自分が裏切る訳にはいかないので、日本の少女が別の女性を通じて彼と契りを交わした事やエレーヌの深い愛情もマダムを通して彼は知る。(米国映画あたりなら、命がけで日本にやってきた男と一夜過ごした少女が彼の子供を産む、なんて話になっていたかもしれない;それでは、あの美しさが台無しになる;)日本の役者さん達は皆すごかった。台詞も少ないのに、あの存在感と雰囲気を出せる俳優はそうざらにはいない。映像と音楽の美しさと、内に静かな情熱を燃やす登場人物に酔いしれました。
[DVD(吹替)] 8点(2009-07-31 00:31:06)(良:1票)
35.  ゴッドファーザー 《ネタバレ》 
子供の頃にチラ見したものをこの程ちゃんと鑑賞。残念ながら手放しの賞賛は出来ず。独特の映像美、俳優の存在感は素晴らしいが、共感も感情移入も出来にくかった。時代というものが大きいと思う。時代の象徴としてビトーとマイケルという二人のゴッドファーザーが描かれているように感じた。米国は今も昔も差別社会。イタリア系移民も家畜並の扱いをされてきた。昔の方が差別はひどく、冒頭の娘の暴行事件みたいなのは掃いて捨てる程あっただろう。その中で自分達の矜持と暮らしを守る為にマフィアに頼る。それ以外に選択肢はない時代があった(そういった背景をもっと感じさせて欲しかったかな)「殺人はいかん」と言い、息子を殺されても「平和協定を守る」と誓ったビトーはそんな時代に生まれた「守る為のゴッドファーザー」であった。が、時代は変わり「麻薬」も金になる、と手をだし、邪魔な者を次々と暗殺する「悪のマフィア」の時代がやってくる。マイケルはその時代の頂点に君臨したのだ。彼はどんな世界に生きても、手段を選ばず伸し上がる男に違いない。だからこそ「表」の舞台に立つべきだった。「裏」の世界で彼は容赦なく邪魔者を排除する。妻を欺き、義弟を殺し、義弟の子供の名付け親に平気でなれる。この映画は、今の時代にふさわしい「悪のゴッドファーザー」誕生の物語だと思う。そうならざる得なかった部分がもう少し欲しかった。マイケルが「皆を守る為」にやっている事が、結局は大切な人を苦しめているのだともっと強調して欲しかったと思う。「頂点の男の孤独と苦悩」と解釈するには、マイケルのやっている事がむごすぎる。
[DVD(吹替)] 4点(2009-09-17 16:49:54)(良:1票)
36.  エイリアン 《ネタバレ》 
小さい頃は恐ろしすぎてまともに観れなかったこの作品を1、2と続けて鑑賞する機会がありました。どちらも好きですが、1作目の芸術性の高さはすごい。スコット監督の映像センス。無駄のない脚本。ギーガーの造形美が見事に昇華されて「エイリアン」という世界観を作り出している。この作品を嫌いな人は「無機質感」が嫌なのではないだろうか?しかし、私はこの「無機質感」が「宇宙」という空気も重力も温度もない空間の非情さを肌に伝えているように思う。「エイリアン」が恐ろしいのは「殺される恐怖」ではなく「生命を侵略(凌辱)される恐怖」なんだと気づいた。そしてもしかしたらスコット監督は「エイリアン」を芸術作品として撮っているのではないか?とふと思った。アンドロイドの言葉いわく「完璧な生命体」として(2では完璧に「人類の敵」として描いていた)その生命力、環境への適応能力、良心の呵責も罪悪感もなく他の生命を侵していく。人間のレイプと違うのは「支配」の為ではなく、すべて「種の存続」の為であるという事。その純粋さ。恐ろしいが、その純粋さに皆は惹きつけられるのではないだろうか?だから、続編が次々と出来たのではないだろうか。なんにしても映画史に残る傑作であることは間違いない。この「エイリアン」を超える異星人キャラクターは今だ創られていないように思う。
[地上波(字幕)] 9点(2011-06-15 23:47:30)(良:1票)
37.  吉原炎上
「私はこの監督が嫌いだ」と、はっきり分かった作品。この監督は女の生き様を描く映画を撮っている印象があるが、その「女」というのはしょせん「男性が考える女」なんだなよ~エロにしても狂気にしてもイメージの域をでていない感じがして白けるんである(この監督父権主義じゃないだろうな~?)イメージで描くならはっきりとその路線で貫いてくれればいいものを、無理に「私は内面を描いてます」的な言い分が画面からにじみ出ているから始末が悪い。「男」を描くとイメージ先行なのがばれるから、あえて「女性」を描いているんだろうか?
[地上波(邦画)] 2点(2011-12-31 15:43:00)(良:1票)
38.  サイコ2 《ネタバレ》 
「サイコ」の続編、と聞いてあまり期待せずに観賞しましたが、どうして、どうして。見事な正統派続編で良作だったと思います。ノーマンは本当に治っているのか?女性は助かるのか?殺しているのは誰か?謎が不気味さに覆われた形で物語は進み、その緊迫感が怖いのなんの;幼い頃の話をするノーマンが哀れで可哀想でした。精神に異常をきたしたものは、それだけの理由がある。前作で真相を暴いた妹が、ノーマンばりの異常者に見えてゾッとしました。彼女も過去の傷からこうなったのでしょうか?「闇を見つめる時、闇もこちらを見つめている」の言葉を思いだしました。心理学的に言えば、精神不安定な犯罪者は、犯罪を犯した場所から離れなければならないそうです。ノーマンが最後にああなったのも、彼が「犯罪者」になった場所に戻ってきたからでしょう。あの呪われた「母のいる家」に。正気だった時のノーマンは孤独で自分の過去を自覚して辛そうでしたが、最後は解放されたかのようでした。「人間って他人を犠牲にしても、自分が楽になる方を選ぶんだな…」と痛切に思いました。それが一番恐ろしかったです。 正気を失った殺人鬼でいる間は自分の犯した罪と向き合わずにすむのだから。
[地上波(吹替)] 7点(2009-08-20 11:34:13)(良:1票)
39.  キャロル(2015) 《ネタバレ》 
ずっと気になっていた映画でしたが、やっと鑑賞。二人の女優の圧巻の演技力を見せつけられました。誰もが認める大女優のすごいオーラ。それに飲みこまれない若女優もすごい。激しいやりとりがある訳ではないのに「退屈」なんで感じることがまったくない。ギリギリまで削り取ったかのような脚本も、二人の女優の演技力があったればこそでしょう。いや~すごいわ… 男性で「フェロモン垂れ流した」みたいな表現をする事がありますが、キャロルはまさにそれでした。女性であんなに気品あふれる魅力フェロモンムンムンな方初めてみたわ。そりゃ若いテレーズはイチコロでしょう(あんな美しい妻は旦那も手放したくないでしょう) 途中まで「友情か愛情がわからない感じで最後までいくのかな?」と思っていましたが甘かったです。そんな中途半端な映画じゃございませんでした。美術も隙がなく久しぶりにクオリティの高い真の恋愛映画を観た気分です。
[DVD(字幕)] 9点(2019-09-07 22:04:58)(良:1票)
40.  ジョジョ・ラビット 《ネタバレ》 
久しぶりに素晴らしい映画を観賞したな~と思いました。ストーリー自体はよくあるものかもしれませんが、一人の少年の視線を通した「狂った時代」の残酷さを美しい映像と無駄のない脚本で丁寧に映像化していたと思います。「狂った時代」では命や日常がなんの理由も前触れもなく簡単に奪われていく。母親の死さえも。母親の息子に対する思いは「愛」と「恐怖」の混じった複雑なもの(愛する息子であると同時に、レジスタンである自分をいつ密告するか分からないナチなのですから)ですが、ヨハンソンは見事に演じていました。大尉の言動ですが、彼が同性愛者であった事を考えるとよく理解できると思いました。恋人はおそらく常に付き添っていた部下でしょう(羊飼いのシーンで示唆されていました)ナチス政権はユダヤ人の他に同性愛者や障害者も虐殺していました。大尉自身、自分を偽って生きる事を強要されていた一人だったのです。だから勇気をもってレジスタンス活動をしていたジョジョの母親を心の中で尊敬していたと思うのです。最後の戦いで恋人(部下)と死ぬ覚悟で挑むも、恋人だけが死んだのではないでしょうか。だから勇敢に戦って処刑された尊敬すべき女性の息子を命がけで助けたのだ、と思います。大人は子供を守るべきなのに、子供に平気で爆弾を付け、銃を渡すドイツ女性との違いを鮮明に感じました。最後にジョジョの親友が生きていて本当にほっとしました。
[映画館(字幕)] 8点(2020-02-02 11:55:23)(良:1票)

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