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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2524
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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241.  予告犯 《ネタバレ》 
 戸田恵梨香(この人の映画見るの、2ヵ月の間に3本目ですな)はなんかちょっと違うんでないか?と。極端な味付けをし過ぎていて。あんな延々ギスギスした演技ばかりしてたんじゃ、んなヤツぁいねーよ、とツッコむしかない訳で。過去の回想シーンとの対比で「だからこういうキャラなんです」ってのは安直に過ぎる気が。で、やっとラストの方でキャラ的に救われるんですが、それがまた本来あり得ないシチュエーションでしか救われてないっていう。刑事だったらあんな行動は取らないよね・・・。そこら辺、ホントに作り物臭くて、また他のメンバーは『SP』の出来損ないのようでもあり、警察側は見ていてかなり厳しい出来な感じ。   一方、犯罪者側はよくできていたと思います。中二病をこじらせたクズのように見せながら、薄皮を徐々に剥いでゆくようにそこに至る悲劇と、でも悲劇だけに終わらない、彼らなりに獲得できた幸せな時間とが明らかになっていって。   名前が映画を貫くキーワードになっていて、名無しの時代に損得勘定でなく名前を持つ人間同士で繋がりたいと願う、切ない話。ネットが普及して誰でも世界に向けて情報が発信できる、けれどその解放されている筈の世界の閉塞感は一体どうした事か?と。底辺で足掻くしかなかった名無しの束の間の輝きが胸に迫ります。   新聞男4人+ヒョロ+インターネットカフェのバイト、役者の好演で存在感を得た彼らによって、映画はこの時代を映す意外な拾い物になっていました。
[映画館(邦画)] 7点(2015-06-11 20:40:54)
242.  メイズ・ランナー 《ネタバレ》 
 ティーン向け小説の映画化で3部作の1部目とか、コレ絶対ダメなヤツじゃん!って思ったのですが、意外にも面白くて。   このテの何部作モノ映画って最初に設定の説明を延々とし始めるような、いつになったら本題に入るのよ?ってシロモノが多かったりするのですが、コレは主人公が記憶を失っていて、一体そこがなんなのか全く判らないという設定。観客は主人公と共に物語の進行によって世界を知ってゆく構造になっています。ロールプレイングゲームによくあるテではありますが。  しかも、主人公が訪れた事でそれまでの世界に変化が訪れ、更にこれまで若い男だけだった世界に最後の一人としてヒロインが現れて更なる波乱を生んで、といった感じでどんどんと状況が転がってゆきます。「一体どうなっているんだろう? これからどうなるんだろう?」という興味がずーっと続いてゆく状態ですから、映画に対する意識の集中が途切れてしまう事がありません。   で、「このダンジョンの中だけで3作かけて延々出口探しするのかいな? 中でグダグダと人間同士の葛藤のドラマとか見せられちゃうのかいな?」と思っていると全然違って。葛藤はあっても状況が追いかけてきますから、物語はどんどんと先に進みますし、この映画だけでひとつの完結を見せ、また次なる展開へと続いてゆきます。最近の邦画の何部作モノにありがちな、儲け出すために分けました的な、1本では全然成立していない内容の薄い作品と違って、ちゃんと映画1本見た、っていう満足感はあって、そして続きも見たい、という気持ちになって。   難点としては主人公がワリと軽率に行動する系であまり共感できず、むしろ悪役になっちゃう保守的な少年の言う事に一理あると思ってしまう点ですか。あと『ハンガーゲーム』に似た部分が結構ありますね。   外へ外へと向かってゆく、どんどん開かれてゆこうとする物語のベクトルには気持ち良さがあって、見る前に抱いていたイメージと違って、なかなかに侮れない作品でした。
[映画館(字幕)] 7点(2015-05-25 22:33:33)
243.  ワイルド・スピード/SKY MISSION 《ネタバレ》 
 「ポール・ウォーカーの死がなければ、ラストの感動も無いから作品の評価も変わる」とすれば、それはポールに対して非常に失礼なワケで、だからあくまで映画は映画として。   5作目が頂点で、あとはまたちょっと下降線辿ってるかなぁ、という気がします。  CGを多用する事で(そもそも最初からCGに頼る事を前提としたプロットになっている事で)画から説得力が欠けてしまっているのは4作目のクライマックス同様。  細かい事はどうでもいい娯楽大作と言っても、脚本の穴は大き過ぎ。見せ場の終わりがエピソードの終わり、だけど車ごと降下してラムジーを救出した後、どうやってあの国から脱出できたの? ビルからビルに飛んだ後、散り散りになっていたメンバー全員どうやって外に出られたの? 結局、見せ場を乱暴に繋いでるばかりなんですよね。  そういう雑な作りだから「仲間ではなく家族だ」とか言ってるわりにハンの死の扱いは軽いですし、せっかくのカート・ラッセルやトニー・ジャーにしても、物語に重要な作用をしておらず勿体ない状態。マイケル・ベイの映画みたいな大味さではあります。「クルマ・おっぱい・お尻・キャットファイト!」みたいな中学生レベルの稚気もマイケル・ベイっぽいですが。  そういうガキっぽさと、ヘンに深刻ぶったドラマと、ビッグバジェットの超大作化とが不協和音を奏でている感じですが、それこそが『ワイルド・スピード』の魅力なのかもしれません。予算タップリな分、見せ場もタップリですし。   ディーゼルは相変わらずの大根ですが、5作目から参戦のドウェインと、今回の悪役ステイサムとで3大ハゲ・アンサンブルを奏でているところはステキ。ドウェインがガトリング銃を手にする画なんて「待ってました!」って感じで。   シリーズを重ねるごとに、どんどんクルマへの拘りが薄くなってしまって(だからこそ空を飛ばそうって発想になるのでしょうけれど)、そこは不満かな。もう少し走りのサスペンスを見せて欲しいところで。今回は徹底して飛翔・落下・破壊で構成されていて、だけどそれはクルマが持つ基本性能と、それが醸す魅力とは全く別のものですからねぇ。   あれこれ文句書きましたが、元々「んなアホな」ってツッコミ入れながら楽しむタイプの映画なので、できればこれからも楽しませて欲しいな、と思います。
[映画館(字幕)] 7点(2015-04-30 20:54:52)(良:1票)
244.  クレヨンしんちゃん オラの引っ越し物語 サボテン大襲撃 《ネタバレ》 
 『クレしん』で泣かせに走るのはあまり好きじゃないので、今回はそれが冒頭部分だけに集中していたのがまだ良かったかな、と。   舞台がメキシコに移ってからは完全に野原一家と現地のキャラ達で独立した物語になって、従来にも増してハッキリとした作品の形が見えます。ズバリ、王道モンスターパニック映画。『トレマーズ』とか『ジョーズ』とか『フィースト』とか『ミスト』とかのノリ。『クレしん』でアレやりました、っていう。  なのでそういう映画好きとしては大変面白く、だけど一方で群像劇となった事でしんのすけが大勢の中の一人になってしまった事や、怪物撃退、退治のシチュエーションが(小ネタを除くと)真っ当だったりと、『クレしん』としての面白さは結構スポイルされている気がして、ちょっとジレンマを感じたり。もう少しナンセンスでも良かったかな?とも思うんですが、結構ホンキです。   今作オリジナルのキャラ達は皆個性的。っていうか果たしてこのキャラは要るのかな?みたいなのは大体さっさと怪物に食われます(笑)  でも、そんなにはドラマ作ってないんですよね。スマホちゃんにしろ、レインボー仮面にしろ、村長にしろ、性格はハッキリしていても、そういうキャラとなった背景は見えてきません。全体的には多少冗漫な印象があったので(籠城場所を移動したり何度も外に出たり入ったりで、水増しエピソードが無きにしもあらず)、どうせならばその時間をドラマに費やすか、さもなければもう少し刈り込めたのではないかと。  一方、今回は敵が世界征服を狙う組織とかではなくて怪物ですから、敵側のサムい歌やギャグが無かった分、安心。アレ、毎回、なんで入れるかなぁ?って感じで。   原作者の逝去によって『クレしん』の基本設定にはもう新たに手を加える事はできないでしょうから、あとはどれだけ物語のバリエーションで魅せるかになってきていると思います。今回はそんなにハズしてない感じで面白く見られました。
[映画館(邦画)] 7点(2015-04-27 23:14:21)(良:2票)
245.  マジック・イン・ムーンライト 《ネタバレ》 
 毎度の懐古主義的ウディ・アレン作品ですが、あの時代の南仏なんて、それは確かに魅力的なわけで。あの風景、あの陽光の中に置かれて輝くエマ・ストーンの美しさ、もうそれだけで勝ったも同然、みたいな作品で。   だけど今回はさすがにちょっとひっかかってしまいました。  当然のように今回もまた主人公はウディ・アレンを色濃く反映した存在です。厭世的で毒舌で皮肉屋でエセインテリ(ここでは上流階級)嫌い。手品師と映画監督というのも同じような存在。いかにして人を上手く騙すか。だけど、ウディとは似ても似つかないコリン・ファースを以ってしても「そんな男に最終的に惚れるか?」と。  身勝手で嫌なヤツなワケですよ。友達なんていなくて、一切人を立てる事をせず、攻撃的な言葉で周囲の人間を不愉快にさせて得意気になる性格の悪さ。でも金持ちのボンボンなんかよりこっちの方がよっぽど魅力的だろ?とばかりにぐいぐいと押し付けてくる状態で、最後はハッピーエンド。  コレ、結局はウディが若返って見た目だけカッコ良くなって演じるラブストーリーなワケですよね。   「エマ・ストーン、スゲーいいよね! 彼女をモノにしちゃうボクを実現しちゃうもんね!」  そんなホンネがダダ漏れな映画。いつまで経ってもウディは若くてキレイなお嬢さんが大好きなのね、って半ば呆れ気味で映画を見終えたのでした。
[映画館(字幕)] 7点(2015-04-27 21:44:05)
246.  シンデレラ(2015) 《ネタバレ》 
 この時代、もちろん随所にCGが使われておりますが、アナモフィックレンズを使ったフィルム撮りの画調はまるで50年代の映画のようで、とてもクラシカルな雰囲気。  『魔法にかけられて』や『プリンセスと魔法のキス』あたりから顕著になった(ある種、自虐的とも言える)ディズニーの「脱・いつか王子様が」路線ですが、『アナと雪の女王』『マレフィセント』までエスカレートしたところで今回は一気に原点回帰といった風情で。オーソドックスな王道に戻ってみましたという感じ。  ですが、それは決して不快ではありません。  これはシェイクスピア作品に代表されるコスチュームものを得意とするケネス・ブラナー監督、堂々の演出による天下のディズニー王道の世界。   いじめ描写が嫌いな私なので元々『シンデレラ』は苦手な作品でした。この作品での継母(さすがのケイト・ブランシェットの風格)のシンデレラに対するいじめには、さほど多くの時間と描写を割いている訳ではなく、ヌルめとも言えるのですが、それでもシンドく。  でも、だからこそフェアリー・ゴッドマザー登場からの多幸感ときたら。  カボチャの馬車、馬になるネズミ達、煌びやかなドレス、ガラスの靴。『シンデレラ』の定番キーワードがキラキラと眩いばかりに映像化されていて、これぞディズニーの『シンデレラ』!と直球ど真ん中で勝負してきます。  ドラマ的には王子と王との関係描写や、政略結婚の陰謀などを盛り込んで厚みを与えてある事で定番過ぎるほどの定番ゆえの退屈さを回避しておりますが、一方で父母の死や、解雇された使用人達、継母と継姉達のその後などはごくアッサリ描写で、あまり引きずらないあたり、軽い印象。   キラキラ煌めく映像の中でも特に目を惹いたのはドレス。シンデレラのブルーのドレス、継姉達の軽薄さを表すカラフルなドレスが、フェアリー・ゴッドマザーの白と継母の黒・緑との対比の間で咲き乱れて、シネスコ画面いっぱいに溢れる「色」にうっとり。   『ベイマックス』のようにテクノロジーの未来にも目を向けるディズニーですが、一方でこれまで育んだ伝統の色を存分に堪能できる作品も新作として生まれるあたりがディズニーの懐の深さなのでしょうね。
[映画館(吹替)] 7点(2015-04-27 21:19:38)(良:2票)
247.  君が生きた証 《ネタバレ》 
 息子を亡くしてなかなか立ち直れなかった父が、息子の遺した歌を通して人と触れあい、人間性を取り戻してゆく、そんな感動的なお話しだと思っていたら。   途中でこれ見よがしではなく、さりげなく入ってくる1カットで、それまでの思い込みが根底からひっくり返されます。それまでに心の中にイメージした、死んだ息子や遺された父母のそこに至る経緯、背景、心境に大幅な修正が必要になる、頭の中にそれまで刻んだこの映画の姿を1から書き換えてゆかなければならなくなる、上下動の激しいジェットコースター人間ドラマ。  その構造はその事実に触れた登場人物達の心境にもシンクロします。  人生を狂わされるとはどういうものなのか、そして自分の人生を生きるとはどういうものなのか。他者の影響と自我と。  真実に翻弄される登場人物同様、見ている側も人の生について向き合う事になる、そんな仕掛けを持った作品。   ウィリアム・H・メイシーはこの素材を時にユーモラスに、時にシリアスに、でも決して大仰に盛り上げるような事はせずに誠実に描いていて、ゆえに後半からラストはじわじわと切なく染みてきます。   感動しました、であっさりと終わらせる事のできない、後に様々な思いを残す、一筋縄ではいかない映画でした。
[映画館(字幕)] 7点(2015-04-06 22:56:57)
248.  シェフ 三ツ星フードトラック始めました 《ネタバレ》 
 フードトラックに至るまでが長くて、フードトラックのところからは最早クライマックスと言えるので、タイトルでネタバレしてるじゃん、って状態ではあります。  大体、フードトラックを始めるまでには紆余曲折ありますが、始めて以降は快適ロードムービー、それ以前に比べるとそんなに残されたドラマは多くありません。   物語自体、どん底に落ちるのも、そこから這い上がるのも、そんなには重く深刻には描かれず、生々しい人間ドラマが、なんてものではありません。別れた元妻は大変に物わかりが良く、息子は良く出来た子、元同僚は根っからのいいヤツでとても協力的、恋人とも決してドロドロしない。そんな環境では失業もまた夢物語。  でも、そこは元々あまり重要ではなくて、いっぱい出てくる有名スターと美味しそうな料理を眺めているだけで十分、って映画。  料理をしっかりと美味しそうに捉える、そこがキーとも言える感じで(どう見ても脂っこいしつこい味だろうなぁ、っていうものもありましたが)。  Twitterによって窮地に追い込まれる主人公がTwitterによって救済される、その象徴である青い鳥が飛び立つシーンはTwitterで多くの人と結び付いている私には感動的でした。   ただ1つ気になったのは、フランス料理のシェフがタバコ(クサ、葉巻含む)を吸いまくってて勤まるのか?という事。『美味しんぼ』にも描かれていましたが、喫煙は味覚と嗅覚に影響大ですし、生ものには指から匂い移りします(手を洗ってもちょっとやそっとではタバコの匂いって取れません)。私自身、元喫煙者で現在禁煙7年という状態で今は料理人でもあって、その影響を実感しまくっています。大衆料理はともかく、それなりに高級そうなフランス料理だと無理なんじゃないかなぁ。
[映画館(字幕)] 7点(2015-04-06 22:18:57)(良:1票)
249.  幕が上がる 《ネタバレ》 
※おっさん、もう誰がももクロやらAKBやらHKTやら判らんって状態ですが、お嬢様方、大変良かったと思います。真っ直ぐな青春映画をキラキラと輝かせて。  「演技の中で演技をする演技」という難題を見事にこなしていて。   問題はやっぱり本広演出ですねぇ。  まずカメラワーク。ドリーで横移動、回り込みを繰り返しますが、その効果がちゃんと出てないです。そのゆっくりとしたカメラの移動に込められた意味、みんなの中の時が流れてゆく感覚を表現しているのかな?とは思うのですが、移動の意味を次のフィックスで打消しちゃうような、移動と静止との関連性が希薄。   そしてなんと言っても内輪ネタ。本広作品なのだから、内輪ネタは必須とばかりに無理矢理入れ込んで、それが明らかに雑音になっています。っていうか、どこかでカエル急便や『スタートレック』のコスプレ男が出てくるんじゃないかと最後までドキドキしてました。監督、観客のそういう不安をわざわざこの映画に持ち込ませたかったの?   あと、ヒロインのモノローグは彼女の視点を表現するためにあって良いものだと思いましたが、先生が演技をするシーンは映像で十分に語れた筈です。あそこは彼女のモノローグがジャマをしてしまっていた、演技って何よ?っていう※   と、以上がレビュー用にメモってた文章。ツイッター見るとラジオで宇多丸さん、大体そんなような事をお話しされたみたいですね。んー。後出しになっちゃうし。   足りてない部分を書いておきますと、黒木華さんが見事でした。弱々しい印象のあるこの人の「強い役」というのがなかなか。   横移動はHFRで撮って映写すれば良かったかもしれませんね。フレーム数が多くなれば被写体が安定して煩わしさは軽減するでしょ? 繋ぎの悪さはいかんともしがたいですが。   監督は、ただ素材を活かすための演出に徹するべきだと思いました。二人だけの駅のシーンでの幻想的な雰囲気なんか良かったのですが、犬のオシッコみたいに作品内に自分のマーキングをせねば気が済まないっていうのは、もうやめた方がいいんじゃないかと。   そんな感じです。
[映画館(邦画)] 7点(2015-03-08 00:35:01)
250.  6才のボクが、大人になるまで。 《ネタバレ》 
12年かけて撮られたそれはフィクションでありながら、一方で少年と姉の成長と周囲の人々の変化がリアルに刻まれ、観客は虚構とリアリスティックの狭間で不思議な感覚を抱きながら、一人の人間の生に寄り添ってゆきます。   少年が大人になってゆくまでの道のりは波瀾万丈ですが、それは主に大人達の言動の影響によるもの。別れた父親に新しい父親、新しい兄弟、そしてまた離婚。そのたびに環境が変化し、少年と姉は波風にさらされます。  子供はただ大人の都合によって翻弄される、それがとても痛く、創作なのに本気で心配しちゃったりして。特に2人目のダンナの連れ子が可哀想で。あそこまでで描写は終わってしまいますからね。   大きくなるにつれて自分の意思から物事が動くようになって、それが自我が芽生える、大人になるという事、だけどそれが必ずしも上手くいくものではない、親という人間も、その失敗の理由も見えてくる、と。   『ハリー・ポッター』やiPhoneといった時代を映す要素を盛り込んでその生を身近に感じさせてゆく、彼の人生のひとときに触れる映画でした。   ただ、そりゃ12年もかければ当たり前に撮れるモノってのがあるわけで、それは映画のマジックとは別のものですから、映画ってモノの力を意外と信じてなかったりする側面があったりするのかなぁ?という気もしました。その有無を言わさない姿勢に天邪鬼な私としてはちとケチを付けたくなったり。
[映画館(字幕)] 7点(2015-02-12 22:36:07)(良:1票)
251.  マエストロ! 《ネタバレ》 
 脚本にはアラが目立ちます。特にクライマックスの2日目の公演については脚本上、上手に処理しきれていない部分だらけ。ポスターに2回公演と明記されながら2日目のチケットが販売されなかった事の不自然さは、携帯からネットでの口コミが見られる世界として描いてしまった以上、一発で判ると思うのですが。  その2日目の公演にしても天道のエゴばかりが先走った上での到達点のように思え、結局彼は自分のためだけの音に執着し続けただけのキャラのように感じました。   ですが、音楽に真摯に向き合う姿勢はきっちりと伝わってきました。人が奏でる「音の見せ方」がとても上手いと思います。その音がどういう背景から紡ぎ出されてゆくのか、楽器が人と音との間に存在していかに芸術に昇華されてゆくのか。  音をただサウンドトラックに記録されスピーカーから再生されるものとしてだけでなく(音響設備がそれなりに良いハコで見たので、そのプロの音のみでも十分に圧倒されるのですが)、ビジュアルとしてスクリーンに描く事について、この映画は真面目に取り組んでいました。   「音楽って素晴らしいものなんだよ」という単純な話、でもそれが人の心から生み出されてくるものであるという当たり前でありながらそこに思い至る事がなかなか無い事を改めて認識させてくれる映画でした。そして、その音を生み出す「人の心」に説得力が感じられたのは、やっぱり役者さん達の好演によるものだったと思います。もちろんその音は彼らが実際に演奏した音ではありませんが、心地良く騙してくれました。
[映画館(邦画)] 7点(2015-02-04 22:55:09)(良:1票)
252.  映画 ST赤と白の捜査ファイル 《ネタバレ》 
 ドラマ版は第一話をなんとなく見て終了状態だったのですが、映画版、面白かったです。ひたすらキャラものとして。   【以降、映画の仕掛けそのもののネタバレになりますのでご注意を。】   脚本的には結構無理があって。そもそも赤城が逮捕され脱獄し追われるという展開にかなり無理があるので追う方の警察がひたすら無能&お遊び状態に思えてしまい。そこにもちろん裏がある訳ですが、それを事前に100%把握していた人間はごく一部なわけですから、やっぱり無能&お遊びは否定できないんですよね。   それに犯人が犯行の妨げになるSTの解散を目論んだ、っていう設定も疑問。STさえ存在しなければ捜査能力が低下するなんて考えるものなのでしょうか?   大体、ウィルスソフトをばら撒いてワクチンソフトを売りつけるって、そもそも商売として無効化するのが明白なので誰も入札しないんじゃ?   で、だけどキャラが面白くて。赤城・百合根コンビのバカみたいなテンションはアリだと思いましたし(ドラマはあまり見ない私ですが、日頃映画でお馴染みなお二方なわけで、この二人のハイテンション演技が楽しく)、STメンバーや脇キャラも個性的で楽しく。途中、道中を共にする事になる女の子の毒舌っぷりがまたいい感じ。  ユースケ・サンタマリアは毎度のつまんない演技してて、この人ってこんなのしかできないの?とか思っちゃいましたが。   サスペンス映画としてはともかく、キャラものとしてかなり笑わせてもらったので見終わってスッキリ爽やか。なので甘い評価になりました。テレビシリーズをちゃんと見たい感じ。  それにしても、この監督さん、『ガッチャマン』ではなんでこの感覚が全く出せなかったんですかねぇ? 『ガッチャマン』こそはキャラものの基本中の基本ワールドでしょうに。
[映画館(邦画)] 7点(2015-01-25 23:03:44)(良:1票)
253.  アオハライド 《ネタバレ》 
 男が女々しくて優柔不断で決断力がまるで無いためにヒロインが振り回される、っていうのは最近の少女マンガ原作の映画のパターンで。もうダメ男ばっかり。世の女性達はそんなんがいいの?   で、これもそんな話なのですが、でも、ちゃんとその女々しい男の話に向き合って作られてる感じで。   目が印象的な映画です。まるで目力のある役者ばかりを選んだかのように、目が映画を語る重要なアクセントになっていて印象的。  見つめる、逸らす、泳がす、伏せる、見つける、目撃する、読む。  目が多くを語り、視線が絡む事で動き出す物語。   それからこの監督の良さ、生きた日本の風景を捉えるところ。『ソラニン』や『陽だまりの彼女』と同様に今回も風景が生きていて映画の空気を作り出しています。後半の舞台となる長崎の美しさ、そして小川にかかる橋とその先の坂という地形を、洸の抱えた心の傷に反映させる巧さ。  三木監督はこの国に生きている人の姿をキレイに捉える人だと思います。   青臭い話ではあるのですが、それこそがタイトルにかかっている「青い春に乗る」世界なわけで、その青い時に、それぞれが抱える悩みや痛み、想いを上手くすくい取った作品でした。
[映画館(邦画)] 7点(2015-01-01 22:43:47)(良:1票)
254.  ゴーン・ガール 《ネタバレ》 
 フィンチャーらしく、少々ダラけたところがある感じで、もう少しタイトにできたんじゃないかと思います。  エピローグ部分なんて「まだ続くの?」って感じがして。その続いてゆく中に何か新たな展開があるのかと思いましたが、エピローグはあくまでエピローグの役割を果たすばかりで。1~2シーンでスパッと切ってしまった方がもっと色々な余韻を残せたんじゃないかなぁ。あの効果的なラストカットはあれこれと事後の説明をせずにさっと出した方がより効果的だった気がします(それだとただでさえツッコミが必要な細部のアラに加えて更にツッコミ箇所を増やす事になりますが)。   さて、エイミーは結局、母の描いた『完璧なエイミー』を嫌悪しつつ、一方ではそうあらねばならないという強迫観念に囚われていたのだろうな、と思います。常に理想像があって、その理想像に自分をピッタリとハメ込なければならない、そのためには手段をいとわない。理想像からかけ離れる事の恐怖に比べれば、他は大した問題ではないと。そんなエイミーを作り出したのは本と現実という二面性を創造した母親。   そしてもう1つ、大衆が求める理想像。理想的な夫婦の形、理想的な人間の生活。そこからはみ出すものを徹底的に叩く事で自尊心(と思い込んでいるもの)を維持している人々、それを煽るマスコミ。テレビやネットに触れている人々もまた、常識的、良識的な理想像に縛られて強迫観念から攻撃性を持つという点ではエイミーと同じな訳ですね。口では良識を説きつつ現実はその口とは必ずしも一致していない、でしょ?   つまりこれは、ごくごく当たり前な今の人間、理想的な人間を必死に演じている人々に対するシニカルなお話し。  エイミーみたいな存在が身近にいる可能性の話ではなくて、誰の心の中にも少なからず存在するエイミーの話。  他人の問題じゃなくて自分の問題なんですよ?って、まー、そこに思い至らないといつまで経ったって円満な夫婦関係なんて築けやしないんじゃないんスか? 一生独身であろう私が言うのもナンなんですが。
[映画館(字幕)] 7点(2014-12-14 15:07:25)(良:5票)
255.  フューリー(2014) 《ネタバレ》 
 「戦場では狂気こそが正常であり、常識的な人間はただの役立たず」という事を描いて、そこから逆説的に戦争を通して人間性のあり方を問うてくる映画でした。   無数の死が目の前に転がっている世界で、なお人は理性を保ち、人を信頼したり愛したりし得るのか、絶望の中に希望を見い出せるのか、と。狂気に駆られつつ、根底には信仰に根差した人間性を秘め、その矛盾を内包したまま戦場で生きる人々。  狂気の中の良識を垣間見せるベテランと徐々に狂気に染まってゆく新人との対比が効いています。   でも、そのキャラクターの在り様、ブラッド・ピットの中にトム・ハンクスの姿を、ローガン・ラーマンの中にチャーリー・シーンの姿を見てしまった感じで、この映画が今日の戦場映画の基準となった『プラトーン』『プライベート・ライアン』のその先に行った感じはしなかったのですね。そこはもう1つ、何か踏み込むものが欲しかったのですが。   激しい戦闘シーン、シネスコフレームを活かした構図など、画的な見どころも多い映画ですが、一方で肝心な戦車内の閉塞感はそんなに出ている感じがしなかったのは、車内の位置関係の描写不足やカメラポジションのあまりの自在っぷりに難があったからでしょうか。   そんな中で血と瓦礫の中で美しい憧憬の対象となっていた、戦車と対比された存在である馬が印象的でした。戦車は男の象徴で馬は女の象徴かな。
[映画館(字幕)] 7点(2014-12-02 22:12:43)(良:1票)
256.  近キョリ恋愛(2014) 《ネタバレ》 
 「女子生徒に手を出す高校教師のお話」という、もう基本中の基本が絶対的にダメダメな物語なのですが、その基本が腐ってるような設定を元にして、いかにちゃんとした恋愛映画に昇華してみせるか、というところに腐心している感じで。結果的には意外と良かったという印象。   これもまたマンガが原作のシネスコサイズ恋愛映画ですが、こちらはフレームの切り取り方、ライティング、色彩、どれもキレイにまとまっています。タイトルが出てくる画面の構成なんか、上手いなぁ、って。   物語は少女マンガらしいおなじみ「すれ違いの物語」。でも、本音をぶつけ合うのではなく、各キャラクターがお互い常に相手の事を思って本音を現さない、行動に出ないゆえのすれ違いという点で共感を得やすい感じがします。   映画は表情の無い、感情を表さない主人公ゆにの心の揺らぎに寄り添い、その内面の大きな変化の波をすくい取ってゆきます。ゆにの無意識な仕草による感情表現の多くは初期にセリフによって説明されているので判りやすい、単純な記号と化しているようにも思えます。だけど言葉や表情ではない、その仕草がゆにというキャラクターに魅力を与えているように思えます。  全編に渡って繰り返される、ぎゅっとスカートを握りしめるゆにの手のアップ、これがラストシーンで解き放たれた時、それがベタであると判っていながら感動してしまう、それは仕草の描写の積み重ねがあればこそ。あの描写こそは他のどのキャラクターでもない、ゆにのみに与えられた独自の解放の表現であるのです。   櫻井は教師という大前提がある以上、ダメな大人。嫉妬する幼なじみの教師も、ゆにを預かり腫れ物のように扱う教師も、同様にダメな大人。そのダメさ弱さをダメなりに見つめているように感じました。   肝心のクライマックスで大学生になったゆにの微妙なメイクや服装、そして不自然さ丸出しの夕陽の合成によってハリボテ感が出てしまったのが残念ですが、小松菜奈の魅力を上手く捉えた、爽やかな一編になっていました。
[映画館(邦画)] 7点(2014-11-14 22:44:20)
257.  美女と野獣(2014) 《ネタバレ》 
 物語は大して面白くありません。  ベルの家族の描写に多くを割き過ぎなんですよね。序盤は「いつになったら野獣出てくるんだ?」って状態ですし、中盤はベルと野獣とのコミュニケーションがそんなには描かれておらず、クライマックスは兄達が悪党引き連れてやらかすアクションスペクタクル!になっちゃうし。そのアクションスペクタクル部分は『進撃の巨人』か『ジャックと天空の巨人』か、って感じでちょっとやり過ぎてて映画のカラーそのものを変えてしまっている感じですし。  もっと「美女と野獣」に時間を割り当てて貰いたかったところなのですが。   ヴァンサン・カッセルとレア・セドゥというキャスティングもちょっと新鮮味に欠けちゃう感じ。   一方、さすがゴシック&デカダンの国おフランス製、その退廃的な美術のウットリするような美しさ。もうそこだけで満足しちゃったりして。  人を寄せ付けない森、荒廃した城、その深く沈んだ色、散りばめられた無数の枯葉、そこに置かれる鮮やかなベルの色、泉の色、バラの色。  それこそは「美女と野獣」に相応しい鮮烈なイメージの世界。   ディズニーのカラフルで夢見る愛のお話しの世界とは全く異質で、ダークな要素を多分に含みますが、一方でディズニーのアニメーション映画があったからこそのデザインや映像、作品そのものの在り方も見受けられます。  製作が決定しているらしいディズニーの実写版『美女と野獣』がこの作品の存在を前にどのような映像を出してくるか楽しみです。
[映画館(字幕)] 7点(2014-11-09 22:18:39)
258.  モンスター・ホテル 《ネタバレ》 
 メイヴィスが本当に可愛いのね。だからとーちゃんの気苦労もよーく判ります。   話の殆どはホテルの中だけで展開する、娘をホテルの外に出したくない、ずっと傍に置いておきたいヴァンパイアの話で、そこにはかつて妻を人間に殺された過去があり、モンスターという個性は世界から隔絶・秘匿された存在でなければならない、っていう背景があって。  作品には娘の自立心を尊重しなければならないという主張が存在していて。『アナと雪の女王』より先行して同じネタを扱ってますね。   でも、その肝心のメイヴィスが惚れてしまう人間の男がどうにもこうにもただのバカで、アレに惚れちゃうあたりのセンスに甚だ疑問を抱いてしまった訳で、メイヴィスって人格(ヴァンパイア格?)そのものの評価が下がってしまうレベルなんですが、これは後に英語版をブルーレイで見た時点で理解できたっていうか、英語版はそんなにバカじゃないです。日本語吹替版のオリラジ藤森、アイツがあの芸風そのまんまの喋りで吹き替えやがるから途轍もなくバカなわけで。  それと正直なところ、芸達者な山寺宏一の声も洋モノアニメで聴き過ぎて(『アラジン』のジーニーとか『シュレック』のドンキーとか『アイス・エイジ』のマニーとか)オリジナルな個性が消えてしまっています。  なので英語版ならば9点です。英語版はメイヴィスのキモチがきちんと見えてきますから。   現代の人間達が過去と違ってモンスターに対してとても好意的です、っていう設定は都合が良過ぎる感じがしますが、差別の無い世界への希望を描いていると解釈したいと思います。子供達に、その無限の可能性を指し示している映画なわけですから。
[映画館(吹替)] 7点(2014-08-14 23:05:28)(良:3票)
259.  トランスフォーマー/ロストエイジ 《ネタバレ》 
 毎度のマイケル・ベイです。とりあえず爆発。中学生レベルのお色気。カット数大量。だけど足らないカットも大量。映像も演技もシーンも話もちゃんと繋がってません。  「イマジナリーラインくらい守ってくれないと・・・次にくっついてるカットのクラッシュしちゃったソレはどこの誰さん?」みたいな事を気にしているうちに、物語自体が激しく方向転換しちゃって訳わからなくなっちゃう、っていう。テキサスからシカゴまではまだなんとなく繋がってた気もしますが、香港に飛ぶともう別の話みたいな状態になって。飛躍し過ぎ!って。   んでも、私にとってマイケル・ベイ、クリストファー・ノーラン、ローランド・エメリッヒはクドくて途中で飽きる3大監督なんですが、今回飽きなかったんですよね。マイケル・ベイ史上初?  これまでのシリーズはどうもガチャガチャと鉄の塊がもつれてるだけ、みたいな印象ばかりだったのですが、今回はいつものマイケル・ベイ的ゴチャゴチャハチャメチャな世界の中にしっかと感じ取ったんですよね、怪獣映画を。半勃ち『ゴジラ2014』よりもずっと怪獣映画。  人々が生活する街の中に巨大な生物(機械生命体ですが)が現れ、破壊の限りを尽くす。あー、支離滅裂な映画の中に、アレに足らなかったカットがいっぱい含有されてるわー、って。そのイメージの洪水が気持ちいい感じ。   『パシフィック・リム』にしてもそうなんですが、結局巨大ロボットだの怪獣だのってのはシネフィルを喜ばすお上品なショットで飾り立てて気取ってたって仕方ないわけですよね。リアル小中学生と精神的小中学生をウハウハ喜ばしてナンボ。  受け手は永遠の中学生マイケル・ベイの稚気にいかにシンクロするか、っていうのが大切なわけで、ウザいシャイア・ラブーフが出てこなかったお陰か、作品の精神年齢が更に下がり気味だったお陰か、今回は私、シンクロ率高めでした。   いかに馬鹿になりきって見れるかがポイントな映画。もっともこの映画のストーリーを理解するのは馬鹿にならなくても至難の技ですが。シードって結局何だったのさ?(杜撰な扱いのマクガフィンざんすな)
[映画館(字幕)] 7点(2014-08-09 15:45:32)(良:2票)
260.  思い出のマーニー 《ネタバレ》 
 前半は全くノレなくて困りました。『アリエッティ』同様、またギスギスしたキャラが楽し気な姿を見せる事もなく鬱々とした物語を展開させてゆくのかと。記号的な性格の悪いキャラを登場させるあたりも含めて、作品に根の暗さを落としてしまうのはこの監督の性格なんでしょうかね。  杏奈がリアクションの薄い、表情の無いキャラであるとは言え、何らかの魅力は与えておかないと(この場合、絵ですかね。もっと彼女が描いた絵に杏奈という人格を映すとか)。どうも掴みが上手くないように思います。   中盤になって杏奈とマーニーのコミュニケーションの形が見えてくると映画への興味も膨らんできますが、それにしても構成はかなり雑だと思います。  マーニーはシンプルに杏奈のイマジナリーフレンドだと思わせつつミステリアスな要素がそれ以外の何かも想起させますが、そのミステリアスを生むためにとにかくエピソードのお尻を曖昧に切りまくるので破綻寸前。  サイロから発熱までをクライマックスに仕立て損なっている感じで、その後、真相話に至る部分があまりに唐突に感じられます。   それを救うのは細やかな作画や美術や音楽。  ジブリお得意のこれ見よがし系の丁寧ですよ作画からもうちょっと進んで、動画から質感や感触を表現する細やかさ。  匂いを感じさせる景色。  そしてキーとなる『アルハンブラの思い出』のメロディ。   物語ではなく、映画を構成する映像や音が杏奈とマーニーの世界を美しく彩り、魅了されてゆく感じ。作品空間の存在を感じさせる表現力。  終わってみれば、杏奈の内的成長を表現するに相応しい世界を共有し、心に沁みる時間を体験できたと思いました。
[映画館(邦画)] 7点(2014-07-21 21:17:19)(良:1票)
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