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プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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61.  パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド 《ネタバレ》 
簡単に言えば〝かたづける気もないのにとっ散らかして遊びました〟ってところでしょうか(興行の調子が良好なら延長して遊ぶつもりで散らかしまくったのかもしれませんが;)万人が楽しむものなのに複雑だし、そもそもディズニーがこんな殺伐としたもんを作っていいのか?(絞首刑のシーンから導入した時はビックリした)ってところです・・・でもまぁ、そんな事はどぉ~でもよくて、私にとって大問題なのはイカ(タコ?)の料理の仕方です。何もスルメや刺身にしろと言っているのではないのです。なぜ調理過程を見せてくれなかったのかと言いたいのです。もちろんグルメな話をしているわけではありません。クラーケンについて言及しているのです。他が天こ盛りで時間のかかる料理は避けたかったからかもしれませんし、好意的に見て2で度々出したので食べ飽きただろうと思ったからかもしれません。だけど、だけど私は楽しみにしていたのですよ、クラーケンを。「ペットを殺した」って何のこっちゃと思っていたらあんなかたちで登場とは…。まったくターナー親子並にビックリのご対面ですよ。でもそう言えば予告にクラーケンは出てなかったなぁ。退治シーンがあったら目玉でしょうからワンカットでも予告にはさみますね(泣)。ということで期待外れではあったんですけど、もちろん良いシーンもあるんですよ。巨大な渦での戦闘とか、そこでの結婚とか、ああいうのは面白いアイディアだし確かに凄いパワーを感じます。1と2を観た上で水しぶきがかかりそうな劇場で観たし何だかんだで楽しかったのでプラス1点。
[映画館(字幕)] 7点(2007-05-29 18:30:55)(良:2票)
62.  ブラック・スワン 《ネタバレ》 
「レスラー」のダーレン・アロノフスキー監督だということ以外、事前情報なしで見たので、てっきり「レスラー」のようなバレリーナ版の映画かと思っていたのですが、最初と最後以外はバレエとあまり関係なく、ナタリー・ポートマンがもっとキャーキャー叫んでいたら完全無欠のホラー映画になっていました。  例えば、いつだって何かが間違って映りやしないかと不安を煽る鏡の多さ、あるいはライバルやヴァンサン・カッセルよりも怖い魔女のような母親の住居。外よりも家の方が危険な予感がするほどで、ぬいぐるみが溢れる時間が静止した部屋は、まるで魔女に囚われている子羊の一室のようですし(故にラストの観客席で感極まった母親と舞台上の娘の目が合う瞬間はちょっと感動的だ)、ケーキを丸ごと捨ててしまおうとするシーンなどは特に怖く、良く出来たホラー映画だと思いますし、つまるところ単純でありふれたお話をよくここまで盛り上げたと思いますが・・・、最大の見せ場であるラストのバレエシーンにCGを多用したことは大いに不満が残ります。露骨なまでに目の色を変化させたり手を黒い翼に変化させ過剰に暗黒面のイメージを出そうとしていますが、これは裏を返せばポートマンの演技力を全く信じていないということです。  それからウィノナ・ライダーが枯れて登場した時、ミッキー・ロークやマリサ・トメイのように泣かせてくれるのかと思ったのですが、別の意味で泣けちゃうような役でした。
[映画館(字幕)] 6点(2011-06-07 18:49:14)(良:2票)
63.  スパイダーマン(2002) 《ネタバレ》 
この作品で最もお気に入りのシーンはMJが二度目に襲われる場面です。その直前にトビーとダンストが会話しているシーンでは雨など降っていないのに、別れてダンストが夜の路地裏に入り犯罪に遭遇した瞬間、当然の如くフィルム・ノワールばりにこれでもかと雨がジャンジャン降ってきて光り輝くわけです。そして雨が降りゃビショ濡れになるダンストはこれまた当然の如くタンクトップで胸をこれでもかと強調しているわけです。さらにさらにトビーの顔は暗闇ではっきりとは確認できず、スパイダーマンならではの宙吊りアクロバスティック・キスで締めてしまうときてるのです。サム・ライミ監督はこのシーンを最も撮りたかったのではないかと思うほどで、この場面には本作の様々な要素が凝縮されていると思います。
[DVD(字幕)] 7点(2008-07-04 18:27:58)(良:2票)
64.  運動靴と赤い金魚 《ネタバレ》 
デ・シーカ監督は自転車だけで「自転車泥棒」を撮りましたが、本作もたった一つの物〝靴〟だけで物語を成立させたばかりか、サスペンスも喜劇も感動も盛り込んで豊かに物語ってしまったのが凄いところです。  例えば、片方の靴が水路で流されていくシーンなど下手なサスペンス映画など比べものにならないくらいドキドキ感がありますし、3等狙いという喜劇的な制約がかかったマラソン大会ではスローモーションが始まった瞬間、これはどうあがいても3等にはなれないんだなと予感をさせ、すると懸命に走るスローモーション姿が何だか妙に可笑しくなってくるのです(頑張って走ってるんだ笑っちゃイカン)。 しかし、最も素晴らしいのは兄妹による靴のリレーで、お互いを想い、パタパタパタパタ路地裏を全力で走る姿はそれだけで感動的です。お父さんの自転車に靴が積んであった時、どれだけ〝あぁ良かったねぇ〟と思ったことか。それにあの少年の泣きそうな顔は反則だと思います。 
[ビデオ(字幕)] 9点(2009-06-23 18:33:32)(良:2票)
65.  ガスパール/君と過ごした季節 《ネタバレ》 
登場人物は誰もが不幸な境遇にありますが、それを感じさせないほど温かい視線で描いています。困っている人を見ると助けずにはいられない人の好いロバンソンと、損だと分っていながらも結局助けてしまう性質のガスパールの優しいコンビは好感が持てます。鼠小僧よろしく盗みを働くシーンですら、金目の物を盗むんじゃなくて食料を盗むので笑えます。捨てられたおばあちゃんもTVで活劇の死亡人数を必死にチェックするというぶっ飛んだ趣味を見せ、元気の良さが伝わってきます。このおばあちゃんを演じた女優さんも素敵です。全く身寄りのない欠けた者同士が集まって肩寄せ合って一つの家族のようになるハートフルな物語ですが、最後にロバンソンを思うガスパールの気持ちが「泣いた赤鬼」の青鬼みたいで泣かせますね。役者さんたちは全く無名?ですが、雰囲気は抜群です。ところで彼らは日頃「元気?」と尋ね合います。久しぶりに会った訳でもなく常に一緒に居ても尋ねるのはきっと良い事ですね。照れ臭いけどいつか実践してみたいです。
[ビデオ(字幕)] 8点(2006-08-02 18:18:40)(良:2票)
66.  居酒屋(1956) 《ネタバレ》 
洗濯場での喧嘩や誕生パーティのバカ騒ぎのシーンに凄いパワーを宿しています(あの示し合わせた感じの無いちょっとしたバラバラ感が妙にリアル)。そこには品格とは無縁な生々しい野卑な人間が存在し喜怒哀楽がつめこまれているのですが、その辛辣な人間の、男と女の描写こそ人間の本質というもので博物館で芸術的な絵画を〝向こうにもっとイヤらしいヤツがあるぞ〟と走り回る、まるで中坊のような大人たちがとっても生き生きしています。だからこそ最後に呆然としているジェルヴェーズ(この女優さんが雰囲気抜群!)の姿は活力を失い死人同然のようで悲劇性が高まっています。さらに世代交代でラストに男子を引き連れて走る娘のナナの姿が、新しい人生の始まりと同時に繰り返される悲劇を連想させ感慨深いものとなっています。  ・・・余談ですが、確かゾラはこの娘のナナを主人公にした小説も書いていてそれも波乱万丈の人生だったような…生きるってことは大変です。
[ビデオ(字幕)] 8点(2008-01-25 18:11:06)(良:2票)
67.  スケアクロウ 《ネタバレ》 
ケンカ騒ぎを起こして逮捕される酒場のシーンなど、途中ところどころであまり巧い具合にいってないと思われる場面があるのですが、本作は冒頭と最後のシーンが素晴らしいのです。まず何も無い荒野に湧いたようにジーン・ハックマンが不器用に登場する。遠巻きから様子をとらえた映像で見せ、今度はそこに待っていたようにアル・パチーノが登場する。道を挟んで遠かった二人の距離が一本のマッチで縮まる…。空から降ってきたようにポツンと現われる二人にはどこか寓意的な感じが漂っていて、これから始まる二人の道中に何らかの意義が存在するように思わせる作りになっています。さらにこの友情形成において人間不信のハックマンがパチーノを信頼した理由が〝最後のマッチをくれたから〟というのが完璧です。そして、ここで終りなの?!と衝撃を受けたあのラスト。なけなしの金まで使ってしまう遣る瀬無い結末も、往復切符を買い、靴をバンバンたたく響きが心に染み入り強烈な印象を残すのです。二人のあまりに厳し過ぎる船出を思うと〝カカシ男〟たちに幸あれと祈りたくなります。
[ビデオ(字幕)] 7点(2008-11-19 18:43:22)(良:2票)
68.  エブリバディ・フェイマス!
他のレビュワーの方もおっしゃっておりますが、「フルモンティ」のような英国コメディに似ていますね。ですから英国好きの私は十分に楽しむ事が出来ました。ジャンのあの一生懸命な間抜けさがおかしくて。その一生懸命なのは自分のためではなく娘のためというのが泣かせるじゃないですか。親の心子知らずでも、迷惑でも、素晴らしきかな親心、といったところでしょうか。鑑賞後、しばらく「ラッキーマヌエ~ロ~」と口ずさんだ事は言うまでもありません。それとお気に入りのシーンは、ジャンがテープレコーダー片手に「ラララ~ラララ~」と自作のまずい鼻歌を録音し、満足そうにしているところです。あの姿を思い出すと何だか心が温かくなります。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-11-19 10:50:19)(良:2票)
69.  フェイク 《ネタバレ》 
レフティはうだつの上がらないマフィアの世界で家族を想いながら、ドニーは囮捜査官として正義を貫こうと、異なる世界で互いに必死に生きている。だがレフティもドニーもマフィアと警察、それぞれの歯車にしか過ぎず何も出来ませんでした。二人は強い絆で結ばれていたのに…。そこが悲し過ぎる哀愁漂う作品です。本作には極限状態にあるからこそ考えさせられる人間の性、友情、家族、仕事、社会と人間の表裏、そして〝信頼〟が描かれています。ですがやはり一番の見所はアル・パチーノとジョニー・デップの名演です。二人にはこういう悲しい役が良く似合います。特にパチーノ!ラストの家をあとにするシーンは圧巻の一言に尽きます。最期の時までドニーを信じきった、やる事なす事すべてがダメな情けないレフティが最高にかっこいいです。割りと地味な作品ですが隠れた傑作だと思います。
[ビデオ(字幕)] 10点(2005-11-06 11:58:39)(良:2票)
70.  96時間 《ネタバレ》 
映画史上には数々の強いヒーローが存在しますが、その中でも本作の親父は最強の称号を冠したくなるほどベラボウに強いです。その強さは一瞬たりとも躊躇しないことにより生み出されています。リーアム・ニーソンの行動の原則は“娘を救う”“娘に危害を加える奴はボッコボコにする”という2つだけで、例えば、食卓という和やかな場所で罪の無さそうな奥さんをためらわずに撃つなどという行為は、本来ならば悪党たちだけに許された特権だったはずですが彼には行使可能なのです。つまり“娘のため”という理由さえあれば何だって出来てしまうのですから猪突猛進あるのみで、その暴れっぷりが映画を躍動っさせています。  もちろん?いいかげんな部分もありますし、ラストに歌手に会いに行くシーンはバッサリ切っちゃっても良いのではないかと思ったりもしますが(空港の別れの際、娘は最後まで親父を見つめていたのだから)、このくらい全速力で走ってくれるアクション映画は貴重なものです。 それから、あまり巧く使っている映画を見たことが無い道具としての携帯電話の使い方も見事です。 
[DVD(字幕)] 8点(2010-07-30 18:28:11)(良:2票)
71.  RED/レッド(2010) 《ネタバレ》 
良くも悪くも雑なところがあり、例えばCIAに侵入して暗号が分からず壁を蹴破るハチャメチャさだとか、殺されたと思われたモーガン・フリーマンが何の仕掛けもなく驚くほど単純な方法でピンチを切り抜けて復活するイイカゲンさだとか(二度目も復活すると思わせるのは問題)、誰もが引退の要素が皆無で弱点が見当たらないところであるとかが(この題材なら寄る年波を経験値で補ってほしい)、持続性を削いでいる感じがします。 ・・・しかし面白いのも確かで、例えばブルース・ウィリスとCIAの若き新鋭とのファーストコンタクトなどはワクワクさせてくれます。当然のように走行中の車からサッと降り銃を撃ちまくるウィリスが格好良いですし、若者の方も不死身のウィリスを追い込めるギラギラした雰囲気を持っており面白そうな対決に胸が期待で膨らみます。さらに次に遭遇した時、彼らは殺し合いではなく取っ組み合いを始めますが、これは互いを認め合うためのケンカであり、後々手を結ぶことになると思わせるもので、こういうシーンがしっかり用意されていることが重要であり嬉しくなってしまいます。 それに加え、コスプレして縦横無尽に画面にインしてくるジョン・マルコビッチ、白いドレスでマシンガンをブッ放すヘレン・ミレン、お約束で彼女を救いに来る昔の恋人、あるいはCIAの地下で資料管理するジイ様にアーネスト・ボーグナイン…と、脇を固める人々が登場する度に面白くなります。
[映画館(字幕)] 7点(2011-02-04 18:27:29)(良:2票)
72.  キング・コング(1933) 《ネタバレ》 
キングコング、凄いです。恐いです。他を寄せ付けない圧倒的な強さ。倒したティラノサウルスの口をパクパクさせて死を確認するなど、行動の端々に表われる用心深さ、執拗さ。そしてアンの叫び声を聞けば、どこへでも飛んでやって来る美女に対する想い。ストーリーも良いです。執念深く追いかけて来たコングのエンパイア・ステート・ビルでの最期。島の王者も文明の利器にはかなわなかったのを、「飛行機ではなく、美女に殺されたんだ」と言うのも洒落ています。サービス精神も旺盛ですね。ティラノサウルスにステゴサウルス、アパトサウルス?(何故か肉食)、プテラノドン、大蛇?(手足付き)まで登場し見所満載です。髑髏島の造型も秀逸。白黒のぼやけた感じも手伝って遠方が良く見えないのが異世界の雰囲気を醸し出し、随所に見られる円形を取り入れた構図が素晴らしいです。さらに余計なシーンは全て省いてしまっているので、実にテンポが良いです。恐竜を含むモンスター映画の中でストーリーも含めれば、この作品が最高峰でしょう。映画館で観たいと思える作品です。  近々ピーター・ジャクソン監督のリメイク作が公開されますが、私はかなり期待しております。ですがそれと同時に裏切られる事も覚悟しております。名作のリメイクは難しいものですからね。  《追記》やはり残念ながら期待していたものとは違いました・・・。映画「キングコング」(1933)は文明にもけっして負けません。
[ビデオ(字幕)] 10点(2005-12-02 18:19:03)(良:2票)
73.  300 <スリーハンドレッド>
〝ジッシィズッスパッルタッ!〟と咆哮し立てつけの悪いドアでも蹴破りたい気分にさせられるほど高揚感があり、とにかくスタイリッシュでスピーディでパワフル・・・ですが、これは映画(実写)なのでしょうか?ともすればハワイ出身の巨漢力士の突き押しでも食らうかの如く、その勢いに一気に土俵下へすっ飛ばされてしまいそうなのですが、土俵際でふんばってしっかり観てみると…これが案外パッとしていません。全く知らないのですが本作の原作はコミックらしいですね。そのためなのか色彩や質感、戦場での圧倒的な戦闘シーンなどのCG全開の映像は美しく見えるものの、これは〝カリカチュア的な〟というよりも漫画そのものであり、画面を切り取ってコマにおさめて吹き出しにセリフを入れても十分に成立するように見えます。例えば、ペルシアの大軍を象徴する〝日の光をも覆い隠してしまう大量の矢〟のシーン。雨あられどころか空に幕がかかるのかっ?!と聞いただけでもゾクゾクしてしまうこの場面はもっと壮絶なシーンにできたと思うのですが、意外なまでにあっさり処理されています。レオニダスの流れるような戦闘シーンはともかくとして、その他のほとんどの面、ほとんどのシーンにおいて私には非映画的に思えます。 ただ、大ヒットしたようですからおそらく後続作品も生み出されるでしょう。もちろん漫画を読むだけでは味わえない興奮を体感させてくれますし熱気ムンムンですので、こういうのも〝あり〟なのですが、映画というより新形態の映像作品という感じがします。
[映画館(字幕)] 5点(2007-06-15 18:29:08)(良:2票)
74.  善き人のためのソナタ 《ネタバレ》 
監視者とその対象の物語が基本であり、監視する者が対象に憧憬を抱き始め感化されるのですが、ここで不満が残るのは対象のドライマンたちの生活が大して魅力的に見えないところです。機械的な人物である監視者が(コートまでロボットっぽい!)我が身の危険を顧みないまでの行動に出るのであれば、守るものがそれだけの価値を有していなければならないはずですが、例えば契機の一つとして使われる音楽の〝善き人のためのソナタ〟にしても聞かせるようなシーンにはなっておらず(曲の良さが問題ではない)、作り手側もそれを重々承知しているようで、わざわざドライマンが台詞でいかに良い曲かを説明してしまうという始末です(仮に〝のぞき〟による憧れだとすれば、監視者と対象の位置関係をもっと明確に見せなければならないと思う)。  また、尋問シーンにしても、ヴィースラーの顔がクリスタにバレないかというサスペンスとしてのクライマックスであり、同時に恋人を裏切ってしまう要の場面なのですから、もっと力入れて見せてほしいところです。
[DVD(字幕)] 6点(2010-11-12 18:30:15)(良:2票)
75.  LOFT ロフト(2005) 《ネタバレ》 
ホラーにサスペンス、恋愛と盛り沢山ですが結局のところ本作の焦点が何なのかよく分りません。煙草は吸いつつも肌を気にする美しい女性が泥を吐くという興味を引く異様な冒頭。泥=永遠の美、ミイラなどの説明がなされて飽くなき美への追求がテーマかと思いきや、進むにつれそんなことはお構い無しになってくる。冒頭以降の礼子は美に固執するどころか気にかける様子も無い。すると何故に彼女は泥を吐いたのか疑問が残る。また、戦前のミイラ観察記録映画は何なのか、吉岡の妄想によるミイラと殺された女子大生との関連性も掴み難い。そして礼子と吉岡の関係も掘り返す場面で突如として吉岡が「礼子」と下の名前で呼び出すが、いつの間に関係が深まったのか不明である。私の理解力の乏しさも手伝って様々意味不明でした。ホラーとしても怖さはなく、ラストの〝洒落〟も使い古された感があります。それでもワンピース姿の中谷美紀さんがおキレイなのでちょっぴり加点。
[映画館(邦画)] 5点(2006-09-12 17:40:05)(良:2票)
76.  キング・コング(2005) 《ネタバレ》 
最初に言っておきますが、私は33年のオリジナル版の大ファンです。ですから純粋にではなくどうしても比較しての観点になってしまいます。まず何より一番気になるのは、アンがコングに情を通わせることです。これは過去のリメイク作から始まったことですが、オリジナル版ではアンはコングを終始恐怖の対象としてしか見ず叫び続けます。つまりコングの味方は誰もいないのです。それが孤高の王者コングの怖さや悲しさを際立たせていたのです。次に、やはり長い。オリジナル版はそれこそドリスコルが最初に書いた15ページの脚本のようにセリフが少ないのです。でもそこには無駄を省いた簡潔さが存在するのです。まさに言葉なんていりません。それからいわゆるオマージュが逆に気になりました。例えば倒したティラノサウルスの口をパクパクさせるシーン、オリジナル版では倒す度に敵の死を確認します。それがコングの用心深さや執拗さの表われとなる訳ですが、本作ではただのワンシーンにしか見えません。また「美女に殺された」という最後のセリフもオリジナル版と所々違うので、重みが感じられなく取って付けたような感じがしてしまいました。なんか文句ばっかりになってしまいましたが、もちろん良くなったところもあります。それはストップモーションより自然な迫力満点のコングや恐竜たちです(欲を言えばコングとティラノのバトルはアクロバティクではなくオリジナル版同様、差しの勝負が見たかった)。  最後に、ピーター・ジャクソン監督は33年のオリジナル版が大好きだと聞きました。確か劇中にカール・デナム監督を称して「愛するものを破壊せずにはいられない男」というセリフがありました。これはジャクソン監督が自身に向けたものではないでしょうか。
[映画館(字幕)] 5点(2005-12-20 00:10:54)(良:2票)
77.  コーカサスの虜 《ネタバレ》 
最初は反りが合わないように見えたワーニャとサーシャがいつの間にか階級の違いなど飛び越え打ち解け合う姿や、口がきけない歌好きな見張りのハッサンと一緒に歌を歌い冗談を言い合う様子を見て和平への可能性を信じたくなります。ですが結局は互いに殺し合いをさせるのです。友情を育んでみても戦争という状況下では回避できない酷な現実を突き付け、その出来事が〝仕方ない戦争だから〟の一言で済まされてしまう悲劇性を浮き彫りにしています。そして子供を助けようと奔走する互いの親の愛が静かですが強く描かれています。我が子を亡くしたのにワーニャを殺さなかった事に、悪循環を断ち切ろうとする親としての人間としての愛や強さを感じ、それを受けたように村への攻撃を止めようとするワーニャに好転の連鎖を思い、個人レベルでもやはり希望を見出したくなります。人間はたとえ共感し合えなくとも相手を知ることで共存できるのだと思える秀作です。
[ビデオ(字幕)] 9点(2006-05-05 15:07:26)(良:2票)
78.  殺人の追憶 《ネタバレ》 
ヨン様に興味ない私は韓流ブームには乗りませんよとばかりに韓国の作品を十把一絡げにしていましたが、本作を観て完全に食わず嫌いであったことが発覚しました。当時の韓国の背景もよく知らず、予告編を先に見て犯人は捕まらないという結末を承知していたにもかかわらず、グイグイ作品に惹き込まれてしまいました。あまりに異常な殺人事件に追い込まれていく刑事たちの描写が実に素晴らしい。粗野なパク刑事は大人しくなっていき、冷静沈着なソ刑事は野獣的な面を見せ始め、それぞれの人間の本質に迫って行く。〝目を見れば分る〟が物語りに随所に利いていて効果的。手堅い演出で上映時間の長さも感じさせません。それにしても驚かされたのはソン・ガンホ!最後のドアップで見せる表情が何とも凄い。このシーンだけでも一見の価値ありです。韓国にはこんな俳優さんもいたのですね。ヨン様の微笑みも他の二枚目俳優たちもそれは素晴らしいだろうけれど、たまにはいかつい笑顔が素敵なソン様にもスポットを当ててもらいたいものです。
[DVD(字幕)] 10点(2006-08-22 18:56:25)(良:2票)
79.  らせん階段(1945)
オープニング、タンスに掛かった服が揺れ奥に潜む犯人の目が映り、その眼球に被害者となる女性が映り、殺害は被害者の手のみで表現されるのですが、この恐怖の演出は秀逸です。教科書のようですが何も派手な事はせずとも十分に怖さを出せるということを見事に証明していますし、さらに驚くべきはそれが全編に渡って持続しているということです。それぞれのキャラクターも簡潔である上に物語を豊かにしていますし、不安の煽り方もテンポも抜群であり、光と影が際立つ一つ一つの画面もよくよく練られています。雨に濡れ光り輝く外套、開け放たれた窓に、吹き込む風、口の利けない主人公の声にその代わりともいえる音楽、ベッドに沈む老夫人、そしてらせん階段と素晴らしいところを挙げればきりがないくらいで、あらゆるサスペンス・スリラーは〝斯くあるべき〟と思ってしまうような作品です。
[DVD(字幕)] 10点(2008-05-02 18:10:54)(良:2票)
80.  タイタニックの最期 《ネタバレ》 
タイタニックというよりもあくまで一家族の人間ドラマが主体です。奥さんが旦那さんに愛想を尽かした離婚間際の夫婦なのですが、旦那さんが言うほど悪い人には見えないので奥さんの方が暴走気味に思えます。沈没によって和解してしまうのもお約束と言いますか単純です。でも実際に生命の危機に瀕した時はこんなものかもしれませんし、父と息子の話は良かったです。しかし、映像と言いますかタイタニック題材ものとしてはどうなんでしょう。現実に起きた悲劇的な出来事に対してこんな事言うのもどうかと思いますが、ちょっと人間がキレイ過ぎるのです。割りと誰もが落ち着き払っていますが実際はもっと動揺したと思うし、醜い部分も出たと思うし目も当てられないパニックになったと思うのです。遠目から凄い勢いで沈没して最期の様子は省略ですので〝死〟の描写もないです。ですから悲惨さのようなものは殆ど伝わってこないのです。
[ビデオ(字幕)] 6点(2006-09-08 18:40:10)(良:1票)

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