1. ドア・イン・ザ・フロア
《ネタバレ》 アーヴィングの映画化された作品の中では、一番素直だと思いました。 自分が学生の頃、背伸びして最初に観た文芸作品がアーヴィングの「ガープの世界」でした。 その時の衝撃は忘れられません。原作も読みました。 それから30年近くたち、世の中の見方が変わるにつれ、「ガープ」の魅力も薄れていきました。 嘘があると思うようになったからです。 でも本作には、それはないです。 むしろ「ガープ」の嘘が昇華されて、より深く掘り下げられて描かれてました。 見事なアーヴィング作品です。 でも10点満点にしなかったのは、作家志望のエディが軽く扱われてるからです。 エディのひと夏の思い出みたいにして、彼が今、何をしているかまで描かれていたら、最高でした。 [DVD(字幕)] 9点(2018-11-15 23:39:58) |
2. 遠い空の向こうに
《ネタバレ》 やっぱこの頃(1960年前後)のアメリカには、敵わないなぁとつくづく思わされる。自然の中で育ってるせいか、地頭が良い。ロケット工学を独学で理解しちゃうって、やっぱ半端じゃないよね。日本じゃペーパーの上で理解してることを、彼らは体感してるんだもん。ロケット打ち上げを何度も失敗できる環境に恵まれてるのも凄いけど、それにめげないのもまた精神的にタフ。実話っていうんだから、アメリカの宇宙工学は、本当に人間がでかくなって、宇宙に届いたって感じがします。やはり国には国に向いた技術ってあるなぁ。日本じゃこんな環境、望めないもんね。もちろん日本の良さを活かした技術もあるから、卑下することはないんだけどね。ホント、アメリカは、国土の広さが示すように、でかいとこが売りだね。今や大スターのジェイクギレンホールの出世作。脇役もお気に入りのローラダーンやクリスクーパーが固めてて、安心して観ていられる良作ですね。 [ビデオ(字幕)] 9点(2016-07-12 03:01:25)(良:1票) |
3. 東京公園
《ネタバレ》 なるほど、東京を舞台にした映画は数あれど、都内の多くの公園をとりあげたのは珍しい、なんて感心して観てたら、ギャー!話がドンドン分解していって、どこに連れて行かれるんだぁと思ってたら、なんと最後は人間関係の距離がきれいに収まって、映画的にも納得のストーリーだった。人間関係がぎこちない時に展開する話は、青山真治の映画ギークぶりがさく裂!まるでニューヨーク映画のように、はたまた榮倉奈々の半月眼がキョロキョロぶりがなんとキュート!そして時には高橋留美子のマンガみたいに愛らしい幽霊が隣にいたり・・。それでもそこで終わらないのが三谷幸喜映画との違い。才女ぶりを発揮してきた小西真奈美が柔らかい表情になる、それ自体がもう映画!(いや、実際映画なのだが、まるで本人も解放されたんじゃないかと思うほどの演技・・つまりそれほどのイイ女!)鑑賞後はとっても気持ちが楽~になりました♪10点!と言いたかったけど、それでも1点減点したのは、俺はまだまだ映画を卒業したくないニャ~なんて感じで・・(笑)。青山監督、凄~い!! [DVD(邦画)] 9点(2013-05-23 02:54:28) |
4. トップ・ハット
《ネタバレ》 なるほど。気づきの多い映画だった。 モンキーパンチのルパンⅢ世って、フレッドアステアがモデルだったんだね、とか。 ラ・ラ・ランドは、この映画の公園の主人公たちの踊りだったんだね、とか。 https://www.youtube.com/watch?v=rnkxQY8FUnk ストーリーも軽妙で楽しい。 女性がアステアとその友を勘違いして、嫉妬して、他の人と結婚しようとする。 さぁどうなる? クスクス笑ってしまうコメディ。 [ビデオ(字幕)] 8点(2022-11-25 13:55:28) |
5. トップガン マーヴェリック
《ネタバレ》 CGじゃない映像は手に汗握るね。 凄い! 上か下か分からなくなる操縦士の感じがよくつかめました。 でも軍が協力してくれないと、この映像は撮れない。 しかも一回飛ぶごとに数百万かかるというから、かかったお金も凄い! 凄いね~、アメリカは・・・(ため息) この映画以降、CGも変わってくるかもしれないね。 ラストのマスタングに、昭和の映画は遠くに行ってしまった感じがあり、 複雑な気持ち・・ [DVD(字幕)] 8点(2022-11-07 10:10:57) |
6. ドライブ・マイ・カー
《ネタバレ》 興味深いですね。 何故「ワーニャ伯父さん」なのかが、よく分からなかったです。 あの話は見せ場が多いから、劇中劇に使ったのかなぁ? 確かに、車の中での話は面白く、喪失と再生をうたった映画として、 興味深かったのですが、「ワーニャ伯父さん」との統一性が見えずに残念。 死と生(セックスの中も含めて)がよく描かれてたのですが、 それなら「ワーニャ伯父さん」よりもいい戯曲があったんじゃないか?と 演劇をよく知らない僕は思ったのでした(汗) 全編にわたる棒読みセリフが、森田芳光や山田太一を思わさせて、新鮮でした。 [DVD(邦画)] 8点(2022-03-06 00:17:43) |
7. 東京ゴッドファーザーズ
《ネタバレ》 コロナ禍のなかのクリスマスイブ。 選んだ一本はこの映画! 再見であるが、今回の方が感動した。 ホームレスがクリスマスに子どもを授かる! どこかで見たような、それでいて見たことない設定。 東京を舞台に、あれよこれやの大騒ぎ。 でもドタバタの中に、ホロリとくる場面もあり、 この頃のアニメって本当に人材揃ってたなぁ・・ (今監督が亡くなられましたね、もっと作品観たかったです・・) 涙とアクションと絵のセンスと、ぎっしり詰まった一本でした。 3人のホームレスに祝福あれ♪ エンディングのムーンライダースの「第九」もカッコいい! [ビデオ(邦画)] 8点(2020-12-24 23:22:05) |
8. どん底(1957)
《ネタバレ》 黒澤さんはホント、一流の不良でもあるんだな~ 物語の構成が相変わらず凄い。 前半、長屋からほとんどカメラは出ることなく、 登場人物の紹介をしてしまう。これが絶妙! そして後半、次々不幸が出てくるんだけど、 したり顔のおじいさんが、サッと逃げるとこが面白い。 ラスト、長屋の連中の酒飲んでの乱痴気騒ぎ。 これが囃しになってて、見応えある。 黒澤さん、凄いっす! [DVD(邦画)] 8点(2020-05-29 12:40:41) |
9. 東京兄妹
《ネタバレ》 東京下町の人情劇である。東京にも地元民はいる。その静かな佇まいを市川準は淡々と描く。およそ華やかな都会の一面とは無縁の生活。地元に根ざした兄妹の生活に危うさはまるでない。「翔んだカップル」のような年頃の男女が一つ屋根の下で暮らす、ワクワクドキドキ感もない。地元民には性のときめきは似つかわしくない。ただ普段の生活とそこに流れる細やかな人情があるのみだ。そこにチンピラ風の男が出入りして妹に近づく。しかし地元民の重い存在感は、彼を死なせてしまう。そしてまた二人の静かな生活が戻ってくる。しかしもう以前の兄妹ではない。男を知った妹とはもう以前の生活は送れない。そして兄が家に帰るのをためらう。映画はそこで終わる。ここが市川準である。あまり深くは掘り下げない。ただ品よく映画をまとめて終わる。物足りなさはあるものの人情映画の名作だと思います。 [ビデオ(邦画)] 8点(2017-03-20 13:00:31) |
10. TOMORROW 明日
《ネタバレ》 映画雑誌の編集長だけある、分かりやすくて丁寧な演出。日々の愛おしい生活が、原爆を落とされたその真下の生活圏にもあったということを丁寧に丁寧に描写する。それだけにラストの原爆雲には、絶望しかなかった。召集令状に抱き合って泣く二人の若い恋人たち。原爆の落ちたその日に生を受けた赤ちゃんとそれを祝福する人たち。そしてその前日に人生に希望を誓う結婚をする一組の若夫婦。たった一つの結婚式の出席者のエピソードだけでもこれだけ愛おしい生活に満ち満ちている。このような見えない糸で緻密に織り込まれた生活圏に、黒い穴がぽっかりと空いてしまった。原爆という新爆弾のためである。この映画の後も遺された市井の生活は続いていく。戦争とは、その生活の糸を無残にも切り散らばめる行為なのだ。政治を動かす人たちは、この事実を頭に叩き込んでほしい。 [ビデオ(邦画)] 8点(2017-03-19 23:16:26) |
11. どついたるねん
《ネタバレ》 テレビで赤井さんの特集があったので、興味を持ち、鑑賞。良かった。何よりこの主人公の生き様が、リングの上で現れてて、ボクシング映画として中々一角を占めるような出来栄えの感じがした。どついて、なんぼ。人生に向かっていく彼の姿勢に、自分も励まされた。 [ビデオ(邦画)] 8点(2016-07-01 09:22:55) |
12. 東京家族
《ネタバレ》 エンドロールで言ってるように、小津さんへのオマージュである。人のやりとりや間の取り方も小津さん風である。冒頭はそこに面を食らって、いつもの山田監督作品との違いに戸惑う。こういうテーマは、山田監督は一度「息子」で創っている。それを改めてまた創り直したのは、山田監督が晩年になって小津監督への敬意を示したかったからでもあろうが、「東京物語」で小津監督の懸念していた都市化によりもたらされた人の冷たさを、今の時代にさらに山田監督が強く感じたからではないか、とも思った。それが自身の「老い」から感じるのか、実際そうなのか、それは神さまじゃないから言えないのだろうが、山田監督が「東京物語」の笠智衆の感慨にひたったからなのではないか?と思い、そこに時間というものを感じさせられた。もう渥美さんもタコ社長もみんないないのだ。人情というものを山田監督は、もう一回問い直したかったのだろうなぁと思うと、そこに蒼井優演じる平成の原節子役に象徴されるように、彼はその希望の光を、いまの若い女性たちに見出したのではないか?とも思えるのだ。 [DVD(邦画)] 8点(2015-06-21 20:46:13) |
13. トゥ・ザ・ワンダー
《ネタバレ》 人間の弱さをはかなみ、神の愛に通じるかのように、世界を美しく描写した映画。テレンスマリックは難解だと聞いていたので(何せハーバード大卒)、挑むように鑑賞したら、案外そうでもなかった。もうこの一言!べンアフレック弱~~~い!!自分の監督作「アルゴ」にまんま置いてきたんちゃう?ちゅうくらい、ただの人形みたいにボサ~~~ッとしくさって、女性に振り回されっぱなしやん(怒)!それにしてもこの映画、カメラアングルとか独特で美しく、音楽も静かで、ただのトウヘンボクの話の後とは思えないくらい、まるで教会で上質な説教を聞かされたような(監督もそれを狙ってるんでしょうね)おごそかな気持ちになるのでした。朝日の出るのを待とうか?なんて気持ちです。はい。 [DVD(字幕)] 8点(2014-02-03 04:37:38) |
14. 突破口!
いや~ドンシーゲル作品っていいね。某レンタル屋企画で紹介されて観た映画だが、面白い!こんなに面白い作品が豊富にあった時代ってあるんだね。娯楽は進化されつくした、って感じていたが、まだまだ映画って進化できる方向があるような気がする。この作品では脚本の面白さかな?話が2転3転するところが、無理がなくて良い。ドンシーゲルが凄いのか?この時代はこういう脚本が進化していた時期なのか?そこは分からないが、新鮮だった。またウォルターマッソーのとぼけた演技も見どころだ。こんな俳優、今いる?この演技のためか、話が暗くならない。最近の映画はサスペンスだったら、暗い狭いって感じなのに、この作品はどこか明るい。それでも楽しめる。やはり閉塞感のない時代に創られていたからか、な~んかウキウキする話の展開だよね。余裕のあるヒーローっていいよね。そして彼は手がカッコいいんだよね。大きくて、節々のある手。ふふ、観終わったら、ちょっとマッソー風に気取っちゃうんだ。 [DVD(字幕)] 8点(2011-12-03 02:40:14) |
15. 友だちの恋人
いいねえ。エリックロメール、この作品で一発で好きになってしまった。繊細な女性、好きです。ちょっと鈍な自分ですけど。 [ビデオ(字幕)] 8点(2010-04-05 02:09:17) |
16. 翔んだカップル
観た当時は、角川書店の出してる月刊バラエティに、映画のシナリオが載っていたので、何度も何度も読みました。サントラのレコードも買って、よく聞いていたなあ。自分、薬師丸ひろ子さんと誕生日一緒なんです。友達によく自慢してたなあ。監督があの相米監督。今、思うと、この作品で邦画も観るようになったんですよね。邦画の面白さってやつを教えてくれた作品でした。 [映画館(邦画)] 8点(2008-06-25 01:11:00) |
17. 共喰い
《ネタバレ》 神話的意味付けがありそうですね。 ただの色欲話ではない。 前に観た寺山修司の「さらば箱舟」を思い出しました。 手足を縛って、子供が生まれて、平成になるとこなんか・・ [DVD(邦画)] 7点(2023-07-24 23:56:14) |
18. 時をかける少女(1983)
《ネタバレ》 これは封切り当時観た時は、正直、良さが分からなかった。 変な演出だなくらいしか思わなかった。 が、大林作品を多く観ていくうちに、大林マジックにも慣れ、 40年経って再鑑賞。 驚いた。 こんなに天才ぶりを発揮していた作品だったのか!?と・・ 周りの多くの映画青年が、この映画に影響受けていることも改めて分かった。 自分の凡才ぶりにも気づかされた(笑) でも、何より、この人の天才さを早いうちに気づいて、どんどん その才能を伸ばした業界の人たちの慧眼ぶりに驚いた。 [DVD(邦画)] 7点(2023-02-03 08:43:45)(良:1票) |
19. どら平太
《ネタバレ》 夕方、テレビでやってる勧善懲悪時代劇を 豪華な顔ぶれで脚本にした感じの出来です。 陽キャラの役所広司がやれば、こんなラストになるよね。 この市川崑とのタッグが名作テレビ時代劇「盤獄の一生」につながるんでしょうね。 僕的には、役所広司は浪人の方が似合ってる気がします。 とにかく上意を捏造したとあっちゃ、武士道も何も、宇崎竜童の切腹も 説得力がなくなります。 まぁ娯楽時代劇の贅沢な味付け版という感じでしょうか・・ [DVD(邦画)] 7点(2023-01-29 19:59:11) |
20. 峠 最後のサムライ
《ネタバレ》 う~ん・・ 判官びいきなとこも、日本人だからあるけど、 戦場のシーンで活躍するとこが少なく、ただ名言をはくシーンが多いので、 ちょっと異質な時代劇かな? でも松たか子との芸者遊びのシーンなど、いい場面もあった。 ただ前作の「蜩ノ記」みたいな岡田くんみたいな濃いキャラで、側にいる若侍がいると もっと良かったと思うが? でもこの主人公、知る人ぞ知る方らしい・・ う~ん、遊び人みたいな気質もあるし、もっとワルっぽい役者でも良かったんじゃないかなぁ。 役所さんは「蜩」の役所さんが印象に残ってて・・ でも小泉さんの映画、好きです! 確かな質感がカッコイイ! [DVD(邦画)] 7点(2022-11-05 21:23:57) |