361. キル・ビル Vol.1(日本版)
《ネタバレ》 タランティーノの日本映画(特に昭和の任侠・アクション映画)への愛が満ち溢れている本当に観ていて楽しい作品でした。 本当にヘタウマというか、B級映画の素材を本当に緻密に組み合わせて凄いものを作りあげていますね。音楽の使い方も相変わらず抜群です(あのウィークエンダーの曲が頭から離れません)。 まあ、少しエグいシーンが多いのがアレですが、ユマ・サーマンの殺陣も中々堂に入ったものでしたし、脚本は見事ですし素晴らしい映画だと思います。 [地上波(字幕)] 8点(2009-03-10 14:17:51) |
362. チャーリー・ウィルソンズ・ウォー
《ネタバレ》 アメリカのアフガン政策の裏側をとてもわかりやすく、そして面白く描いています。ただ、この「わかりやすさ」「面白さ」が非常にくせ者なんですよね・・・。 軽妙で能天気にさえ見えるチャーリー・ウィルソンそのものが、アメリカという国の「軽さ」の象徴のように感じましたね。そして、その「軽さ」が後々悲劇を生み出してしまうんですよね・・・・。 「人間万事塞翁が馬」・・・映画の中でも引用されるこの故事成語が非常に重く響きました。 [DVD(吹替)] 8点(2009-03-03 19:33:35) |
363. 延安の娘
《ネタバレ》 ドキュメンタリーなんですが、まるでドラマを見ているような気にさせる巧みな構成は見事でした。革命という名目の下で、人間性を奪われ国家の歯車(よく言えば革命の礎)となることを強制された人たちの苦しみが今も続いている事実は非常に重かったですね。「革命の聖地」延安の荒涼とした光景が、非常に内容とマッチしていて印象的でした。 [DVD(邦画)] 8点(2009-02-24 15:36:36) |
364. ディクシー・チックス シャラップ&シング
《ネタバレ》 あれだけのバッシングを受けながらも、怯むことなく冷静なまでに立ち向かっていくディクシー・チックスのメンバーと周囲のスタッフの姿に大きな感銘を受けました。 バッシングの酷さから垣間見えるアメリカ社会の問題云々よりも、大きな失敗を挽回していくそのプロセスが非常に興味深かったです。失敗は失敗として冷静に受け止めるものの、責任を追及していくのではなくまずはグループの結束を固め、適切な方向性を定め進んでいく姿は、まるで「プロジェクトX」を観ているかのようでした。 しかし、彼女達の強さは半端ないですね・・・凄く格好良かったですけど。 [DVD(字幕)] 8点(2009-02-20 18:36:50) |
365. モーターサイクル・ダイアリーズ
《ネタバレ》 医学生の坊ちゃんが革命家の道を進むきっかけとなる南米旅行を描いているのですが、とにかくゲバラの若者特有の「青さ」が非常に印象的でしたね。彼自身は富裕層ではあるけれども、まだまだ半人前の学生の身ですから支配されているという点では貧困層と同じ立場にあるわけで、だからこそ被支配層への視点が極めて同情的なものになり、現状の体制に疑問を抱くようになって革命思想に傾倒していったんでしょうね。 若き頃のゲバラの姿以外にも、南米各国の様々な風景やユーモラスな旅道中なども楽しめる良い作品だと思いました。 [DVD(吹替)] 8点(2009-02-15 22:02:43) |
366. アザー・ファイナル
《ネタバレ》 サッカーは世界の共通語であることを実感させてくれる作品でした。お互い遠く離れた、文化も人種も違うまったく接点の無い2つの国(モントセラトはイギリス領ですが)がこうやって交流をはかれるのですから、サッカーボールは本当に優秀な外交官であると思います(時には禍根を残すこともありますけど・・・)。 私自身も、モントセラトについてはこの試合で初めて名前を聞きましたし、火山の噴火により首都が壊滅したなんてことも初めて知りました。ブータンについても、名前や位置は知っている程度だったので、非常に興味深かったです。 しかし、パッと見では圧倒的にモントセラトの方が強そうに見えたのですが、やはりホームアドバンテージってあるんですね。 次は、各地域別の最下位チームを集めて裏ワールドカップを開催してもらいたいですね。結構盛り上がると思いますけど。 [DVD(字幕)] 8点(2009-02-15 20:43:35) |
367. 恋するレストラン
《ネタバレ》 民族の壁、親の呪縛等の問題を何とか克服しようと悩み奮闘する若者の姿を、明るく軽快に描いていて非常に楽しく観賞することが出来ました。ただ、移民への差別や偏見を描いたシーンが結構あって、オランダにおける移民問題の根深さを感じましたね。まあ、コメディなので湿っぽさはそれ程ありませんでしたけどね。 しかしまあ、この厨房のメンバーは中々いい奴が揃ってはいますけど、客として食事はしたくないですねw [DVD(字幕)] 8点(2009-02-12 19:14:39) |
368. ステイト・オブ・ウォー
《ネタバレ》 フォークランド紛争の状況を、敗れたアルゼンチン側から描いており非常に興味深い作品でした。また、20年以上経った今でもアルゼンチンの帰還兵達には心の傷が残っていて、戦争は戦闘行為が終結してもそれで終わりでは無いという厳しい現実も描かれています(帰還兵の自殺者数は戦闘による死者と同じくらいだそうです)。 この一兵士の目から見た戦場の光景のリアルさはとても強烈でしたね。 [DVD(吹替)] 8点(2009-02-05 13:24:52) |
369. クライング・ゲーム
《ネタバレ》 いやあ、完全にニール・ジョーダンの掌の上で踊らされてしまいましたね。最初はIRA絡みの政治色の強いストーリーなのかなと思ったら、どんどん違った方向(いろんな意味で)へ進んでいきますからね。まあラストの締めかたも見事で、本当に面白かったです(オスカー脚本賞受賞も納得です)。 これから観る方は予備知識なしでこの作品にぶつかった方がいいですよ。いろんな衝撃を味わえますから。ちょっとグロテスクな部分もありますけど・・・。 [ビデオ(字幕)] 8点(2009-02-03 20:30:05) |
370. チャイナ・シンドローム
《ネタバレ》 非常に見応えのある社会派映画でした。この映画が上映されてから30年経ちますが、いまだに原発事故を隠蔽しようとする体質が電力会社に残っているのですから恐ろしいですね。そして皮肉にもそのことが、いかに原発がとてつもなく大きな危険を抱えた施設であるかを証明してしまっているんですよね・・・・・。 しかし、利益のために安全を無視して暴走する企業の姿には、原発事故に勝るとも劣らぬ恐ろしさを感じてしまいました。 [地上波(吹替)] 8点(2009-01-28 18:49:51) |
371. 大胆な家族
《ネタバレ》 朝鮮半島の南北分断について、韓国の人々が持っている意識が垣間見えて興味深かったですね。分断の状態が当たり前の感覚になっているようでちょっと意外でしたね。あとは、北朝鮮の文化的なものに対するイメージは日本とあまり変わらないようで、結構笑えました。 [DVD(字幕)] 8点(2009-01-26 19:46:14) |
372. 凶気の桜
《ネタバレ》 序盤は、窪塚ワールド全開のトンデモ映画っぽくてちょっと「何だかなあ」という感じでしたが、ストーリー展開が進むに連れ凄く面白くなってきましたね。 「リアル」なイデオロギーなんて人間が人間である限り存在しないのに、その「リアル」を求めたが故に、「リアル」に成りすました「フェイク」な連中に翻弄されてしまう・・・。この作品は、社会という大海の中で純粋に「リアル」を求める若者と、それを利用する「フェイク」な大人が作り出した悲劇ではないかと思います。 しかし、窪塚洋介の存在感は圧倒的でしたね。まあ、いろいろある人ですけど、もっとこの才能を輝かせないと本当に勿体無いですね。 [地上波(邦画)] 8点(2009-01-26 19:40:36) |
373. 光州5・18
《ネタバレ》 何というか、やり場のない怒りが湧き上がってきますね。なぜこのような悲劇が現実に起きてしまったのか・・・・・。 当時、光州でどのような事が起こっていたかを描いている前半部分は本当に興味深く観ることができました。文章では伝わらない弾圧の状況が映像によってストレートに伝わってきました。ただ、後半部分は人間ドラマと派手な戦闘シーンがメインになってしまい、どのようにして事件が収束していったのかが良くわからないまま終わってしまったのがちょっと残念でした。 [DVD(吹替)] 8点(2008-12-29 21:08:04) |
374. フォロー・ミー
《ネタバレ》 「探偵さん、何してはるんですかw」と突っ込みながら観ていましたが、観終わった後は人間関係について考えさせられましたね。 何というか、キュートなミア・ファローと美しいロンドンの町並みの魅力が満載で非常に印象深い映画でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-12-28 12:34:24) |
375. クローバーフィールド/HAKAISHA
《ネタバレ》 怪獣が市街地で暴れたり、怪獣と人類、または怪獣同士が闘ったりする場面を第三者的視点で描いている作品は数多くありますが、この作品はまるで自分が怪獣襲撃の場に居合わせているかのようなこれまでにないリアルでスリリングな感覚を味あわせてくれます。 非常に斬新で面白い怪獣映画だと思います。映画館で体験したかったですね・・・・。 [DVD(字幕)] 8点(2008-12-28 12:11:03)(良:1票) |
376. ザ・ハリケーン(1999)
《ネタバレ》 冤罪事件そのものよりも、それを出世の手段にしてしまう人間の存在や根底に潜んでいる人種差別の姿に恐ろしさを感じてしまいましたね。そんな絶望的な状況の中でも鋼のような精神力で無罪を勝ち取った主人公の姿には感銘を受けましたし、そういった理不尽な状況を見過ごさずに彼を支援し続けた人たちの存在があったことは「まだまだ世の中捨てたものじゃない」という希望を持たせてもらいました。 ただ、たまたま主人公は救われましたけど、ひっそりと抹殺されかけている多くの「ハリケーン」達がまだまだこの世の中には多く存在しているのかと思うとぞっとします・・・・・。 [地上波(吹替)] 8点(2008-12-20 20:09:08)(良:1票) |
377. 鬼龍院花子の生涯
《ネタバレ》 観る前は、たびたびテレビ等で流れる夏目雅子の「なめたらいかんぜよっ」のイメージが強くて、ずっと彼女が花子役で男勝りの女性を演じている映画とばかり思ってましたが全然違ってました・・・・。 それにしても、仲代達也の硬軟自在の演技に最初から最後まで引き付けられましたね。目力がとにかく凄かったです。 タイトルは「鬼龍院花子の生涯」となっていますが、彼女の描写自体はそれほどありません。表情のアップさえ少なく非常に印象が薄くなっています。それにも関わらず、彼女の名前がタイトルに付けられているところに、封建的な男性社会の中で自分の力で人生を切り開くこともできずひっそりと散っていった多くの女性たちに向けた原作者の思いが込められているように感じました。 [地上波(邦画)] 8点(2008-12-14 17:44:56) |
378. スパイナル・タップ
《ネタバレ》 これは、ロック好きでロック雑誌を欠かさず読んでいたような人間にとっては最高に楽しめる映画ですね。ロックバンドの「いかにもありそうな」内幕がこれでもかとばかり描かれていて本当に面白かったです。 最後のオチがいわゆる「Big in Japan」というのも最高でしたね(王さんのジャイアンツユニフォーム着てるしw) [DVD(字幕)] 8点(2008-12-07 20:03:34) |
379. 夏時間の大人たち HAPPY-GO-LUCKY
《ネタバレ》 子供の世界と大人の世界の付かず離れずというか、隔絶しているようで実はつながっている微妙な関係性をさらっとしたタッチで描いています。しかし、中島監督はCM界の巨匠だったこともあって、人の心をつかむのが本当に巧いですね。音楽の使い方も見事でした。 心情をテレビに映し出されるドラマで表現したり、階段を上っていくシーン等々「嫌われ松子の一生」の原点がこの作品にはありましたね(派手な映像処理は無いですが)。 [地上波(邦画)] 8点(2008-11-21 14:41:58) |
380. ぜんぶ、フィデルのせい
《ネタバレ》 オープニングで監督の名前を見てどこかで聞いたことあるなと思って調べたら、あのコスタ・ガヴラス監督の娘さんだったんですね。父親譲りの硬派なテーマをドラマとして上手く纏め上げる手腕には今後も期待したいですね。 この作品についても、70年代の左翼運動(フランスというよりはチリやスペインが主ですが)やフェミニズム運動なんかを子供の視点で描いていてとても興味深く観賞することができました。特に、こちらが今の感覚で当時の左翼活動などに対して感じる疑問を主人公のアンナがそのまま親や活動家達にぶつけてくれるのでそのやり取りが面白かったです。 ストーリー的には、チリのアジェンデ政権とアンナ一家の動きがリンクしている感じで進んでいて、アジェンデの最後のメッセージが流れる中で父親が佇む姿を映すラストは非常に印象的でした。 [DVD(吹替)] 8点(2008-11-19 19:25:48) |