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コメント数 1395
性別 男性
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21.  熱砂の秘密 《ネタバレ》 
「フッ、オリジナルを超えたリメイクなんてありえないよな~『猿の惑星』然り『太陽がいっぱい』然り『サイコ』然り…」なんて悟った風なコトを仰るそこのアナタ!そんな御仁に是非とも御覧頂きたいのが本作!!1926年の「帝国ホテル」(監督:モーリッツ・スティラー、主演:ポーラ・ネグリ)のリメイクですが、ハッキリ断言しましょう!「オリジナルをぶっちぎりまくって面白過ぎるぅ~!これこそオリジナルを超えたリメイクだぁぁぁぁぁぁ~!!!」と。開巻、乗員が戦死した一台の戦車が砂漠を迷走する場面から最早アナタの眼は画面に釘付けになること請け合い。ワイルダー&チャールズ・ブラケットの冴え渡る話術にあれよあれよと引き込まれ気づいたらエンド・クレジットと正に息をもつかせぬジェット・ローラー・コースター的な怒涛の95分を堪能なさるでしょう。伏線に次ぐ伏線、全く先を読ませぬスリル&サスペンス!異論はお有りでしょうが個人的にはワイルダーの最高傑作だと初見の感激以来思い続けております。紅一点ムーシュ役のアン・バクスターがチト弱い気もしないではないですが、そこはソレ、強烈無比な男優陣がカヴァーして余りあるモノがあるので無問題!MVPは何と言ってもエルウィン・ロンメル元帥を演じた怪優エリッヒ・フォン・シュトロハイム!!”砂漠の狐”の異名を取る鬼将軍の凄みをスクリーン上で彼ほど見事に演じた俳優は以後も皆無。次いで主役のブランブル(ポール)を演じたフランチョット・トーン!イヤ実に渋い、渋過ぎる~!!美男俳優が演じていたら台無しになるところでした。脚を引きずる仕種も実~に芸コマです。そうそう、青年ドイツ将校シュヴェグラー役のペーター・ファン・アイクも精悍でカッコ良かったですねぇ。彼がドアからドアへと主人公を追い詰めるクライマックスの興奮と言ったらモウ…!!ホテルの親父に扮したエイキム・タミロフの御人好しでヘタレなコミカルさも絶妙のスパイスとして随所に効いていましたっけ。おっと忘れちゃいけない、”ヘタレ”と云えばイタリア軍wのセバスティアーノ将軍を演じたフォーチュニオ・ボナノヴァ!!何かと云えばすぐに朗々と歌い出すラテン丸出しの滑稽さはイイ味出しまくり。いやぁキャスティングも完璧ッス!当然ながら文句ナシの10点満点以外ないっしょ? それでは最後にもう一度、「これこそオリジナルを超えたリメイクだぁぁぁぁぁぁ~!!!」
10点(2003-10-29 02:46:25)(良:1票)
22.  イヴの総て
本作の有する歴史的意義は生き馬の目を抜く芸能界を恐らく初めて辛辣に諷刺した斬新さにあると思います。同年の「サンセット大通り」があるじゃないか!とお叱りを受けそうですが、ワイルダーは飽くまで過去の栄光に生きるノーマ・デスモンドを一層グロテスクに描く方便として虚飾に満ちたハリウッド映画界を利用したに過ぎず、本作とは芸能界へのアプローチ自体が根本的に異なるかと…。脚本家出身のマンキウィッツは当然ながら本作でも秀逸なシナリオを自ら書き上げてオスカー(監督賞&脚色賞の二冠!)を獲得しています。殊にイヴ・ハリントンはアン・バクスター1人ではなく、彼女も第二・第三のイヴ・ハリントンに狙われるマーゴに過ぎなかった事を観客だけに暗示する皮肉に満ちたラストシーンには思わず鳥肌が立った程の感銘を受けました。現在ではもっとエグい芸能界・映画界の内幕暴露映画がいくらでもあるのでしょうが、本作のような見事なシナリオ構成や俳優アンサンブルを味わえる格調高い作品は皆無です。よって10点。個人的にはアディスン役のジョージ・サンダースが影の立役者だと思います。勿論マーゴを演じたベティ・デイヴィスも素晴らしいですが。イヴ役のアン・バクスターは…ムニャムニャw。
10点(2003-10-14 08:22:29)(良:1票)
23.  必死の逃亡者
 ワイラーが演出すれば犯罪サスペンスもココまでのハイレベルとなる!という格好のお手本が本作。原作はジョゼフ・ヘイズのベストセラーでシナリオもヘイズ自身の手による。先ずコノ脚本が秀逸だが、それでもワイラーのズバ抜けた演出力なくしてコレ程の傑作となったかは甚だ疑問だ。並みのカントクだったなら本作では語られるのみで姿も見せなかったボガート扮するグレン・グリフィンの情婦を登場させて水増ししたり、ボガートを煮え切らない中途半端な悪役にしたりしてそうで身の毛も弥立つ。流石ワイラー、グレンを徹頭徹尾”極悪人”として描き切るコトで、ボギーの持つ凄みをより一層増幅させている。また本作でもワイラー作品名物の”階段”は遺憾なく絶大な効果を発揮して見事!ダン役のフレドリック・マーチも天晴れな渋さで絶品の演技だった。「手に汗握るスリル&サスペンス」って煽り文句は本作やクルーゾーの「恐怖の報酬」、ワイルダーの「熱砂の秘密」レベルに至ってこそ相応しいと思って止まない。正に文句ナシの10点満点!!
10点(2003-09-25 16:47:56)(良:3票)
24.  旅路の果て
 本作の出演者ではヴィクトール・フランサンやミシェル・シモン、シルヴィーなども味わい深い名演ではあるが、兎に角ルイ・ジューヴェ!!に尽きる。イヤハヤ何とも凄まじい。鬼気迫る演技とは正にコノ事を言うのだろう。目が完全にイッてしまっている。”目は口ほどにモノを言う”ジューヴェに比べりゃ「シャイニング」のニコルスンなんぞ何処かチンピラ風で品格が絶望的に欠けている。本作のMVPはデュヴィヴィエ十八番のペシミスティックな作風にジャストフィット!したジューヴェを措いて他にはいない!と思う。かつての名優たちの成れの果てを描いた本作は確かに【キリコ】さんの仰るように暗いが、人生の真実を直視しようとする真摯さに溢れ、デュヴィヴィエの演出にも筋金が入っているので凡百の70年代不景気ニューシネマ群に於ける辛気臭さなどとは明らかに一線を画している。戦前の仏映画も又秀作揃いですナァ…!!文句ナシに10点満点!
10点(2003-09-21 04:33:06)(良:1票)
25.  我が道を往く
 後に幾多の映画にパクられるコトになるアメリカン・ヒューマニズム映画の最高峰!と断言してしまおう(笑)。『「天使にラブソングを…」の方が面白い』とか仰る若い方々、これこそ偉大なるオリジンです。もっと敬意を払いまショ!本作が秀逸な点は名匠レオ・マッケリーの演出が実に淡々と、そして優しく等身大のヒトの善意を映像に紡ぎ出しているコト。大仰で思わせぶりなワザとらしさを用いずに本作のテーマを飄々と体現するのが御存知ビング・クロスビー扮するチャック・オマリー神父である。美声だけの大根という私の先入観を根底から覆す名演に見事してやられた心地良さ。これが映画というモノの醍醐味の一つでもある。何事も気負わず、飾らず、出しゃばらない、それでいて常に前向きで行動的かつ品格のあるユーモラスな彼の生き方を「ありえない」「ウソ臭い」と鼻で笑うような方は心を病んでいるのでは…?どうも映画に求めるモノを根本的に取り違えているフシがあるようだ(笑)。そう、自分の周りの醜い現実を基準にして、映画の持てる素晴らしさを否定しては余りに勿体無いというモノ。ココは肩肘張らずにマッケリーの話術に酔いしれるのが正解!そして本作を秀作たらしめているもう一つの要素として挙げられるのが老神父フィッツギボン役のバリー・フィッツジェラルド(オスカー助演男優賞!)の存在である。オマリーに戸惑いつつも次第に心を開き、生きる力を取り戻す芝居には誇張が無く実に微笑ましい。そして何より全編を彩る歌曲の魅力!!タイトルにもなった「我が道を往く」、ラストで印象的な「アイルランドの子守唄」(トゥーラルーラルラー♪)、オスカー主題歌賞にも輝いた「星にスウィング」、イヤどれもエクセレント&ファンタスティック&ワンダホー!!仮にこの歌曲を欠いたならばマイナス1点モノである(笑)。かといってミュージカルでもないトコロに本作の特異性、言い換えれば秀抜なオリジナリティがあるのだ。長くなったが、【STING大好き】さんのリクエストに応え、本作のクオリティには太鼓判を押したい。尤も私如きの評価が他の方にとっての指針となるかどうかは甚だ怪しいのだが(笑)。
10点(2003-08-15 21:17:36)(良:2票)
26.  赤い河
 ハワード・ホークスという監督は豪快にしてテンポの良い娯楽作品を連発した極めて安定した力量の持ち主であるが、本作はそんな彼の本領が100%発揮された雄坤極まりない傑作西部劇である。キャトルドライブ、つまり牛の大群を市場まで移動させる旅に於けるカウボーイの生き様をココまで活写した作品を他に知らない。特に印象深い場面は夜中の牛群大暴走(スタンピード!)のド迫力!!もう一つはカウボーイ達が「またステーキかよ…。」とウンザリした声を上げる食事シーンである(くぅーっ!一度でイイからこういう台詞を洩らすくらいステーキ食いまくりてぇ~!)。ウェイン扮するダンスンも単純なヒーローではなく可成り性格にクセのある奥行きのある人物造形であり、フォード西部劇にも決して劣らぬ風格がある。正しく”本物のウェスタン”と呼ぶに相応しい。哀愁に満ちたディミトリ・ティオムキンの音楽、ウォルター・ブレナン扮するグルートによるナレーションも味わいを深める秀逸な効果を上げている。そうそう、モンティのデビュー作でもあるんだよね。なにしろ文句ナシの10点満点!!
10点(2003-07-08 23:19:19)(良:1票)
27.  風と共に去りぬ
 原作はマーガレット・ミッチェルの同名小説。セルズニックが映画化権を買い取ってから、スタッフ&キャストは二転三転して御存知の顔触れとなった曰く付きの作品でもある。監督も最終的にはヴィクター・フレミングとなったが、ジョージ・キューカーとサム・ウッドも関わっており、正に超大作の名に恥じない。レット・バトラー役にはG・クーパーも候補に挙がったらしいが、原作者の支持でキングことクラーク・ゲーブルと相成った。今では彼以外に考えられないという方も多いハズ。一番難航したスカーレット役には当時のハリウッドの錚々たるトップ女優達がオーディションを受けたが、プロデューサーであるセルズニックの強い後押しで英の無名女優ヴィヴィアン・リーに決定。コレ又現在では彼女以外には考えられない程のハマリ役となったのは周知の通り。ただ「長い」という理由で敬遠したり低評価する向きもあるようだが、原作のダイジェストとしては理想的なヴォリュームだと個人的には思うが。自分としてはアシュレー役のレスリー・ハワードには余り魅力が感じられず、スカーレットが一途に彼を慕うストーリーに今イチ説得力がないような気がした。オリビア・デ・ハヴィランドのメラニーにも同じような印象(今イチ)を受けた。しかーし!主役二人の圧倒的なハマリ具合と、父親役のトーマス・ミッチェルや乳母マミー役のハティ・マクダニエル(黒人初のオスカー受賞!)ら脇を固める助演陣の好演も相俟って、そんな些細な不満はアッサリ吹き飛ぶけどネ。尚、一説ではヴィヴィアン・リーはキューカーが降ろされた後も彼に演技指導を受け続けたらしい。事実であれば「女性映画の第一人者」の面目躍如たる裏エピソードである。マックス・スタイナーの主題曲も格調高く良し。アカデミー賞8部門に輝く本作に…言うまでもなく10点っしょ?
10点(2003-07-04 05:50:18)(良:2票)
28.  逢びき
 ノエル・カワードの渋い原作をコレ又激シブ且つ格調高く映画化したデビッド・リーンの最高傑作!!所謂不倫モノのルーツなんだが、「○曜サスペンス」や昼メロみたいな下品さ・俗悪さは微塵もナシ!!昨今の映画人は派手なSFXやアクションやお笑いなんぞにうつつを抜かす暇があったらコレを観よ!!と声を大にして言いたい。シリア・ジョンスン演じる人妻が、品格はあるが(目がギョロッとして)冴えないルックスなのも本作では実に説得力大である。ここでヴィヴィアン・リーみたいな絶世の美女なんか出てこられた日にゃウソっぽくて興醒めってモンだ。相手役のトレヴァー・ハワードも上品ではあっても、美男子ではないし、実に燻し銀の魅力。ラフマニノフのピアノ・コンチェルト第2番が何とも素晴らしく効果的。派手さもドラマティックさも用いずに二人の微妙な心理をキメ細かく演出する、女性映画の雄リーンの本領が発揮されまくった本作に…言うまでもなく10点満点で御座います。
10点(2003-02-23 02:15:21)(良:1票)
29.  大いなる幻影(1937)
 印象派の画家として余りにも有名なピエール=オーギュスト・ルノワールを父に持つ天才映画監督ジャン・ルノワールの格調高い反戦映画の最高傑作の一つ。その後、雨後の筍状態となる”捕虜収容所からの脱走”映画の最も優秀な雛形であり、実例でもある。コレを観た後ではスタージェスの「大脱走」ですら色褪せる。実際、ジャン・ギャバン扮するマレシャルが営巣入りさせられ、ハーモニカを通して監視の老兵と心通わせるシーンは、マックィーンのヒルツの場面にパクったんじゃ?脚本はルノワール自身と名脚本家シャルル・スパークとの共同で書かれたが、決して晦渋・難解に陥ることなく壮大なテーマを過不足無く描ききって見事!!加えて父譲りのワンシーンも忽せにしない映像感覚は、無駄な場面や冗長なショットを一切排して正に圧巻。マレシャルが煽動して「ラ・マルセイエーズ」を大合唱する場面は「カサブランカ」でポール・ヘンリード扮するヴィクター・ラズロが煽動するシーンの元ネタと思われるが、高揚感では本作が断然上回っている。特に脱走目前でスイス国境ケーニヒスベルクの収容所へ舞台転換するプロットは、列車の窓から風景がシフトする効果も抜群で「ニクイ」の一語。そこで出会う新収容所長ラウフェンシュタインをサイレント時代の巨匠エリッヒ・フォン・シュトロハイムに演じさせているのも、コレ又「ニクイ」。ピエール・フレネー演じるド・ボアルディユとの滅びゆく貴族の運命を語り合う場面では、敢えて二人に辿々しい英語を使わせて意志の疎通を図らせており、実に上手い。ドイツ語を話せぬマレシャルと仏語を解せぬディタ・パルロ扮するエルザが徐々に愛し合う場面は国際間の交流のお手本ともいうべき美しさを放ち絶品。本作公開の2年後に第二次世界大戦が勃発した事実を思い合わせれば、マレシャルがドイツ人エルザとの再会を願うラストは確かに「大いなる幻影」なのかもしれないが、それでも願わずにいられなかったマレシャル=ルノワールの如くありたいか、ローゼンタールのようなシニカルで因果なペシミストでありたいか、の二択を迫られれば、私は躊躇無く前者を選ぶ。
10点(2003-02-12 12:25:26)(良:1票)
30.  恐怖の報酬(1953) 《ネタバレ》 
 ジョルジュ・アルノーの原作は未読だが、これは…正に世紀の傑作!!アンリ・ジョルジュ・クルーゾーのエポック・メイキングなサスペンス演出はヒッチコック先生をも驚愕させたと言う。勝因の第1は前半に於けるニトログリセリンの一滴を垂らして威力の凄まじさをビジュアルで納得させる実験シーン!!コレで”掴みはOK”。第2の勝因は、ラス・ピエドラスに巣くう食い詰め者共のどん底吹き溜まり状態をじっくり濃密に描き、先述のニトロの威力を目の当たりにしても、2000ドル欲しさに運搬に名乗りを上げる浅ましさ・命知らずぶりを観る者に強引に納得させる一連のシーンである。殊にシャルル・ヴァネル扮するジョーの描写は出色。イヴ・モンタンのマリオもシャンソン歌手とは思えぬ男臭さで天晴れではある。が、矢張り演技の年季が違う。本作出演者のMVPはヴァネルを措いて他に無いと思う。先行していたビンバ&ルイージ組が爆発した余波で送油管から道に溢れ出た原油を渡る際に、トラックの下敷きにされてオイルまみれとなり車中で絶命する場面のド迫力は、正しく彼の名演に負うところが大きい。ラス・ピエドラスでの肝の据わった渋さと、道中でのニトロの恐怖に怯える不様さとの鮮烈な対比も素晴らしいの一語。そして…ラストシーン。狙い過ぎとも言える大どんでん返しだが、酒場で待つヴェラ・クルーゾーと軽快にハンドルをさばくモンタンのカットバックが加速する様は圧巻。”画竜点睛”とは正にこのコト。後になれば何とでも言えるだろうが、それまで誰も描いたコトの無い非凡なプロット構成を最初に考えつくのが天才の所以である。クルーゾーの前代未聞の神業に…勿論・当然・絶対に10点満点!!!
10点(2003-02-11 03:33:23)(良:2票)
31.  十二人の怒れる男(1957)
 嘗て無い密室ディスカッション・サスペンス・ドラマという斬新さは21世紀の今日まで類似品すらロクに出ず終いの正に画期的なインパクト!!”最も低予算で作られた名画”として不滅の輝きを放つシドニー・ルメット監督33歳の処女作にして最高傑作がコレ。勿論MVPは(元はTV版用に書いたとは言え)渾身のオリジナル脚本を書き上げたレジナルド・ローズ。しかし、それも凄まじいテンションを維持し続けるパワフルなルメットの演出あればこそ、これだけのクオリティとなりえたのでは?特筆すべきは12人全員のキャラクターが実に鮮やかに活写されている点だろう。並みの監督なら精々2~3人描ければ上出来の部類のハズ。そうすると、ヘンリー・フォンダの一人舞台になってしまっていた可能性は可成り高い。この点でも脚本の巧みさとルメットの上手さは群を抜いて素晴らしい。俳優もいずれ劣らぬ名演だが、個人的にはヘンリー・フォンダ演じる8番よりも、リー・J・コッブ演じる最後まで有罪を主張する3番よりも、ジャック・ウォーデン扮するナイターのコトばかり気にする好い加減な7番よりも、E・G・マーシャル扮する冷静な理論派の4番よりも、マーチン・バルサム演ずる冴えない進行役を務める1番よりも、エド・ベグリーの狂信的な10番よりも(長いっちゅーに!)、最も印象に残るのはジョセフ・スウィーニィ演じる老人の9番陪審員だ。イヤ、実にイイ味出してマス!!冒頭トイレからナカナカ姿を現さず顰蹙を買いまくるボケぶりから、一転してフォンダを支持するばかりか、冷静な4番を論破する活躍への対比は実に見事!!場面的には8番の畳み掛けるような挑発に問題となっていた少年の言葉「Kill you !!」を思わず叫び、ハッと我に返る3番のシーンなんて鳥肌モノの迫力。ああ~でも、クラクラ意見を変える12番役のロバート・ウェッバーもイイよなぁ。あと、ナイフの矛盾を指摘したスラム出身の5番を演じたジャック・クラグマンも好きだし…。そうそう、犯行現場に少年が戻った点に疑問を投げかけ、7番を厳しく問い詰めたジョージ・ヴォスコベックの11番も実にウマかった。忘れちゃいけない、何とも気の弱そうな2番を演じたジョン・フィードラー!!のど飴が場を和ませてたっけ。9番の爺さんを庇って3番をたしなめるエドワード・ビンスの6番もブルーカラー丸出し演技が良かった…って12人全員コメントしちまったよ~オイ。こんな空前絶後の本作に…10点満点以外ないっしょ。余談だが、初公開時には女性が全く出ない余りのムサ苦しさに大コケ。(某神隠しも受賞したという)ベルリン映画祭金熊賞を受賞してから一気に再評価されたそうだ。
10点(2003-02-10 03:20:55)(笑:1票) (良:8票)
32.  情婦
 原作は御存知アガサ・クリスティの短編&舞台劇「検察側の証人」。ビリー・ワイルダーの本領が100%発揮されまくったミステリ映画の最高傑作の一つが本作。よく巷の宣伝に”原作を超えた”的煽り文句が安易に使われているが、正に本作にこそ相応しい。当時で既に56歳の大年増だったディートリッヒを敢えてクリスチーネ役に起用したワイルダーの大胆不敵さ、彼女も期待に応え”最後の輝き”とも言うべき屈指の名演を披露する。レナード役のタイロン・パワーは別にどうということもないが、当時のハリウッド美男俳優のスタンダードの高さが伺えて興味深い。しかし、この法廷ミステリ映画を一層味わい深くしているのは何と言っても、チャールズ・ロートン演ずる弁護士ウィルフリッド・ロバーツと、エルザ・ランチェスター扮する看護婦の存在。彼らの品のあるユーモアが息詰まる裁判劇の絶妙なアクセントとなっている。勿論結末の二転三転する意外さも大きな売りであろうが、ワイルダーのキメ細かい配慮の行き届いた緩急自在の演出に是非とも酔いしれて頂きたい。コレを「つまらない」「退屈」とか評するような方とは(個人的に)未来永劫相容れるコトは無いだろう。最後に、確かにこの邦題は…何というか、その、あらぬ誤解を招きそうな印象ではある。センスを疑われても仕方がないであろう。いっそ原作通りにモロ直訳して欲しかった…!!
10点(2003-02-06 18:42:21)(良:2票)
33.  戦場にかける橋
 日本軍捕虜の体験を元に書かれたピエール・ブールの原作をブール本人が脚色、英人のデビッド・リーンが堂々たる風格で監督した戦争映画の傑作。これまで比較的小品ばかり手掛けていたリーンにとっても以後70mm大作映画(の傑作)を連発する転機となった。米・英・日各々の面子を賭けた橋への拘りが、ホールデン・ギネス・早川雪洲の火花散る演技のぶつかり合いと相俟って兎に角凄まじい迫力。ラストを除いては戦闘シーンでお茶を濁す愚を犯さず、俳優陣の演技力をとことん引き出すことで押し通す、豪快でいて同時に何ともキメの細かい演出ぶりは流石リーン!!勿論彼こそが本作のMVPであることは異論あるまい。次いでアレック・ギネスの英人魂炸裂!の渋い名演が挙げられるが、リーンが彼の描写に相当尺数を取っていることからも「贔屓」されていたのは明らか。なので…若干割引。雪洲扮する斎藤は一見するとギネスの頑固さに屈しただけに見えるが、個人的には毅然としたギネスの態度に国境を越えた友情を感じた、というか武士道に相通ずる騎士道精神の気高さに一目置いた、と思いたい。それだけに雪洲の演技に度量のあるトコロを感じたのは私だけ?それこそ身贔屓ってヤツ…なのかなぁ。何にせよ、こういう特異な反戦映画は類を見なかったコトも加味して…10点!
10点(2003-02-05 04:50:15)(良:1票)
34.  街の灯(1931)
 これまたモロ直訳ながら名邦題の鑑!!名作「サーカス」から実に3年をかけて完成に漕ぎ着け、以後チャップリンが自ら作曲も手掛けるようになった記念すべき傑作である。実話に基づいたストーリーであることは最早有名な周知の事実だが、パクリなどというレベルを完全に振り切った渾身のシナリオで周囲の揶揄を払拭したのは痛快の一語。どなたも触れているので今更とは思うが、矢張り書かずにいられないのは勿論ラストのたった3枚の字幕。「You?」「You can see now?」「I can see now.」ブラボー!トレビアン!イヤ全く素晴らしい!!これほど簡潔にして要領を得た、切なさといじらしさが同居した愛らしい会話が、トーキーへと移行した後に一体幾つあったというのだろうか?チャップリンが凡百のお笑い芸人と全く次元を異にする天才たる所以である。勿論、当然、絶対に10点満点しかありえない!!!
10点(2003-02-01 01:44:19)(良:1票)
35.  イワン雷帝
 映画史上に残る巨人セルゲイ・M・エイゼンシュテインの偉大なる遺作。兎に角、主演のニコライ・チェルカーソフが鬼気迫る見事な演技で”雷帝”と恐れられたイワン4世になりきっており正に圧倒的。民俗学的見地からも歴史学的見地からもツッコミを一切許さぬエイゼンシュテイン拘りの完成度は未完に終わった第3部への叶わぬ期待を弥が上にも高め、つくづくソ連当局(てかスターリン)の無粋な横槍に憤りを感じずにはいられない。当然ながら文句ナシの10点満点!
10点(2003-01-02 18:47:56)(良:1票)
36.  天国と地獄 《ネタバレ》 
 「87分署」モノで有名なエド・マクベインの原作「キングの身代金」を大胆に脚色したのが第一の勝因。原作では複数犯だったが、本作では若き山崎努演じるインテリ青年・竹内の(実質的)単独犯行にしたことで、衝撃のラストシーンがより活きてくる結果となった。何より疾走する特急「こだま」を利用した身代金受け渡しの尋常ならざるサスペンスは原作には無かった(ま、当然だが)。黒澤のダイナミックな演出は或る意味で「七人の侍」をも超えていると言えよう。原作のキャレラに当たる刑事も、仲代達矢扮する戸倉の方が遙かに凄味がある。三船演ずる権藤も原作のキング氏なんかより余程人間味があり、好感が持てるし。但し、原作がミステリの傑作たる所以はトリックやサスペンスよりも、むしろ誘拐された少年と犯人の一人との切なく淡い交流にあるので、本作とは別物だと切り離して読むべき。
10点(2003-01-02 05:31:27)(良:1票)
37.  第三の男
 キャロル・リードの鮮やかなサスペンス演出、グレアム・グリーンの原作&脚本、名手ロバート・クラスカーの流麗なカメラ撮影、アントン・カラスの全編を彩るツィター演奏、全てが奇跡的なベストワーク!コットン、ウェルズ、ヴァリは勿論、トレヴァ・ハワード、バーナード・リーに至るまで出演者も全員素晴らしい演技。流石リード!全てのシーンが名場面と言っても過言ではない! 殊にライトに照らされポッと暗闇に浮かび上がるハリー・ライムの不敵な笑顔は絶品だ。当然文句ナシの10点に決まっているっしょ。
[映画館(字幕)] 10点(2003-01-01 20:58:26)(良:1票)
38.  チャップリンの独裁者
 チャップリンがそんじょそこらのコメディ役者ではなかったことが素人目にもハッキリ分かる映画史上空前の傑作。実際に記録映画でアドルフ・ヒトラーの演説を見たことがある者なら、ヒンケルのドイツ語風パロディ演説は爆笑モノだと理解できるハズ。床屋のチャーリーが、ラジオから流れるブラームスの「ハンガリー舞曲・第五楽章」に乗って客のヒゲを剃る至芸のパントマイムも絶妙で唸らされる。ナチスドイツ絶頂期に堂々と人類愛を声高に訴えたチャップリンの勇気を安っぽい戦後(しかも相当経過した後)の反戦テーマの映画とゴチャ混ぜにして語らないで貰いたい!一歩間違えば命取りになりかねない危険な賭けに彼は確かに勝った。しかし、その代償としてアメリカを追われたのである!スイスに亡命した彼は世を拗ねた老人となり、以後二度とドタ靴に山高帽のチャップリン・スタイルを銀幕で見ることは出来なかった…。娘(ジェラルディン)、息子(シドニー)とも俳優になったが、喜劇俳優としても監督としても、その才能は全く受け継がれなかった。矢張り天才はそうそうお目にかかれないから天才なのだろう。
10点(2003-01-01 14:46:31)(良:2票)
39.  望郷(1937)
 何と?我がご贔屓J・デュヴィヴィエの傑作を…。ジャン・ギャバン扮するペペ・ル・モコの魂の叫び「ギャビ~~~!!!」を聞いて涙しない香具師は「オトコ(漢)」ではない!と断言してしまおうw。舞台がアルジェリア(当時仏領)のカスバだって分かってマスか?そこに潜伏してほとぼりを冷まそうとしている犯罪者ぺぺの前に巴里の「メトロ」の香りのする美女(ミレイユ・バラン)が現れる…。この心憎いシチュエーションが分からないのかなぁ。「故郷は遠きにありて想うもの」という日本人にとって異様にシンパシーを感じずにはいられないハズなんだけどネェ~。色男・優男ばかりが幅を利かせてた当時の映画界に新風を吹き込んだイモ兄ちゃんのギャバンの渋さをもっとよく見てほすぃ~!原題「ペペ・ル・モコ」を敢えて「望郷」という名邦題に変えた当時の配給会社のセンスを感じておくんなまし。
10点(2003-01-01 13:23:47)(良:3票)
40.  チャップリンの黄金狂時代
 本作の真の価値は「欲望に取り憑かれた人間・極限状況に於ける人間の行動は時として滑稽でさえある」という極めてアイロニカルな視点にあるのであって、単なる安っぽい爆笑コント映画ではない!例えば飢餓の極致に達した相棒がチャップリンを見つめる内に七面鳥に見えてくる、というシーン。飢えを凌ごうとすれば、仲間をも食糧としてしか認識できなくなるのは近作では「ラビナス」なんかにもあったが、あんなドギツイ不快な描写をしなくても、「笑い」のオブラートに刳るんでソフィスティケイトしつつ、恐怖を描く程度のテクニックはチャップリンにとって造作もないことなのだ。アノ靴を食べるシーンも、そういう認識に立って観れば「おもろうてやがて哀しき」何とも言えぬペーソスに満ちていることに気付くハズ。チャップリンは稀代の映画作家であり、そんじょそこらのお笑い芸人とは全く次元を異にしていることを踏まえて観ないと作品全体を見誤ることになるので要注意!
10点(2002-12-31 19:51:33)(良:2票)
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