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アングロファイルさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1000
性別 男性
年齢 60歳
自己紹介 レビュー数が1000に達したということで、活動を停止します。(今のところ)仕事がひじょうに忙しいので、映画を楽しむゆとりがありません。落ち着いたら再開するかもしれませんが、とりあえず未定です。

皆さま、ありがとうございました。縁があったらまたお会いしましょう。

※変更要望は出すかもしれません。

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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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181.  天地創造
映画版聖書物語ということで、聖書(創世記)のお勉強にはいいんじゃないでしょうか。ただ、エピソードの羅列で流れが平板なところが残念。ノアの洪水が一番よかったと思うし、スペクタクルシーンもそれなりに見せていたのですが、盛り上がりに欠けたような気がします。 まあ、こういう宗教がらみの映画はいろいろと気をつかうでしょうし、聖書の映像化となればなおさらでしょう。結果として無難な(無難すぎる?)できになったのではないかと推察します。映画として見ると、面白味が少ないです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-01-03 08:37:07)
182.  さよならをもう一度 《ネタバレ》 
これはなかなか底意地の悪い映画ですねぇ。まず、ヒロインの相手をする男性が2人。中年の方は、「愛している」とか言いながら若い娘と浮気をし、自由でいたいとうそぶく。要するに、結婚して家庭に縛られるのが嫌なわけですな。若い男はボンボンで、コネでついた仕事も適当にしていて(またそれをおもしろがる事務員がいたりする)、ヒロインに恋をしたらしつこくあとをつけ回すストーカーまがい。どちらも「まっとう」な生き方をしているとは言いがたく、このヒロインはだめんず好きなのか? と思ってしまいます。しかし、そんな男にでも愛されたいというのがこのヒロインの願望のようで、どういうわけであのおじさんにこだわるのかもよくわからず、共感できませんでした。 一旦若者とくっついたものの、それで対抗意識を燃やした(?)おじさんに迫られてよりを戻す。どころか結婚までしてしまいますから、一応ハッピーエンドなはずですが、結局は以前と変わらなかったというオチ。現実的な辛口の結末です。 で、原作がフランソワーズ・サガン22歳の時の小説で、ヒロインが中年女性ということで思ったのは、どうも中年女性をあざ笑った話ではなかろうか。ヒロインがだめんず依存症なのも、若い男と別れる時に年齢のことを気にするのも、あの結末も、どうもそういう当てつけがましさを感じます。そう考えると少々気分が悪いです。ちなみに、ネットで本作のレビューを調べてみると、ヒロインを「自立した女性」としている人がけっこういました。しかし、彼女は精神的に男性に頼っているところがあり、自立してるとは思えません。まあ50年前の映画ですから、当時の「自立」はこの程度だったのかもしれませんが。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-12-30 20:29:16)
183.  サウンド・オブ・ミュージック 《ネタバレ》 
「お勧め作品一覧」で常に上位に入っていた作品。久しぶりに見て改めて感じたのは、「音楽の力強さ」です。音楽を避けていた大佐が子どもたちの歌に加わる場面、音楽会で「エーデルワイス」の歌声が広がるところに、それを感じました。この2つのシーンは、それぞれ前半と後半の音楽的なクライマックスであり、作中もっとも感動的な部分です。本作には色々な要素が入っていますが、ミュージカルで「音楽のすばらしさ」を感じさせるというのは、大きな魅力だと思います。 新しく気づいたのは、「自由」というのが基本的なモチーフとして使われていること。マリアは修道院を出て外の世界に飛び出し、子どもたちは父の規律から解放され、大佐は亡き妻の思い出を乗り越えて新しい伴侶を得るという具合に、自分を縛っていた枷から放たれてある種の自由を得る。それが最後に、自由を求めて亡命するという行動につながっていきます。それまでは他人によって得ていたものが、ここでは大佐自らが求めていったというのも意味のあることでしょう。そして本作で「自由」を象徴しているのが、冒頭丘の上でマリアの姿です。あの“The Sound of Music”は、私がもっとも気に入っている曲ということもあり、このシーンも気に入っております。 そういえば、最初にアルプスの山々が映し出され、それからカメラが街に降りてゆきます。あれは最後に街を出て山路を行く一家の道程と呼応していたのですね。お見事な演出です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-12-15 21:01:19)(良:1票)
184.  釈迦 《ネタバレ》 
一応史劇になるのでしょうが、『ベン・ハー』や『十戒』のようなものを思い浮かべたら、失望します。あまりスペクタクルではありません。最後にスペクタクルなところはありますが、あまりにも短い。それよりもドラマ重視に作られています。  また、題名が『釈迦』なのでお釈迦様が話の中心だと思ったら、それも違う。お釈迦様が主人公なのは、悟りを開く序盤まで。悟りを開いて仏陀となってからは、影だけ映すか、ロングではっきりとはわからない姿で撮るか。とりあえず本郷功次郎さんは「シッダ太子」時代しかまともに演じていません(それ以降は声のみ)。ではその後はどうなるのかというと、仏教説話的なエピソードが続いて、仏を信じることのすばらしさを説いています。これはこれで楽しめます。日本の古典に登場する説話と同じように捉えればいいでしょう。仏陀も要所要所で活躍します。『釈迦』という題名からすると、ちょっと違うかも、と思いますが。  序盤は相当説明的なセリフが多く、出演者のお芝居は大げさで舞台的。あまり映画向きではありません。しかし考えてみると、登場人物は全員日本人ではありません。それを日本人が演じるのですから、あまりリアルな芝居をするとかえって不自然になるかもしれません。舞台で外国産の演劇を見るのと同じように考えれば、大仰な芝居も納得できます。  特撮も要所要所で使われていますが、クライマックスの天変地異よりは、太子誕生の時庭で次々に花が開くところや、最後の仏陀入滅の場面など、美しいシーンで使われていたのが印象的でした。派手さはないものの、作品を盛り上げる効果は大きかったと思います。この作品全体として、地味ながらていねいに作られていたと思います。なにより、これだけのオールスター・キャストを拝めるのは、嬉しくなってしまいます。
[地上波(邦画)] 6点(2012-12-11 20:28:57)
185.  遥か群衆を離れて(1967) 《ネタバレ》 
基本的にメロドラマなので、途中休憩を挟んで3時間近くもあると、さすがに途中で飽きてきました。しかし後半は怒濤の展開で、引き込まれます。 そもそもヒロインのバスシバが世間知らずの上、(あまりそうは見えないものの)感情的なもので、メロドラマとしてはあちらへフラフラこちらへフラフラと、見ているこちらも落ち着きません。彼女を誘惑する軍曹(テレンス・スタンプ)も同じタイプで、口で言っていることと本心とがけっこう違っています。これが大きな悲劇を生む元で、本作を見ると、人間というのはずいぶんいい加減なものだと思えてきます。ある種の業のようなものをメインの3人が体現していて、そのあたりがメロドラマでも文芸的だと感じさせるところです。こういう部分がなければ、最後まで見られなかったかもしれません。 これに対してガブリエルが理性派代表のような立場にいます。結末を見るとそれが最後に勝利するということかもしれませんが、しかしあれはちょっと納得しかねるところも。「愛情がなければダメ」と言っていたバスシバ、あっさり結婚しすぎでは……。 農民の生活が活写されており、風景も美しくそこは見ものでした。民謡を生かした音楽もよかったと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-11-17 21:42:25)
186.  サボテンの花 《ネタバレ》 
なかなか面白い。特にステファニーがショールを贈られてからの暴走ぶりは楽しめました。ゴールディ・ホーンは、最初中学生かと思ったほど子供っぽく見えますが、役柄にぴったりでしょう。脇役も個性的な人がそろっています。 物語としては、ウソを重ねてにっちもさっちも行かなくなるパターンで、よくありますがそれだけに安心感があります。しかし、そのため不自然に感じてしまうところもあり、トニは不倫相手の妻に気を遣いすぎではなかろうかとか、ジュリアンがあれほど女性にもてるのがよくわからないといったところは、気になります。それに、あれだけ嘘を並べ、恋人を騙しておきながら結局ハッピーエンドとは、素直に納得しかねます。やはり、モテモテでも不思議でないキャスティングにしてもらいたかった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-11-09 21:49:26)
187.  いろはにほへと 《ネタバレ》 
現実の事件を元にしているためか、冒頭「これは架空の話です」という断り書きが出ます。どこまで事実通りかわかりませんが、この映画での投資経済会のメンバーは、犯罪を行っているつもりはありません。というか、合法的に運営していこうと考えています。ところが、そのための法案を通すため政治家に金を渡したり、内偵している刑事を遠ざけようと金品で釣ろうとするのは、あまり合法的とは言いかねます。なにやら、目先のことを追いかけて本質を見失っているようで、皮肉です。 皮肉といえば、金を渡した政治家の行動も痛烈な皮肉です。佐田啓二演ずる投資経済会会長は「誰だって金がほしいに決まっている」という信条の持ち主。しかし、金をもらった人間は自分の思うとおりに動くと考えたのが間違いでした。金だけもらってあとは知らん顔……。こういう展開だと、人間に対する信頼感が失せてきそうです。いや、信頼できないのは、最後に映し出された建物にいる人たちだけかもしれませんが。そうした風刺と社会批判が、事件ものの展開と無理なく溶け合っています。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2012-11-06 20:50:32)
188.  グラン・プリ(1966)
カーレースが延々続くと飽きてきそうですが、カメラワークの工夫もあってそうは感じませんでした。大画面で見たら、かなりの迫力でしょうね。レーサー視線の映像は酔いそうですが……。画面分割は、成功したかどうか疑問。「喜」と「悲」を切り替えるシーンがいくつかありましたが、これは効果的でした。 物語としては、レーサーというのはレース以外に女のことしか考えていないのかと思いそうです(笑)。死と隣り合わせのレースに賭ける生き様を描いていてそれなりに見られました。おかげで長時間も気になりませんでした。女優さんではエヴァ・マリー・セイントよりもジェシカ・ウォルターの美しさが印象的。三船敏郎の口元を見る限り、ちゃんと英語をしゃべっていたようですが、英語の声は明らかに本人とは違っていましたね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-11-04 11:15:35)(良:1票)
189.  豚と軍艦 《ネタバレ》 
序盤はヤクザものかと思いましたが、良質の青春映画でした。欲に振り回される大人、その大人に振り回される若い2人。先の見えない生活に爆発して悲惨な最期を迎える近太は哀しいですが、春子に希望を託すラストが見ていてさわやかでした。コメディとしてはまあまあ笑えました。加藤武の暴走ぶりがいいし、死にきれなかった兄貴が生命保険の看板に掴まるところは特におかしい。しかし本作で一番光っていたのは吉村実子。決して美人というタイプではありませんが、顔つき、特に視線が力強く印象に残ります。 セリフがやや聞き取りづらく、人間関係や話が見えにくいところがあって残念。そのせいかどうか、基地の問題(「アメリカにたかる」という構図)を扱っているようですが、あまり感じられませんでした。しかし『俺たちに明日はない』のような、“破滅型青春ドラマ”として見る価値はありました。けっこう豪華なキャストも見ものです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-10-27 18:05:52)
190.  智恵子抄(1967) 《ネタバレ》 
言うまでもなく高村光太郎の智恵子抄ですが、そのままではドラマ化しにくいのか、佐藤春夫の小説版を原作にしています。 2人の出会いから智恵子の死まで、ていねいに撮られています。序盤のややぎこちない関係から結婚まで、見ていてほほ笑ましいのですが、そんな中にも後半への伏線がちらほら……。こうした構成はうまい。それにしても、高村光太郎は芸術家として激情型だと勝手に思っていましたが、本作ではそれほどでもない。厳しさは感じさせますが、智恵子の前だとなんだかフニャフニャになるのがおかしい。 後半智恵子がおかしくなってからは、もう岩下志麻の独擅場。ここですごいのは、智恵子が最初は正気な時もあって、自分が狂っていくことを自覚しているということ。これは怖い。このあたりから最終的におかしくなるまで、目が離せません。本作での智恵子さんはたおやかではかなげなイメージがあるので、暴れたりする時には哀れさが増す、ような気がしました。 全体としていいと思いますが、時間の関係かエピソードの羅列に流れたのが残念でした。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-10-22 20:14:05)
191.  古都(1963) 《ネタバレ》 
これはまず、なにはさておいても岩下志麻の二役がすばらしい。もちろんメイクもあるでしょうが、育ちの違いによってかもし出される雰囲気まで伺えます。たおやかだけど弱さもある千重子。芯の強さをもつ苗子。2人が並んでいると本当に別人のようで、とても合成とは思えません。 物語としては、「育ちの違いによってできた、越えようにも越えられない大きな壁」を扱っています。その作の舞台を京都に選んだというのは、さすが川端康成。主人公2人以外の人も、このテーマを強調しています。長門裕之演ずる秀男は、クレーに触発されたデザインの帯を織ってしまうほど、現代的な若者です(デザインした父親との対比も生きていますね)。しかしそんな秀男でも、その壁は越えられなくて、結婚相手に苗子を選ばざるをえません。千重子の両親も、そんな壁はないような発言をしていますが、それだけに現実の厳しさが思い知らされます。これで悲恋ものならありきたりですが、姉妹の話にしたところが新鮮で、成功してると思います。 映像面では、なんといってもにわか雨のあと日が差してくる、あの場面が最高です。2人の間に希望の光が差すようで、とても美しい。全体的にはセットが多いようで、もう少し当時の京都の街並みを映してほしかったところです。市電も一瞬しか登場しなくて残念。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-10-15 20:32:12)(良:1票)
192.  妖星ゴラス 《ネタバレ》 
これも昔テレビで見て以来。覚えていたのは「南極に基地を作って地球を動かす」ということと、怪獣マグマが出てくることくらい。改めて見たら、かなりまじめに作ってあります。地球を動かすのに660億メガトン必要だという計算は、正確なのだそうな。それを基に大法螺をでっち上げるのは愉快です。この映画はそうした地に足のついたところがあるのがいい。最初の隼号の犠牲もありそうですし、そのあとの予算をめぐってのやりとりなど、全然SFではありませんが、「現実らしさ」にひと役買っています。それに乗じて(?)細かい部分がけっこういい加減だったりするのには、笑ってしまいますが。人間ドラマが足りないと感じたのか記憶喪失が扱われていますが、全体から浮いた感じがします。水野久美の彼氏も誰だかよくわからないし。もしかしたらマグマ登場のためカットされた部分があって、そこでなにがしかのドラマが展開していたのかもしれませんが、そこまではわかりません。なんにせよ、もう少し時間があれば補足できたと思いますが、当時は二本立て興行が基本でしたから、限界だったのでしょう。こういうところでは常識を越えられなかったか。 クライマックスには東京が大津波に襲われるのですが、3.11以降にこれを見ると、いずれこんなことが現実に起こるかもしれないと不安になります。しかし危機が去ったあとは、みんな拍子抜けするほど気楽で、街の再建に意欲を燃やしています。現在の日本にもこうした意気があればいいと思いますが。そういう点では、現在こそ見る価値があるかもしれません。ただ、本作の基本は「科学の力で自然災害を回避する(人間の知恵と科学の勝利)」ということですから、それを考えると複雑ですが……。ちなみにゴラスは彗星でも隕石でもなく、黒色矮星というものだそうです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-10-15 20:06:32)
193.  戦争と平和(1965-1967) 《ネタバレ》 
原作は読みましたが、ほとんど忘れていて、途中から展開が全然読めません。とりあえず覚えているあたり(第2部)までは普通に見られました。が、後半は単調でどうにも飽きてしまいました。演出面でもなかなか興味深いところがあったのですが、後半になるとワンパターンに思えてきます。飛行機での撮影やカメラを延々横に動かしていく手法は、ちょっとしつこい。また、特に第4部では展開が早く、たとえばなぜナポレオン軍が撤退したのか、あれではよくわからないでしょう。原作が有名なので端折ったのかもしれませんが、ロシア人ならともかく、なじみのない人には不親切に感じられます。 大人数のエキストラを使っての戦闘シーンは、迫力があって見ごたえがありました。しかし先にも書いたとおり、同じことの繰り返しで飽きてきます。戦争の悲惨さはよく描けていたと思います。エキストラといえば、舞踏会など社交界の場面もすばらしかったです。原作では、物語の合間に作者の論考が度々はさまれています。そうしたところも映画に取り入れていましたが、ちょっと食い足りない気もしました。 キャストでは、なんといってもピエール役のセルゲイ・ボンダルチュク。イメージにぴったりです。ナターシャ役のリュドミラ・サベーリエワも素敵。それ以外の出演者も、原作の人間像を大切にした配役だったと思います。 力作ですし、立派な映画だと思いますが、それだけに後半失速したのが残念。戦闘場面など見せる要素はいいのですが、思想的な点ではやはり原作にはかなわないでしょう。ということで、少々辛めの点数をつけておきます。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-10-08 21:44:23)
194.  招かれざる客(1967) 《ネタバレ》 
一応人種差別をテーマにした映画のようですが、実際に見るとそれが意図的に隠されている。出会ってわずかな期間で結婚を決めるとか、その日の夜に男が旅立つのでそれまでに決めないといけないとか、「父親が娘を嫁にやりたくない」シチュエーションだらけ。これなら相手が白人でも逡巡するでしょう。娘が無分別にも結婚を希望しているのも、計算ずみ。そうやって父親の反応を一般化しておいて、黒人メイドの反応などで人種問題をチクチクと突いてくる。これは大上段に振りかぶって取り上げられるよりも、はるかに好感が持てます。なによりも、「差別する人間=悪」というステロタイプの結論に陥らないのがよろしい(途中で例外はありましたが)。最後に父親が認める際も、自分の若かりし頃に思いをはせるという粋な計らい。親同士の話し合い、父と息子の対話など、見ごたえがありました。主題歌も魅力的。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-10-02 20:13:41)
195.  ひばりの森の石松 《ネタバレ》 
俳優・美空ひばりといえば、晩年に2時間ドラマで刑事を演じていたことぐらいしか記憶にありません。ということで、「森の石松? 大丈夫か?」と思いつつ見たのですが、大丈夫どころかみごとにはまっていました。調子がよくておっちょこちょい、おかげでちょっとイライラさせられるところもありますが、それもまた魅力でしょう。前半の仇討ち騒動より、後半でのお姫様とのふれあいが、ホロリとさせていい感じ。竜宮城での若侍はりりしくてあくまでかっこよく、茶摘み娘のお君ちゃんとあわせて、それぞれ魅力的に演じ分けているのはお見事。とっても楽しい映画でした。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-09-06 21:09:02)
196.  黒部の太陽 《ネタバレ》 
オリジナル全長版が全国巡回上映中ということで、見てきました。どうしてもNHKで放送された短縮版(特別編)と比較してしまうわけですが、やはりオリジナルの方がよかった。 カットされた部分はけっこうよくわかるのですが、石岡親子に関する重要(と思われる)場面が結構ありました。この親子の描き方にやや不満があったのですが、その点は解消されました。特に石原裕次郎演ずる息子の変化(製図屋から現場の人間へ)、父親と同じだと言われた時のショックなど、よくわかります。それに父親が死ぬ場面までカットされていたような気が……。あれがないとこの親子の話は尻切れトンボでしょう。これが補完されたおかげで、ドラマとしての厚みが理解できました。 牧子病死に関しては、トンネル工事の難しさに重ね合わせたのでしょうが、ちょっとあざといという気もします。もっとも、本作ではどこまで事実を反映しているのかわからないので、本当に亡くなっていたら申し訳ないです。 あと、関西電力の社長がずいぶんよく描かれています。まあ致し方ない面もあるのでしょうが、何が何でもダム建設を成し遂げるという信念はあったのでしょう。いくら金をかけてもいいというのは、時代的なこともあるかもしれませんが、ダムが絶対必要であるという確信がなければ言えないこと。こういうところは、今でもこちらに訴えかけるものがあります。 ということで、単なるダム建設(のためのトンネル掘り)映画ではなく、十分ドラマ性を感じさせる作品でありました。来年はDVD化される予定だそうで、この機会に多くの方の目に触れることを期待しつつ、以前より点数をアップしておきます。 なお、以前のレビューは私のブログに転載するつもりです。 (2012年09月03日改訂)
[映画館(邦画)] 9点(2012-09-03 20:48:22)
197.  大学の若大将 《ネタバレ》 
このシリーズは一度見てみたかったのですが、いざ見てみるとまあ普通ですかね(笑)。もっとロマンス色が濃いかと思ったら、あくまで一部の要素で、スポーツの方に重点が置かれているようです。主人公が特別の恋人といちゃつかないというのは、うまく考えられていると思います。ただそのため、恋人でもない澄子さんが焼き餅を焼きまくるのは、ちょっとどうかと思いました。それにしても、ここから私が子供時代にテレビで見た青春シリーズまでつながっているのですね。そのためかどうか、違和感を感じませんでした。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2012-08-19 16:30:21)
198.  切腹 《ネタバレ》 
いろいろと考えさせられる映画です。戦が終わって平和な時代になり、侍はどう生きていけばいいのか。単純に考えれば、戦士から政治家に転身すればいいわけですが、そう簡単に適応できない人もいる。政治家になっても、戦士時代の価値観が残っていれば、よけい難しいでしょう。 本作での悲劇は、要するに「中途半端な武士道」が生きていた時代の悲劇、と言えるかもしれません。半四郎が指摘したように、武士道などは形骸化して上っ面だけ、しかし、それがあたかも健在であるかのように扱うところに問題があるようです。生活のために武士道など捨ててしまったような求女が、切腹を騙って金を得ようとしてのも中途半端です。結局かつての侍の精神を持っていたのは半四郎くらいのものですが、それも時代の現実とは合わなくなっていたというのもまた悲劇……。 最後の斎藤勘解由の処置は、事実隠蔽で現代の会社が行えば非難されるでしょうが、江戸家老としての判断は間違っていないでしょう。親藩・譜代であろうとも改易やお取りつぶしになる時代であったことは、作中で語られています。藩存続を考えて事件を隠そうとしたこのは、まさに政治的判断でありましょう。 小林監督初の時代劇だそうですが、それらしく、全編リアルなタッチで描かれています。最後に斬り合いが出てきますが、ここも型にはまらずかなり現実的にありそうな立ち回りでした。仲代・丹波の対決も見ごたえあり。そういう点では時代劇の的を外しておらず、うまいと思います。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2012-08-17 22:40:32)
199.  カラマーゾフの兄弟(1968) 《ネタバレ》 
原作は未読なのでどの程度忠実なのかわかりませんが、長時間の割には見やすかったです。ただ、一度舞台化したのかと思うほど場面が固定されており、ほとんど会話だけで進んでいくのは評価が分かれそうです。 カラマーゾフ3兄弟の性格づけが面白い。長男は情熱的で激しやすい。逆に次男は冷静・理知的で無神論者。三男は修道院で修行しており、敬虔でまじめ。しかも父親は、この3人の性格を複雑に持ち合わせています。兄弟が極端なほど対比されており、そのあたりが見ものでした。ただ、会話ばかりですと、本ならば適宜読み返して内容を確認しながら進めるのですが、映画だとそうはいかずどんどん進んでいってしまうので困りました。そのためか、人物の心理の変化など捉えきれないところもありました。 後半、長男ミーチャはグルーシェンカの愛を勝ち取ったためか、温厚でおとなしい性格になっていきます。逆に次男イワンが罪の意識から狂気にとらわれてしまい、この2人は前半と後半で人物像が逆転してしまいます。無神論を語っていたイワンの末路は、それなりに意味があるのでしょう。第2部でミーチャが豪遊する場面はだれましたが、全体的に見ごたえがありました。ただ、原作を読んでいた方が理解が深まると思います。原作を知るために見るのは、有効かどうか判断がつきません。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-08-12 08:53:25)
200.  ニッポン無責任野郎 《ネタバレ》 
前作『時代』の平均は、仲間を思いやったり他人のために行動したりすることもあったので、ある種爽快感があったのですが、本作の源等はとにかく自分のことだけ。他人を都合のいいように利用して、ウソがばれたら開き直るという、無責任というより詐欺師。犯罪者に共感などできません。前作では「コツコツやる奴ァご苦労さん!」と言いつつ、そのコツコツやる相手に対する暖かい視線が感じられましたが、本作はそうした人たちを小馬鹿にして見下しているのも不愉快でした。社内の派閥争いや出世しようと汲々としている社員、拝金主義を揶揄するようなところもありますが、笑い飛ばすにはほど遠い(派閥抗争は、『用心棒』が元ネタでしょうか)。お話の方も、源が舌先三寸と運(ご都合主義ともいう)で強引に進んでいくのですが、みんな源を簡単に信用しすぎ。言動からおよそ信用できない人間だとわかりそうなものですが。そのあたりもうまくいきすぎです(あるいは、すぐ信用するから馬鹿にされるのか)。 しかし最後、平均が新社長で源がその秘書というのは、象徴的です。源は所詮秘書止まりで、社長や役員になれる器ではない。その点では整合性がとれていました。   民放での放送ですが、オリジナルの時間から考えて、ノーカットで見られたのは幸いでした。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2012-08-12 08:33:26)
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