21. ボーン・アルティメイタム
《ネタバレ》 潔い一本です。 CGに頼らず、あたかも20世紀のアクション名画を凝縮したかのようなストレートな実写!アクションシーンの数々を切り取ったハンドカメラ・ワークが秀逸。オープニングから1時間以上も息もつかせぬ展開の連続~見事な演出!この映画の演技で、アクション大スターの座をマット・デイモンも勝ち取ったいっても過言ではない。21世紀のアクション映画の王道ともいうべき作品です。但し、シリーズ完結編といいながら、次回作を想わせるラストシーンは潔くないなぁ! [映画館(字幕)] 9点(2007-11-15 01:40:50) |
22. ホリデイ
《ネタバレ》 夢の競演!ゴールディー・ホーンが新作から遠ざかって以来、ブロンドフリークである私の2大お気に入り女優がまさか・・・でございます。ウィンスレットとディアスを同じスクリーンで観るだけでも幸せなのに、つくりも素晴らしい。 愛が満ち溢れています。壊れる愛、スレ違う愛、家族愛、敬老の精神、結ばれる愛、そして弛み無い映画への愛! 出演者・スタッフ全員の「映画が好きで好きでたまらないぞー」がスクリーンからこぼれ落ちてきます。 観賞後、「ありがとう~」と叫びたくなる映画でした。 [映画館(字幕)] 9点(2007-04-22 04:26:37) |
23. 嫌われ松子の一生
夜の世界に踏み入ると、たまにこのような女性に出会います。 幸せをすべて他人にくれてやって、不幸を自分一人で背負い込んでも、一生懸命に生きているオンナ。 そんな話をを見事に、しかも爽やかに描ききる監督の手腕は見事です。中谷も頑張っております。 あ~どんな娘でも父親は心配でしょうがないんだよね。涙。 [映画館(邦画)] 9点(2006-11-05 22:28:44) |
24. フラガール
《ネタバレ》 お決まりごとのストーリー展開ながら、ここまで心揺さぶられるのはなぜ? 個性ある俳優陣の熱演とそれを見事に切り取ったカメラワークが秀逸。隠し味の音楽が憎らしい位、映像にマッチ。 特にラストの蒼井優のフラダンスシーンは、邦画史上でも歴史に残るワンシーンだと思う。(褒め過ぎかな~でも鳥肌総立ちでした) 松雪の成熟した色気と蒼井の健康的な色気の対比を見せつけ悶々とさせ、さらに60~70年代の幼少期を回顧させ涙を誘う、これは完全にオヤジ殺しの映画ですな。 元来はひねった映画が好きなのですが、ここまでストレートに見せられたら脱帽です、完敗です。素直な映画を再認識しました。 [映画館(邦画)] 9点(2006-11-05 21:50:06)(良:2票) |
25. ヒトラー 最期の12日間
《ネタバレ》 衝撃! ナチスドイツ崩壊時の人間模様をベルリン地下室の見事な再現と鬼気迫る俳優陣の演技で描ききっています。単なるドキュメンタリーとしても秀逸ですが、なによりも究極下での人間の尊厳・愚かさ・命の軽重をこれでもかと見せつけ、「無常」という」言葉では片付けられない人間の本質を観る者に問いてきます。 ヒトラーや秘書ユンゲばかりでなく、すべての登場人物の生き様(死に様)をこの短時間に表現し、観客に「あなたなら誰の生き方を選ぶの!」と投げかける見事な演出。 ゲッベルス夫人が6人の自分の子供を毒殺するシーンは落涙を通り越して心臓がしめつけられます。 最後のユンゲ女史の告白には、ドイツ国家の「戦後処理」の思想を窺わせる狙いを強く感じたが、私はこの映画を「不朽の人間ドラマ」として讃えたく、あえて唯一、残念なラストシーンといわざるを得ない。 [映画館(字幕)] 9点(2005-11-09 02:35:07)(良:1票) |
26. パッチギ!
タイマンで勝っても、翌日には10人に囲まれて袋だたきにされます。 オープニングから「そうそう、こんな感じや!」と納得かつ懐かしさに頬が緩みます。僕らの時代は、若さ故のもどかしさ・不満のはけ口を朝中との抗争にぶつけていたのかもしれない。差別意識などもちろんないし、たまたまちょうど良い相手が”彼ら”だった。しかし、彼らは強い同胞意識と歴史を認識した上での敵対心をもって、立ち向かってきていたのですね。とにかく、この頃は若者の欲求不満が今のように弱者に向けられる事は絶対になかった。 井筒先生も「ゲロッパ!」の反省からか、下手な悪ノリはせず、俳優にも媚びず、自分自身の時代をストレートに表現しているようです。若者達の熱い想いがそのままスクリーンに焼き付き、昔のトンク(東九条)が再現され、記憶の片隅にしまい込まれていた名曲が奏でられたら~ノスタルジック・キャメロン・クロウ状態~涙腺緩みっぱなしです。 私は政治的なメッセージを感じるより、輝ける60年代の日本を描く事で、今の病めるニッポンへの強烈な応援歌として受け取りました。 「あの~すばらしいニッポンをもう一度~」 9点(2005-02-21 02:57:18)(良:4票) |
27. いま、会いにゆきます
《ネタバレ》 『世界の中~』の肩すかしの再現かと思いきや、泣かせてくれます。わざとらしいカメラアングルの多用や子役の演技力に不満もあるのだが、それを補って余りある主人公2人の自然な演技。澪が消えてフェイドアウトと思いきや、日記の追想から始まる涙なくしてみられない種明かしが控えています。最期に語られる澪の心情。見事な脚本です! まさしくジャパニーズ・ファンタジー。最近の邦画が使うタレント挿入歌はミスマッチが多いが、オレンジレンジは最高。 9点(2004-11-07 02:42:29)(良:1票) |
28. ゴッドファーザー PART Ⅱ
マイケルの変貌ぶりは、背の低さのコンプレックスからか。もし、ケイより5センチ身長が高かったら、彼の半生は変わったことだろう~冗談はさておき名作です! 9点(2004-07-19 11:57:21) |
29. 21グラム
リヴァーブのかかったギターの響きが胸を締め付ける。神様って本当にいたずら好きなのね。 9点(2004-07-19 11:43:21) |
30. ドッグヴィル
《ネタバレ》 『ロード・オブ・リング』と続けざまに観てしまった。この落差!この感動!あまりにも穏やかな滑り出しに、不覚にも10分程うたた寝していたが、この摩訶不思議なセットで徐々に景色が見えてくる。そして村全体が静かに、深くグレースに牙を向いてくる描写がとにかく素晴らしい。特に発端となった子供へのお仕置きなどは他の性的描写よりはるかにエロチックで引き込まれる。 そして「まさか最期に殺らないだろうな」と思わせつつ、期待?通りに皆殺ししてしまう潔さ。 庶民が一団となって立場の弱くなった者に向かった時程、残酷なものはないというのは世界中の内乱地域が証明しているが、そんな小さな争いごとは、時の権力者(更なる巨悪)によって簡単に消し飛ばされるのですね。 ボウイ久しぶりに聴いたな、まさしくヤング・アメリカン。 9点(2004-04-21 02:25:33) |
31. 悪い男
《ネタバレ》 ありえない設定が多過ぎ!女子大生が突然、売春宿に押し込まれても、この現代なら逃げられないわけがないし。投獄されてすぐに絞首台に送られそうになったり。2度も腹をえぐられても非常にお元気のようだし。一番納得できないのは、本屋で画集のページを切り取り、財布を置き引きするような女(恋人もいるのに)が処女だったりして。これらのめちゃくちゃな設定もすべて受け入れてしまう位、強烈なラブストーリーです。ソナが娼婦として、女として日増しに美しくなり、ハンギを必要としていく姿を見事に描いており、面会室のシーンなどは涙ものです。色彩感豊かな娼婦ファッションも素晴らしい。ハンギの地声を初めて聞いて、彼が歩いてきた人生が見え、彼の「愛し方』が理解できた。砂浜で見つからなかった写真の切り抜きが出てきた時、二人は確信したわけですね。美し~い!女性には不快感を感じる人も多い映画かもしれないが、これは男心を揺るがす佳作です。昔の東映ヤクザ映画とATGの敏八作品を足して2で割ったような哀愁を感じずにはいられません。 9点(2004-04-09 02:48:59) |
32. ジョゼと虎と魚たち(2003)
熊野で精進料理を作っていると思ったら、滝沢君とラブラブしてたり、今度は乳母車に乗ったけったいな女の子ですか。千鶴様、あんた、「ほんまもん」の女優になりはったな。 佐内氏の写真さながらの浮遊感のある映像、効果音の憎い使い方、くるりの演奏もベストマッチ。ジョゼの後頭部での演技と大根切りの音響が心に残ります。久々に爽やかな邦画にめぐり逢えました。 9点(2004-01-24 01:26:40)(良:1票) |
33. 東京ゴッドファーザーズ
くすんだ東京の描写がとにかく素晴らしい!さわやかなギャグがよろしい!ストーリーが秀逸!声優がベストマッチ!にっぽんの面目躍如たる名アニメになると思います。心暖かです。 9点(2003-12-22 02:51:20) |
34. マグダレンの祈り
修道女達のふしだらな関係を描いたエロエロ映画と期待していたのですが、R-15だし…私が愚かでした、感動です!名作です!オープニングの熱い演奏場面から淡いエロ期待は吹き飛び、一気に引き込まれました。厳しいカトリックの戒律の下、「不貞」という名の罪を背負った女性達の生き様を激しく、哀しく描いています。女のあらゆる側面が垣間みられ、男としましては、改めて女性の奥深さを見せつけられた思いです。最初はパトリシアが主役と思いきや、バーナデッド役のノーラ=ジェーンがストーリーが 進むにつれ存在感が増してゆき、最期は彼女の美しさと強さが映画の中心になっていきます。壊れていくクリスピーナと冷徹な修道院長の怪演が更に花を添えています。よい意味で裏切られた傑作で、あえて脱走モノの範疇に入れるなら、演技がピュアな分、「ショーシャンク~」より上かも! 9点(2003-11-30 02:55:24) |
35. ライフ・イズ・ビューティフル
《ネタバレ》 子役を使ったお涙頂戴モノは苦手だったんだが、これには参った。前半のラブロマンスから後半の収容所生活へ、人生の絶頂から明日も知れないどん底へ、見事な展開。お調子モノの青年がいつしか力強い父親に…守るべき家族を持つと男は変わります。死の直前、隠れる息子におどけてみせる父親の姿は今も目に焼き付いている。敢えてコメディーを呼ばせてもらうが、こんなに切ないコメディーはチャップリン以来かもしれない。名作。 9点(2003-09-24 00:56:13) |
36. ブレイブハート
これぞ男の生きる道。あのマックス兄ちゃんがこんな素晴らしい映画を作るなんて、ご立派になられて!知らぬ間に英雄に祭り上げられた男の愛と仁義の物語(木曽義仲じゃ)。雄大なスコットランドの風景と無骨な主人公の生き方に心が洗われます。映像・音響は秀逸。 9点(2003-09-15 22:15:16) |
37. タクシードライバー(1976)
高校生の時に観た衝撃がいまだに残っています。病んだアメリカ~狂気の街ニューヨーク。やりきれなさと爽快感。デ・ニーロとのつきあいここから始まりました。ベトナム戦争の傷跡残る70年代と今を(9.11とイラク戦争)対比させても興味深いものがあります。ラストの銃撃戦、西部劇「シェーン」とだぶるのは私だけか? 9点(2003-09-10 01:00:31) |
38. あの頃ペニー・レインと
キャメロン・クロウと同年代のロックおやじとしてはこういうパターンには弱いな~。切なくなります。ケイト・ハドソンも最高にキュート。(母上の「バタフライはフリー」以来の感激、古い!) 9点(2003-09-08 02:21:43) |
39. ライフ・オブ・デビッド・ゲイル
やってくれましたアラン・パーカー。蘇る「ミッドナイト・エキスプレス」の感動。監獄モノとして生への執着をこの2作は見事な対比で描ききっています。女性ジャーナリストの心の葛藤がいまいちとかラストが途中で読めてくるけど、主題の強さとケビン・スペイシーに脱帽。 9点(2003-09-08 01:39:19) |
40. 悪人
俳優陣の熱演、細やかな演出、情景と融和した音楽の挿入、あくまでも自然なセット。まさしく典型的な「日本映画」であり、今春話題となった中島監督「告白」とは、ある意味対極の作品。 「善き者、悪しき者」の最期の選別の判断は、すべて観客に委ねるという、いかにも芥川賞文学的終末があてつけがましくなく、自然に表現されている。 前作「フラガール」を含め在日3世の李監督が、地に足の着いた伝統的日本映画を作り、日本人・中島哲也が解き放たれたアーティスティクな作品を作り続けるというこの皮肉。そして双方ともが、紛れもない「いまのニッポン」を描ける表現者ではないかと。 [映画館(邦画)] 8点(2010-11-12 02:07:27) |