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サムサッカー・サムさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 211
性別 男性
年齢 34歳
自己紹介 日本は公開日が世界的に遅い傾向があるので、最近の大作系は海外で鑑賞しています。
福岡在住ですが、終業後に出国して海外(主に韓国)で映画を観て、翌日の朝イチで帰国して出社したりしています。ちょっとキツイけど。

Filmarksというアプリでも感想を投稿していますので、内容が被ることがあるかもしれません。ご了承ください。

これからも素晴らしい映画に沢山出会えたらいいなと思います。よろしくお願いします。

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21.  マッドマックス 怒りのデス・ロード 《ネタバレ》 
でかい太鼓を搭載した車がドンドコドンドコと猛チャージをかけ、ギターをかき鳴らせば炎が飛び出る。砂漠を疾走するトレーラーには、奪われた女たちを奪還せんと、棒にしがみついた白塗りの戦士たちがびょーんびょーんと迫りくる。 どひゃぁ、狂ってる!これはMAD過ぎるだろうよ!!しかしこれがべらぼうに面白い。しっかり座ってないと興奮して椅子から転げ落ちちまう。  キャストは一新されたものの監督は変わらずジョージ・ミラー。「ベイブ」等のファミリー映画を手掛ける一方、監督も相当溜まっていたようで、30年ぶりの続編でもその狂人っぷりをいかんなく発揮している。  その内容たるや、現在のボックスオフィスを賑わせている他のハリウッドアクション大作の中では明らかに異質。 クーデターに巻き込まれたマックスの活劇のみを映し出す、シンプルかつパワフルな構成だ。しかし狂気とはシンプルな感情や衝動がもたらすもの。作品のテーマに合致したプロットだと言える。  そして一貫した映像世界もまた狂っている。 オレンジ色の砂漠に真っ青な空。人物のクローズアップではオレンジの肌に青い目が映え、夜のブルーの中ではオレンジ色の爆発が画面を彩る。いつの頃からかハリウッド映画に蔓延する「ブルー&オレンジ(大作映画のポスターや本編は、この2色で表現されていることが多い)」をやりすぎなくらい対比させ、無二の世界を作り出す。極端であることも狂気の一面である。  これほどシンプルだからこそ、その狂気を助長し、これほど極端だからこそ、生と死のコントラストがサバイブという本能を爆発させる。  CGが氾濫し、映像を展開させる装置とかした脚本が量産されるハリウッド。この潮流に対して、ジョージ・ミラーは見せつけるかのように、再び傑作アクションを生み出した。 荒野の向こうから絶望と狂気が迫ってきたら、こちらもありったけの狂気で真っ向からぶつかり叩き潰すのみ。躊躇えば死、戦い続けることこそ希望。 狂ってる、狂ってるぅ!でもこんなアクション映画を観たかったんだ。やったぜ、マックス!最高にカッコよかったぜ。
[映画館(字幕なし「原語」)] 9点(2015-06-16 13:44:26)(良:3票)
22.  ワイルド・スピード/SKY MISSION 《ネタバレ》 
走り屋をフィーチャーしたカーアクションからスタートし、いまやハリウッドを代表するビッグバジェットムービーへと成長したファースト・アンド・フューリアーズ。トーキョードリフト失敗(?)の後、シリーズは途方もない大作路線へとシフトチェンジ。見事に息を吹き返したわけだが、ポール・ウォーカーとの熱い走りは本作をもって一旦幕を下ろすようだ。 自身も車に興味がある方なので、このシリーズは毎回楽しみにしている。ポールがいなくなったことは本当に寂しいが、ここまでの大作として仕上げてくれたことに感謝である。  作品の方は正常に進化しており、スーパーアクションに強引にクルマを絡めてくる安定の出来。なんでもかんでもクルマでアプローチしてくる潔さ、それが見せ場として機能することの素晴らしさ。 イサムだけかと思ったら、トニー・ジャーにロンダ・ラウジー、カート・ラッセルまで登場するのもまたスゴイ。ガチファイトのカッコよさも忘れちゃいないのだ。 色々ツッコみまくりなんだが、そういうところもこの映画の楽しいところだ。  ポールの死によって一時は制作が断念されたが、弟コディとCGIの投入で完成にこぎつけたという本作。ブライアンは引退という方向で企画が組みなおされ、彼のフェードアウトのためにテーマにも変更があった。シリーズの根幹をなす家族というテーマに加え、家族との別れを描くときが来たのだ。  エンディングの「see you again」の言葉を借りれば、小さな出会いは友情になり、友情はやがて強い絆になる。それが彼らのいう家族だ。それでも別れはやってくる。ブライアンは家族を守るべく、絆で繋がった家族を離れることを選ぶのである。 でもアイツがいなくなったとして…絆はそこで切れるのか? この映画は彼らなりの答えをしっかりと描いていく。 ダッジチャージャーに乗り込んだドムは、1作目で口にした言葉を振り返り、変化を受け入れようとする。スピードの中に生きてきた兄弟たちも多くの変化を体験した。そうして辿り着いた場所でも、ずっと一緒にやって来た兄弟を思い出せば、今もスープラに乗ったブライアンが横にいてくれる。 400メートル先のほんの10秒の間に答えを探していた彼らが、ずっと変わることないもう一つの答えを見つけたのかもしれない。これから違う道を進んだとしても、絆や愛は失われない。いつかまたあった時はたくさん話そうぜと。
[映画館(字幕)] 9点(2015-04-23 20:26:33)(良:4票)
23.  バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 《ネタバレ》 
これは映画か、現実か。または娯楽か芸術か、目の前の人間かネットの友達か、人は飛べるのか。お互いに対して理解を示さないもの、それは時に予期せぬ奇跡をもたらす。 驚異のカメラワークで、ある俳優の劇的なカムバックを演出した本作は、今年最高の1本に数えるべき大傑作だ。  M・キートンといえばバットマンだ。間違いない。まだヒーローがユビキタスな存在ではなかった頃、タイツの自警団に市民権を与えたのは彼だ。 今ではヒーロー映画はハリウッド最強の稼ぎ頭となった。しかしその立役者はどうなった?イメージの定着により、キャリアのどん底にいる。チャンベー主演のバットマン世代なら、存在すら知らないのがオチだ。 かつての大スター・リーガン同様、演じるキートンも同じ悪夢に苦しめられてきたのである。 「どうしてこうなった…」まさにキートンの心の声。 引き合いに出されるジョージ兄貴は三代目バットマンの過去を、「忘れたいね」と笑い飛ばし、今も人気者なのに。  そんな彼と激突するのはE・ノートン。演技派ながら新ハルクに登板、かと思えば「アベンジャーズ」は降板し「芸術家」のブランドを保っている。キートンにはキツい対戦相手だ。  劇中ノートン演じるシャイナーは、これまたリアルにリーガンを糾弾する。ハリウッド対ブロードウェイ、つまり娯楽と芸術のぶつかり合いだ。この構図がなかなか面白く、双方の理解の無さが本作の鍵にもなる。  舞台俳優の罵声、批評家の冷笑。彼らにとって、リーガンは只のセレブ。しかしリーガンは彼らのイメージ通りかというとそれも違う。 純粋な理由から俳優を志し、過去の失敗から、今は家族を真摯に見つめている。理解されないだけだ、演技と家族への思いに嘘はない。 だからこそ公演初日の事件は、お互いを歩み寄らせた。それは娯楽と芸術だけではなく、家族との愛もだ。鼻は吹き飛んだが、欲しかった花の香りを感じ取れた。  ラストでサムが何を見たのかは、個人のとらえ方によると思う。もちろんリーガンに超能力はない(空を飛んだ後、タクシーの料金を請求される)。しかし僕としてはハッピーエンドを信じたい。ついにバードマンから解放され、飛翔したのだと。だってキートンも奇跡を起こしたんだから。 こんな物語を、奇跡を誰が予期しただろうか。リーガンとキートンのカムバックに乾杯。そして空気と化した2代目バットマン、バル・キルマーに合掌。
[映画館(字幕なし「原語」)] 9点(2015-04-01 13:50:26)
24.  X-MEN:フューチャー&パスト 《ネタバレ》 
興奮した。とても楽しかった。「ファイナル・ディシジョン」のスペクタクルと、「ファースト・ジェネレーション」のドラマを足したような究極の「X-MEN」に仕上がっていたと思う。  冒頭、初登場のミュータント達が、能力を駆使してセンチネルに立ち向かう。多彩な技の連携でこの場を乗り切るのかと思いきや、全滅。古株のアイスマン、コロッサスも全く歯が立たずに撃沈。強い、強すぎる。そう、今回の敵には誰も勝てないのである。だからこそ過去で叩かなければならない。 未来に起きる危機を過去で食い止めるというプロットは、SF映画においてはよく見かける気もするし、それを題材にした傑作も既にある。この古典的な導入口を振りかざせば、「何を今さら…」と、ハリウッドの深刻なネタ不足を呆れられるだろうが、「X-MEN」に限ってはそれはない。このシリーズには過去にも、未来にも魅力的なヒーローが存在するからだ。そうなればもう、世代を超えたオールスターの集結は必然。伊達に14年間、本作含め7作品も作ってきたわけではない。  非常に多くのキャラクターが入れ乱れる本作だが、大味なアクション大作にすることなく、「X-MEN」の命でもあるドラマ面を描ききっている点を評価したい。塞ぎ込んだチャールズと、幽閉されていたエリックに与えられた二度目のチャンス。再開した二人は、共に希望を見出し、再び違う道を歩んでいく。過去と未来の同時進行で生まれる緊張感の中にも、シンガー監督らしいヒューマンドラマが息づいている。  14年前に制作された1作目で、「希望を探している」とチャールズは言っていた。14年未来に制作された本作でも、チャールズはフューチャーパストの自分に「もう一度希望を持ってくれ」と言って導いた。チャールズの再生を促す感動的な場面であると共に、本シリーズの歴史を感じさせる感慨深い一幕だった。シリーズを生み、育て上げたシンガー監督の下に、オールスターキャストが集まった本作は、ある種「X-MEN」の集大成。映画の枠を超えた桁違いのパワーを感じさせられる、まさに究極の「X-MEN」だと言える。次回もこれを超える「X-MEN」を期待したい。
[映画館(字幕)] 9点(2014-05-28 19:14:02)(良:3票)
25.  クラウド アトラス 《ネタバレ》 
実験的な演出で描かれる、アート志向のビッグバジェットムービー。ウォシャウスキーとティクヴァが実力派キャストを迎え入れ、その完成度の高さは言わずもがな。  僕は公開日の夜に一人で観に行きました。以来、何故だかわからないけど、この映画の事がとても気になるのです。それこそインセプションされたかのようにクラウドアトラス六重奏の調べが頭を離れないのです。  本作は人間の抱く最大の疑問に言及していきます。人間はなぜ過ちを犯し、争い、愛するのか。人生の謎の答えを探る3時間には、様々な形で人間の弱さが描かれていました。目を背けたくなるほどに残酷で巨大な人間の悪意を見せつけられました。それでも僕はこの映画に温かな希望を感じました。人間のダークサイドが描かれる一方で、ブライトサイドがとても肯定的に描かれていたからです。  善意は悪意の前ではちっぽけなモノかもしれない。しかし多くの人の善意の前に、ついに奴隷制度が撤廃されたことを考えると、永劫回帰のこの物語の中で、多くの人が再び良心に従う日が来ると感じさせるではないですか。自分の身を犠牲にしてまでも良心を選択する心の強さ、或るいは隣にいる誰かのために贈る親切心でもいい。今はまだ露ほどのしずくでも、いつかはその滴りを集めて世界を包むかもしれない。今はまだ小さなともしびでも、その火を燃え移らせて世界を照らすかもしれない。  たかが映画が言ってることなんだけど、ホントにたかが映画なんだけども、希望に満ちたこの物語に、僕は感動しました。大物ばかりを集めて、予算を大量に投入したにも関わらず、興行的に惨敗した上に、批評家にも見放され、賞レースにかすりもしなかった映画。そんな「クラウド アトラス」に僕は感動してしまったのです。何だかいいことを教えてもらった気がするのです。 セクステットの五線譜に踊る幾多の符号の軌跡は、数奇な巡り合いの中に生きる人々の温かな奇跡でした。
[映画館(字幕)] 9点(2013-03-21 23:19:02)(良:2票)
26.  ダークナイト ライジング 《ネタバレ》 
全世界待望の一作だが、その重圧もなんのその、衝撃的にして壮絶、伝説の終焉を飾るに相応しい堂々たる出来栄えだ。 「ビギンズ」から本作まで、リアルタイムに映画館で観てきたが、やはり三部作すべてを観てこそ真に楽しめる造りになっている。本シリーズは、絶えず変容を続ける社会に合わせて、そのメッセージ性を変化させているように思うからだ。本作では、「絶望的に打ちのめされた後、人は立ち上がれるのか」という点と、「本当の英雄とは?」という点が深く心に残った。本作で、ゴッサムの人々(主に警察組織)はデントの真実を知らされ、深く動揺させられるが、立ち上がり蜂起する。一市民としてのブルースも例外ではない。最愛のレイチェルがデントを選んでいたことを知り、強敵に叩きのめされても、再び立ち上がりゴッサムに帰還した。「2」でデントは、犯罪あふれる世の中を「夜明け前」に例え、古代ローマの政治を持ち出して、混迷の時代における強力なリーダーシップの必要性を説いていた。しかし本作では、「自分の大切な人を守るため、マスクを着ける(闘う)。」、「ゴッサムの運命を市民に託す。」など、一市民の力を強調している。打ちひしがれた少年にコートをかけ、励ましてあげた真の英雄とは、まさに名も無き警察官、ゴードンだったのである。今、人々は真実を知り、屈することなく立ち上がらなければならない時代、一人一人が主役になる時代が来たということだろうか。「1」で影の同盟は、時代に沿った手段で世直しを行ってきたと言っていたが、平和を守る手段もまた、時代と共に変わっていくのだろう。 また本作は「バットマン」でも「ダークナイト」でもなく、「ブルース・ウェイン」の物語になっている。奈落の底での命綱無しのジャンプは、まさにブルース自身のライジング。マスクという命綱を放り、常人を超えたシンボルとしてではなく、恐れを抱いた一人の男としてブルースは立ち上がったのだ。闘いの後、バットマンは遂に本物のシンボルとなり、その志は引き継がれていく。そして彼は、ブルース・ウェインという一人の人間としての人生を歩み始めた。彼の過酷な闘いと葛藤の人生を観てきた僕らならば、守るべき人と共にいる彼の姿を、アルフレッドと同じ面持ちで祝福できるのではないだろうか。
[映画館(字幕)] 9点(2012-07-31 23:29:34)(良:1票)
27.  トロン:レガシー 《ネタバレ》 
個人的にはここ数年でもっとも楽しみにしていた映画。無機質で美しく、斬新ながらもどこかレトロなサイバー空間、そこに鳴り響く「ダフト・パンク」。カッコよすぎる未来の映像は、映画の歴史を変えるというほどの魅力を放っている。最大のウリである「映像」は勿論スゴイが、それだけではなく、人物の内面を描こうとしている点も評価したい。ストーリーは整合性が無く、駆け足気味なトコロもあるが、そもそもこの映画は、ルールやリアリティがぶっ飛んだ設定の上にあるので、ドラマの展開に焦点を当てるというのは成功していると感じる。テーマは「親子の絆」だろうか。とてもディズニーらしい主張だが誰にとっても大事なことだ。「父に見捨てられたのかも知れない疑念を持ちながらも、父を諦めておらず、その意思を尊重している」というサムの心情を冒頭、現実世界のアクション・シークエンスに組み込んでおり、グリッドでの再開のドラマが際立っている。喜びに満ちたハグや「僕らはいつだってチームだ。」というやり取りがあるからこそ、最後の別れは熱く胸に迫る。また「完璧」について追求しているのもポイントだ。ウィルス=「不完全なもの」とみなされたアイソーという奇跡の生命体は勿論、人間だって完璧な奴なんかそうはいないし、完璧な一日なんてモノもそうはない。曇ったり雨が降ったりするものだ。でも、だからこそ、太陽の温かみや綺麗さを感じるし、不完全だからこそ、互いに喜びを共有できるのではないのだろうか。希望に満ちたこれもまた「らしい」メッセージ。現実世界の夜と、グリッドの暗く無機質な世界から一転、ドゥカティで風を感じながら日の出を目にして微笑むクオラが印象に残る。その笑顔、そのシーンの美しさといったらない。最後までとても美しい映画だ。映画は誕生以来、カラー、トーキー、アニメーション、CGとその表現方法を進化させてきた。30年近く前、CG黎明期に製作された「トロン」は当時多くのクリエイターに衝撃と影響を与えたと聞いた。そして現在、3Dという新たな表現を手に入れた映画の歴史の中に「トロン:レガシー」という映像革命が新たに名を刻んだ。是非劇場で楽しんで頂きたい。
[映画館(字幕)] 9点(2010-12-17 22:33:57)(良:4票)
28.  ヒックとドラゴン 《ネタバレ》 
公開終了日の最後の回を3Dで鑑賞。何故ギリギリで鑑賞したかというと、僕はもともと本作を観る気はなかったから。普段からアニメは観る方ではない。しかし同シーズンに公開されたピクサー作品の出来の良さと、ここでの本作への評価の高さがどうにも気になって劇場へ。結果的に大満足の作品だった。王道的な展開ながら演出と描写がしっかりしており、映像美は鳥肌モノ。大空を飛翔し、空中戦を展開する映像の迫力や臨場感は3Dでこその体験。ピクサー作品はあえて初期の質感を残す映像に、圧倒的ブラッシュアップを経た脚本を組み合わせて傑作を作り出したが、対してドリームワークスの「ヒックとドラゴン」は正に体感という言葉が相応しい、圧巻のCG映像にハリウッドの金型脚本をプラスし、こちらもまた凄まじい作品として成立している。そして子供の気持ちで映画を楽しんだ後は、ちょっと切ないというか一筋縄ではいかぬラストについて、本作のメッセージについて考えさせられる。CGアニメというコンテンツは子供向け、ファミリー向けだとおもっていたがどうもそうではないらしい。この作品の持つメッセージ「共生」は難しく捉えると、現世界情勢を考えた上で国家とか種族間に言えることだが、身近に例えるなら個人間にも成立する「アイツのことをみんな誤解してる」ということに通じるので、大人は勿論のこと、就学前の子供でも感じる部分はあるはずだ。ラストでは共生の道を開いたヒックが痛みを伴うことによって、この言葉が持つ重さがしっかり描かれ、口先だけのハッピーエンドで終わっていない。だからこそ傷ついても肩をとり合い、共に空をかける姿がより美しく写った。本当に素晴らしい作品だ。どれぐらい良いかというと、僕の住んでいる地方では既にどこも上映していないのに「凄い良いよ、絶対劇場で3Dで観てよね!」とうっかり意味不明な宣伝をしてしまったくらい良い!
[映画館(吹替)] 9点(2010-09-22 03:34:39)
29.  インセプション 《ネタバレ》 
知的好奇心を刺激する複雑な構成ながら、緊迫のアクションシーンを交えることで映画的なカタルシスや娯楽性をも兼ね備えており、扱う題材は神秘的ですらある。そこに過去の過ちに苦悩する男の葛藤が絡みつき、哲学的な問題提起やメッセージをズドンと突きつける。「インセプション」は素晴らしい映画だ。そしてそれはアイデアに尽きる。「何パターンかの夢」を「夢の階層化」、「耳は起きている」を「音楽の合図」、「夢の中にいても現実世界での影響を受ける」を「影響が重なるため深層に行くほど不安定」といった具合に、誰もが経験したであろう夢についての不可思議な感覚を独自のルールで見事にまとめ上げた。オリジナル脚本を手掛けたノーランの頭は一体どうなっているんだと思わされるほどの緻密な世界観だ。彼の頭の中にふと芽生えた夢についてのアイデアが、ジワジワと長い時間をかけて脳内に感染していき、この世界を構築していったのだろうか。演技も音楽もアクションも視覚効果も特筆モノだが、それにも増してドラマ部分とラストがまた素晴らしい。観ているものには賛否の分かれるものかもしれないが、夢に囚われた妻を救おうと試みたインセプションで家族を失い、自責の念に苛まれる男にとってあのラストはハッピーエンドではないだろうか。愛する妻に別れを告げることで彼は待ち焦がれた夢(=ゴール)の夢を見ることが出来たのではないのだろうか。「夢なら覚めないで」というが精神世界での幸福は真実のモノなのか考えさせられる幕切れの後も友人との話題に事欠かない、そして鑑賞の度にこの作品の深部が見えてくる。これこそ一級のエンターテイメントだ。
[映画館(字幕)] 9点(2010-07-26 04:53:36)
30.  トランスフォーマー/リベンジ 《ネタバレ》 
前作を超える圧倒的な映像とアクションを誇る素晴らしい一作。今年のサマーシーズンに公開される大作映画の中でも屈指の娯楽作品となることは間違いない。この映像を観てしまったら、他の大作などオモチャのようにしか見えない。そして、今回すごいのは映像だけではない。ストーリーも大変興奮する熱いモノになっている。もちろんこの映画は深い社会的メッセージやメタファーなどは一切皆無であり、インテリの映画ファンならいつものマイケル・べイ作品と揶揄するだろう。どちらかというと僕もそんな映画ファンだが、かつてトランスフォーマーの玩具で遊んでいたなら、男の子の心をくすぐる演出の数々に熱くなること間違いなしだ。ロボット同士の激戦、強大な悪に挑む正義、恋人や家族のドラマに、拳を握りしめ、汗をかいて、涙ちょちょぎれながら最後まで興奮の連続。勇気、友情、家族の絆、普遍的なテーマをしっかり描けば、ベタで単純でも熱くなってしまうものだ。前作の「トランスフォーマー」から少し感じていたが、今回「リベンジ」を鑑賞して、マイケル・ベイは実はすごい男であると思わされた。同時に彼が映画界髄一の駄目監督であるのも事実だ。彼に文学的な映画などは絶対に撮れないだろうし、誰も望まない。しかし、しみじみと深く心に残る感動をフィルムに焼き付ける監督もすごいが、ここまでの映像を見せ付けられると彼を尊敬せざるを得ない。ロボットは仕方ないにしても、実写に徹底的にこだわり、安易にCGを用いてない。俳優のパフォーマンスを最大限に引き出し、爆発の中も本当に走らせる。劇中幾度もなく見られる爆発の一つ一つに、ベイや役者、スタッフたちはどれ程の情熱と努力を注いだのだろうか。普通の大作の1ランク上の映像を造りだす男を、僕は「画だけ派手な気楽な娯楽映画監督」とはもう言えない。
[映画館(字幕)] 9点(2009-06-26 17:19:40)(良:4票)
31.  007/慰めの報酬 《ネタバレ》 
ボンドにダニエル・クレイグを迎えての第二作目。007シリーズはシリーズ物の弱点でもあるマンネリ化に、主演俳優や監督、作風の変化によって対応してきたが、クレイグ版ボンドは過去の007作品とは更に一線を画す存在ではないだろうか。ダニエル・クレイグはリアリティと人間味を持って女王陛下に使える諜報員、新生ボンドのスタイルを確固たるものにした。前作「カジノ・ロワイヤル」ではシリーズ最長の時間をかけて、ボンドの愛と誕生を描き、今作「慰めの報酬」ではシリーズ初の連作(続編というよりは二部作といった感じの繋がり方である。)を最も短い上映時間で描いた。その中でも前作の倍近い質量の凄まじいアクションの連続なので、わずか100分ちょっとの時間で(シリーズおなじみのオープニング、エンディングもあるので正味はもっと少ない。)物語を破綻させることなく、しっかりと作品のテーマまで伝えきっている辺りは流石だといいたい。名匠マーク・フォスターならではの人間味のあるドラマに仕上がっている。アクション映画は初にもかかわらず、優秀なアクション監督のお陰か、リアルかつ手に汗にぎる迫力のシーンの連続。「こんな安ホテルなんて・・。」という台詞があったが、脚本、音楽、衣装など、最高級のスタッフを集めたからこそ、ジェームズ・ボンドのような洗練された感じが映画から漂ってくる。Qやマニーペニーが出ない、ガンバレルがラスト(前作と本作が途切れなく繋がっているため)にあるなど今までの007からは大きく逸脱している点もあるが、ゴールドフィンガーを思わせるシーンなど、オマージュもしっかり含まれており、見所が多い。
[映画館(字幕)] 9点(2009-01-25 14:48:51)(良:1票)
32.  イントゥ・ザ・ワイルド 《ネタバレ》 
将来を約束された青年が全てを捨てて、ひたすら北へ向かっていくという驚きの実話だが、それを深いテーマのもとに美しく映像化した監督ショーン・ペンの演出にも驚かされた。家族間との関係、道中で出会う人々、クリスの人間性や思想といった描写を多くのエピソードで掘り下げることなく、会話や食事などでみせる印象的な行動で流れるように描く手腕は素晴らしい。無駄なシーンなど一つもない、ただリンゴを食べているシーンですらクリスの感情を読み取れるものとなっている。アラスカを目指す旅は一般人ではとうてい無理な話で、人一倍行動力のあるクリスだから成し得た荒技であるかもしれないが、旅に出る動機は非常に若者らしく、経験したという人も多いのではないかと思う(18の僕が言うのもなんだけど)。たしかにクリスの行動は自分勝手で無謀すぎで馬鹿げているかもしれない。しかし自分の人生なのに人の言うとおりになって、社会の目を気にし、自分を偽って生活していくことに、自分なりに折り合いをつけて前に進んでいかなければならいという中で、彼の場合はその決着の形が「旅」だったのだろう。色々と印象深いシーンが多い本作だが最も素晴らしいと感じたのがロンとクリスの岩山での対話シーンだ。ここでは年齢や経験、性格の全く違う二人の人間が同じ高さでお互いに説教を垂れあうのだが、深く考えさせられ感動した。人生ってなんだ、自分の人生って誰のものなんだ?確実に人生経験を積んで色々なことを見てきたからこそ辿りついた考え方と、若く無鉄砲であるが積極的な意見。それぞれの見解がいくつになってもお互いの成長の糧となり、人生に影響を与えうるという一言では言い切れない人生のおもしろさや深遠さを、そして人と人とのドラマの温かさを感じた。
[映画館(字幕)] 9点(2008-10-02 01:10:18)(良:2票)
33.  ノーカントリー 《ネタバレ》 
正直コーエン兄弟の映画は全て制覇してないどころかあんまり観てない状態で鑑賞したけど、この「ノーカントリー」だけ観ても彼らが凄まじいストーリーテラーだということがまざまざと感じれる一作だった。突然小金を手にした少年二人がそれをめぐって言い争いを起こすシーンがあったが、もしカバン一杯の札束を大人が偶然手にしたとしたらどうだろう。その金をきっかけに追いつ追われつの殺し合いが始まる。ベトナムから生還した強みで勝機を見出したハンテッドとそれを追う純粋な暴力、さらにその後を追い、およそ常人には理解しえない「血と暴力の世界」に困惑する男。緊迫の追跡劇を通してメッセージを突きつける手腕は見事としかいいようがない。またこれだけ息詰まる死闘とヴァイオレンスが散りばめれらているにもかかわらず、その作風はどこかユーモラスでおかしさすら持ち合わせている。おかっぱアントンの恐怖を通り越した滑稽さとそれでもなお漂う圧倒的存在感や荒涼とした大地で繰り広げられる命がけの逃亡はもはや超一流の芸術作品のような品格すら漂わせる。まぎれもない傑作だ。
[映画館(字幕)] 9点(2008-09-14 01:42:32)(良:1票)
34.  スピード・レーサー 《ネタバレ》 
あの「マトリックス」の監督の最新作は日本のアニメの映画化!極彩色の奇抜な視覚効果に主演は若手青春スターのエミール・ハーシュ!!それに加えてぶっ飛んだトレーラー映像からいろいろ期待して鑑賞。そしてその期待をはるかに超える体験になった。話はベタベタシンプルだけどメッセージがストレートに伝わってくるし、むしろ狙いすましたベタベタ感が心地よい程。疾走するマシンやサーキットには目を見張る個性と演出に興奮させられ視覚的な面白さも十分!気が付けば観客やレーサー一家と一緒にスピード君を応援している自分が!ほんと映画ってオモシロイ!素晴らしい!!
[映画館(字幕)] 9点(2008-07-09 04:06:58)
35.  魔法にかけられて 《ネタバレ》 
夢いっぱいの御伽話を通して真実の愛という魔法を信じさせてくれてとても幸せな気分になった。これこそ正にディズニー・マジック!楽しかった!
[映画館(字幕)] 9点(2008-03-11 08:20:29)
36.  シンドラーのリスト 《ネタバレ》 
本来は一財産築くためにユダヤ人を雇ったシンドラーが多くのユダヤ人を救おうと決意するまでの内面の変化がよく描けている。シンドラーとアイザックの友情には胸が熱くなった。工場で働くユダヤ人達の個々のエピソードもうまく話の本筋に絡んでいたしジョン・ウィリアムスのスコアも素晴らしかった。パートカラーを使った演出は凄い。凄惨な描写も多いがこの歴史から目を背けてばかりではいけないと思った。重厚な映画だ。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2008-02-25 17:13:56)
37.  ドッグヴィル 《ネタバレ》 
集団の中で人は人を助け、受け入れ、許して生きていくべきなのだろう。が、保身という本能から他者との間に壁を作り、弱者を虐げる事で自分を守ろうとする。弱者をみつけ、その弱みをみつけ、そこにつけこんで住民達が欲望を満たしていく様はまさに犬のようである。実際には存在しない壁をそこにあるかのように振る舞う住民達が生活するあのセットは人間の本質を表しているようにも見えた。俳優陣の演技、絶妙のストーリーテリング、深いメッセージ性に魅せられる、必見の人間ドラマである。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2008-01-23 23:55:17)(良:1票)
38.  ボーン・アルティメイタム 《ネタバレ》 
前作、前々作と観てきたが今作が間違いなく最高傑作だ。ポール・グリーングラスの演出は見事としかいいようがない。役者とカメラの間を物で遮りつつその表情を捉えるカメラワークが凄まじい臨場感とリアリティを醸し出している。それでいて激しい格闘、追跡、カーチェイスといったアクションでスピードを落とすことなく物語りはラストまで加速し続ける。ロシア、モロッコ、アメリカなどの世界を駆け巡るが緊張感がそがれる事はない。また今作でのボーンのスマートさも見所の一つだろう。行動の一つ一つから彼の知性を感じ取れる。マット・デイモンは素晴らしい演技をしていたし、絶妙のキャスティングもいい。extreme waysが流れる中ニッキーがニヤリとするラストが最高。素晴らしい完成度を誇る傑作。
[映画館(字幕)] 9点(2008-01-20 23:50:12)(良:1票)
39.  パフューム/ある人殺しの物語 《ネタバレ》 
サスペンスというよりはダークなファンタジーかと。嗅覚をつかって鑑賞した映画は始めてだ。ほんとにスクリーンから匂いが発せられているようだった。香りを表現するための、芸術ともいえる美しくも醜悪な画面作りには大満足。そして香水、究極の香り、香りの消失などを表現しきった音楽には脱帽だ。台詞の少ないグルヌイユの心情を表す手助けにもなっていたと思う。音楽に負けず主演のベン・ウィショーも非常に良い。驚愕の才能を持ちながら、人としての感性にかけ、それでいてどこまでもピュアなシリアル・キラーを独特の存在感で怪演している。ストーリーは非常に新鮮に魅力的に感じた。究極の香りが起こす奇跡、グルヌイユが最初に殺した少女を思って涙するシーン、そしてグルヌイユ自身が消えてしまうというラストも良かった。あの死刑台の広場でのシーンは説得力があった。演技、音楽、脚本、演出、そして香りと色々な要素を楽しむ事ができた。
[映画館(字幕)] 9点(2008-01-17 23:23:03)(良:1票)
40.  1917 命をかけた伝令 《ネタバレ》 
「全編ワンカット」がどう定義されているかはよく知らないが、本作は長回しを用いた複数のカットをつなぎ合わせたものである。 故に編集後の本編はワンカットのように見える。その撮影や編集方法については、近作で言えばイニャリトゥの「バードマン」を彷彿させる。  個人的には撮影方法や撮影アイデアが前面にフィーチャーされた作品はあまり好みではない。 主観視点だとか、長回し多様だとかの「独自ルール」的なものが逆に仇となり、物語の面白さをむしろスポイルしている作品は多いと思う。 そういったワンアイデアはYoutubeの5分程度の動画なら楽しめるだろうが、90分以上くらいは時間をとる映画では「慣れ」と「飽き」の時間の方が多くなってしまう。  対して前述した「バードマン」は賞レースでも大健闘した。この作品には、ハリウッド対ブロードウェイ(娯楽VS芸術)というテーマ、そしてドラマをじっくり描いており、撮影方法は虚実入り混じる不思議な世界観をサポートする役目に徹していたのだ。 そしてこれは「1917」にも通じている。 「1917」は名匠サム・メンデスが監督したことがしっかりと感じ取れるドラマに秀でた一作に仕上がっていた。  邦題にもあるが、戦争映画において「伝令」に着目した点が良い。 伝令とは、面と向かって相手に言葉を届けることとは少し違う。自分が受け取った情報、思い、人生を遠くの誰かに伝えることだ。  例えばカエサルの「来た、見た、勝った」という今も残る簡潔な文体。またはマラトンの戦場からアテナイまでを走破し、勝利を伝え絶命したエウクレスの逸話(諸説あります)。或いは文豪ユゴーの世界一短い手紙のやり取りか。  「伝令」が生むドラマはいつの時代も人を惹きつけてきた。 まして電話一本、いや指一本で地球の裏側まで瞬時に思いを伝えらる時代である。今一度、「伝令」の尊さを噛みしめらる「刺さる」テーマである。  また疑似ワンカットの映像も「戦場の臨場感云々」という宣伝文句以上の効果を発揮する。 戦闘が終わった後の中間地帯、その惨たらしい傷跡。空に消え、再び画角に現れる照明弾の降下。町を焼く炎に揺らめく人影。印象的な映像は多角的に戦場を考察していく。 メンデス監督は「スペクター」冒頭でも超ド級の長回しを披露していたが、本作の長回しはより情報整理やドラマ性に長けており、野心的な方向に進化しているといえる。  ドラマもメンデス監督らしい。 「俺に話かけ続けてくれよ」から「この子に話しかけて続けて」という記憶の再構築。 今まさに逝こうとする友達の言葉が、これからの未来を生きる希望へ向ける言葉としてウィリアムの脳裏によぎる。 時を告げる鐘の音が疲労困憊の彼を奮起させる。  控えめな演出ながら、しっかりと登場人物の気持ちを変化させる事柄がしっかりと描かれていて良い。 思えば「スペクター」や「スカイフォール」「レボリューショナリー・ロード」でも、いやいや「アメリカン・ビューティー」まで遡っても、メンデスの作品では確実な人間描写が生きていた。  繰り返し強調される「全編ワンカット」という側面も確かに度肝を抜く完成度であるが、やはりメンデス監督の人間描写やテーマ性も骨太な見どころとして鑑賞したい。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2020-02-09 23:09:01)
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